ルビコンと竜 作:LAMMERGEIER/40F
初っ端「竜」ではないけど初投稿です。
AC6のACは大体10m前後(目算)、バルファルクはちっちゃいのでも20m近く。
あのクソデカ世界観だと麻痺しがちですが、サイズだけで言うとモンスターの方が大きいのです、たぶん。
始まりは、空を飛ぶ鳥を見た時だった。
高く、速く、力強く飛ぶそれを、少年は目標とした。
誰よりも高く、速く、そして強く。
そのための努力を一切惜しまず、妥協もしない。
周囲にその夢を語るといつも嗤われたが、彼はそんなの気にしなかった。
月日は流れ、やがて少年は青年となり、
いつの間にか企業AC部隊のNo.1になっていた。
これがV.Iフロイトのオリジン。
夢を叶えた彼を嘲る者など、一人もいない。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
愛機『ロックスミス』のコアブロックを開き、空を見上げる。
同僚のお小言に辟易した時、あるいは退屈な任務に嫌気が差した時。
そういう時にフロイトが決まってするルーティーンだ。
もっとも、ここ最近は毎日こうやっているようだが。
(こんな辺境の星にも、空は変わらずそこにある)
しかし何時からだろうか。
大好きだったはずの空に楽しみを見いだせなくなっていたのは。
誰よりも高く、強くなったはずなのに。
この胸の空洞は、どうにも埋まってくれない。
【フロイト、何をしているのです。作戦開始時刻は既に過ぎていますよ】
「あぁそうだったな。今から向かう」
そんなことを考えている内に同僚からの有難いお言葉だ。
それを右から左に受け流しつつ、かと言ってやる事も無いので取り敢えず表示された座標に向かう…
(この『義務感』がつまらなくしているのか?)
違う。今と同じような仕事をヴェスパーに所属したての頃からやってきたが、あの時はもっと活き活きしていたはずだ。
(純粋なモチベーションの低下、『虚無感』か?)
退屈なのはそうだが、それも違う気がしてしっくりない。
この感情に名をつけるとしたら一体なにが相応しいか…
(…ん?)
そんな時だった。
(レーダーに反応、ルビコニアンの警邏に捕まったか?それにしては随分早いが)
右後方から何かが高速で近づいて来ているのを感じ取り、振り向いたその瞬間…
ACとも、話に聞くC兵器とも違う『何か』が、ロックスミスの真横を超高速で通過した。
「…!」
確かに見た。銀色に輝き、赫いバックファイアを吹き出す超高速の存在を。
(新手の自立兵器、いやそれにしては生物的すぎる)
ほんの一瞬だけ捉えたその姿は。
「……逃がすか」
彼の好奇心を刺激するのに十分過ぎた。
【メインシステム 戦闘モード起動】
【何をしているのですフロイト!?そっちは真逆】
適当なところで通信を切り、目の前の相手に集中する。
相手はただ真っ直ぐ飛んでいるだけ。なのに、追いつけない。
それどころか、あまりの速さに振り切られそうでさえある。
(このままだと追い付けない)
直ぐ様巡航モードに切り替える。
速度が一、いや二段階ほど上昇したのを感じるが、それでも届かない。
(まだ重い、もっと早く)
右腕以外の全装備をパージ。余計な重荷が無くなり更に加速、あと少し。
「……よし、追い付いた」
ついに『それ』を捉える事に成功する。
御伽話に出てくる怪物のように鋭く、それでいて空のように澄んだ青い瞳。系列の
(いい、いいぞ。あともう少し…)
更に近付こうとしたところで、ロックスミスが急に速度を落とし始める。見れば、ジェネレーターが悲鳴を上げていた。
それもそのはず、彼の使っているジェネレーターは『VE-20A』。EN容量は他のジェネレーターと比べて少なく、売りとしているはずの出力もそこそこ。
それを無理に動かし続けたのだ。
「動け、ロックスミス…!」
まだ、これからだと言うのに。ここからが面白いというのに。
無情にも『それ』はどんどん遠ざかっていく…EN補充が済んだ頃には、もう影も形もなかった。
(負けた、か)
圧倒的な『個』に完膚無きまでに叩きのめされる。普段の彼がしていることだったが、自分がされたのは初めてだった。
(…なるほど、存外悪くない)
悔しさも後悔も、全てを飲み込むほどの衝撃。
新たなる目標を見据えたフロイトは強かった。
─その後の一幕(マイルド)─
スネイル「許せん…よくも企業たるこの私をここまでコケにしてくれたな。殺してやる…」
フロイト「やばいぜペイター!(あの後結局作戦バックれてエルカノ一式パーツを無断で購入、使用)」
ペイター「くっ…!(手柄目当てにバルファルクの捕獲を勝手に計画、シャレにならない被害出した挙句失敗)」
スウィンバーン「大変だねアンタら」
スネイル「殺してやるぞV.Ⅶスウィンバーン」