しばらく喧嘩はありません(喧嘩が無いとは言ってない)
試験の流れは原作とだいたい同じになりますがところどころオリジナル要素が入るかもしれません。
重要な選択
桐生は静かに甲板に立ち、遠く広がる海を見つめていた。どこまでも続く青い水平線。潮風が彼女の黒髪をわずかに揺らし、制服の袖口をなびかせる。
「……すごいな」
この状況を桐生はまだ完全には理解しきれていない。
“中間テストのとき茶柱がバカンスに連れてってやると言っていたがここまでのものとはな...”
広々とした甲板、煌びやかなダイニングホール、贅を尽くした客室。どれを取っても、並の高校の旅行では到底考えられない規模で更に船内ではレストランの料理も各種レジャー施設もすべて無料という破格の環境だ。
「贅沢なもんだな....」
ぼそりと呟く。桐生はこうした華やかな空間に馴染みがあるわけではない。戦いの日々を生き抜いてきた桐生にとって、こうした穏やかな時間は珍しいものだが、今はその違和感すらも受け入れるしかない。
“そろそろどこかに行くか...”
•バーに向かう←
•レストランで食事
•スパで一汗流す
“バーで少し飲んでいくか...”
桐生は甲板を後にしバーに向かっていった。
カウンターにはすでに何人かの生徒が座って自身が頼んだ飲み物を嗜んでいた。生徒は未成年のため酒は提供されないので提供されるのはノンアルコールの物だけである。
「いらっしゃいませ。何を飲まれますか?」
「そうだな...」
•オレンジジュース
• モクテル・モヒート←
• ジンジャービア
• シャーリーテンプル
「モクテル•モヒートを頼む」
「かしこまりました」
バーテンダーはカウンターの上で、洗練された手つきでグラスを手に取ると、まずは新鮮なミントの葉を数枚、グラスに入れる。彼の動きは無駄がなく、しっかりとミントの香りが立つように、軽く潰していく。次に、鮮やかなライムを一個取り、半分に切ると、その果肉を絞り、ミントに注ぎ込んだ。
「これで酸味を引き立たせて」
と、小さくつぶやきながら、彼はライムの香りが広がるのを感じ取る。続いて、グラスに氷をたっぷりと入れ、冷たくシャリシャリと音を立てる。
次に彼はソーダ水を手に取り、優雅にグラスに注ぎ込む。泡立つソーダが氷に当たる音が、カウンター越しに響く。グラスの中で、爽やかな透明感が広がる。
「最後の仕上げに」
バーテンダーはグラスの縁にライムのスライスを一枚飾り、さらにミントの葉を飾って完成する。
バーテンダーは、グラスをそっと手に取り、カウンター越しに桐生に差し出す。
「こちらがモクテル・モヒートです。ご覧の通り、アルコールは一切使っていませんが味わいには決して妥協はしておりません。フレッシュなミントとライムの酸味が特徴の爽やかな飲み物です。ソーダで炭酸を加え、軽やかな飲み口とリフレッシュ感を楽しめます。」
桐生はグラスを手に取り、ミントの香りを一瞬感じると、その清涼感に満足げな表情を浮かべる。口に含んだ瞬間、ライムの酸味がしっかりと広がり、心地よい炭酸の刺激が後から続く。少し考え込んだ後、彼女は無意識に頷く。
“軽くて飲みやすがしっかりとした味がある。少しの余韻も悪くない。”
桐生一葉はグラスを最後まで飲み干し、軽く息をつくと、静かに席を立つ。
「またのお越しをお待ちしております」
「ああ、また来よう」
小さく呟きながら、歩みを進める。
“食堂にでも行くか”
桐生は食堂の扉を開けると、豪華なビュッフェの料理が目に飛び込んできた。
「なかなか、豪華だな」
軽くつぶやきながら、トレイを手に取って料理を選び始める。まずはサラダのコーナーに向かい、適当に野菜を取る。その後、温かい料理のコーナーでチキンやステーキを適度に選び、最後にデザートも少しだけ取った。
料理を手に取ると、ふと目の前に広がる海が目に入り、一葉はそのまま窓際にある、奇跡的に誰も座ってない3人用テーブルに向かう。
「ここにしとくか」
海の景色がよく見える席に座ると、トレイをテーブルに置きながら、軽く肩をすくめた。
「落ち着いて食べられそうだな」
海を見つつ、無駄に時間をかけることなく静かに食事を始め楽しんでいた。目の前には青く広がる海が広がり、周りの喧騒から少し離れた席でのんびりと食事をしている。彼女のペースを乱すものは何もなかった。
その時、3人の女子高校生が彼女のテーブルに近づいてきた。
「ねぇ、ここ、譲ってくれない?」
桐生は反応せず、ただそのまま食事を続ける。その声の主は3人の女子高校生だった。彼女たちは明らかに、海の景色が見えるこの席に座りたいようだった。
「不良品のDクラスは話が通じないわね……ここの外の景色が一番よく見せる席を開けろって言ってんのよ」
桐生は無言で視線を下げ、食事を続ける。周りの空気が少し変わり、女子たちはさらに強い言葉を投げかける。
「私たちはAクラスなのよ、わかるでしょ?こんな席に座ってるのは、私たちがふさわしいんだから」
「何も言わずに席を譲りなさい」
その言葉には、高圧的な態度が込められていた。しかし、桐生は一切反応しない。無言で食事を続け、相手の言葉が届いていないかのような態度を取っている。
その時、他の誰かが話しかけた。
「おい、いい加減にしとけって!」
その声を聞いた瞬間、女子たちは顔を見合わせ、戸惑いながら後ろを振り返る。誰かが声をかけたことで、桐生の席の価値に気づいたのだろう。しばらくの沈黙の後、3人の表情が少しだけ変わり、最終的にはその場を去って行った。
「…まぁ、譲らないわけでもないけど。」 一人が最後に呟くように言い、他の二人とともに静かにその場を離れた。
桐生は無言のまま、再び海を眺めながら食事を続ける。景色が気に入っているのは確かだが、あんな風に言われて席を譲る気はない、それが彼女のスタンスである。静かな時間が再び戻り、桐生は何も変わらず、自分のペースで食事を楽しみ続けるのだった。
桐生は食事を終え、テーブルの上の空いた皿を静かに片付け食堂を出る。
まだバーにでも寄ろうと考えていたとき突然アナウンスが流れた。
『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まりください。間もなく島が見えて参ります。暫くの間、非常に意義ある景色をご覧頂けるでしょう』
“変な言い回しだな...”
デッキに出ると、既に多くの生徒が集まり、ざわめきが広がっていた。視線の先には、徐々に姿を現す島がある。
「……何の変哲もない島に見えるが」
桐生は柵に片手を置き、遠くの島を見つめる。しかし、周囲の生徒たちはただ景色を眺めているだけではなく、何かを期待しているような様子だった。
やがて、背後から足音が近づく。
「桐生、あの島、何か知ってるか?」
声の主を振り返えると綾小路だった。
「いや、特に聞いてない。ただ、放送の言い回しが妙だったからな……」
そう言いながら、再び島を見つめる。無人島の方に目をやると、船が無人島の周りをゆっくりと一周していた。周り終えるとアナウンスがかかる。
『これより、登校が所有する孤島に上陸します。生徒達は30分後、全員ジャージに着替え、所定の鞄と荷物をしっかり確認した後、携帯を忘れず持ちデッキに集合して下さい。それ以外の私物は全て部屋に置いてくるようにお願いします。またしばらくお手洗いに行けない可能性がありますので、きちんと済ませておいてください』
桐生は船内のアナウンスを聞きながら、一度短く息をついた。
「孤島か....なにかしら起きると思っていたが...」
“この状況からして、どう考えても“特別な行事”だ。単なる観光ではなく、何かしらの試験が絡んでくるのは間違いない。こんな学校だからな...”
隣を見ると、ルームメイトである堀北も無言で考え込んでいる様子だった。
だが、どこか様子がおかしい。
「堀北はどうする?」
桐生が声をかけると、堀北はすぐに顔を上げ、いつも通りの冷静な表情を作る。
「決まってるでしょう。すぐに準備を済ませて、情報を整理するわ」
「そうか...」
周囲の生徒たちがざわめきながら部屋へ戻っていくのを横目に、桐生達も自分の部屋へと向かう。部屋のドアを開けジャージに着替える準備をする
「30分か……さっさと済ませるか」
部屋に入ると、それぞれのベッドに向かい、手際よく準備を始める。桐生はジャージに着替える、準備を進める中で、桐生はリュックの中身を最終確認していた。ジャージの着替え、タオル、下着、携帯。
そして、いざという時のための「タフネスエンペラー」と「タウリーナ++」を数本。
ちなみにこのタフネスエンペラーとタウリーナ++、どちらもケヤキモールの中にあるコトブキ薬局で買えるモノだか一本7300円と2500円と非常に高価で中学のときは簡単に買えるものじゃなかったが今の桐生はそれを大量に買うほどのポイントを持っているので思い切って買う事にし念の為に持ってきたのだ。
それを見た堀北が、眉をひそめた。
「……それ、持っていくつもり?」
「ああ、」
桐生は手にしていたタフネスエンペラーとタウリーナ++を軽く見せる。
「コイツらがあれば疲れは吹き飛ぶ。試験中に役立つかもしれない」
「……ルールは聞いてたでしょう?“それ以外の私物は全て部屋に置いてくるように”って」
「これくらい持っていったってバレねぇだろ」
「そういう問題じゃないの。不要なものは持ち込むなって言われた以上、従うべきよ」
桐生は舌打ちしつつも、仕方なくタフネスエンペラーとタウリーナ+をリュックから取り出しテーブルに置いた。
一方の堀北も、同じように準備を進めている。しかし、その動作がほんのわずかにぎこちないことに、桐生は気づいた。
「堀北、体調悪いのか?」
何気なく投げかけた問いに、堀北はピクリと反応したが、すぐに顔を背ける。
「別に、気のせいよ」
“本当か?...”
桐生は何も突っ込まず、自分の荷物をまとめ終えた。だが、横目で堀北の様子を観察する。堀北の呼吸はわずかに浅く、動きにも無駄が多い。気のせいというには、あまりにも分かりやすい。
“仕方ねぇな”
桐生は、仕方なくテーブルに置いたタフネスエンペラーを手に取ると、隣の堀北に無造作に差し出した。
「……なんのつもり?」
堀北は怪訝そうに桐生を見たが、その声には少しだけ戸惑いが混じっていた。
「お前、どう見ても体調悪いだろ。せっかく持ってきたんだ、いくらか持ってきたから飲んどけ」
「……別に、体調は問題ないわ」
「嘘つけ、お前がどんなに隠しても、そういうのはバレるもんだ」
桐生は強引に彼女の手のひらにタフネスエンペラーを押し付けた。
「飲むかどうかは勝手だがな。集合前にぶっ倒れるのはごめんだろ?」
堀北は少し睨むように桐生を見たが、やがて無言でプルタブを開け、一気に喉へと流し込んだ。
「……苦くて甘ったるいわね」
「そういうもんだ。効いた気になるのが大事なんだよ」
堀北はため息をつきながら空の瓶を見つめたが、ほんの少しだけ表情が和らいでいるように見えた。
「……行くわよ」
「ああ」
二人は荷物を整え、部屋を後にした。デッキへ向かう途中、堀北は桐生の方を一瞥すると、小さく呟いた。
「……ありがと」
桐生は特に何も言わず、ただ前を向いて歩き続けた。
船から無人島に降り立った桐生達は、各クラス毎に整列させられていた。程なくして英語教師にしてAクラス担当の大柄な男性教師の真嶋が壇上に上がっていた。
「今日、この場所に無事に付けたことを、まずは嬉しく思う。しかしその一方で1名ではあるが、病欠で参加できなかった者が居る事は残念でならない」
真剣な表情になり生徒達を緊張させる
「それではこれより───本年度最初の特別試験を開始する」
“特別試験?”
殆どの生徒が疑問に思っただろう。
“学生の私達になにやらせる気なんだ?”
「期間は今から1週間。8月7日の正午に終了となる。君達はこれからの1週間、この無人島で集団生活を行い過ごすことが試験となる。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考にして作られた実践的、かつ現実的なものであることを最初に言っておく」
「各クラスにテントと懐中電灯が2つずつ、マッチ1箱、歯ブラシは1人1点支給される。日焼け止めと女子の生理用品は制限なく支給されるので、必要があれば担任の先生に申請するように」
生徒達は混乱していだがそんな周りの状況に構わず説明は続くが当然不満の声があがる。
「不平不満が出るのも納得だ。だが安心していい。特別試験と言ってもそれほど深く考える必要はない。今からの1週間、君達は海で泳ぐのもバーベキューをするのもいいだろう。時にはキャンプファイヤーでもして友人同士語り合うのも悪くない。この特別試験のテーマは『自由』だ」
“自由?”
真嶋の説明をまとめると、
・試験用に300ポイント支給され、この無人島ではそのポイントを使用して、生活に必要なものが購入できる
• これらのポイントを使い、水や食料、テントを含む様々な物資を購入することができる。
•使用するポイントは、配布されるマニュアルに全て記されている。
•特別試験終了時には各クラスに残っていたポイントすべてをクラスポイントに加算した上で夏休み明けに反映される。
「マニュアルは1冊ずつクラスに配布する。紛失などの際には再発行も可能だが、ポイントを消費するので大切に保管するように。また、今回の試験を欠席しているのはAクラスの生徒だ。特別試験のルールでは、体調不良などでリタイアした者がいるクラスにはマイナス30ポイントのペナルティを与える決まりになっている。そのためAクラスは270ポイントからのスタートとする」
真嶋の話が終わると同時に解散宣言となり、拡声器を持った別の教師が、各クラス担任の教師から補足説明を受けるように通達する。桐生たちは担任教師の茶柱の元に集まり4クラスが距離を取るように集まり出していた。
「今からお前たち全員に腕時計を配布する。これは試験終了まで外す事なく付けて置く事。許可なく外した場合にはペナルティが課せられる」
どうやらGPS機能を搭載したこの受け時計には体温や脈拍の他、万が一に備えて学校側に非常事態を伝えるためのアラームボタンも付いているらしい。
「茶柱先生。僕たちは今からこの島で1週間生活するとの事ですが、ポイントを使わない限り全て僕たちで何とかしなければならないと言う事でしょうか?」
平田が茶柱に確認する。
「そうだ。学校は一切関与しない。食料も水もお前たちで用意してもらう。足りないテントも同様だ」
“サバイバル生活というやつか...”
クラスメイトから戸惑いの声が上がるが、
「大丈夫だって。魚でも適当に捕まえてさ、森で果物でも探せば良いじゃん。テントは葉っぱとか木とか使ってさ。最悪体調崩しても頑張るぜ」
池が自身ありげに言うと茶柱がそれを否定しマニュアルを見てみろと言いった。言われた通りマニュアルを開くと、マイナス項目が書かれていた。
●以下に該当する者は、定められたペナルティを科す
・著しく体調を崩したり大怪我をし続行が難しいと判断されたものはマイナス30ポイント。及びその者はリタイアとなる。
・毎日午前8時、午後8時に行う点呼に不在の場合。一人に付きマイナス5ポイント
・他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントの全没収。
更に茶柱から追加で説明が入る。
「島の各所にはスポットと呼ばれる場所が設定されている。それらは各クラスが占有して使用することが可能だ。ただし1回8時間で占有効果が切れるので、その際は別クラスが占有権を奪取することも出来る。なお1回占有する事に試験終了後、1ポイントのボーナスが支給される」
「そして7日目の最後の点呼時に他クラスのリーダーを予想する権利が与えられる。成功した場合1クラスにつき50ポイント。失敗した場合マイナス50ポイント。また他クラスにリーダーを当てられた場合、マイナス50ポイントとボーナスポイントを全て失うから注意するように、以上だ。」
“下手に動き回ってバレたら3クラスに袋叩きに合うということか...”
「とりあえず今はCクラスのベースキャンプをどこにするか決めようと思うけどどうかな?」
声出したのは平田、それに反対するものはいな...「その前に!」
「トイレの件はどうするの?」
“まだ解決してなかったな....”
実は茶柱がスポットの説明の前にトイレの説明をしたのだか、それは各クラスに一つ支給される簡易トイレだった。しかもクラスで一つなので男女共有。女子からは不満の声が上がった。
マニュアルには20ポイントを消費して仮設トイレを設置出来るがポイントを消費したくない人から反対が起きた。余りにも話が進まないので茶柱が話を断ち切りスポットの説明に入ったのだ。
“40人で共有、しかも一週間、衛生面が心配になるな...”
桐生が考えていると賛成派の筆頭である篠原に声をかけられる。
「桐生さんは仮説トイレの設置に賛成、反対どっち?」
•賛成だ←
•反対だ
「仮設トイレの設置に賛成だな」
桐生の言葉に反対派が抗議する。
「ポイントの消費は大きい、ここでポイントを残しておけば差を縮められるだろ」
「それに一週間だろ、それぐらい我慢しようぜ」
男子生徒で反対派である幸村や他の男子生徒が言うが桐生は冷静に反論する。
「確かにポイントを残す事は大切だ。だが1つしかないトイレを全員で使えばすぐ汚れるし、臭いもキツくなって不衛生になれば、体調を崩す奴が出る可能性もある。もしそれで誰かがダウンしたら、看病や対応でまたポイントを消費することになる」
幸村や周りの生徒も少し驚く、周りにとって桐生のイメージは喧嘩ばかりで真っ当な話し合いなど出来るのかと疑問に思っていたが理論的に物事を説明し冷静に状況を見て最善策を選べる人物だという印象を得た。
「ポイントケチったせいで、最終的に試験の成績が落ちたら本末転倒だろ」
「確かに桐生さんの言う通りかも...」
「体調崩したら元も子もないしな...」
桐生の一言で、反対派の面々も納得せざるを得なかった。最終的に、仮設トイレの設置が決定した。
龍が如くシリーズでお馴染みの酒の説明をそれぽっく書いてみました。
実は投稿をサボってしまい別の小説を投稿してからこちらを書こう思ったのですが私が風邪をひいてしまい投稿できませんでした。ごめんなさい。
追記:これからテスト期間になるのでしばらく投稿はお休みにさせていただきます。再会は2月下旬を考えいます。ご了承下さい。
皆さんは上級生として登場して欲しいキャラはいますか?感想欄で御意見を聞かせてください。