黒曜石は曇らない   作:文才の無い本の虫

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ユメ先「ETO・・・・・なにそれ?教えてホシノちゃん!!」
ナギちゃん「大人の姿ですか?これが??」


第四話「大人と子供と男」

 

 

 

 

 

(ヒマリ)・・・・・」

 

 

「ミレニアムにも友達位居ますよ?!天才であるこの私が!!ぼっちなわけ無いじゃないですか!!」

 

 

「・・・・・はぁ」

 

 

「今ため息つきませんでしたか?!というか信じてませんね?!私はあえて孤高な態度を・・・・・」

 

 

「語るに落ちたな」

 

 

寂しがり屋の白い少女との何気ない会話。

 

 

 

 

 

「今日もですか。精が出ますね」

 

 

「生活費を稼がないといけないからな」

 

 

「そうですね・・・・・経済を回すという面では、私達よりも貴方の方が社会に貢献しているのかもしれませんね」

 

 

「そうだな。だが、 (カンナ)達が貢献していないという訳じゃ無い。賞金稼ぎと警察官(街のおまわりさん)。ただ役割が違うだけだろう。それに、俺よりもお前の方が地域に貢献している」

 

 

「!!・・・・・はは、その通りですね」

 

 

強面に悩むギザ歯の警察官との語らい。

 

 

 

 

 

「一期一会・・・・・情けは人の為ならず、か」

 

 

「君は・・・・・?」

 

 

「俺は (霧島ヒノト)。通りすがりの賞金稼ぎだ」

 

 

()()()()()()()()()()()■■を助けた時の・・・・・

 

 

 

 

 

「『 (グルーミィ・サンディ)』ッ!!」

 

 

 

 

 

あの時の様に、その断片的な記憶が俺ものだと唐突に理解する。

 

俺は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

右手に握る盾の持ち手の感覚と背中の鈍痛で目がさめる。周囲は暗く、硝煙の匂いがする。

 

 

「ゴホッ・・・・・瓦礫か、これは」

 

 

どうやら俺は瓦礫の下敷きになっている様だな。五体満足だが血の味がする。口内を切ったか。

 

腕の中から声がした。

 

 

「!!ヒノト君、ご無事ですか?!」

 

 

「ああ・・・・・ナギサは、無事か?」

 

 

「はい。少し窮屈ですがヒノト君のお陰で傷一つありませんよ」

 

 

腕の中でナギサが言う。どうやら、ナギサの事は護れた様だ。

 

 

「状況は?」

 

 

「わかりません。お役に立てなくて申し訳」

 

 

それ以上言わせないようにナギサの口を塞ぐ。

 

 

「良い。お前が無事で良かった。取り敢えず此処から出るぞ」

 

 

俺は瓦礫を押し退けて立ち上がる。

 

・・・・・酷い有様だ。会場は焼け野原に、ゲヘナやトリニティ関係無く生徒が倒れ伏している。

 

そして、見覚えのある部隊――前の事件の時にナギサを狙っていた奴らと同じ装備――がナギサに向かって銃を向けていた。

 

 

「桐藤ナギサ・・・・・貴様には死んでもらう」

 

 

「それは困る。俺の大切な()なんだ」

 

 

そう言って俺はナギサを左腕で抱きかかえる。軽いな。

 

 

「ヒノト君っ?!」

 

 

「――Vanitas vanitatum et omnia vanitas.なら貴様から死ね」

 

 

彼女達――敵の銃口が俺を捉え、引き金が引かれる。

 

 

「断る。俺は、死ぬ気も、ナギサを殺させる気も無いッ!!」

 

 

俺は右手で盾を構え、『スタンド』を――いや、思い出したソイツ(己の分身)を呼び出して走り出す。

 

 

「『グルーミィ・サンディ』ッ!!」

 

 

『ォ、オオオオ!!』

 

 

瞬間、多数の銃弾が俺に向かってくる。それを盾で受け、『グルーミィ・サンディ』に弾かせながら駆ける。

 

彼我の距離は2メートル程。『グルーミィ・サンディ』の動ける範囲――射程距離は俺から数メートル。故に届く。

 

 

「がっ?!」

 

 

「ぐぅっ?!」

 

 

そうして『グルーミィ・サンディ』が殴り飛ばした敵の分、弾幕が減る。俺はその隙間を縫い、怯んでいない敵にシールドバッシュ(ミネ直伝鎮圧術)と蹴りを叩き込む。

 

驚く事に、奴らは軽く、シールドバッシュや『グルーミィ・サンディ』の拳で簡単に吹き飛んで行く。訓練された者特有の粘り強さはあるが、ナギサを抱えながらでも数分で制圧することが出来た。

 

 

「く・・・・・こんなふざけた奴に・・・・・っ」

 

 

「練度はあるんだろうが、軽い。そこらに居る不良の方が幾分か、マシ、だな」

 

 

最後の一人を『グルーミィ・サンディ』の拳で気絶させる。

 

それから此処から離脱する為に走っていると空間が揺らぎ、薄っすらと透けた――『グルーミィ・サンディ』の様な感じがする――シスター服の集団が現れた。

 

 

『『『・・・・・』』』

 

 

無機質な敵意。まるで機械を相手にしている様な。

 

・・・・・相手は『グルーミィ・サンディ』だと考えた方が良さそうだ。俺はナギサを下ろし、『グルーミィ・サンディ』を出しながら言う。

 

 

「一筋縄ではいかなさそうだ。少し待っててくれ」

 

 

「・・・・・はい。どうかご無事で」

 

 

そして、相手が動き出した――が。

 

 

「遅い」

 

 

その瞬間には『グルーミィ・サンディ』が敵を殴り飛ばしていた。

 

 

「ん?」

 

 

すると相手は幽霊かの様に消えてしまった。

 

・・・・・なんというか、弱い。

 

それから同じ様な敵に遭遇したが簡単に撃退出来た。そうして移動していると、見覚えのある二人が居る集団と遭遇した。

 

 

「ひぃん!!痛いよホシノちゃぁん!!」

 

 

「ユメせ――先生!!もっとしっかりして下さい!!」

 

 

「ん。私もユメ先生はもっとしっかりするべきだと思う」

 

 

S.C.H.A.L.E(シャーレ)の先生と、暁のホルス――小鳥遊ホシノ。

 

 

「ん、誰か来た」

 

 

「あ!!ナギサちゃんだ!!無事だったんだね!!」

 

 

「ええ。先生もご無事で良かったです」

 

 

「で、そっちは・・・・・え」

 

 

S.C.H.A.L.E(シャーレ)の先生は俺の顔をまじまじと見て、大きく息を吸い込んで言った。

 

 

「あの時の人!!!!」

 

 

耳が痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「ヒノト君、あの時はありがとう!!君のお陰で先生をやれてるよ!!」

 

 

「あの時の荷物が今では先生か・・・・・」

 

 

「何気に酷い?!」

 

 

S.C.H.A.L.E(シャーレ)の先生――名前を梔子ユメと言うそうだ――と情報交換をした所、ミサイルが着弾した後にあの部隊は現れたらしい。まるでタイミングを知っていたかの様に。ナギサと同じ様に先生も狙われていたそうだが、あらかじめ呼んで待機させていたアビドス高等学校の生徒達やゲヘナの風紀委員長のお陰で無事だったとか。

 

それからミネ達とも合流し、

 

 

「取り敢えず此処らへんにいたアリウスの子達はホシノちゃん達が全員倒したから一先ずは安心だよ!!」

 

 

主に先生――と言うよりも連れている戦力――のお陰で騒動は早く落ち着いた。

 

騒動の後、先生とアビドス高等学校の生徒達にはあの時の事で礼を言われ、先生とはモモトークを交換した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ゲヘナの黒曜石』が何故トリニティに・・・・・?」

 

 

「ホシノちゃん、どうしたの?」

 

 

「・・・・・いえ、なんでも無いです。帰りましょう、ユメ先輩」

 

 

「うん、そうだね!!」

 

 

「ん、熟年夫婦みたいなやり取り」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「成程な・・・・・身から出た錆だった訳か」

 

 

「はい。難しい問題です・・・・・いえ、でした、でしょうか。先生には一つ、大きな貸しが出来てしまいました」

 

 

あの騒動から数週間後。ナギサとのお茶会で事の顛末をナギサから聞いていた。

 

敵だった者達の名前はアリウス。トリニティで弾圧された生徒達の子孫の様なものだった。聞いた限り生活環境は劣悪で、其処に漬け込んだ大人――所謂悪い大人によって利用され、今回の騒動を起こしたそうだ。

 

故にナギサやミネ達は罪に問う気は無く――下の生徒達は知らんが――寧ろ受け入れさえ考えていたが、先生が「私がどうにかするよ!!」と言って全員を引き取ったそうだ。懐が広いのか、単に脳天気なのか・・・・・。簡単な予想だが、小鳥遊が苦労しそうだ。

 

 

「それでナギサ。俺はどうなる?」

 

 

記憶喪失の時に交わした黒服との取引で俺の戸籍情報は改竄されている。ゲヘナではなくトリニティに。それは重大な犯罪行為だ。

 

そしてナギサはカップを持ちながらさらりと言う。

 

 

「どうもなりませんよ」

 

 

それから此方に微笑み、続けて言う。

 

 

「ヒノト君。私が白と言えば白なんですよ」

 

 

「・・・・・」

 

 

ゾッとする程の美しい微笑み。

 

 

「貴方は私の数少ない()()()()ですから。最後に私の隣に居てくれれば、それで良いのです」

 

 

何故か、蛇に睨まれた蛙の気分がわかるような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









ユメ先生
ボディーガードが死ぬ程強いせいでメインストーリーがトントン拍子で進んで行く。しかも何故かカイザーローンからの借金の利子が法外では無くなった為、色々と順風満帆。

小鳥遊ホシノ
精神的安定度が段違い。暁のホルスのまま研ぎ澄まされた。ゲヘナの風紀委員長が「勝てない」とさえ言ったとか。カイザー泣き寝入りの原因の一つ。

カイザー
当時の生徒会長を排除しようと黒服に依頼し遭難する様に工作したが、色々な要因があり泣き寝入り。(感想とかで聞かれたりすれば答えます。次章で説明する予定ではあるが)



ナギちゃん
絶対に裏切らない人物を公私共に手放せなくなってしまった。自身の物にする為に搦め手だろうと厭わない。




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