ルビコンと竜   作:LAMMERGEIER/40F

12 / 12

好きな設定発表ドラゴン「隠しボス」



荒ヶ丘

 

ルビコン3には、未だ未開拓の区域が残されている。

それは寒さのせいであったり、単に人が住むだけの価値がない環境であったり。理由は様々だ。

 

しかし、そこはそれらの理由に抵触しない。

むしろ比較的温暖な気候で、旧時代の文明の跡も色濃く残るという、このルビコンでトップクラスに開拓に適した区域。

 

それでいてルビコニアンも、封鎖機構でさえ近づかないそこはまさに禁域。

 

名を「シュレイド」。ルビコニアンの言語で、『龍の眠る地』と言う意味の旧い王国。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

『……ここが、例の禁足地か』

 

廃墟のど真ん中で、その影は呟く。

彼の名は『ノーザーク』。

 

どの勢力にも所属せず、基本的には依頼を受けてから動く独立傭兵と言う立場に関わらず、度重なる借金の結果肝心の企業からの信用がドブに堕ち、その結果ロクな依頼を投げて貰えない哀しき独立傭兵だ。最も、彼自体は全く反省していないどころか開き直っているので自業自得ではあるのだが。

 

「こんな所に一体なんの価値があるのか……」

 

彼がここに来た理由は至って単純。

ちょっと前まで潜伏していた場所(グリッド086)に居られなくなったのだ。あの時は運良く機体(ビタープロミス)の損失だけで済んだが、次もそう行くとは限らない。なので今度こそは誰も近付かないというここに潜伏しよう。そう考えたのだ。

 

「ここなら彼ら(借金取り)も来ないだろう。しばらく休ませてもらうか」

 

ついでに金目の物は無いかと近くの廃墟を物色し回る。

 

しかしあるのは焼け焦げた家具だのばかりで、彼の琴線に触れる物は全く無い。

別に期待などしていなかったが…何とも言えない感情が、喉元まで出かかる。

 

「すると狙いは………あの城か」

 

ここに立ち入った時からずっと気になっていた、かつての栄華をありありと伝える巨大な西洋の城。

 

他の建物と同じくところどころ崩れ落ちてはいるが、ああも立派な城だ。金目のものがあるに違いない。

どうせ持ち主も死んでいるのだ。ならば、代わりに用立てて有効活用してやるのが優しさというものだろう。

 

いやに巨大な城門を潜る。暗い。フラッシュライトを付けるが、焼け石に水といった感じだ。

だがこの程度でへこたれるほど彼の精神はヤワじゃない。

 

「おお、おお……良いなこれは」

 

そして、やはり見立て通りであった。西洋の甲冑に、不思議な模様が描かれた純金のコイン。少し欠けているが何やら高価そうな壺、そしてこれは本だろうか?自分は毛ほども興味は無いが、古文書と言って売れば金になるのを知っている。

どれもこれもやはり煤や埃に塗れているが、それは磨けば良いだけの話。

 

これら全て売り払えば一体何万、何十、いや何百万と言った金になるだろう。そうすれば機体も買い戻せる。

欲が広がっていくのを感じた。

 

「もっとだ、もっと無いか!」

 

そうして歩いていると、ふと開けた場所に出る。

荒れ果ててはいるが……中庭だろうか?

しかし、近くの壁上を見ればまるで何かを包囲するかのように中心に向かって旧時代の砲台やら弩砲やらが向けられている。

あまり、治安の良い使われ方をしていなかったらしい。

 

(何もないな、次)

 

何かはあるのかもしれない、だが、それは自分の興味を引くものではないと判断し、踵を返したその時だった。

 

まるで地響きのような唸り声が、背後から聞こえた。

 

まさか。何もいなかった。気配も感じなかった。

 

心音が早鐘のように鳴り響く。

今ここを振り向けば、想像しうる中で最も悲惨な結末が待っているのが本能で理解出来た。

 

しかし、それでも

 

彼は振り返ってしまった。

 

そこに居たのは───

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

その日、ルビコンに住まう全ての生物が得も言えぬ悍ましい気配を感じた。

 

そして、それから間もなくだった。

企業、封鎖機構、ルビコニアン、独立傭兵。

全勢力に平等に、破滅が巻き起こったのは。

 





好きな設定発表ドラゴン「余計なことして場を乱すやつ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

灰燼の管理者と再起動する演算(作者:レシラム)(原作:ブルーアーカイブ)

アーマードコアマスターオブアリーナの主人公に破壊されハスラー・ワンのデータを失い1人となったラナ・ニールセンが、そのままブルーアーカイブの世界に転移し、預言者のケテルに回収されアイン、ソフ、オウルの元に届けられます、元管理者側としてイレギュラーを排除していた者がイレギュラーとなり、何をするのでしょうか。


総合評価:62/評価:-.--/連載:7話/更新日時:2026年08月15日(土) 22:18 小説情報

透き通る世界観で贈る異端児(作者:鯖美)(原作:ブルーアーカイブ)

ブルアカ本編に一ミクロも関わりたくなかったのに、なんでこんなに干渉しないといけなくなるんですかぁぁぁぁ!!


総合評価:440/評価:7.82/連載:12話/更新日時:2026年08月26日(水) 19:00 小説情報

テラの自販機さん(作者:匿名のカタリナ飛行艇)(原作:アークナイツ)

デカグラマトンがテラ世界に来て、スローライフ(?)をする話。▼ケルシー×デカグラマトンとかいう誰得展開▼は?ケルドクだろ?という方はご遠慮ください


総合評価:1679/評価:8.86/連載:5話/更新日時:2026年09月04日(金) 20:53 小説情報

猟犬は透き通る空の夢を見る(作者:ピンカル)(原作:ブルーアーカイブ)

エアを打倒し、星を焼き尽くすコーラルの爆発に巻き込まれたレイヴン。▼ウォルターからの最期の通信を聞き届け、その命は炎の中で散ったはずだった。▼闘争しか知らなかった猟犬は、目覚めた世界でこれから何を成すのだろうか。▼今更ながら、アーマードコア6とブルーアーカイブのクロスオーバー作品です。▼自分が見たいため自給自足しました。▼C4-621がレイヴンの火ルートを終…


総合評価:1502/評価:8.64/連載:32話/更新日時:2026年09月21日(月) 12:00 小説情報

ここだけ命の答えに辿り着いた少年に脳を焼かれたゲヘナ生がいる世界線(作者:伝説の超三毛猫)(原作:ブルーアーカイブ)

タイトルの通りです。▼思いついてしまったので、ここで供養します。▼続きは私より詳しい方にお任せしたいと思います。▼〜あらすじ〜▼その少女は、影時間を駆け抜けた。▼先輩たちの背を見て、仲間達と日常を憩い、機械の少女と人を語らい………そして、ある少年と、絆を紡いだ。▼しかし。彼の旅の終わりを見届けた少女は……悲しみを共有することも、仲間たちの心の中を知ることも許…


総合評価:2292/評価:8.05/短編:19話/更新日時:2026年09月12日(土) 00:52 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>