ルビコンと竜   作:LAMMERGEIER/40F

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一部で大人気なあのお方です



猛き赤獅子の戦い

 

よお、お前新入りだろ?いや言わなくていい、まだなーんも知らねぇって口だろ。

せっかくだから、いくつかここでのルールを教えてやる。

 

必要ないって?まあまあ聞いていけや、損はしないぜ。

入隊時には誰も教えちゃくれない秘密のルールさ。

 

その一、ベイラムを信用するな。だがオヤジの作戦指示には文句言わず従え。

そうすりゃ、少なくとも死にはしねぇ。

 

その二、副総長の『帽子』にイタズラはやめとけ。

先月もそれで三人が二度とステーキを食えなくなった。

 

その三、イグア…G5にケンカ売るのもやめとけ。

あいつ自体ケンカは雑魚だが後で飯抜きと便所掃除が待ってる。

 

他にもいろいろあるが……まぁとにかくここで生き残りたきゃジジイ連中、特に総長の気に障るような真似はしねぇこった。

 

あのジジイ、マジのバケモンだぜ。本当さ。ヒーリングファクターだとか、ミュータントなんか目じゃねえよ。

……信じてねぇな?じゃあ教えてやる。

あれは俺たちがここ(ルビコン)に上陸してすぐの頃だ。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

あん時ゃまだ仮設拠点も立ってなくてな、俺たちは各々のAC、MTん中で過ごすしか無かった。

 

毎晩毎晩寒くてな、だが泣き言漏らすと総長直々にブン殴りに来るから誰も何も言えねえ。

信じられっか?あのジジイ、猛吹雪の中だろうがド深夜だろうが、ボソッとでも弱音聞こえたらコクピットノックしてくんだぜ?しかも、それで大人しくハッチ開けねぇとこじ開けて来るんだよ。

 

話が逸れたな。その日は何か逆に暑かったんだ。雪も降んねぇ、夜になってもクソあちぃ。機体内部なんか文字通り地獄さ、乗ってたら死ぬから全員降りてたんだよ。それでも暑かったが。

そんでオールバニーとかオオサワが風呂入りてぇって言ってよ、パンイチのミシガンに追い回されてた。

 

そいつをゲラゲラ笑って見てたらよ……地響きが起きた。

 

その瞬間全員戦闘態勢さ。

だけどよ……そこに居たのはマジのバケモンだった。

ミシガンの機体名知ってるか?

ライガーテイル……虎と獅子だったかな、そいつらの混種をそう呼ぶんだ。原種がとっくの昔にくたば(絶滅)っちまってんだから、派生であるそれも当然現実にゃいねぇ。

俺は興味が湧いたから調べてただけだ。

 

で、だ。俺らの目の前にいたのは……イメージしたライガーテイルそのまんまだった。違う、ACの方じゃねえ。

牙があって、爪があって、鬣がある。

オマケに立派な角と、翼まで生えててよ。

全員フリーズさ。バカみてぇに暑いのにさ。

 

そいつは牙をこう、ガチッ!と噛み合わせたんだ。

そしたら、辺り一面大爆発。意味がわからなかった。

あれだけでもう何人か死んでたんじゃねぇかな。

 

総長の号令が聞こえて、ようやく俺らは攻撃を開始した。だけど通じねぇんだ。

そりゃそうだよな。見ろよこれ、あん時使った拳銃と同じヤツなんだけどよ、こんなおもちゃ見てぇな銃で20Mくらいありそうなバケモンに太刀打ちできるわけねぇ。

 

そうしてるうちにバケモンも俺らを攻撃してきた。

腕の一振りで何十人もぶっ飛ばされて、強化人間は生きてたけどそれ以外はその瞬間プチッ、さ。

 

それ見た何人かがAC、MTに乗ろうとした。俺もその一人さ。

だがあのバケモン、力だけじゃなくて頭も良かったんだ。

また牙を噛み合わせた。すると、MTのある辺りが大爆発。

ACの方は無事だったが、あんまり暑すぎて弾とか爆薬が誘爆してダメになってたよ。

 

その時誰かが呟いたんだ。

バケモンだ、って。誰も否定できなかった。

 

後ろは火で阻まれて、前には地獄から来たみたいなバケモン。

今ある武器装備じゃ太刀打ちできねえし、一発喰らえばこっちがアウト。

もうお終いだって思った。

 

そしたら、雄叫びが聞こえたんだな。

バケモンのじゃねえ、こっち側から。

見てみたら、総長が気合い入れながら火の中に突っ込んでったんだよ。

唖然呆然さ。んでバケモンも孤立したのを好機と見たのかね。総長を追って火の中に。

数秒沈黙が続いて……また地響きだ。

 

そんで火が一瞬だけ消えて、その先ではライガーテイルがバケモンを抑え込んでたんだよ。

 

あのオヤジ、火の海ん中で自分の機体見つけて、バケモンに睨まれてる中よじ登って起動して、あのバケモンを抑え込んだんだよ。まじでやべーよな。

 

当然大人しくしてるバケモンじゃねえ。また爆発の連続さ。

だけど絶対離さねぇんだ。

自在に爆発を起こすバケモンと、動じないバケモン。

どっちがバケモンかわかんなかったね。

 

そっからはACとバケモンの異種間プロレスが始まった。なんてったって武器ねぇからな。

しばらくそうやって殴り合って……ようやくバケモンの方が観念したのか、どっかに飛んでった。

 

総長はしばらく飛んでった方を睨んで…ACから降りてきた。火で焼けちまってパンイチどころかほぼ丸見えだったけど、何よりかっこよく見えたよ。

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

木星戦争の悪夢、歩く地獄ってのは洒落でも酔狂でもないって改めて思い知らされたね。

 

……何?信じられない?そんな生物いるはずない、だって?

ははは……そうかそうか。実はこの話にはまだ続きがあんだよ。

あのオヤジ、考えがあるとか言ってな。勝手に出撃して例のバケモンとまた対峙しにいったんだわ。

 

結果は言わなくてもわかるだろ?なんてったって、あの破天荒鬼ジジイは今も健在だ。

そして我らがレッドガンはその日、新たな訓練用器材を入手したのさ。

ところでお前……この後対爆発装備に向けた訓練があんだろ?元はそれの忠告に来てたんだ。

生きて帰れることを願ってるよ、二体のバケモンから。

 

改めて入隊おめでとう、そしてレッドガンにようこそ新兵殿!

 





総長
報復を危惧して仕留めに行ったが、中々便利そうなので引き入れた。泣きを入れたらもう一発。

テオ・テスカトル
ある夜レッドガンを襲撃した。が、総長の二度に渡る鉄拳調教でわからされた。隙あらば命を狙ってる。
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