あと時系列(不手際)
ある夜。ナギサに呼び出され、俺は彼女のセーフハウスの一つに来ていた。
「月が綺麗ですね、
「はぁ・・・・・ナギサ、要件は?」
「相変わらずつれないですね、貴方は。まあ、それが良いのですが」
そう言って彼女は微笑む。だが、その笑みはぎこちなく感じた。
「あまり時間が無いので手短に話しましょう」
考えを改める。かなり切羽詰まった状況の様だ。
「俺は何をすれば良い?」
「私の護衛を。セイアさんが殺害されたという事は次に狙われる可能性が高いのは同じくティーパーティーである私かミカさんです。私にはミカさん程の自衛能力がありません。考えたくはありませんが正義実現委員会の中に裏切り者が居る可能性もあります」
「だから俺、か」
「はい。現時点での私が
・・・・・信用、か。
「今のお前は、誰も信じられないのか」
「ええ。裏切り者は私の護衛の誰かかもしれませんし・・・・・ヒフミさんかもしれないのですから」
「そう、か」
取り繕い切れていないナギサの思い詰めた表情。疲弊を感じる。ろくに睡眠も取れていなさそうだ。
ああ、俺は彼女に恩がある。ならば答えは決まっている。
「ああ、
救護、か。
◆◆◆◆
「良いですか、ヒノト。救護とは救い、護る事です」
「ああ。迅速に制圧し、運搬するということだな」
「違います」
「違うのか?」
「違うんですか?」
俺といつの間にか背後に居たセリナは疑問符を浮かべる。
「ええ。相手に依って必要な救護はの形は変わります。戦場ではこれ以上怪我人が出ない様に鎮圧を、病人や怪我人には適切な医療を、と言った様に」
「ミネ団長の言う戦場にも救護の手を、ですね」
「ですからヒノト。少しずつ、貴方の思う『救護』を見極めなさい。出来ることをやる、それを有言実行出来る貴方になら出来ます。焦らず、地道に」
「・・・・・わかった」
◆◆◆◆
「目が覚めたか、ナギサ」
一時間前に起きていた俺はベッドから上体を起こした寝間着姿の彼女に言う。
「・・・・・おはようございます」
「あまり寝れてない様だな」
「昨日よりは寝れています」
ふむ、確かに隈は薄くなっているな。
「なら良い。着替えが終わったら呼べ。俺は扉の前に居る」
「待って下さい」
手を掴まれた。
俺は振り返って問う。
「どうした?」
「部屋の中にいて下さい」
「・・・・・わかった」
俺はナギサに背を向けた。
此処はナギサのセーフハウスの一つ。彼女の護衛をする俺も彼女と一緒に寝泊まりをしている。セリナに救護騎士団の事を任せたからこそ出来る事だ。セリナには無理をさせてしまうが、今はナギサを安心させる事を優先したい。
暫くして着替え終わったナギサと朝食を食べる。
直ぐに学園に行く時間になった。心做しか昨日よりも表情が明るい気がする。
「行きましょうか、ヒノト君」
「ああ」
周囲の視線に気を配りながら学園へと向かう。
ナギサは不安を一片たりとも表情に出さず、「ごきげんよう」や「おはようございます」と生徒達に挨拶をしている。
不安で仕方無い筈なのに。
そうして、一週間が経った日の夜。セーフハウスに客が来た。望まれぬ客が。
「はじめまして、霧島ヒノトさん」
「・・・・・浦和ハナコ、だったか」
「ええ。ナギサさんに用があるのですが」
「通すと思うか?」
「ふふふっ」
敵は二人。
・・・・・逃げるか。
俺は部屋の中に入り、ドアに鍵を掛ける。
「ナギサ」
「ヒノトさん?!」
「逃げるぞ」
「っ!!」
ナギサを抱き上げ、窓を蹴り開ける。此処は十階。
「舌を噛むなよ」
「はい」
ドアが吹き飛び、浦和が何かを言おうとしている。
「!!ナギサさん!!待って下さ」
「待たん」
俺はナギサを抱え、窓から飛び降りた。『スタンド』に持たせたライオットシールドを壁面に突き立て、減速して地面に降り立つ。
何だ?知らない部隊が展開している。
その部隊は、此方に銃を向けて言う。
「何処の部隊だ?」
「桐藤ナギサを渡してもらおうか」
答える気は無い、か。
「断る」
俺は左腕でナギサを抱えなおし、右手でショットガンを構える。背中を守る為に一枚は背負ったまま、『スタンド』に残り二枚の
そうして、一夜の逃走劇が始まった。
◆◆◆◆
「ヒノト君、あの時の事ですが・・・・・どうして貴方はあんなに怪我をしても私を離さなかったのですか?」
「約束しただろう?俺に二言は無い・・・・・それと、あの時の疑心暗鬼になっていたお前への救護は『誠実さ』だと思ったからだな」
「『救護』・・・・・ですか。もう少しロマンチックな理由を付け加えてくれても良いのですよ?例えば、女の子を護るのに理由は要らない、とか?」
「勘弁してくれ」
裏切り者の存在が確定
↓
ナギサからの護衛依頼
↓
襲撃(大体此処まで)
↓
???
↓
後日談(最後の部分)