文学少女と不良少年の恋模様   作:スピリタス3世

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第二話 爽やかな屋上で昼飯はいかが?

  side 大道寺

 

 昨日小鞠を送った後は散々だった。一昨日の負け分を取り戻しに雀荘行ったら、そこにはまさかの破壊神Aが。用事を思い出したフリして帰ろうとしたら、同じ学校だとバレて一緒に打たされることに。そのまま悪魔の5万負け。昨日の部活の勝ちがチャラになっちまったぁ。

 

 だから午前中の授業なんて集中できるわけもなく、あっという間に昼飯時。

 

「さて、飯でも食いに行くかぁ。」

「「「「ひぃ…………」」」」

 

 俺の独り言に恐れ慄くクラスメイトを後にしながら、俺は教室を後にした。

 

 

 

 昨日までは、昼飯は部室で食いながら麻雀してた。しかし今日から一応テスト期間。昼休みの部活動は禁止となり、部室では食えなくなった。なら、小鞠でも誘って食うかぁ。この時間なら、多分あそこの水道にいるはず。

 

 その予感は当たった。

 

「よぉ、小鞠。」

「ん゛き゛ゃ゛⁉︎」

 

 ちょっと猫背の彼女は、俺が思っていた場所にいた。コイツは水道水に謎のこだわりがある。俺は味の違いなんて分かったもんじゃねぇが、今まで彼女が言っていた会話からなんとなくの場所を覚えていた。この時間は塩っ気の強い水道水がいいとのこと。

 

「な、なんだ、大道寺⁉︎」

「一緒に飯でも食わねえかぁ?」

「す、数研、行かない‼︎」

「違えよぉ。今日からテスト期間だからぁ〜、部活ねえんだぁ。」

「そ、そうか。な、なら、一緒に食ってもいい……」

「そうかぁ、ありがとなぁ‼︎じゃあ屋上行こうぜぇ‼︎」

「う、うん。」

 

 ということで、俺は小鞠と飯を食うために、屋上へ向かった。

 

 

 

 

 屋上に着くと、爽やかな風とほんのり暖かな日差しが俺たちを出迎えてくれた。絶好のお弁当日和だなぁ。

 

「おぉ、いい天気じゃねえかぁ。」

「そ、そ、外で食べるの……久しぶり……」

「えっ?じゃあお前ぇ、今までどこで食ってたんだぁ?」

「え、えっと………トイレ……」

「マジかぁ‼︎」

 

 確かに小鞠は昔っから人付き合いが苦手だ。しかし、文芸部の部室でもなく便所飯してたとはなぁ。もうちょっと早めに知っとくべきだったかぁ。せっかくの美味しいご飯なんだからぁ、もっと美味く食えるとこで食ったほうがいいのになぁ。

 

「じゃあさぁ、玉木先輩と一緒に飯食うまでは、俺と食わねえかぁ?」

「てっ、テスト期間、だけか?」

「いやぁ、その後も。」

「お、お前、いいのか?麻雀、あるんだろ?」

「別にいいだろぉ。お前と飯食いたいし。」

「そ、そうか。ありがと………」

 

 ちょっと気まずそうに頷く彼女。恐らく麻雀の活動もある俺に気を遣っているのだろう。本当に優しい女だなぁ。

 

「つーか、俺の弁当お前が作ってんだからさぁ、もうちょっとわがまま言ってもいいんだぞぉ?」

「そ、それは、私がっ、作りたいだけ!」

「でもよぉ、時間も家計も大変なんだろぉ?」

「お、お前のが、大変だろ‼︎お前の親、飯作んないし……」

「大変じゃねえょ。つーか、こんなに美味えの毎日作ってくれてんだからさぁ、なんか恩返しさせてくれよぉ!」

「お、お前が、そう言うなら、い、いいけど……」

「っしゃあ‼︎」

 

 だから少しでもいい思いをして欲しい。少しでも今より笑って欲しい。そう思わずにはいられなかった。俺にそう思わせるほど、彼女はとても魅力的だった。

 

 

 

 

 それから数日間、俺と小鞠は昼になると、屋上で一緒に飯を食っていた。

 

「に、日本史、思い出した!」

「ん?何をだぁ?」

「の、信長と秀吉!日本史の先生、順番、違う‼︎」

「順番?」

「秀吉×信長、だっ‼︎」

「その順番かよぉ‼︎」

「ひ、昼、信長オラオラしてる‼︎でも、夜、恥ずかしがる‼︎そのギャップ、いい‼︎」

「逆に部下の秀吉が夜は主導権握るんだなぁ。立場逆転って感じかぁ?」

「そ、その通り‼︎分かってるじゃねえか……デュフフw」

「そぉなんかぁ?」

 

 彼女は腐女子で、よくこうしてBLの話になる。俺自身はアニメも漫画も知らねえし、本に至っては文字を読むのが嫌いで基本的には開かねぇ。おかげで国語や英語の成績は壊滅。だいたい赤点取って補習の毎日だぁ。もちろんBLなんてちっとも分かりゃしねぇ。

 

「ち、ちなみに……今度、秀吉×信長、書く‼︎」

「おぉ、新作かぁ‼︎是非楽しみにしてるぜぇ〜‼︎」

「ふ、震えて、待ってろ‼︎」

 

 だが、コイツの作品だけは別。なんか読んでて面白ぇし、何よりコイツが創作の話をしている時の楽しそうな顔が好きだぁ。また自分が書いた本の感想を言うと、すげぇ嬉しそうにしてくれる。それが堪らなくて、つい苦手な活字でも読んじまうんだなぁ。

 

 

 

 そんな事を思いながら、小鞠との昼飯を食べていると………

 

「光希さん、屋上なら開いてま………あっ。」

 

 階段へと続く扉が開けられた。そしてそこにいたのは………破壊神Aこと、朝雲千早と恐らくその彼氏だった。

 

「昨日ぶりですね、大道寺さん!」

「そ、そぉだなぁ………」

「しっ、知らない人………」

 

 ちなみに小鞠は人見知りのため、こうして知らない奴が来るとすぐ俺の後ろに隠れる。その姿が可愛らしいと思いつつも、もう少し他の人とも交流して笑って欲しいとも思っている。

 

「昨日ぶり?千早、昨日会ってたのか?」

「ええ。帰る時に偶然遭遇したのです!」

「そうか。」

「そうだぜぇ。俺ぁ大道寺海斗。こっちは小鞠知花。よろしくなぁ。」

「俺は綾野光希。よろしく。」

「…………よ、よろしく。」

 

 なんとか声を絞り出すように挨拶をする小鞠。本人もこのままではいけないと思っており、こうしてなんとか頑張って声を出そうとしている。それを見ると、とても応援したくなる。

 

「私たちは別の場所で食べますよ!」

「いいのかぁ?」

「ええ!」

「邪魔して悪かったな。」

「いやいや。別に付き合ってるわけじゃあねぇし、気なんか遣わなくていいぞぉ。」

「ありがと。」

「ありがとうございます!」

 

 それはそうと、破壊神Aとその彼氏は別の場所を探しにこの場を去った。

 

「お、お前………あの女と知り合いか?」

「あ、あぁ………小鞠は知ってるのかぁ?」

「いや、知らん。」

 

 そして、他の人が居なくなったのを見て話しかける小鞠。奴を知らないっちゅーことは、こっちの世界は知らないってことだな。それは良かったぁ。

 

「あの女は朝雲千早、通称麻雀破壊神A。」

「まっ、麻雀破壊神A⁉︎」

「界隈じゃ有名な裏プロだぁ。打ってるレートも稼いでる額も俺とは比べものになんねぇ。」

「そ、そんな凄い奴、いたのか………」

 

 奴の強さはそこらの裏プロの比じゃねえ。三人麻雀の強者が集う大阪梅田の雀荘、「太閤の城」の最高レート*1で無双。そのままフリーランスの裏プロとして活動し、何千万や億単位で金を稼ぐ化け物だ。強すぎて勝負になんないため、数研は奴が塾に行く日しか活動しねぇ。

 

「小鞠も気をつけろよぉ。」

「き、気をつける………」

 

 小鞠もいつか麻雀を打つようになったら、やられねえように気をつけねえとなぁ。

 

 

 

 そんな事を思っていると、あっという間に昼休みの時間は終わっちまったぁ。

 

「食い終わったぜぇ‼︎ご馳走さん、美味かったぁ‼︎」

「そ、それは………どうも///」

「んじゃ、昼休みも終わるしぃ……教室戻るかぁ。」

「だっ、だな。」

 

 右手の親指と人差し指で髪をちょこっといじりながら照れる小鞠。恥ずかしいのか目線も少し横を向いており、それがまた可愛らしかった。そしてそんな姿を見ると、午後からの授業も頑張れる気がしてきた。

*1
1,000点1,000円。海斗たちがやってるレートの10倍。1日で50万〜100万近く動く。普通に摘発されるため、下のレートで無双した人だけが紹介される裏レート。

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