ルビコンと竜 作:LAMMERGEIER/40F
主人公「フ!!(厄介オタクor殺し屋撃破+クソ強兵器粉砕+レーザー障壁解除)」
彼女(幻聴)「簡単ッッッ!!簡単ッッッ!!!」
優しいおじさん「コーラルまであとちょっと…ってコト?!」
イケボ「無いのか、お前……『背景』がッ」
レイヴンが未踏領域、技研都市に到着してすぐにアーキバスは行動を開始した。
今回派遣されたのはMT十数体と番号付き、名を『V.VI メーテルリンク』。そして……
『……なぜこの私が、こんな恥知らずの蝙蝠男と…』
『心外ですねぇ、ただ沈み逝く船から乗り換えただけのこと。それに蝙蝠とは名に蝠、つまり福を含む。私の故郷では軒先に並ぶ蝙蝠は福を呼び込む象徴の一つなのですよ。正に吉兆!』
『G3 五花海』。ベイラム専属AC部隊レッドガンの元三番手だったが、既に敗色濃厚のベイラムを見限り、彼はアーキバスの側に着いた。言ってしまえば裏切り者だ。
本人はまるで気にしていないようだが。
『同じ幸せを運ぶもの同士仲良くやろうじゃありませんか。メーテルリンク女士?』
『ああ、スネイル閣下……今だけは貴方の采配を恨みます』
五花海の胡散臭い風水話やらセールスやらを右から左に受け流しつつ、辺りを警戒しながら行軍を続ける。目的地はすぐそこ……と言った所で、異変に気付いた。
『……お待ちなさい、そこ。最後尾に配置した者は何処に?』
五花海の指摘に皆が振り返る。
追従するはずのMT部隊が何故か減っていた。まさか逃げたのか、と部隊全員に響めきが走る。
『スネイル閣下、ご指示を……はっ、スネイル閣下曰く今作戦の途中離脱は一切認められないとのこと。一度引き返し、行方不明隊員の捜索を開始する』
そう言ってきた道を引き返す。と、言ってもあるのはミールワームの四散した後ばかりで。それどころか……
『おかしい……何故また人が減っている?』
またしても隊員が消えた。今度は少し目を離した隙にである。
『これは、恐らく何者かからの攻撃を…閣下、ご指示を…!?』
メーテルリンクの言葉が途中で中断される。
背後からの奇襲に意識を取られたためだ。
完全に死角だったというのに反応できたのは彼女が最新鋭強化人間であったからか、ただの偶然か。
『くっ……!?』
それは、全てが赤い生物だった。
甲殻が赤い、爪が赤い、恐らくは思考までも、吐く息すらも赤いだろう。そんな中で唯一青く光る瞳だけがかえって不気味だった。
『え、MT部隊、前へ!私を守りなさい!』
『はっ!!』
咄嗟に声を絞りだせただけ上場と言えるだろう。
それはともかく、指示を受けたMT部隊が攻撃を開始。
『な、この…く、来るな、来るな来るな!うわぁぁぁぁ……』
『ひいいいっ!?』
『た、助けて第六隊長ど……ぎゃああああっ!!』
数と武装で圧倒的な優位を取っているにも関わらず、戦闘力は赤い生物の方が上であった。相手の機動力を前に鈍重なMTは追い付くことすら叶わず、鋭い爪は装甲を引き裂き、コクピットを穿ち、一人ずつ順番にMT部隊員の息の根を止めていく。
しかし、メーテルリンクとてヴェスパーの番号付き。これを指を咥えて見ているだけのはずがない。
『この……害獣め!!!』
奇しくも未来の上司と同じような言葉を発しつつ攻撃を開始。両手に持った
彼女の必勝パターンだ。実際今も敵を追い詰めつつある。しかし、しかしだ。どんな状況にもいずれは慣れ、環境に適応していくのが生物というもの。
『なっ……!?』
壁、天井、それらを利用し
『は、離れろ……!』
機体に、決して無視できないサイズの穴が空く。軽量機故の防御性能の低さが如実に出た損失だ。
このままでは殺られる……彼女一人であったなら。
いざ引き裂かん、と敵が爪を立てようとしたその瞬間、横から飛び込んでくる四足の機体。
五花海だ。
『これはオマケですよ!』
総勢16のミサイルが殺到。
寸で体制を立て直し回避されるが、何発かは命中。
赤い血を吐き散らす。
『ククク、大丈夫ですか?メーテルリンク女士』
『く、こんな奴に……!』
『恨み節は後で聞きますよ、今はあれを始末しなくては。赤……本来であれば吉兆の色、しかし赤は時に火を暗示し金運をも燃やし尽くす不吉の予兆…あぁ忌々しい、早急に始末せねば』
元々
それはともかく、倒すという点には同意したのか二機の照準が一つに重なる。
『合わせなさい、五花海!』
『それが私の役目ですからねぇ、今も昔も』
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『ふ、ふふ……野生の獣ごとき、この私が本気を出せばこんなもの……』
『だいぶ息が切れているようですがね』
くつくつと笑う五花海と息も絶え絶えと言った様子のメーテルリンク。足元にはただでさえ赤い体を更に血でコーティングした例の生物の姿が。
『とはいえ、どうしましょうか。MT部隊は全滅、我々もリペアキットを一つ使用………』
『さっきも言った通り我々の途中離脱は認められない……行きますよ、五花海』
『……ま、何とかなりますか。栄光は依然我々、アーキバスに輝いていますしねぇ……』
かくして二人は進む。片や敬愛する上司と企業の期待に応えるため、片や自身は決して滅びないという根拠の無い慢心から。
闘争心だけならあの恐暴竜に匹敵するあのモンスターです。
装備がえちえちだから好き。メーテルリンク、ガロン装備を着ろ。
あと出てこなかっただけであいつもいます。
古代樹の森で胞子に適応してたように、恐らくはコーラルに適応した状態で。