高育が如く   作:レゾリューション

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第二章 楽園の裏側
実力主義


今日から5月になり桐生が入学してとうとう1ヵ月が経った。朝食を食べ終え制服に袖を通す。今日はポイント支給日なのでスマホの画面を見ると、金額が全く変わってなかった。何かの不具合と結論を出して学校に行く。

 

“なにか嫌な予感がする...”

 

ほどなくして教室に着くと雰囲気がおかしかった。やはりポイントが振り込まれてなかったらしい。ホームルームの開始を告げるチャイムが鳴り、手にポスターを持った茶柱先生がやってくる。その顔はいつになく険しい。

 

「せんせー、ひょっとして生理でも止まりましたー?」 

 

“池、やはりアイツは本当かもしれないな...”

 

池がセクハラ発言をかましたが、茶柱先生は取り合う様子はない。

 

「これよりホームルームを始める。が、その前に質問はあるか?気になることがあるなら今のうちに聞いておいた方がいいぞ?」

 

生徒からの質問があることを確信しているかのような発言だった。実際に数人の生徒がすぐに挙手した。

 

「あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてなかったんですけど。毎月1日に支給されるんじゃなかったんですか?」

 

「本堂、前に説明しただろ。その通りだ。今月も問題なく振り込まれている」

 

「え、でも......振り込まれてなかったよな......?」

 

本堂は周りと顔を見合わせる、その他の生徒たちも同じようにポイントが振り込まれていないことに疑問の声が上がる。そんな発言に茶柱先生は

 

 

 

「お前らは本当に愚か生徒達だな」

 

 

 

「え......佐枝ちゃん先生?」

 

「座れ本堂。二度は言わん」

 

厳しい口調と鋭い眼光に本堂はへたり込むように席に着く。

 

「ポイントは振り込まれた、これは間違いない。このクラスだけ忘れられた、などということもない。分かったか?」

 

「ははは、なるほど。そういうことだねティーチャー。理解できたよ、この謎解きがね」

 

自己紹介の時に強烈な印象を残した高円寺が机に足を乗せ高らかに笑った

 

「簡単なことさ。このDクラスには1ポイントも支給されなかった。ということだよ」

 

「はあ?いや、毎月10万ポイント振り込まれるって言ってただろ......?」

 

「私はそう聞いた覚えはないね。そうだろう?」

 

 高円寺はニヤニヤ笑いながら茶柱先生を指を差した。

 

「態度には問題ありだが、高円寺の言う通りだ。全く、あれだけヒントを与えて気づいたのが数人とはな。嘆かわしいことだ」

 

「......先生、振り込まれなかった理由を教えてください。でなければ僕たちは納得できません」

 

理解できていない生徒のために平田が手を挙げる。

 

「遅刻欠席、合わせて98回。授業中の私語や携帯を触った回数391回。一月でよくここまでやらかしたものだ。この学校では、クラスの成績がポイントに反映される。その結果お前たちに振り込まれるはずだった10万ポイント全てを吐き出した。そして今回、お前たちは0という評価を受けた。それだけに過ぎない。それに、入学式の時私はこう説明した筈だ、この学校は実力で生徒を測ると。」

 

“私がポイントについて茶柱に質問したとき答えられないといったのはこのためだったのか...”

 

最悪の形で疑問が解決した事に複雑な気持ちを抱く桐生を他所に茶柱の説明は続く、

 

「では、せめてポイント増減の詳細を教えてください......今後の参考にします」

 

「それは出来ない相談だな。人事考課つまり詳細な査定の内容はこの学校の決まりで教えられないことになっている」

 

「さて、ここからが本題だ」

 

すると茶柱は白い厚紙を黒板に張り出す。

 

「これが各クラスの成績だ」

 

その紙にはAクラスからDクラスの名前とその横に数字が表示されていた。

Dクラスは0、Cクラスは490、Bクラスが650、そして一番高い数字がAクラスの940。

 

“おかしい、キレイに数字とアルファベットが揃っている”

 

「この学校では優秀な生徒たちの順にクラス分けされるようになっている。優秀な生徒はAクラス、お前たちは最低ランクのDクラスつまり、最悪の不良品であることが証明された」

 

“不良品か、納得だな”

 

不良品という言葉に納得してしまう桐生

 

「だが感心もしたぞ。1ヵ月で全てのポイントを吐き出したのは歴代のDクラスでも初めてだ。ここまでくると拍手したいぐらいだ。」

 

茶柱先生のわざとらしい乾いた拍手が教室に響く。

 

「そして、クラスのポイントは何も毎月振り込まれる金と連動しているだけじゃない。このポイントの数値はそのままクラスのランクに反映される」

 

“仮に私達が500ポイントあったらCクラスになれたということか...”

 

「さて、お前たちにもう一つ伝えなければならない残念なお知らせがある」 

 

黒板に追加する形で貼り出されたもう一枚の紙。そこにはDクラスの生徒たちの名前。そしてその横には数字が並んでいる。

 

「先日やった小テストの結果だ。揃いも揃って粒揃いで先生は嬉しいぞ。お前らは中学で一体何を学んできたんだ?」

 

高得点を取っている生徒もいるが、クラス全体で見るとDクラス平均は65点前後。須藤の14点という驚異的な数字は無視するとして、池が24点と全体でも低い。

 

「良かったな。これが本番だったら7人は入学早々退学になっていたところだ」

 

「た、退学!?どういうこと、ですか?」

 

「この学校では中間テスト、期末テストで1科目でも赤点を取ったら退学になることが決まっている。今回のテストで言えば、32点未満の生徒が全員対象となる」

 

『は、はああああ!!!???』 

 

「そんなのありかよ!!退学とか冗談じゃねぇって!」

 

「それが学校のルールだ。腹をくくれ。それともう一つ付け加えておこう。この学校では高い進学率と就職率を誇っているが、その恩恵を受けられるのはAクラスのみだ」

 

茶柱から聞きたくもなかった事実を知り驚愕するDクラス達。

 

「浮かれた気分は払拭されたようだな。それだけでもこの長ったるいホームルームにも意味はあったかもな。中間テストまで3週間。じっくりと熟考し、退学を回避してくれ。お前たちなら赤点を乗り切れる方法はあると確信している」

 

そう言って茶柱先生は教室を去った。茶柱先生が去った後の教室は悲惨だった。

 

「ポイントが入らないって、これからどうするんだよ...」

 

「私もうポイント全部使っちゃったよ」

 

ポイントを使い果たしてしまった生徒を見ていた桐生達は、この惨状を見て、

 

「この様子を見ると大半は使いきってしまったようだな」

 

「気の毒な反面、自業自得とも言うわね」

 

“1ヵ月で計画性なく10万も散財するのは少々問題があるな、”

 

「ポイントよりもクラスの問題だ...ふざけるな...!なんで俺がDクラスなんだよ..!」

 

怒りの声を挙げたのは幸村というメガネをかけた生徒。小テストでは90点と高得点を取っている。あのレベルの高い問題を一問解いていた。そんな学力をもつ自分が落ちこぼれのDクラスなどと言われても納得なんて到底出来る筈がない。

 

“確かに変だ。幸村の学力だったらAクラスのレベルに達しているはず、にも関わらずDクラス、振り分けは学力意外も含まれるのか?”

 

「みんな、授業が始まる前に真剣に聞いて欲しい。特に須藤くん」

 

騒然とする教室で、平田は教壇に立ち生徒の注目を集め発言する。

 

「チッ、なんだよ」

 

「今月、僕たちはポイントを貰えなかった。このままだと卒業まで0ポイントで過ごすことになるかもしれない」

 

「そんなの絶対嫌!」

 

「だからこそまずはマイナス要素を減らさないといけない。そしてそのためにはクラス全体で注意しなければいけない。遅刻や授業中の私語は止めるようお互いに注意するんだ」

 

「なんでお前の指示をうけなきゃならねぇんだ。真面目に授業を受けたところでポイントが増えるわけじゃねぇだろ」

 

「でも仮にせっかくポイントが増えたとしてもそこを直さないとまたマイナスになってしまうんだ。」

 

「だけどポイントの増やし方もわからねぇんじゃ無駄だろ。せめて増やし方見つけてから言えよ。お前が何やろうが勝手だけどよ、俺を巻き込むな」

 

自分の言いたい事を言ったからか、教室の居心地が悪く感じたのか須藤は教室を出た。

 

「須藤くんってほんと空気読めないよね。遅刻だって一番多いしさ。須藤くんが居なかったら少しくらいポイント残ってたんじゃない?」

 

「だね......もう最悪。なんであんなのと同じクラスに......」

 

“都合の良い的があったら全てソイツのせいにするのか..”

 

須藤を非難する声が上がる、今までを振り返ると確かに須藤の授業態度には擁護する事はできない。しかし須藤意外にもスマホをいじり、私語をしていた生徒は沢山いる。ソイツらが須藤だけを非難するのは筋違いであり、このレベルの問題は誰のせいですむ話ではないのだ。

 

話を終えた平田が桐生たちの席の前までやってくる。

 

「堀北さん、綾小路くんに桐生さんも少しいいかな。放課後、ポイントを増やすためにの話し合いがしたいんだ。君たちにも参加してもらいたいんだけどどうかな?」

 

「どうして私達たちなんだ?」

 

「全員に声をかけるつもりだよ。だけど一度全員に声をかけても、真剣に耳を傾けてくれないと思うんだ」

 

“だから個別に声をかけてたのか、”

 

「他を当たって貰える?話し合いは得意じゃないの」

 

「無理に発言しなくてもいいよ。その場にいてくれるだけでも、十分だから」

 

「申し訳ないけれど、意味のないことに付き合うつもりはないわ」

 

「そうか、ごめん......でももし気が変わったら参加してほしい」

 

堀北は拒否を示しそのまま教室から出ていった

 

「桐生さんと綾小路君はどうする?」

 

“話し合いか、余り得意ではないがどうする?”

 

   •参加する←

   •参加しない

 

“まぁ参加するぐらいならいいだろう”

 

「分かった参加しよう」

 

「本当⁉︎ありがとう桐生さん」

 

「綾小路君はどうする?」

 

綾小路は少し考え

 

「俺も参加しよう」

 

綾小路も参加する事になりチャイムがなり授業が始まった。放課後になると平田は黒板を使って会議の準備を進めていた。堀北、須藤を除き殆どのクラスメイトが会議に参加し会議が始まるその時、

 

『1年Dクラスの綾小路清隆くん。同じく1年Dクラスの桐生一葉さん。担任の茶柱先生がお呼びです。職員室まで来てください』

 

まさかの呼び出しをくらいクラスの注目がこちらに向く。呼ばれたなら行くしかないと思い平田に断りを入れ教室を後にした。職員室に着き、桐生は扉に手をかけ、  

 

「茶柱はいるか?」

 

ノックをしない、先生を呼び捨て、更に敬語を使わないという生徒がやってはいけないトリプルコンボに綾小路の顔が真っ青になった事を知らずに桐生は遠慮なく職員室に入る。あいにく先生がいないため廊下で待つ事にしたが、その時Bクラス担任の星之宮先生に絡まれ、対応に困っていた所を茶柱先生がクリップボードで星之宮先生の尻を強く叩き、桐生達は生徒指導室に連れてかれた。

 

“茶柱が星之宮と会話している時、下剋上という言葉が聞こえたがなんの話しだろうか?”

 

程なくして指導室へと入る。

 

「で....何なんですか?オレたちを呼んだ理由って」

 

「うむ、それなんだが......ちょっとこっちに来てくれ」

 

 指導室の中には入り口の他にもドアがあり、開くと給湯室になっていた。

 

「ここでほうじ茶でも作ればいいんですかね?」

 

「いいか、余計な事をするな。私が出てきて良いというまで黙ってここにいろ。決して物音を立てるなよ。破ったら退学にする」

 

「言ってる意味が分からn」

 

言い切る前に扉が閉じられ、桐生と綾小路は目が合い、首をかしげる 

 

“暇だな”

 

   •そのまま待つ

   •ほうじ茶を飲む

   •帰る←

 

“帰るか、茶柱も来ないし”

 

立ち上がり扉のドアノブに手をかけた所で

 

「桐生、どこ行くんだ?」

 

「帰る」

 

「いや、流石にダメだろ」

 

「そ、そうか」

 

綾小路に止められ再び沈黙がこの部屋を支配した。

 

   •ほうじ茶を飲む←

   •そのまま待つ

 

“ほうじ茶でも飲むか”

 

またしても、桐生は立ち上がる

 

「今度は何をする気だ?」

 

「茶でも飲もうと、綾小路もどうだ?」

 

「頂く」

 

彼女はお茶を入れる準備を始めた。まず、ポットに水を入れて火にかける。水が沸くまでの間に、茶葉を取り出して急須に入れる。やがて、ポットから湯気が立ち上り、ポコポコと音が聞こえてくる。桐生はお湯を注ぎ、少し待つ。色が深まったところで備え付けられた陶器のコップに茶を注ぎ出来上がったほうじ茶を綾小路に渡す。

 

「熱いぞ」

 

「ありがとう」

 

二人はゆっくりとほうじ茶を口に運び、香ばしい風味が口の中に広がる。

この時二人はこう思った。お茶菓子が欲しいと、桐生は何かないかとポケットの中を探ると2つの羊羹を見つけた。小腹が空いた用にポケットに入れていたのだ。これは昨日のギャル達から貰ったお菓子の一つである。桐生は袋を貰ったときは、スナック菓子とかだろうと決めつけていたが中身はせんべい、どら焼き、羊羹、みたらし団子などの和菓子だった。  

 

“あのギャル達とパッシーに感謝だな”

 

羊羹を綾小路に渡して、羊羹を一口頬張り、その甘さが口に広がると、すぐにほうじ茶を一口飲む。ほうじ茶のさっぱりとした味わいが羊羹の甘さを引き立て、絶妙なバランスが生まれ、味わっていた所、

 

「....お前ら何をしている?」

 

少しお怒りのご様子の茶柱先生が現れた。

 

 

 




今回喧嘩がないのでお茶を入れる所と飲む描写をなるべく丁寧に書きました。
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