ルビコンと竜 作:LAMMERGEIER/40F
好きな設定発表ドラゴン「隠しボス」
ルビコン3には、未だ未開拓の区域が残されている。
それは寒さのせいであったり、単に人が住むだけの価値がない環境であったり。理由は様々だ。
しかし、そこはそれらの理由に抵触しない。
むしろ比較的温暖な気候で、旧時代の文明の跡も色濃く残るという、このルビコンでトップクラスに開拓に適した区域。
それでいてルビコニアンも、封鎖機構でさえ近づかないそこはまさに禁域。
名を「シュレイド」。ルビコニアンの言語で、『龍の眠る地』と言う意味の旧い王国。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『……ここが、例の禁足地か』
廃墟のど真ん中で、その影は呟く。
彼の名は『ノーザーク』。
どの勢力にも所属せず、基本的には依頼を受けてから動く独立傭兵と言う立場に関わらず、度重なる借金の結果肝心の企業からの信用がドブに堕ち、その結果ロクな依頼を投げて貰えない哀しき独立傭兵だ。最も、彼自体は全く反省していないどころか開き直っているので自業自得ではあるのだが。
「こんな所に一体なんの価値があるのか……」
彼がここに来た理由は至って単純。
ちょっと前まで
「ここなら
ついでに金目の物は無いかと近くの廃墟を物色し回る。
しかしあるのは焼け焦げた家具だのばかりで、彼の琴線に触れる物は全く無い。
別に期待などしていなかったが…何とも言えない感情が、喉元まで出かかる。
「すると狙いは………あの城か」
ここに立ち入った時からずっと気になっていた、かつての栄華をありありと伝える巨大な西洋の城。
他の建物と同じくところどころ崩れ落ちてはいるが、ああも立派な城だ。金目のものがあるに違いない。
どうせ持ち主も死んでいるのだ。ならば、代わりに用立てて有効活用してやるのが優しさというものだろう。
いやに巨大な城門を潜る。暗い。フラッシュライトを付けるが、焼け石に水といった感じだ。
だがこの程度でへこたれるほど彼の精神はヤワじゃない。
「おお、おお……良いなこれは」
そして、やはり見立て通りであった。西洋の甲冑に、不思議な模様が描かれた純金のコイン。少し欠けているが何やら高価そうな壺、そしてこれは本だろうか?自分は毛ほども興味は無いが、古文書と言って売れば金になるのを知っている。
どれもこれもやはり煤や埃に塗れているが、それは磨けば良いだけの話。
これら全て売り払えば一体何万、何十、いや何百万と言った金になるだろう。そうすれば機体も買い戻せる。
欲が広がっていくのを感じた。
「もっとだ、もっと無いか!」
そうして歩いていると、ふと開けた場所に出る。
荒れ果ててはいるが……中庭だろうか?
しかし、近くの壁上を見ればまるで何かを包囲するかのように中心に向かって旧時代の砲台やら弩砲やらが向けられている。
あまり、治安の良い使われ方をしていなかったらしい。
(何もないな、次)
何かはあるのかもしれない、だが、それは自分の興味を引くものではないと判断し、踵を返したその時だった。
まるで地響きのような唸り声が、背後から聞こえた。
まさか。何もいなかった。気配も感じなかった。
心音が早鐘のように鳴り響く。
今ここを振り向けば、想像しうる中で最も悲惨な結末が待っているのが本能で理解出来た。
しかし、それでも
彼は振り返ってしまった。
そこに居たのは───
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
その日、ルビコンに住まう全ての生物が得も言えぬ悍ましい気配を感じた。
そして、それから間もなくだった。
企業、封鎖機構、ルビコニアン、独立傭兵。
全勢力に平等に、破滅が巻き起こったのは。
好きな設定発表ドラゴン「余計なことして場を乱すやつ」