黒曜石は曇らない   作:文才の無い本の虫

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事故ってた(生存報告)
流石にロードローラーに轢かれたレベルではないが


第四話「痛感する理解者」

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

〈――――――!!〉

 

 

俺は『グルーミィ・サンディ』を出現させ、倒れ伏す少女とそれを見つめる小さなビル程もある大蛇――もはや巨蛇か――の間に立つ。

 

ちらりと先刻知り合った少女と同じ制服を身に着けている少女を見る。まだ息はある。

 

 

「一期一会・・・・・情けは人の為ならず、か」

 

 

「君は・・・・・?」

 

 

「俺は霧島ヒノト。通りすがりの賞金稼ぎだ」

 

 

巨蛇が鎌首をもたげる。嫌な予感がした。

 

瞬間、俺は少女をかっ攫って走り出そうとする。

 

 

〈―――――アツィルトの光〉

 

 

駄目だ。光線の範囲が広すぎる。避け切れない。

 

・・・・・光?

 

 

「『グルーミィ・サンディ』ッ!!」

 

 

瞬間、()()()()()()()感覚。

 

 

『ォ、オオオオオオオ!!』

 

 

唐突に理解する。コイツは、俺だ。命令するんじゃない。思うんだ。

 

(『グルーミィ・サンディ』)は服も透明に出来る。なら少女も服と同じ様に透明に()()()!!

 

 

「透明になるということはッ!!俺は光を透過するッ!!」

 

 

「凄い・・・・・」

 

 

光線が俺達を通り抜けて行く。

 

コレは一種のトランス状態。引けば死ぬ。なら前へ!!

 

 

「荷物がある筈なのに身体が軽い。まるで一つ上のステージに上がったかのように!!」

 

 

「・・・・・荷物・・・・・その通りなんだけどね・・・・・」

 

 

何時もよりも早く走れる気がする。あっという間に巨蛇に肉薄する。

 

 

「『グルーミィ・サンディ』!!側面にありったけを!!叩き、込むッ!!」

 

 

『オオオ、オオオオオオオ!!』

 

 

殴る殴る殴るッ!!

 

 

〈――――――?!〉

 

 

装甲が凹む。

 

 

「まだ、まだァ!!」

 

 

穴だって空けられる!!

 

 

『ヲ、オオオオオオオッ!!』

 

 

――そして、装甲に人一人分の穴が穿たれた。

 

奴の内部が露出し、スパークしているのが見える。ヒマリはこういうのが好きそうだなとは思うが。

 

 

「ぶっ壊れろッ!!」

 

 

『オオッ!!』

 

 

〈――――!!〉

 

 

『グルーミィ・サンディ』の拳が内部を滅茶苦茶にする。巨蛇にも少々堪えたみたいだ。

 

俺はその隙に近くの廃墟の影に駆け込んだ。

 

 

「おい、動けるか?」

 

 

「え、うん」

 

 

「逃げろ。時間は稼いでやる」

 

 

「でも・・・・・」

 

 

言いたいことはわかるが、言わせない様に被せて言う。

 

 

「お前にだって待ってるやつがいる筈だ。とっとと行け」

 

 

「・・・・・わかった」

 

 

少女が駆け出して行くのを見送り、廃墟の影から身を晒す。もう『グルーミィ・サンディ』の透明化は解けている。

 

俺の力を総動員しても奴の巨体を壊せるとは思わない。だからせめて。

 

 

「男には、どうも立ち向かわなければならない時があるらしい・・・・・自分でも見ず知らずの少女を助ける為に命を張るのは馬鹿げてるとは思うがね」

 

 

〈――――――!!〉

 

 

「少し、時間稼ぎには付き合ってもらおうか」

 

 

無理矢理に口角を上げて笑う。

 

此処が、死地か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「ユメ先輩!!どこに行ってたんですか!!」

 

 

「ホシノちゃああん!!私生きてるよぉ〜!!」

 

 

「抱き着かないで下さいというか鼻水を拭いて下さいッ!!」

 

 

「ひぃん・・・・・」

 

 

「・・・・・でも、無事で良かった。ユメ先輩、この前は言い過ぎました・・・・・すみません」

 

 

「ううん。良いの。私は夢見がちだから、その分ホシノちゃんがしっかりしてくれてるってことだから。ホシノちゃんの言う事も正しいよ。それに、奇跡は起きたから」

 

 

「奇跡?」

 

 

「そう。絶体絶命の大ピンチ!!って時に助けに来てくれたんだ。通りすがりの賞金稼ぎさんが、ね?ふふふ・・・・・次は、私が起こす番、かな」

 

 

「起こす、というと?」

 

 

「先ずはアビドスの借金をコツコツ減らす所からかな!!」

 

 

「ユメ先輩にしてはやけに現実的ですね」

 

 

「近道は無いって身を以て体験したからね・・・・・」

 

 

「そうですか・・・・・じゃあ、頑張っていきましょう」

 

 

「うん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおやおやおや・・・・・クックックック。私は死体を回収しに来たはずなのですがね。ビナーを相手に殿を務め、致命傷を負い、それでも尚生きているとは驚くべき生命力だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

光。

 

体を起こす。

 

 

「・・・・・此処は?俺は・・・・・・・・・・誰だ?」

 

 

無い。記憶が欠落している。

 

眼の前に居る黒い異形は誰だろうか。

 

 

「おや、記憶喪失ですか・・・・・まあ良いでしょう。霧島ヒノトさん、取引をしませんか」

 

 

「霧島、ヒノト・・・・・名前か」

 

 

出て来た単語を復唱する。

 

 

「ええ。貴方の名前です」

 

 

「・・・・・何となく理解した。俺は記憶喪失で、お前に拾われた。そしてお前は記憶を失う前の俺を知っている」

 

 

「正解です」

 

 

「そして善人じゃぁ無い。勘だが」

 

 

「クックックック・・・・・正解ですよ」

 

 

成る程。悪い大人、と言った所か。記憶は無く、得体の知れない取引とそれを拒否出来ない状況。

 

思わずため息が出る。記憶を失う前の俺が何をしたというのだろうか。

 

 

「はぁ・・・・・取り敢えず取引の内容を聞かせてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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