side 大道寺
テストも無事終わり、なんとか赤点を回避したある日………
「あぁ………暇だなぁ。」
俺は部室で1人退屈していた。今日は破壊神Aが塾ではないということで、部室に現れる可能性が高い。奴は部員じゃねぇにもかかわらず、雀卓のあるところを嗅ぎつけてやって来るからなぁ。そのため、今日は部活動が無しというわけだぁ。
ちなみに、こういう日は決まって暇。その理由は………他2人が付き合ってるからだぁ。前部活ん時にサラッと言われたんだよぉ。
「そういや海斗に報告する事があるんや〜!」
「俺たち、実は昨日付き合い始めてな………色々迷惑をかけることになるかもしれん。」
「自分*1は気ぃ遣わんでええからな〜!」
「マジかぁ〜!まぁお前らが幸せなら大丈夫だぁ‼︎」
「おおきに〜!」
「恩に着る!」
いちいち言うとか、律儀な連中だなぁ。そんな事を思いながら、2人のデート中は1人部室で過ごしている。幸い寝っ転がれるしオンカジも出来るしで、暇を潰すことができるぜぇ。
ただ、ずっと1人でいてもつまんねぇ………。そんな日はぁ、隣の部室にいる小鞠をからかうに限る‼︎今日は先輩2人の声も聞こえねえ。代わりにいるはずのないクラスメイトの声が聞こえるが、きっと2つ隣の部屋からだろう。ちゅーことは………アイツは今1人‼︎
ということで、俺は軽い腰をすっと上げ、隣の部室へと向かった。いつものように扉をガラガラと引いて、
「よぉ、小鞠さん。1人でお暇かぁ⁉︎俺も暇だからよぉ………」
軽く声をかけると……………
「「「えっ?」」」
「な゛っ⁉︎」
なんとそこには、いるはずのないクラスメイトが2人も小鞠と一緒にいたのだ。しかも幽霊部員の温水までいる。全員俺の出現に目を丸くしているが、俺もまた同様、目を丸くしちまったぁ。
「だだだ、大道寺‼︎い、今部活中‼︎」
「すまんなぁ。部活終わったら来るぜぇ。」
クラスメイトの八奈見杏菜と焼塩檸檬。八奈見は青髪で陽気な女で、焼塩は褐色の陸上女、どっちも本とか読まなそうな印象がある。その2人が部室にいて、今は部活中。ちゅーことは文芸部に入ったってことかぁ。なんとも意外だと思いつつ、俺は退散しようとした。
「せっかくだからさ、大道寺君もおしゃべりしようよ!」
「おぉ〜、それいいねぇ〜!」
そんな事を思っていたら、なんと八奈見と焼塩に呼び止められた。これまた意外だ。自分で言うのもなんだが、よくこんな恐ろしい見た目の奴と話す気になるなぁ。
「こ、こいつ……ただカッコつけてるだけ!こ、怖くない!デュフフw」
おい小鞠。ひでぇこと言うじゃねぇか。
「うるせぇ‼︎別にビビらせたくてやってるわけじゃねぇ‼︎」
「お、お前が、そう言うなら、そう捉えとくw」
「小鞠ぃ?」
「「ぎゃははははははは‼︎」」
「仲良しだね〜、2人とも。」
八奈見と焼塩に笑われ、温水に生暖かい目で見られる。完全にバカにされてるじゃねぇか‼︎まぁいいけどよぉ‼︎
それはさておき、自己紹介といくかぁ。
「まぁいいや。改めて自己紹介するぜぇ。俺ぁ大道寺海斗。好きなもんはギャンブル、特に麻雀だぁ。」
「初めまして!いや、初めてじゃないか!焼塩檸檬です!陸上部と兼部してるよ!よろしくね!」
「八奈見杏菜です!趣味は食べること!よろしく!」
「僕は温水和彦。部活はここだけだよ。よろしく!」
そして、俺は皆と自己紹介し合うことになった。クラスメイトとはろくに喋ったことなかったから、なんだか初対面の人と会ったみたいで、ある意味新鮮だった。
あと、こんな見た目と言動だから、正直歓迎されると思わなかった。でも、皆歓迎してくれた。結構いい奴らだと思いつつ、この人らなら小鞠を任せられるだろう。そう思った。
「いやぁ、小鞠に友達ができてよかったぜぇ。コイツ人と話すことが苦手でよぉ〜。仲良くしてやってくれぇ。」
「だ、大道寺‼︎う、うるさい‼︎///」
「いいよ〜!」
小鞠も友達が出来て、ちょっと照れくさい様子。でも良かったぁ、喜んでるようで。自分の心も暖まるのを感じながら、この空間の居心地の良さに包まれていると………
「ところで、2人は幼馴染だよねぇ?付き合わないの?」
「「え゛っ⁉︎」」
八奈見がとんでもない事を言い始めた。
「んなことするかぁ‼︎」
「そそそ、そうだ‼︎わっ、私、別の人、好き………///」
「ってなわけだぁ‼︎」
小鞠は玉木先輩が好き。そもそも玉木先輩が居なくとも、俺と恋愛したいなんて思わねぇだろぉ。俺も俺で恋愛するつもりはねぇし。幼馴染だからって、すぐ恋愛に繋がるわけがねぇだろがぁ。
「えっ?幼馴染は愛し合うものじゃないの?」
「八奈見さん。悲しいのは分かるけど、他の人に押し付けちゃダメだよ。」
「そういうとこだよ、温水君‼︎」
「やなちゃんの言う通り………かな?」
「焼塩⁉︎絶対違うからね⁉︎」
温水の発言から察するに、恐らく八奈見は幼馴染にフラれたのだろう。それに、さっきまでとは打って変わってしおらしくなる焼塩。コイツも恐らく幼馴染にフラれたのだろう。まあいいや。これ以上恋バナしても八奈見や焼塩の傷を広げるだけだぁ。やめておこう。
「ってなわけでぇ、俺と小鞠はそんな関係じゃねぇ‼︎以上‼︎」
「だ、大道寺は………お、お、弟みたいに、思ってる‼︎」
小鞠は小鞠で何言ってんだぁ⁉︎
「はぁ⁉︎逆だ逆‼︎お前が妹みてぇだろぉがぁ⁉︎」
「な゛っ⁉︎お、お前、かまってちゃんの犬みたい‼︎だ、だから弟‼︎」
「お前は人見知りの猫だろうがぁ‼︎」
「しっ、死ね‼︎」
「仲良いね〜。」
「やっぱお似合いだよ〜、2人とも‼︎」
「「ち、違う‼︎」」
ぜってぇ俺のが歳上感あるし‼︎誕生日同じだけどぉ‼︎これだけは譲らねえからなぁ‼︎誰に何と言われようともぉ‼︎
「ふっ、やはり幼馴染は結婚するべきだね。」
「な゛っ⁉︎」
「お前は何言ってんだぁ、八奈見ぃ⁉︎」
そんな事を思った1日だった。
side 温水
大道寺………最初は怖い人だと思ってたけど、小鞠と話してるのを見た時に違うんだと思った。そして、それを今日確信した。意外と人は見た目によらないんだね。それを学べた1日だった。
ティアラちゃんがタグにいますが、出番はもうちょい後になりそうです。