黒曜石は曇らない   作:文才の無い本の虫

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さてさてさーて
行ってみよう!!(深夜テンション)


第二話「過去へ」

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

「どうしましたか?この天才美少女の顔に何か付いてますか?」

 

 

「いや・・・・・デートって何だろうかと考えていた」

 

 

「ふふっ、妙に哲学的ですね?」

 

 

夕日が沈み始めた頃。俺はヒマリに連れられるまま始まったデートの帰り道。

 

 

「ヒノトくん、何か思い出しましたか?」

 

 

「ああ」

 

 

 

確かにヒマリの言うように思い出して来る事はあった。ぼんやりとだが。

 

ヒマリが病弱であることや、彼女と飲んだコーヒーの味。そんな断片的な記憶が浮かんでくる。

 

そして確信する。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

きっと俺はその思い出したく無いもの(俺のルーツ)を知らなくてはならない。

 

 

「――“だから、俺は『出会い』を大切にしなくてはいけない”」

 

 

ふと、言葉が浮かぶ。

 

 

「?どうかしましたか?」

 

 

「いや・・・・・独り言だ」

 

 

彼女の車椅子を押しながら頭と記憶を整理する。

 

ヒマリが関わる記憶は大半を思い出せたと思う。その記憶の中での俺は、()()()()()()()()()()()()()

 

彼女の言う様に“経験に依って培われたモノは喪われない”のか、それとも()()()()()()()()()()()()

 

わからない。わからない、が・・・・・思い当たる原因の様なものはある。『グルーミィ・サンディ』、もう一人の俺であり、俺自身だとするモノ――そして、(事象)()()()()()スタンド。

 

透過とは、見えなくなる事。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。まるで、俺の記憶の様に。

 

 

「あら、もうこんな所まで来てしまいましたか」

 

 

「・・・・・確か、お前の家まで数分と言った所か?」

 

 

「ええ、はい。楽しい時間とは直ぐに過ぎてしまうものですね」

 

 

「そう、だな」

 

 

ヒマリの言葉に少し詰まる。楽しい時間・・・・・俺はそんな何かを彼女に感じさせられているのだろうか。

 

車椅子の上から、ヒマリが俺の顔を覗き込む様に言う。

 

 

「思い出しましたか?と聞くのは野暮ですね。ヒノトくん、またこうしてお出かけしましょう。このミレニアムが誇る天才清楚系美少女とのデートですから、きっと楽しいですよ?」

 

 

その様子に、先程考えていた事が馬鹿らしく感じた。

 

 

「ふ・・・・・ああ、そうだな」

 

 

だから俺は折り合いを付けなければいけないだろう。

 

 

「お前との散歩は、きっと楽しいだろうな」

 

 

「!!・・・・・ええ、もちろんですとも!!」

 

 

そうして俺はヒマリを送り届けて、俺はトリニティへの帰路へと就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『憎い』

 

『悲しい』

 

『馬鹿らしい』

 

『巫山戯るな』

 

『覚悟が必要だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

霧島ヒノトは平凡な少年だった。何の才能も無く、純粋な優しい子供であった。

 

故に、両親は彼を出来損ないとして扱った。両親がヒノトに求めるものは『才能』や『利益』。彼の両親は利己的な人間だったのだ。

 

ヒノトは▓▓▓▓▓▓▓▓。だが、世界は悪意だけでは無かった。彼の現状を聞きつけた叔父――利己的な両親と血縁関係があるのか疑わしい程の高潔な善性の人物――が彼を引き取ったのだ。

 

叔父は幼いヒノトに様々な事を教え、経験させた。

 

 

「出会いっつーのはな、目出度ぇ事なんだぜ。特にケツとタッパデカいのねーちゃんとかな!」

 

「ケツとタッパ?」

 

「・・・・・あーまだわかんねえか。よし、キャバクラに連れてってやる!!」

 

「きゃば?」

 

 

叔父は破天荒な男だった。

 

 

「運動はしとけよ。しねえと大人になったら直ぐにデブになっちまうぜ」

 

「・・・・・例えば?」

 

「んー・・・・・散歩とかから始めんのが良いんじゃねえか?俺も最近運動不足だしな。身体が鈍っちまった・・・・・よし、今日から日課にするか」

 

 

そして思い切りの良い男だった。

 

 

「ヒノ坊、海行くぞ」

 

「海?」

 

「おう。マグロ漁船に乗りにな。知り合いの手伝いだ」

 

 

そうしてヒノトは叔父のお陰でのびのびと育っていった。若干子供らしくない子供に育ったが、ヒノトはそれも良いと考えていた。

 

 

「なあ、ヒノ坊よ」

 

 

ある日、()()()()()()()()()叔父はヒノトに言った。

 

 

「世間様の言う善い事をしろとは言わねえ。お前にとって善い事をすんだ。手前のソレ()に嘘はつきたくねぇだろ?な?」

 

 

幼年期を終えようとしていたヒノトはその言葉を幼いなりに忘れない様に胸に刻み、頷いた。

 

 

「うん。わかんないけど」

 

 

「がっはっは!!ああ、今はソレで良いさ。そんかわり、時間を掛けてでもしっかりと大人になってけよ、ヒノ坊。身長とかな」

 

 

わしわし、と叔父はヒノトの頭を撫でた。ヒノトはそんな叔父が大好きだった。叔父のお陰で暮らせていると知っていたから。

 

――ソレが、ヒノトが生きている叔父との最後の会話だった。

 

 

「愚弟の癖に手間をかけさせやがって。ヒノトを渡さねえって言ったお前が悪いんだよ」

 

 

そして聞いてしまった。

 

ヒノトは両親の人となりをよく理解していた。己に利用価値が出来たのだろうと。だから、()()()使()()()()()()()()()()を使って逃げ出した。

 

 

両親が憎かった。

 

己が憎かった。

 

悲しかった。

 

消えてしまいたかった。

 

 

だけど、自殺は他者に迷惑を掛ける事をヒノトは知っていたから自殺はしなかった。

 

人殺しは良くないから、両親を殺すのも止めた。そんな▓▓の為に労力を使うのも馬鹿らしくなったから。

 

能力で見えなくなる事は出来ても消えるのは無理だから、ずっと貯めていた小遣いを使って何処か遠くに行くことにした。

 

 

電車を幾つも乗り継いで、通れなさそうな場所は能力も使って、自分を知る人が居ない、自分が知らない場所へ。

 

そしてヒノトはキヴォトスに()()()()()

 

 

たどり着いた場所は危なかったが、力があれば金を簡単に稼げた。金があれば身分すらも買えた。

 

それからヒノトは危険に慣れた。『自由』と『混沌』というのも気に入った。危険だけど、邪魔をされないから。

 

時間も、金もあった。ヒノトは叔父の言っていた“自分にとっての善い事”を探す事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてヒノトは、見ず知らずの誰かの為に命を張った。

 

見捨てるという選択もあったが、後味が悪いと――自分の心に嘘をつきたく無かったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

忘れていたモノ。

 

その全容。

 

 

「・・・・・確かに半分は思い出したいとは思えないものだった」

 

 

だが、

 

 

「ああ・・・・・覚えておこう」

 

 

その半分があるから、もう半分が大切なモノだと思えるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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