黒曜石は曇らない   作:文才の無い本の虫

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第三話「決戦の日曜日」

 

 

 

 

「ん・・・・・久し振り、ヒノト」

 

 

「ああ・・・・・久し振りだな、シロ」

 

 

砂漠の廃墟で死を纏った美女と靄を()()()男が向き合っていた。

 

 

「お別れは済ませた?」

 

 

「ああ。時間をくれて助かった」

 

 

お陰で遺書を書き残せたと男――ヒノトは小さく笑う。そう、とまるで世間話でもするかの様に美女――シロは返した。

 

そして唐突にガチャリ、とお互いがお互いに向けて銃を構えた。

 

 

「じゃあ、始めよう。私は貴方を――殺す

 

 

その言葉には彼女の思いが詰まっていた。

 

故にヒノトは言う。己の持つ盾に誓った言葉(救護騎士団の魂)を。

 

 

「俺の全身全霊を以てお前を――救護するッ!!

 

 

 

そして、相手を殺す為(生かす為)の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「予定調和、だな・・・・・」

 

 

「うん。幾らソレがあっても唯の人間でしか無い貴方は私に勝てない」

 

 

シロは俺に言う。ソレとは『グルーミィ・サンディ』の事を指しているのだろう。

 

ああ、わかっている。

 

唯の人間でしか無い俺の体はもう既に限界が見えている。キヴォトス人の様に銃弾は軽傷にはならないし、当然彼女らよりも疲労の蓄積は早い。

 

この数十分で俺が彼女に与えられたダメージは()()()()が掠めた事による頬の裂傷のみ。対して俺は満身創痍。

 

どうにか背後の経年劣化しているタンクを支えに立ち上がる。

 

タンク・・・・・勝ち筋にするにはギャンブルに過ぎるな。

 

 

「・・・・・何でまだ立つの?」

 

 

「愚問だ、な」

 

 

痛みで言葉が詰まる。無理が祟って何処かの傷が開いたか。

 

 

「俺がまだ息をしているからだ」

 

 

要するに根性だが。

 

 

「まだ、俺は生きているッ!!宣言通り俺を殺してみせろよ!!シロ!!」

 

 

ショットガンの残弾は無し。換えの弾倉は何処かで吹き飛んだ。盾は砕け、持ち手と30cm大の破片のみ。

 

だが――まだ俺の身体が残っている。

 

シロがアサルトライフルの引き金を引くのと同時に俺はショットガンと盾――持ち手がついた破片――を握り直し、地面を蹴る。彼女に向かって一直線に。

 

 

「『グルーミィ・サンディ』ッ!!」

 

 

銃弾を弾く、弾く、弾く。

 

 

「――もうソレは見た」

 

 

瞬間、独特のステップで側面に回り込んだシロがいつの間にか持っていたショットガンを打つ。

 

散弾が放たれる。前方の銃弾を弾かせている『グルーミィ・サンディ』は動かせない。間に合わない。死ぬ――

 

 

「ッ」

 

 

――時間が引き伸ばされる(ゾーンに入る感覚)

 

頭が冴えていく。もう既に散弾は放たれ、拡散を始めている。

 

被害を最小限に――致命傷になるベアリングだけ直感(救護騎士団での経験則)で判別し、最高速度(火事場の馬鹿力)で左に持っていた盾の残骸で滑らせた(パリィ)

 

 

「な」

 

 

頭と胴体と左腕を除いた体中にベアリングによる()()()()()()()()

 

瞬間――思い出す。考えるな、思え。出来る。俺なら。(『グルーミィ・サンディ』)は、あらゆる全て(認識)を屈折させる――

 

 

()()()()()

 

 

――シロが()()()()()()()()()()()

 

その瞬間に、背後の経年劣化した()()()()()に最後の銃弾を叩き込む。瞬間、火花が散る(音、光を遥か遠くに)

 

俺は生じた爆風で上に吹き飛んだ。

 

 

「がっ?!」

 

 

シロは意識外(背後)からの爆発でロクに防御も出来ずに前方に吹き飛び、直ぐに体制を立て直して着地した。

 

身体が重量に背を押され、斜めに落ちて行く。()()()()()()()

 

ああ、俺の勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シロォ!!」

 

 

シロが上を見上げ、その瞬間にはもう既に俺の拳は彼女の眼の前にある。

 

 

「?!」

 

 

「歯ァ食いしばれッ!!」

 

 

そして、硬い物が衝突する音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「・・・・・こほっ・・・・・私、は」

 

 

「起きたか」

 

 

隣で咳き込みながら目を覚ましたシロに声を掛ける。彼女は周囲を見回してぱちぱちと瞬いた後、病室の窓の外の青い空を見て言った。

 

 

「・・・・・そっか。私、負けたんだった」

 

 

「ああ」

 

 

憑き物が落ちたような表情で彼女は言う。

 

彼女は俺に殺さないのか、とは問わなかった。

 

 

 

 

 

「私は敗北者。勝者に従う。貴方は私に・・・・・何を望むの?」

 

 

 

 

 

そして俺は彼女にある提案をする。

 

――靄はもう、消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







皆さん!いよいよお別れです!
赤かった空は青色に澄み渡り、キヴォトスは平和を取り戻しました!
しかし、それを祝う輪の中にはヒノトとシロの姿は見当たらないのでした・・・・・
果たして、二人は一体どうなったのでしょうか!?
次回、『黒曜石は曇らない』最終回!
『明るい月曜日』
希望の未来へレディ・ゴーッ!!




(書いてて温度差で風邪ひきそう)


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