ルビコンと竜   作:LAMMERGEIER/40F

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初っ端「竜」ではないけど初投稿です。

AC6のACは大体10m前後(目算)、バルファルクはちっちゃいのでも20m近く。

あのクソデカ世界観だと麻痺しがちですが、サイズだけで言うとモンスターの方が大きいのです、たぶん。



Boeing 2262

 

始まりは、空を飛ぶ鳥を見た時だった。

 

高く、速く、力強く飛ぶそれを、少年は目標とした。

 

誰よりも高く、速く、そして強く。

 

そのための努力を一切惜しまず、妥協もしない。

周囲にその夢を語るといつも嗤われたが、彼はそんなの気にしなかった。

 

月日は流れ、やがて少年は青年となり、

 

いつの間にか企業AC部隊のNo.1になっていた。

 

これがV.Iフロイトのオリジン。

 

夢を叶えた彼を嘲る者など、一人もいない。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

愛機『ロックスミス』のコアブロックを開き、空を見上げる。

 

同僚のお小言に辟易した時、あるいは退屈な任務に嫌気が差した時。

 

そういう時にフロイトが決まってするルーティーンだ。

 

もっとも、ここ最近は毎日こうやっているようだが。

 

(こんな辺境の星にも、空は変わらずそこにある)

 

しかし何時からだろうか。

大好きだったはずの空に楽しみを見いだせなくなっていたのは。

 

誰よりも高く、強くなったはずなのに。

 

この胸の空洞は、どうにも埋まってくれない。

 

【フロイト、何をしているのです。作戦開始時刻は既に過ぎていますよ】

 

「あぁそうだったな。今から向かう」

 

そんなことを考えている内に同僚からの有難いお言葉だ。

それを右から左に受け流しつつ、かと言ってやる事も無いので取り敢えず表示された座標に向かう…

 

(この『義務感』がつまらなくしているのか?)

 

違う。今と同じような仕事をヴェスパーに所属したての頃からやってきたが、あの時はもっと活き活きしていたはずだ。

 

(純粋なモチベーションの低下、『虚無感』か?)

 

退屈なのはそうだが、それも違う気がしてしっくりない。

この感情に名をつけるとしたら一体なにが相応しいか…

 

 

(…ん?)

 

そんな時だった。

 

(レーダーに反応、ルビコニアンの警邏に捕まったか?それにしては随分早いが)

 

右後方から何かが高速で近づいて来ているのを感じ取り、振り向いたその瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ACとも、話に聞くC兵器とも違う『何か』が、ロックスミスの真横を超高速で通過した。

 

「…!」

                

確かに見た。銀色に輝き、赫いバックファイアを吹き出す超高速の存在を。

 

(新手の自立兵器、いやそれにしては生物的すぎる)

 

ほんの一瞬だけ捉えたその姿は。

 

「……逃がすか」

 

彼の好奇心を刺激するのに十分過ぎた。

 

【メインシステム 戦闘モード起動】

【何をしているのですフロイト!?そっちは真逆】

 

適当なところで通信を切り、目の前の相手に集中する。

相手はただ真っ直ぐ飛んでいるだけ。なのに、追いつけない。

それどころか、あまりの速さに振り切られそうでさえある。

 

(このままだと追い付けない)

 

直ぐ様巡航モードに切り替える。

速度が一、いや二段階ほど上昇したのを感じるが、それでも届かない。

 

(まだ重い、もっと早く)

 

右腕以外の全装備をパージ。余計な重荷が無くなり更に加速、あと少し。

「……よし、追い付いた」

 

ついに『それ』を捉える事に成功する。

御伽話に出てくる怪物のように鋭く、それでいて空のように澄んだ青い瞳。系列のシュナイダー(空力キチ)が販売しているパーツに酷似した頭部、全身を刃物で覆ったかのような鈍色の鋭い鱗、そして全身から吹き出る圧倒的強者の匂い。

 

(いい、いいぞ。あともう少し…)

 

更に近付こうとしたところで、ロックスミスが急に速度を落とし始める。見れば、ジェネレーターが悲鳴を上げていた。

それもそのはず、彼の使っているジェネレーターは『VE-20A』。EN容量は他のジェネレーターと比べて少なく、売りとしているはずの出力もそこそこ。

それを無理に動かし続けたのだ。

 

「動け、ロックスミス…!」

 

まだ、これからだと言うのに。ここからが面白いというのに。

無情にも『それ』はどんどん遠ざかっていく…EN補充が済んだ頃には、もう影も形もなかった。

 

(負けた、か)

 

圧倒的な『個』に完膚無きまでに叩きのめされる。普段の彼がしていることだったが、自分がされたのは初めてだった。

 

(…なるほど、存外悪くない)

 

悔しさも後悔も、全てを飲み込むほどの衝撃。

 

新たなる目標を見据えたフロイトは強かった。

 




      ─その後の一幕(マイルド)─

スネイル「許せん…よくも企業たるこの私をここまでコケにしてくれたな。殺してやる…」

フロイト「やばいぜペイター!(あの後結局作戦バックれてエルカノ一式パーツを無断で購入、使用)」

ペイター「くっ…!(手柄目当てにバルファルクの捕獲を勝手に計画、シャレにならない被害出した挙句失敗)」

スウィンバーン「大変だねアンタら」

スネイル「殺してやるぞV.Ⅶスウィンバーン」


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