高育が如く   作:レゾリューション

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明けましておめでとうございます。そして更新遅れ申し訳ないです。正月休みを楽しみすぎて書くのを後回しにしていました...


Cクラスの王

佐倉が全てを話してくれた事でこちらにも対抗する手段はできたが桐生は余り喜べなかった。

 

“佐倉が話してくれたのはありがたいが目撃者がDクラスとなると少し厳しいな...”

 

訴えられているのはDクラスで目撃者も同じDクラス。つまり同じクラスだと偏見や利害関係があると見なされることがあり証言の信頼性が疑われる可能性があるのだ。

 

六時限目が終了し、今は帰りのSHR、遂に審議当日となった。

いつもの騒がしい空気は教室には流れておらず、緊迫した空気が流れていた。

 

「さて、お前たち...特に須藤にとっては運命の日になったがどうだ、準備は万全か?」

 

堀北に静かに問い掛ける茶柱先生。クラスメイトたちも彼女に視線を送る。

 

「無論です。ベストを尽くします」

 

審議には堀北、須藤、綾小路が行く事になり、桐生は結果を待つ事にした。綾小路は桐生に審議に参加してもらうよう頼んだが桐生は話し合いは得意じゃないと断り結局綾小路が行く事になった。

 

 

 

一時間ぐらい経った所で桐生は結果を聞きに行く為に審議が行われた部屋に向かうと堀北達が部屋から出てきた。更に生徒会の2人、堀北学と橘茜も一緒だった。

 

“学校の問題は生徒会が審議を下すのか...”

 

そう思いながら、桐生は堀北に結果を聞いてみる。やはりCクラスの方が優勢だったらしく自らが目撃者である事や写真を提供した佐倉だったがCクラスの坂上と言う教師がDクラスの目撃者は信用に欠けるといったそうだ。それに加えて喧嘩騒動を現す一枚の写真に関しても、時間をいつでも操作出来ると言って証拠として認めなかったそうだ。

更に堀北が喧嘩で1対3の状況で一方的に負けるのは不自然だと言うと、Dクラスにも一対多の状況でありながら上級生を叩きのめした生徒はいると言って須藤も同じじゃないかと言われたそうだ。そして坂上は妥協案として須藤は2週間の停学、Cクラスの生徒3人を1週間の停学と言う提案を出したが、堀北はCクラスの案を一蹴。

堀北は須藤の普段の行いを反省するべきと認めつつも、今回の一件はCクラス側が意図的に仕組んだ事件と言い切り、須藤の完全無罪を主張した。審議を担当する生徒会は1日の延長を決定。翌日の午後4時にもう一度審議の席を設けると事にした。

 

結果を聞いた桐生は学の所に向かい質問する。

 

「もし無実を証明することが出来る証拠がない場合どうなるんだ?」

 

「出そろっている証拠で判断を下す他ないな」

 

「そうか...分かった、また質問する事があれば連絡する」

 

そう言って学の元を離れ桐生は堀北達と一緒に帰った。そのとき横から凄まじい視線を感じた気がしたが気にせずそのまま自分の部屋に帰った。

風呂に入り後は寝るだけとなったとき、夜の静寂を破るように、スマートフォンが震えた。画面には「非通知」の文字が浮かび上がる。誰からの電話なのか分からないその表示に、心臓が一瞬だけ早鐘を打つ

 

“誰からだ?...”

 

出るから出ないかで迷ったが好奇心が勝り、通話ボタンを押す。耳に当てた瞬間、静かな呼吸音が聞こえる。相手は何も言わない。痺れを切らし、声をかける

 

「もしもし?」

 

「桐生一葉だな」

 

「どうやってこの連絡先を手に入れた?」

 

「ある者から教えてもらった」

 

「なんのようだ?」

 

「明日、午後4時30分に一人でBAR バッカスに行け。」

 

「どう言う意d...」

 

そう言って電話を切られた。

 

沈黙が部屋を支配する。

 

“アイツは誰なんだ?...”

 

抱いた疑問が解決する事なく桐生は眠りについた。次の日綾小路達に何か策があるのか聞いてみると一つだけあるそうだ。計画を聞くと須藤が学校内で暴力を振るった事に変わりなく敗北は免れない、なら事件そのものを無かった事にすれば良いというものだ。そのためにBクラスの一之瀬と協力し、事件が起こった場所に偽の監視カメラを設置しアイツにはったりをするそうだ。

 

“証拠が不十分と言われた以上、事件を解決するにはそうするしかないな...”

 

午後の授業が終わり計画を実行する。偽の監視カメラを仕掛けアイツらが来るのを待つ。程なくしてアイツらがやって来た。

 

「どういうことだ。なんでお前らがいやがる」

 

「櫛田はここに来ないぞ、あれは嘘だ。オレが彼女に頼んで無理やりメールをさせた」

 

「ふざけやがって。何の真似だ、あ?」

 

「こうでもしないとお前らは無視するだろ?話し合いがしたかったんだ」

 

石崎が露骨に不機嫌そうな顔を見せながら距離を詰めるが桐生と綾小路は特に動じることもなく石崎達を見る。

 

「何が話し合いだ。俺たちは須藤に呼び出されて殴られた。それが答えだ。それ相応の報いを大人しく受けろ」

 

「そんな議論をするつもりは無い。それは時間の無駄だ。」

 

「だったらなんだよ。今から俺達を拉致って会議に不参加でもさせるか?あるいは大勢で囲んで暴力で脅してみるか?須藤の時みたいによう」

 

「そうだな、別にお前ら3人を相手にするのは簡単なことだ。けど今はやめておこう。何せここは学校内...だからな」

 

「ハッ!何がやめておこうだよ。オレ達に相手するのが怖いからなんじゃねぇのか?」

 

「はいはい、石崎君も桐生さんも一旦ストーップ」

 

現れるタイミングをまだかと、ずっとスタンバッていた一之瀬が、この場に現れCクラス共は一之瀬の登場に驚いていた。

 

「君たちCクラスとは何度か色々とあったからね。ここはDクラスに肩入れさせてもらうよ」

 

一之瀬曰くCDクラスが揉める前にBクラスもCクラスの連中にちょっかいをかけられた事があるらしい。

 

「俺達は嘘なんて言ってねぇ。被害者なんだよ俺らは。ここに呼び出されて須藤に殴られた。それが事実だ」

 

「えーい、悪党は最後までしぶといっ。そろそろ年貢の納め時だよ!」

 

一之瀬は右手をばっと広げて、高らかに宣言する。3人の質問をのらりくらりと躱して、石崎が証拠を見せろと言った所で一之瀬は話しながら指をある所に向ける。

 

「桐生さんがここで喧嘩しない理由があれでわかるんじゃないかな?」

 

指を指したところにあるものを見て3人は驚く。それもそうだ。ここに存在する筈がないものがそこにあるのだから。3人の目にうつった物それは、特別棟の廊下を監視しているカメラだった。そう監視カメラである。

 

「な、なんでカメラなんか!?ウソだろ!?だって、他の廊下にはカメラなんてなかったよな!?ここだけ設置されてるなんておかしな話だろうが。なあ!」

 

「そ、そんな馬鹿な....そんな、俺たちはあの時確認した....はず....」

 

“明らかな動揺。そして「確認した」なんて言葉が出るって事はやはりCクラス共が仕掛けたと言う事か”

 

「ここは3階だけど、チェックしたのは本当に3階だった?もしかして2階や4階じゃなかった?事実ここにもカメラは設置されているんだよ?」

 

更に話を進める一之瀬。

 

「この階には理科室あるんだよ。一つここで簡単な質問をするね。理科室では実験を行うよね?部屋の中には危険な薬品や貴重な物などが置かれています。学校側は盗難に合わないようにあることをするよ。それは何だと思う?」

 

「防犯カメラの設置...」

 

「正解だよ。これで分かったかな?」

 

「ちょっとまてよ...」

 

これほど立場が逆転しても石崎は否定し続けて監視カメラがあるなら俺達に教えなくても話し合いで分かったはずと反論した。

 

「この事件は起こった時点で、双方が痛みを負う事が決まっている。どちらが先に仕掛けたにしても、結局は罰を受けるんだ。事情がどうあれ須藤はお前たち3人を殴った事に変わりはしない。しかしそれはオマエらにも言えることだ」

 

淡々と表情変えず話す綾小路に対してみるみる顔が青ざめていく3人達

 

「まっ、待ってくれ!せめて電話を一本させてくれ!」

 

電話を掛けようとしたが桐生がそれをやめさせる。

 

「今この場でお前が決めろ。訴えを取り下げるのかそれとも話し合うのかどちらか好きなのを選べ」

 

二つに一つの選択にバスケ部の2人は、石崎に懇願する。

 

「い、石崎...一之瀬の提案を受け入れよう!」

 

「ま、待てよ。あの人に確認しねえとやべえだろっ」

 

「もう俺たちの負けだって!退学は嫌だろ!頼むよ、石崎!」

 

「分かった...訴えを取り下げる...」

 

 

 

 

 

石崎達が訴えを取り下げて少し経った後、Cクラスの全員がbarで飲み物を飲んでいた。いや、少し違った。石崎とバスケ部の2人は、ある男の前に地べたに座らされていた。barの照明は薄暗く、音楽は静かに流れていた。カウンターには色とりどりのノンアルカクテルやジュース瓶が並び、他のクラスメートたちはそれを飲んでいた。しかし、石崎たちの周りだけは異様な緊張感が漂っていた。

その男は、鋭い目つきで石崎たちを見下ろしていた。彼の存在感は圧倒的で、まるで部屋全体を支配しているかのようだった。石崎達は冷や汗をかきながら、何とか状況を打開しようと必死に考えていたが、言葉が出てこなかった。バスケ部の2人も同様に、緊張で顔が青ざめていた。

barの中は涼しく、他のクラスメートたちはその涼しさを楽しんでいた。しかし、石崎たちの心には冷たい恐怖が広がっていた。訴えを勝手に取り下げたからだ。それ相応の罰を与え少し経った後バーの扉が開かれた。

 

 

 

 

石崎が訴えを取り下げ暴力事件が解決し、約束の時間が迫った桐生はbar バッカスに行った。扉を開けると大勢のクラスの人がおり桐生に視線が向かった。視線を気にせず室内に入りある男に近づく。

 

“クラスが変われば体制も変わるな”

 

「来てくれて光栄だ。お前みたいな奴が俺たちの呼びかけに応じるとはな」

 

「お前が私を呼んだのか?非通知で呼びつけるなんて、随分と怪しい誘いだな。それでお前は誰だ」

 

「俺は龍園翔 Cクラスの王だ。」

 

桐生は龍園の王という発言からこう考えていた。

 

“Bクラスが協調性のあるクラスに対しCクラスは暴力で支配するタイプか”

 

「それでCクラスの王が私になんのようだ?」

 

「ククッ、そう急かすな。お前の噂をよく耳にするぜ。女でありながら、並外れた強さを持つってな。それが本当かどうか、試してみたくてな。」

 

そして龍園は周りの連中に向かって、

 

「今日はこれで解散だ。ただし石崎、小宮、近藤、伊吹、アルベルトは残れ」

 

名前を呼ばれた人以外がバーから出て行き7人だけになった。

 

「さて、石崎達も外にでろ。もし俺から連絡が来たらまた中に入れ」

 

「ハァ?なんでそんな面倒くさいことやらせるのよ」

 

呼び止められた連中の中で唯一の女生徒の伊吹が異をとなえる。しかし龍園は冷たく言い放つ

 

「俺に二度言わせる気か?」

 

その一言で伊吹は不服の顔をしながらも他の連中同様席を外した。

 

「これで本当に2人になったわけだ。何か飲むか、奢るぜ?」

 

「この状況でそんな気持ちが湧くとでも思っているのか?」

 

「ククッそんな怒るなよ。なぁ《東城の龍》よ」

 

龍園が口にした言葉、それはかつて桐生が東城会に所属していたときにつけられた異名。自身の名前に《りゅう》が入っていること、東城会に関わりのある絵師が、認めた者にしか描かない龍の絵を持っていることからだった。そして、喧嘩で男にも負けないその伝説的な強さは、まさに龍が如くと呼ぶにふさわしいものだった。

 

桐生の異名を知っているということは龍園も東城会あるいは関西を支配する、近江連合に所属していた者かもしれないと考えを巡らせていたがそれは龍園の口から否定された。

 

「悪いが俺は東城会にも近江連合にも属していないぜ。桐生、テメェでも知ってるはすだ。東城会でも下手に攻めることができない場所をよ」

 

「そうだな」

 

ヤクザも恐れる東城会といっても関東の全てを不良組織を征服した訳ではない。東城会に反発し、争った所も数少ないが存在していた、龍園もその一人だろう。

 

「さて、本題に入るぜ。桐生俺らのクラスにこねぇか?」

 

「なに...?」

 

「俺らのクラスに来たらそれなりのポジションにいさせてやるぜ?」

 

   •話にのる

   •断る←

 

「断るに決まっているだろ。私は自分のクラスを裏切るような事はしない」

 

「だろうな、お前のクソ真っ直ぐな性格ならそう言うと思ったぜ」

 

「話はそれだけか?」

 

「言っただろ。お前の実力を試すってな」

 

携帯で龍園が連絡すると取り巻きの奴らがゾロゾロとやってきた。

 

「まずは、石崎、小宮、近藤お前らが相手しろ。勝ったらあの件は帳消しにしてやる」

 

龍園がそう言うと石崎達が前に出た。

 

“避ける事はできないようだな...”

 

 

《高度育成高等学校 1年Cクラス 石崎大地 近藤玲音 小宮叶吾》

 

 

先に仕掛けてきたのはCクラスの方だった。小宮が右ストレートを繰り出すが、桐生はそれが余り喧嘩慣れしていないものだと判断しわずかに体を横にずらし、相手のパンチを余裕で躱し同時に、

 

「ハッ!」

 

桐生が放ったカウンターの右拳が的確に彼の顔をとらえた。

 

「がはっ...!」

 

鋭い一撃が顔に決まり小宮は後ろへ吹き飛び、床に崩れ落ちる。その瞬間、残りの二人が同時に動き出した。石崎は正面から正拳突き、近藤は後ろからの攻撃を狙っていた、桐生は視線を前後に集中させる。石崎の拳を右手で弾くように受け流し左拳で鳩尾に叩き込む。拳がめり込む音が響き、石崎は呻き声を上げて膝をつく。近づいてきた近藤には、

 

「オラッ!」

 

後ろ蹴りの要領で左膝を逆方向に曲げる勢いで蹴り、体制が崩れたタイミングで顔面に肘鉄をいれる。

 

「グゥッ…!」

 

膝と顔面に攻撃をもろにくらった近藤は背中から倒れ膝を抑えていた。

 

その隙に正面で膝をついていた石崎に左脚による蹴りを繰り出し顔面にクリーンヒットさせ、彼を簡単に蹴り飛ばした。

 

「セイッヤッ!」

 

「グハァ!」

 

石崎をそのままノックアウト。残りは近藤1人となった。近藤はなんとか体を起こし桐生相手に果敢に攻めようとするが桐生に頭を正面から掴まれ、更に足をかけられてしまいそのまま後頭部から床に叩きつけられた。

 

「ウガァッ!」

 

床に倒れている3人を見て龍園は指示する

 

「あいつらじゃ相手にならなねぇか、次だ。伊吹、アルベルト」

 

 

《高度育成高等学校 一年Cクラス 伊吹澪 山田アルベルト》

 

 

2人の名を呼び桐生の前に現れる。最初に攻撃をしたのは伊吹だった。桐生は伊吹達の戦闘スタイルを観察する為に様子見する事にしたがアルベルトがそれを許してはくれなかった。日本人離れした恵まれた体格を活かしながら、重い攻撃をしてくる。アルベルトと伊吹が交代し桐生の顔面目掛けて鋭い回し蹴りが飛んでくるのでこれを避けると更に後ろ蹴りを放った。これもスウェイで躱し距離をとる。

 

“伊吹は素早い足技が主体、アルベルトは一撃がデカいパワータイプ。いつものスタイルだと不利だな”

 

彼女達の戦闘スタイルを観察し桐生は伊吹に対し素早い攻撃が可能な《ラピッドスタイル》で戦う。距離を近付け高速ジャブからの右脚によるローキック、次に左脚でもう一度、最後に左脚によるハイキックで伊吹の側頭部を蹴る。

 

「ハッ!オゥラァッ!」

 

「クッ!」

 

頭部を蹴られたことで意識が朦朧としたところで桐生は追撃(ヒートアクション)をしようとするもアルベルトが後ろから攻撃しようとするのを察知し、《解体屋スタイル》に瞬時に切り替え伊吹の胸倉を掴みアルベルトに向けて投げる。

 

「プレゼントだ!」

 

アルベルトが、投げられた伊吹にぶつかり動きが止まる僅かな隙を狙い《不良スタイル》で渾身のドロップキックを2人にお見舞する。

 

「ウリャアッ!」

 

2人仲良く攻撃をくらい吹き飛ばされたと思ったがアルベルトがすぐに反撃に出てきた。そして桐生と掴み合いになる。アルベルトはパワー勝負なら負けないと思っていたが桐生の桁外れな力に押されていた事に驚く。そして桐生が右膝でボディを蹴り、少し距離を取って左脚で後ろ蹴りを放つ。《解体屋スタイル》に切り替えアルベルトを掴む。振り解こうとするも手は鉄のように硬く、逃れる術を許さない。

 

 

《解体屋の極み•杭打ち》

 

 

桐生はアルベルトの頭が下になるように持ち上げる。

 

“流石に重いな、だが持ち上げられないわけじゃない”

 

桐生が神室町にいたときは街中で不法投棄されていたバイクなどをぶん回して喧嘩したこともある。それが出来てアルベルトを持ち上げられないなんて事はあり得ない。

 

「ウゥゥゥラァァ!!!」

 

完全に頭が下に向いたところで桐生はジャンプしアルベルトの頭を床に叩きつける。

 

「Aaah!!!!」

 

確実に攻撃を決め彼は背中から倒れる。彼を床に叩きつけた後に伊吹が目を覚ました。すぐ近くで横たわっているアルベルトに声をかけるも返事は来ない。1人になった伊吹は足技で桐生を攻撃するも《不良スタイル》で全て避けられる。そして桐生を壁際に追い詰めて、渾身の蹴りを放つも、

 

 

《背壁の極み》

 

 

伊吹が放った蹴りを右肘で挟み、

 

「離せよ!この!」

 

色々言ってくるがそれを全て無視し脚の可動範囲を逆方向に曲がるように左肘で叩き折る。

 

「オウラァ!!」

 

「ガァァァ!」

 

逆方向に叩き折られて聞くに耐えない悲鳴がバー内に響くが桐生は脚を痛めたているうちに回し蹴りで伊吹の意識を消し去る。

 

目に映ったのは龍園の取り巻き達が完膚なきまでに叩き潰された姿だった。取り巻きを倒し桐生は龍園に目を向ける。

 

「今度はお前とやんのか?」

 

「テメェとやり合うのは骨が折れそうだな」

 

両者が睨み合っているとき桐生のスマホがなった。龍園は顎で電話に出ろと合図した。龍園に指示されるのは嫌なものだと思ったが無視するわけにはいかないので仕方なく電話に出ることに。

 

“綾小路から?”

 

「もしも...『桐生今から言う所に急いで向かってくれるか?』

 

「何があった?」

 

『実は...』

 

内容を聞いて電話を切り龍園に話す。

 

「悪いがお前との勝負はお預けだ。そこを退け」

 

「俺が素直に従うと思ってんのか?」

 

「勝手にお前が私を呼んだ、ならこっちも勝手に話を終わらせる権利ぐらいあるはずだ。」

 

そのまま店を出てある所に向かう。

 

“まさか佐倉がグラビアアイドルとはな....”

 

綾小路から伝えられた事それは、佐倉が『雫』と言う名前でアイドル活動をしていることだった。高校入学後も、自撮り写真をネットにあげていたそうだが『今度君に会いに行くね』などの気色悪いコメントが書かれておりそのコメントを書いた奴は以前ケヤキモールで桐生が睨みつけた店員だったのだ。

そのことを綾小路が察し今一番近くにいる桐生に電話をかけたのだ。因みに連絡先を交換した相手の位置情報が分かるという恐ろしいことも判明した。手元の情報を元に佐倉がいる場所に急いで向かうと....あのときの店員が佐倉を壁に追い詰めていた。

 

“あんときの下卑た視線は佐倉がグラビアアイドルなのを知っていたからか...”

 

アイツが何しでかすか分かったもんじゃないので後ろから店員の肩を掴み強引に引き剥がし顔に蹴りを入れ確実に転ばせ、すぐに佐倉の近くに駆け寄る。

 

「無事か?何かされていないか?」

 

「あ、ありがとうございます、大丈夫です」

 

安否を確認しているとき店員が立ち上がり激昂する。

 

「余計なことをすんなよお前!これは俺と雫ちゃんの問題なんだ。それを邪魔しやがってお前はなんなんだ!!」

 

「私は...」

 

 

•通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!

•ただのファン一号だ

•テメェのようなストーカー野郎をぶちのめしに来ただけだ←

 

 

「私は、テメェようなストーカー野郎をぶちのめしに来ただけだ」

 

その言葉を聞いた途端店員は更に激昂し、

 

「す、ス、ストーカーだと?ふざけるな!僕と雫ちゃんは愛し合っているんだ!!それを邪魔するならぶっ、ぶっ殺してやる!」

 

そう言って男はナイフを取り出した。ボタンをスライドさせ刃を出すタイプのナイフだった。

 

「仮に彼女と愛し合う為ならなんでそんなもん持っているんだ?」

 

「うるせー!!」

 

男は聞く耳を持たないで桐生にナイフを向けて走ったが、それを避けて、

 

 

《ドス•腕折りの極み》

 

 

「セィヤァ!」

 

ナイフを突き出した腕を両手で掴み膝蹴りで相手の腕を折る。最後に右拳で男の顔面を強く殴る。

 

「オラァッ!」

 

「グァァ!」

 

男は完全に戦意を喪失し、その場から動く事は無かった。手から離れたナイフを回収した後、警備員を連れてきた綾小路達がやってきて男は無事連行された。佐倉の事情聴取は明日行うことになり綾小路達が彼女と一緒に帰り、桐生は男が使ってきたナイフを渡す為に少し遠い警備室に行こうとしたそのとき、

 

 

 

「そこの桐生ちゃん、止まりなさい!」

 

 

 

なんとなくだが、すごく嫌な予感がすると思った桐生であった。

 

 

 

 




龍園が桐生ちゃんの連絡先を知っている理由ですが、ある人を経由して手に入れています。
これで2巻の内容が終わりましたがもう少し話しは続きます。今回の桐生ちゃん、相手の関節を逆方向に叩き折ってばっかりですね。
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