ブルーアーカイブ 【TTSM編】   作:アビドス文芸部のモブ

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第2話「結成、シャーレの先生捜索隊」

シロコが、対策委員会のグループチャットに連絡を入れたのち……30分もしないうちに、シャーレの執務室にはそれなりの数の生徒が集まっていた。

 

まずは、アビドスの廃校対策委員会。シロコの知らせに、いの一番に駆け付けたのである。

しかし、今回の件に関して、アビドス廃校対策委員会の委員長である小鳥遊ホシノは、自分たちだけだと力不足だと考え、あと二人の生徒に声をかけたのである。

 

トリニティでは「阿慈谷ヒフミ」に、そしてゲヘナでは「空崎ヒナ」に……。

そして、ヒナが「ゲーム開発部」にも連絡し……シャーレの先生捜索隊が結成されたのであった。

 

~~~~~

 

場所は変わり、シャーレの会議室。そこで、シロコが何が起きたのかの説明をすることになった。と言っても、シロコがやってきてから……の話だが。

 

しかし、シロコが思っていたように、先生は急ぎの外出とはいえ、照明や空調を消し忘れないし、タブレットやウェストポーチを置いて行かず、なおかつ大切なバッチを落としたままにするような人はしないという共通認識があった為に、シロコの話を聞いた仲間たちはその異常性に気付いたのである。

 

「確かに先生が、誘拐か失踪したのは理解したわ……けれど問題は」

「……どうやって先生を誘拐したか。もしくは、どうして先生が失踪したか、ですね?」

 

ヒナの言葉にハナコが続けた。

ハナコの言う通り、先生を誘拐する方法は至難の業だ。銃撃するにしても、先生はヘイローのない人間……撃てば致命傷は避けられず、足を撃ったとしても血痕が残るだろう。それに、先生の体躯は男性のものとしては立派なものであり、いくらキヴォトス人とは言えど、気を失ったガタイのいい大人を運ぶのには苦労するはずだ。

しかし血痕はなく、シロコが来た時、マグカップの中のコーヒーはまだ温かかったという事から予想で約4~6分という僅かな間で、気を失ったガタイのいい先生を、気配すら察知させずに誘拐できるだろうか。

失踪したとしても、先日のシャーレ当番だったコハルが言うに悩んでいる様子や、今度の補習授業部で行くスイーツ巡りを楽しみにしていたというのが分かっている。そんな人間が果たして、今日いきなり失踪するだろうか?

その為、ハナコの脳内は”誘拐・拉致”と言う線が濃厚ではあったものの……確証は、なかった。

 

「……犯人も不明、犯行も分からず……けれど先生の姿がない。」

「せ、先生の事だからきっと大丈夫よハナコ!きっと、誘拐されたって何とか抜け出して助けを求めるに決まってるわ!だって、あの先生だもの!」

 

コハルが胸を張りながらそう言うと、アズサが同意するように頷いた。

 

「うん、コハルの言う通りだ。先生が、簡単にあきらめるなんてことはしないと思う。だから、私たちも諦めずに、行動するべきだと思う。」

「……アズサちゃんの言う通りです!まずは、シャーレのビルの周辺を調べましょう!」

 

アズサの言葉に続けるように、ヒフミが宣言する。

その言葉に、全員が頷いて……

 

「よーっし、じゃあおじさんはヘルメット団やスケバンに声をかけてみるよ。」

「私はホシノ先輩についていきますね~。」

「ん、セリカ、行こう。」

「ま、待ってよシロコ先輩!」

「私は、シャーレのオペレーションルームでみなさんを支援しますね!」

 

「よーし、私たちも行こう!ほらユズ! 段ボールの中から出てきて!!」

「……お姉ちゃん、無茶振りはやめておこう?」

「ユズは、アリスが持っていきます!」

「………。」(段ボールの中で顔が青くなりつつも、頑張ろうと決心している)

 

「……私は、アコに連絡して、風紀委員会にゲヘナに居ないか探させてみるわ。」

 

「私もナギサ様に連絡してみます!」

「……(あとで、サオリやアツコに連絡してみよう。)」

「わ、私はハスミ先輩とイチカ先輩に連絡してみるわ!」

「うふふ~……では、私はアヤネさんのお手伝いをします~。」

 

……とにもかくにも、シャーレの先生の捜索が開始された。

 

~~~~~

 

「ごめんなさい、ちょっといいですか?……今日、シャーレの先生を見ました?」

「うん? シャーレの先生を? うーん、悪いね……今日は見てないや。」

 

セリカがロボット住人に声をかけ、シャーレの先生の行方を尋ねたものの、そのロボット住人は残念ながらシャーレの先生を見ていないようだった。セリカは先ほどから、ロボットや獣人の住人たちに聞いて回っているが……目撃情報は30人近くに聞いたのにもかかわらずなかったのである。

 

そんな中、シロコはホシノと同じく、スケバンやヘルメット団と言った面々に話しかけていた。

シラトリ区に居るスケバンやヘルメット団は、先生のお世話になっているからか、ブラックマーケットやアビドス自治区のスケバンやヘルメット団と比べて、話がしやすいのもあり……何か情報を持っていないのかと、シロコは考えたのである。

 

「ん、ちょっといい?」

 

シロコは、公園のベンチにたむろしシャーレのアルバイトがどうのと話していたスケバンに話しかけた。

 

「あん? って、シロコさんじゃねぇか……アタシらになんか用か?」

 

ツインテールのスケバンが、シロコを見た途端に背筋をただした。

実をいうと、シロコもシロコでスケバン狩りやヘルメット狩りで有名な生徒だ。それに加えて、シャーレでもよく切り込み隊長として活躍しているため、シャーレでバイトをしているシラトリ区のスケバンやヘルメット団からはあこがれの的だったりする。閑話休題

 

「先生を見てない? それか、大きな荷物を運んでる怪しい人物とか。」

 

シロコは、できるだけ棘のない言い方を選び、聞いてみる。

前に棘のある言い方をしたせいでで、シラトリ区のとあるヘルメット団を怒らせたことがあり、先生に叱られたことがあるからだ。今思い返すと、確かに自分の言い方が悪いと感じる。

 

「先生を? 今日は見てねぇな……それに、そんな怪しい人物、見たら忘れないしなぁ……お前らは?」

 

ツインテールのスケバンが振り返り、金髪ロングのスケバンとウルフカットのスケバンに話しかけた。

 

「私も見てないっす……。」

「アタシも見てないです。」

 

二人も今日を思い返したものの、先生や、大きな荷物を運んでいる怪しい人物には心当たりはないようだ。

様子を見るに、嘘をついているわけでもない……。このスケバンたちは、本当に何も知らないみたいだ。

 

「……そう、教えてくれてありがとう。」

「ちなみに、シロコさん……シャーレの先生に何かあったのか?」

「…………。」

 

シロコは考える。

シャーレの先生がいなくなったことは、正直に言うとキヴォトスを揺るがしかねないほどの重大事件だ。もし、シャーレの先生という、抑止力が居なくなったとすれば……悪いことを考えている大人たちが、動きかねないだろう。

けれど、シャーレの先生の捜索に人手は必要だ。対策委員会、補習授業部、ゲーム開発部……風紀委員会はゲヘナの治安を守るのもあり除外するが……13人でキヴォトス中を駆け回って、先生を探すのは……それこそ、アビドス砂漠で針を探すようなものだ。

幸い、シロコはシラトリ区のスケバンやヘルメット団たちは、シャーレの先生のおかげで、口が堅いことを知っている。そう教育しているのを見ていたし、何なら受けたからだ。

シラトリ区のスケバンやヘルメット団たちだけでも協力してもらおう。シロコはそう決めたのである。

 

「ん、あまり大きい声で言えないんだけれど、実は―――」

 

~~~~~

 

「せ、先生がいなくなったっすか!?」

「しーっ!シロコさんが、大きな声では言えないって言ってんだろうがっ。」

「わわっ、すまないっす。」

 

金髪ロングのスケバンが驚くと、ウルフカットのスケバンがそれをしかりつけた。

べしっとかなり痛そうな音が聞こえたけれど、金髪ロングは耐久力がある方なのだろう。全然痛そうにしていない、それどころかウルフカットのスケバンの方が叩いた方の手を痛そうにしており、可哀そうだった。

 

「そ、それってマジなんっすか?」

 

金髪ロングのスケバンが確認してきたので、静かに頷く。

金髪ロングとウルフカットのスケバンは驚いたように目を丸くし、ツインテールのスケバンは思い立ったかのように目をかっぴらいた。

 

「よし、お前ら……シラトリ区の不良共に協力を仰ぎに行くぞ。」

「う、うっす!って、シラトリ区だけっすか?」

「そ、そうですよ姉貴。こんな一大事、縄張り云々のプライドが……」

 

金髪ロングとウルフカットのスケバンが、ツインテールのスケバンにそう言うが……ツインテールのスケバンはムッと顔をしかめていた。

 

「バカ野郎、シロコさんがどうしてアタシらにだけそれを教えたのか考えてみろ……いいか?シャーレの先生がいなくなったってわかったら、動き出すのはブラックマーケットの悪徳企業どもだ……それに、犯罪集団や凶暴な不良どもが、これ幸いと活発化してみろ……あちこちで不良同士の抗争、そして悪徳企業の跋扈に、それを鎮圧しようとするヴァルキューレや風紀委員会、正義実現員会の介入があるんだぞ?」

 

どうやらこのスケバンは、頭が回るみたいだ。シロコが説明しようとしたことをツインテールのスケバンが全部言ってくれた。そして、金髪ロングとウルフカットのスケバンは、事の重大さを理解したみたいで、顔を青ざめさせる。

 

「た、確かにとんでもないことっすね。」

「さすが姉貴……そこまで考えてるなんて。」

 

「……つう訳だ、シロコさんよ。アタシらシラトリ区のスケバンは、シロコさんたちに協力するぜ。」

「ん、ありがとう。ヘルメット団の説得は、私がやっとくね。」

「イイってことよ。んじゃ、行くぞお前ら。」

「「うっす!!」」

 

……ツインテールのスケバンは、金髪ロングのスケバンとウルフカットのスケバンを連れて、裏路地にへと消えていった。

シロコがスケバンたちを見送った後、携帯が振動し通知音が聞こえてくる。ポケットから携帯を取り出し、モモトークを開いてみると……送り主は自分の先輩、小鳥遊ホシノの個人チャットだった。

 

<シロコちゃん、シラトリ区のヘルメット団とは協力関係を結んだから攻撃しないであげてね。あやねちゃんを通じて他のみんなにも連絡済みだよ。>

「……ん、さすがホシノ先輩。『こっちも、シラトリ区のスケバンの協力を取り付けたよ。あとで、アヤネに連絡しとく。』……送信。」

 

どうやら、ホシノの方もヘルメット団に協力を頼んだみたいだ。

シロコが、昔みたいにホシノ先輩が全部一人でやるんじゃないかと言う心配はあったけれど、シェマタの一件を通じて、ホシノ先輩も協力するって部分が成長していると実感した。

シロコが送った文章の後、ホシノから布団にくるまれたハヤブサがOKの看板を掲げているスタンプが送られてくる。絶妙にゆるいスタンプに思わずシロコも笑いそうになるが、堪えてデフォルメされた狼が敬礼するスタンプを送り返す。

 

(じゃあ、次はアヤネに連絡を……)

 

シロコがそう思い、アヤネの個人チャットを開こうとしたその時……視界にやけに目立つ赤色が入ってきた。

性格には視界の隅っこ……シロコがいる公園とは、車道を挟んだ歩道。シロコから見ても”非常に美しい”と感じられる赤いドレスを纏った美女が日傘をさして歩いているのだ。

 

……シロコは自分でも、なんでその赤いドレスを纏った女性が視界に入っただけで気になったのかは分からない。

けれどシロコは何となく、本当になんとなくなのだが……どうも、あの赤いドレスの女性だけは、非常に危険な気配を感じる事ができていた。

 

(……でもたぶん、無関係。)

 

けれど、シロコはそう考えることにした。なにせ、その赤いドレスの女性の日傘を持っていない方の手には、「キヴォトスの歩き方」と呼ばれる観光パンフレットが握られていたからだ。きっとたぶん、キヴォトスの外から来たすっごく強い人なのだろう。とシロコは考えておくことにした。

 

シロコは、とりあえずアヤネに連絡することにした。

 

「……『シラトリ区のスケバンに、協力を頼んだから、みんなにも伝えてほしい。』」

<分かりましたシロコ先輩!ホシノ先輩からもシラトリ区の『ヘルメット団』の協力を取り付けたと連絡がありましたよ!>

「……『ん。ホシノ先輩から直接聞いた。スケバンの事、情報共有お願い。』」

<まかせてください!>(マントヒヒが胸を張ってその胸を叩くスタンプ)

「ん、アヤネのモモトークスタンプのセンスは独特……。」

 

シロコは、アヤネのスタンプセンスにはちょっと引きながらも、少し遠いところでヴァルキューレ生に話を聞いているセリカの元へ向かうのであった。

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