剣に狂った男が人の心を取り戻すのは間違っているだろうか   作:ロマン剣技大好き侍

13 / 14

(時計確認)……間に合った、セーフ!

いつも評価、お気に入り登録、感想ありがとうございます!ここ好き機能とかも見ていると楽しいです!
今後も応援よろしくお願いします!

今回は少しライブ感が強めです。
あと他のキャラ視点はなしで一本になってます。アレってあった方がいいのかしらん?
そういうお試しも込みです!


飛躍

 

 

 

 

 

 

 

『…………ォォオォオオオオオオッッッッ!!!!!!!!』

 

 

 単眼の巨人が階層を揺るがすような咆哮を上げる。

 まるで竜と巨人を合わせたような異形。

 巨躯は言うに及ばず、ただ踏まれるだけでちっぽけな人類は呆気なく命を散らすだろう。

 

 しかし、愛剣のデスペレートを構える金髪金眼の剣士、アイズ・ヴァレンシュタインに臆した様子は見られない。

 女神にも劣らない端正な顔立ちに決意を滲ませて、絶対の殺意を以って階層主を睨みつける。

 既に風の鎧を纏って虎視眈々と隙を窺う。

 

 そんな小虫の不遜な態度が癇に障ったようだ。

 単眼に紅い光が集束する────瞬間、アイズは魔法の補助を受けた爆発的な加速で駆けた。

 元より敏捷が高い前衛タイプのアイズがスキルによって高域強化された魔法を使えば、深層の階層主でさえ僅かな間だけではあっても姿を見失うほどの速度が出せる。

 

 その隙があれば、一撃を入れるくらい容易いことだ。

 

 

風王鉄槌(ストライク・エア)──ッ!!」

 

『オオォオオオオオオ────ッッ!!???』

 

 

 巨人の足元から放たれた圧縮された風の斬撃は、咄嗟に目を庇った腕に直撃して大きく斬撃痕を残した。

 あの腕はしばらく使い物にはならないだろう。

 悲鳴を上げて背中を仰け反らせて、あらぬ方向に単眼から紅色の閃光が発射されると、頑丈なはずのダンジョンの天井をあっさりと貫通してしまった。

 まともに喰らえば命はないが、そんなことはアイズも織り込み済みだったし、いざという時には頼りになる男が控えている。

 

 そう、現在ジンは、アイズと共に49階層に来ていた。

 普段からしている鍛錬の延長ではなく、階層主(バロール)と戦いたいというアイズたっての希望である。

 ざっくりだが、経緯はこんな感じだ。

 

 

 

 

 

 昨日の朝の食堂での出来事だった。

 いつものようにジン、アイズ、ヒリュテ姉妹、レフィーヤ。少し離れたところにはベートがいる。

 黙々と食べていたアイズが、前触れもなく告げた言葉が発端となった。

 

 

「……ランクアップしたい」

「悪くない時期かもな」

「一人でバロール倒したら足りる、かな?」

「さあな、やってみないと分からん」

「分かった。()ってみる」

「そうか。頑張れ」

「うん、ありがとう。頑張ってジンに追いつくね……!」

「期待してる」

「……えへへ」

 

 

 バロール単独討伐(そういうこと)に決まったらしい。

 相変わらず決断が早かった。

 私の英雄(アイズにとってのジン)に出逢ったことで、アイズの覚悟はガンギマリだった。

 最早ジンの隣で戦うために迷う理由は皆無である。

 

 しかも、波長が合うのか思考と会話にロスが存在しない。

 二人して無茶を無茶だと思わないストイックさも似ているため、滅多に意見の対立は起こらない。

 その結果として、あっという間に狂気の沙汰が実行されることが決定されてしまった。

 

 穏やかな食堂は、一瞬にして阿鼻叫喚の声に包まれた。

 

 

「ジンもアイズも待ってぇー!誰かロキとフィンとリヴェリア呼んできて!早く呼んでっ!!」

「アイズさんがご乱心っス!みんな、アイズさんがご乱心っスよぉ〜!」

「バロール単独討伐だと!?おいこらアイズてめェずりぃぞ!俺と代わりやがれ!」

「ややこしくなるから黙ってろ、犬っころッ!!」

「頭撫でられて嬉しそうなアイズさん可愛いジンさん羨ましいけど私もランクアップしないとついていけないしもっと強くならないとああっアイズさん顔赤くなってる可愛いジンさんも優しい顔してるし並行詠唱使えるようになればゴライアスくらい単独討伐できるかもしれないコツはアイズさんかわいいリヴェリア様に教えてもらったからあとは私の努力次第アイズさんかわいい今あの手で撫でてもらえば実質私はお二人の──────」

 

 

 即座にティオナが応援を呼び、ラウルが便乗して、ベートが対抗して、ティオネが犬っころを殴り、脳が破壊&再生したレフィーヤはジンとアイズを見ながら高速詠唱(オタク特有の早口)

 執務中に呼び出された二人と一柱は、あまりの惨状に酷く疲れたような顔で嘆息した。

 

 結局どうなったかと言うと。

 

 

「単独での挑戦は許可する。だが、有事の際に備えてジンが側に控えていることが条件だ」

「了解した。危なければ助ける」

「そうしてくれ。アイズもそれでいいね?異議は認めない。無理だと思ったら今回は諦めるんだ」

「……了解、です。無理はしない」

 

 

 素直に頷く問題児二人を見て、フィンは既に無茶苦茶しようとしてるだろと言いたげに顔を顰めた。

 ちなみに、偉そうに講釈垂れている当人(フィン)も単独でウダイオスを討伐することでLv.7にランクアップしているため、全く他人のことを言う資格がないことは置いておく。

 

 しかし、この後に触発された数名(リヴェリア、ガレス、ベート)が私も儂も俺もと声を上げたことで騒動が勃発。

 帰還後に執務を多めに請け負うということでリヴェリアは許可が出て、ガレスはダンジョンに潜ってから帰ってくるまでと同じ期間だけ禁酒するなら許可すると言われて断念し、怪物祭(モンスター・フィリア)に出現した新種のモンスターについてロキと調査する予定だったベートは代役としてラウルと猫人(キャットピープル)のアナキティを連れて行くように提案することで許可をもぎ取った。

 割り当てとしては、アイズが49階層のバロール、ベートが37階層のウダイオス、リヴェリアが27階層のアンフィス・バエナに決まった。

 

 そんなに都合良く階層主の周期が合うのか疑問に思ったが雰囲気的に言い出せなかったロキは悪くない。

 最初は四名に加えてフィン、ヒリュテ姉妹、レフィーヤの合計八名でダンジョンに潜ろうとしたが、ジンとアイズの二人は時間がないからと縦穴を飛び降りて下層を抜けて深層まで直行。

 残った五名は途中18階層のリヴィラの街で、ガネーシャ・ファミリアの『剛拳闘士』ハシャーナ・ドルリアの遺体が見つかったことで殺人事件に巻き込まれたが、難なく解決してリヴェリアとベート以外は地上に帰還。

 27階層ではアンフィス・バエナとは遭遇できず、リヴェリアは諦めてベートに監督役を引き受ける代わりに仕事を少し手伝ってもらうように交渉する羽目になった。

 

 一方その頃ジン&アイズは、直接地面を砕いて縦穴を作ることで半日ほどで39階層まで到達。

 翌日になって雑魚モンスターは全てジンが処理をする形でアイズの体力と精神力を温存。

 それから二、三時間で49階層に到着した。

 

 なお、ベートは魔法を使わないという縛りを自分に設けた状態で、装備と魔剣にも頼らずにスキルと己の身体能力と戦闘技巧のみでウダイオスの単独討伐を達成した。

 更に帰り道でアンフィス・バエナと奇跡的に遭遇できたリヴェリアは、魔法を拡散させる紅霧の吐息に苦戦を強いられながらも、エルフの王族としての誇りに背かず全力を超えた魔法によって紅霧諸共に全長20Mの巨躯を氷漬けにして単独討伐を達成した。

 

 

 

 

 

 そして、場面は冒頭に戻る。

 

 隙を大きくしたバロールに対してアイズは攻め時だと前傾になり掛けたが、咄嗟に背後へと飛び退けば上から無数の瓦礫が降ってきていた。

 バロールの光線によって破壊されたダンジョンの天井部分だろうと、推測しながらも残骸を軽やかに躱していく。

 だが、その間にバロールも動揺から立ち直っていた。

 

 

『オォオオオオオオオオオオオォォッッッッ!!!!!!!!』

 

 

 小虫だと思ってた存在は、己の命を脅かす敵だった。

 右腕に刻まれた斬撃痕は大きく、筋肉を寸断して骨の半ばまで断たれているためか力が入らない。

 バロールは油断の対価として手痛い傷を負った。

 憤怒に身を焦がしながら単眼を血走らせると、咆哮(ハウル)による衝撃がアイズを襲う。

 更に咆哮に引き寄せられたフォモールたちが押し寄せてくるが、それは変わらずジンが裏で淡々と処理していく。

 

 咆哮(ハウル)を躱しながら縦横無尽に49階層を駆け回るアイズは、時折落石に身を隠してフェイントを重ねながら、少しずつ接近しようと試みる。

 しかし、深層第二の階層主は伊達ではない。

 無傷の左腕を使って瓦礫の投擲、単眼からの光線も織り交ぜてくると徐々に対応し切れなくなっていく。

 特に光線は【エアリエル】による風の鎧を物ともせずにアイズの美しい白い肌を焼き、咆哮(ハウル)も躱すのがギリギリだと肌に痛々しい擦過傷ができる。

 しばらく一方的に攻撃される苦しい展開が続いた。

 

 本来ならば魔法の維持によって精神力(マインド)が心許なくなっていくのだろうが、この戦場にはジンがいた。

 アイズのスキル【微風(ゼファー)】はジンの側で戦う限り体力(スタミナ)精神力(マインド)自動回復(オートヒール)効果がある。

 ジンがフォモール相手に戦っているため、条件を満たして魔法威力の高域強化も発動している。

 何よりもアイズが苦戦を強いられている状況でも、バロールとの戦いを任せてくれている事実に戦意が湧き立つのを感じた。

 ジンに信じて託して欲しいアイズ、アイズを信じて任せるジン。

 心を通わせることによって、時間を掛けるほどに際限なくスキルの出力が跳ね上がっていく。

 

 遠征以来、風の圧縮や制御に力を入れていた成果が出る。

 スキルの効果が向上することで【エアリエル】の威力も目に見えて増していくが、それをアイズは完璧に制御し続けていた。

 先程までは躱しきれなかった攻撃を余裕を持って躱せるようになれば、一気に距離を詰めて攻勢に出る。

 バロールも近づけまいと咆哮(ハウル)や光線を放つ間隔を短くすることで対応しようとするが、代償として威力が低下していた。

 直撃でなければ無視できる程度になっているのを確認して、アイズは矢のように一直線にバロールに向かって駆ける。

 

 

『オォオオオオオオオオッッ!!!?』

 

 

 急に強くなった敵に困惑しながら、バロールも手を休めない。

 接近してきたのを良いことに動かせる左手と無理矢理に右手も使って地面を捲り上げて、そのままアイズを押し潰そうとしてくる。

 アイズは距離的にも避けられる規模ではないと察して、不意に視線を感じて背後を振り返った。

 

 

──勝て、アイズ

 

 

 気の所為か、フォモールの群れと戦うジンと視線があった。

 いや、違う。気の所為なんかではない。

 遠くて声は聞こえないが、ジンが何か言葉を発したことをアイズは見逃さない。

 何よりもその蒼色の瞳は、アイズの勝利を全く疑っていなかった。

 

 ────魔力が爆発的に高まる。

 

 あの()の下敷きになれば、アイズの命はないだろう。

 到底躱すことができない以上は迎撃するしかないが、ほんの少し不安があったのも事実。

 しかし、そんなものは暴風に巻かれて吹き飛んだ。

 今この瞬間のアイズの胸のうちを占める感情は、ありとあらゆる喜びの感情と上限知らずに膨れ上がる恋慕の感情のみだった。

 

 最早ここに至り、アイズは後先を考えることを止めた。

 全身全霊を以ってバロールを撃ち破る。

 もし精神疲弊(マインドダウン)でアイズが倒れようとも、ジンならば必ずアイズを守ってくれる。

 

 だって、そうだろう。

 (ジン)(アイズ)が求めた英雄なのだから。

 

 

「【起動(テンペスト)】────【復讐姫(アヴェンジャー)】」

 

 

 詠唱の直後、身に纏う風の全てが()()()()()()()

 瞬間的に膨れ上がった風がアイズの制御下から外れようとするが、卓越した制御力で統制する。

 この時の【復讐姫(アヴェンジャー)】は怪物種への攻撃力高域強化と竜種への攻撃力超域強化の両方が発動している状態だった。

 バロールの外見に竜の要素があるのが原因であり、完全な竜種ではないからこそ最大出力ではなかったが、それに次ぐほどの効果を発揮していた。

 

 アイズの心がモンスターへの憎悪、黒竜への憎悪、両親を奪った世界への憎悪によって満たされようとする。

 全てを焼き尽くし、破壊尽くし、その末にアイズさえも破滅させようとする復讐の炎。

 かつては愛する両親を取り戻せるならそれでも良いと思ったが、この九年間でアイズは欲張りになってしまった。

 両親はもちろん、リヴェリア、ロキ、ティオナ、ティオネ、ベート、フィン、ガレス、レフィーヤ、ラウル、ロキ・ファミリアのみんなとずっと一緒にいたい。

 

 そして、アイズが見つけた私の英雄(ジン)

 将来的には、父と母のような関係になりたいと思っている。

 そう、思えるようになった。

 

 全てを漆黒に染め上げようとする憎悪の炎を、遥かに凌駕する複数の感情によって押し留める。

 両親とリヴェリアへの愛情、仲間(ファミリア)への友情、英雄(ジン)への慕情、全ての愛に繋がる感情が破滅に向かうアイズの心を繋ぎ止めて、漆黒をそのままに黄金に塗り替えていく。

 破壊の象徴のような漆黒の感情だが、実を言うとアイズは嫌いではない。

 アイズは黒色も好きだ。だって好きな人(ジン)の色だから。いつのまにか好きになっていた。

 

 漆黒の風に()()()()()()()()()()()

 まるで寄り添うような金は、暴れ狂おうとする黒を優しく導いて調和させる。

 これこそがアイズの理想。

 英雄に守られるだけでなく、隣に立って戦う。

 古代の精霊たちがそうしたように、尊敬する母がそうしたように。

 風はアイズの心を映す鏡のようだった。

 

 迫る数十Mの壁を前に、アイズは瞬時に風を集束する。

 黒と金の風が刀身に整然と束ねられていき、余りの圧力に空気が罅割れるそうなほどに震えた。

 

 

風王(ストライク)────!!」

 

 

 風の斬撃を放とうという瞬間、分厚い壁の如き捲れ上がった地面を裂いて、紅色の殺意が迫る。

 だが、アイズも光線を撃つ際の魔力の高まりを察知していた。

 この壁がただの目眩しであり、本命が紅色の閃光であることには気が付いていた。

 天井を容易く貫いた絶死の光を前にして、アイズは思った。

 

 ────()()()()()()()()()()

 

 

「────鉄槌(エア)ッッ!!!!!」

 

 

 (ジン)(アイズ)が重なり合って飛翔する。

 一瞬の拮抗の後に、紅を砕いて壁を貫き、竜と巨人を合わせたような怪物の首から上を消し飛ばした。

 

 しかし、それでも死なない。

 

 不死身の怪物だとでも言うのか。

 頭部を失っても、なおバロールはまだ動こうとする。

 右腕の傷も最早気にならないのか、アイズに目掛けて両の拳を雨のように降らせる。

 残り僅かな命を使い切ってでも殺すという、明確なまでの殺意の発露だった。

 

 けれど、目が無くなったからこそ気付かなかった。

 バロールの直上、天井に足をめり込ませたアイズが完全に制御下に置いた風を吹き荒らせる。

 夢中になって地面を叩いていたバロールも、魔力の高まりを感じて緩慢な動作で天井を見上げるような仕草を取った。

 隙を生じぬ二段構え、禁断の必殺技二連発には、アイズの絶対の殺意が込められていた。

 

 アイズの一つ目の必殺技。

 天井が吹き荒れる風の圧力によって砕け散る。

 弓弦を弾き絞るように全身を撓ませて、全身の筋骨が軋むのも構わずに力を溜めて、溜めて、溜めて。

 全てを貫く最強の矛にして、黒竜を殺すために編み出した技が放たれた。

 ロキによって名付けられた、その技の名前は────。

 

 

 

 

 

「リル・ラファーガッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 黒金色の流星が地上に降る。

 軌道上にあった障害を僅かな抵抗も許さず打ち砕いて、49階層の全てを激しく揺らした。

 今度は腕による防御も意味を成さない。

 魔石諸共に縦から真っ二つに貫き割られたバロールの巨躯は、間も無く灰に還っていった。

 

 灰の山が風で吹き散らされる。

 黒と金が次第に薄まり、何事もなかったかのように消える。

 いつも通りの風を弱々しく纏ったアイズが、ふらふらと覚束ない足取りでフォモールを殲滅し終えたジンの元に歩いてくる。

 

 そして、あと一歩というところで立ち止まった。

 アイズは全身ボロボロだった。

 傷がないところを探す方が難しいほどで、擦過傷や火傷痕など見るだけで痛々しい。

 髪も鎧も自分の血で汚れており、至るところが無惨にも凹んでしまっている。

 満身創痍という言葉が相応しい状態。

 今すぐにでも倒れてしまいそうな疲労感があるだろう。

 

 けれど、アイズは花が咲いたように微笑んだ。

 美の女神でさえも嫉妬して羨んでから、つい見惚れてしまうような歓喜と幸福に満ちた笑顔。

 

 

「ただいま。勝ったよ、ジン」

 

 

 アイズは満面の笑みで告げて、糸が切れたようにジンに向かって倒れ込んだ。

 傷だらけの体に負担が掛からないように優しく抱き留めて、ジンも先の戦闘を脳裏に思い描く。

 

 序盤の立ち上がりで仕留めきれなかったのは詰めが甘かった。

 中盤ではよく凌いでいたが、立ち回り自体は平凡で防戦一方になっていたのは良くない。

 終盤は攻勢に出たことは悪くないけれど、突っ込みすぎて危うく窮地に陥るところを力づくで切り抜けたような印象だ。

 魔法やスキルに頼る部分が多く、展開に頼った場面も少なくなかった。

 指摘する点、改善できる部分はある。

 総じて良くも悪くもないという戦いではあったかもしれないが、安心し切った顔で微笑みながら眠っているアイズに思わず、ジンも声を上げて笑ってしまった。

 

 

「おかえり。勝ったな、アイズ」

 

 

 優しく抱き上げてから、起こさないように背負う。

 まずは灰の山から魔石とドロップアイテムを回収して、強化種を出さないためにも殲滅したフォモールの魔石も拾い集める必要がある。

 本来ならば安全階層(セーフティポイント)の50階層にアイズを置いてくるべきだが、以前の遠征であんなイレギュラーが起きた以上はそういうわけにもいかないだろう。

 

 そういうわけで一時間ほど掛けて魔石を回収し終えたあと、50階層でテントを張って休んだ。

 翌日にはバロールとの戦闘について賞賛してから、口下手なジンとアイズなりに反省点や改善点などの討論を交わす。

 討論会が終われば、アイズの戦いに触発されたジンが単独で竜の壺に突撃していき、道中で散々に砲竜(ヴァルガング・ドラゴン)飛竜(イル・ワイバーン)にだる絡みされながらも、まさかの59階層まで踏破してしまった挙句なんか巨大な植物みたいな喋るモンスターが放つ極大魔法を全く意に介さず本体諸共に斬り殺して普通に帰ってきた。

 

 ジンが単独で現在のオラリオに於ける到達階層を更新している間、アイズも49階層でフォモールの群れを蹂躙したり、51階層で強竜(カドモス)を相手に指摘された改善点を早速修正していた。

 ぶっちゃけ集団戦のフォモールだと全く意味がなかったが、強竜(カドモス)は悪くない試金石になったらしい。

 狂戦士たちの標的になったモンスターの冥福を祈る。

 

 たった半日で50階層から59階層をマラソンしたジンは、そのままの足でアイズと共に39階層まで移動する。

 毎朝の日課として闘技場(コロシアム)で準備運動を済ませると、予定していた日付まで余裕があるということで、今度はアイズも連れて鍛錬のために39階層から59階層までを何度も往復してモンスターを斬殺して回った。

 十日目になってようやく小遠征は終了して、帰り道でも縦穴を利用して跳ぶように上層まで登っていき、僅か半日で地上に帰還した。

 途中で精神疲労(マインドダウン)を起こした倒れていた白兎を拾って送り届けたのは些細なことだろう。

 

 帰還後、ステイタスを更新したアイズは晴れてLv.7にランクアップを果たした。

 更に先に帰還していたリヴェリアもLv.7に到達し、ベートも功績は溜まったが一旦保留して、もう少し熟練度を上げてからランクアップすることになる。

 ジンは59階層に単独到達したことを話してフィンに白目を剥かせたが、ランクアップには全く足りない。

 次の神会(デナトゥス)が愉しみだと、ロキが高笑いをしながら虚ろな目でお腹を押さえていたのが印象的だった。

 

 

 

 

 

 アイズ・ヴァレンシュタイン

 

 Lv.6 → Lv.6 → Lv.7

 

 力 :F322 → D559 → I0

 耐久:H179 → E482 → I0

 器用:B783 → SSS1500 → I0

 敏捷:E412 → A867 → I0

 魔力:D598 → S999 → I0

 

 狩人:E

 耐異常:G

 剣士:D → C

 覇断:H → F

 精癒:I → G

 連攻:I

 

《魔法》

【エアリエル】

 ・付与魔法

 ・風属性

 ・詠唱式【目覚めよ(テンペスト)

 

《スキル》

復讐姫(アヴェンジャー)

 ・任意発動

 ・怪物種に対して攻撃力高域強化

 ・竜族に対し攻撃力超域強化

 ・憎悪、または愛情の丈により効果向上

恋姫夢想(プリンセス)

 ・追従する

 ・対象が成長する限り効果持続

 ・懸想の丈により効果上昇

微風(ゼファー)

 ・条件付き任意発動

 ・ジンに『風』を一時的に与える

 ・ジンと同じ戦場に立つことで魔法威力高域強化

 ・ジンの側で戦うと体力と精神力の自動回復

 ・心を通わせるほど効果向上

 

 

 

 

 

 

 





【悲報】ハシャーナ氏、ナレ死【原作通り】

前話で生存フラグを立てたのに死んでしまったハシャーナ氏。
ジンと関わりがないからね、残当。

そして、祝!アイズたんLv.7ですっ!
あとリヴェリアとベートも、三人連続で階層主単独討伐してランクアップとか頭おかしい。
ついでに、ジンもロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアを差し置いて単独到達階層が現在のオラリオに於ける到達階層を更新してしまったという珍事を起こした。
なんか次の章ボス轢き殺した気がしますが、多分気の所為です。そうですよね?

最後にリヴェリアとベートのステイタスも載せようと思ってましたが、助長になるのとリヴェリアは一部以外は原作と変わらないのですし。
ベートは別人レベルで違いますけど、どちらも別の機会に出そうと思います。
今回はアイズたんが主役だったので。

長くなりましたが、今回はこんな感じでした。
また見てくれよな!(高評価&お気に入り登録&感想お待ちしています!)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。