ブルーアーカイブ 【TTSM編】   作:アビドス文芸部のモブ

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第4話「”異常を隠そうとする”異常」

シロコとセリカがシャーレのビルに到着し、シャーレの執務室に移動すると……ホシノとアヤネ、ヒナ、ハナコがボードの前で何やら話し合っていて、戻ってきたシロコ達にも気づいていないようだ。

シャーレ執務室のソファーでは、ゲーム開発部のモモイとミドリが、補習授業部ではコハルが、先生探しで疲れて眠ってしまっているようだった。その眠ってしまった子たちに対してノノミとアリスがブランケットをかけており、ヒフミとアズサはスマホを片手にモモトークで聞き込みをしているようだった。

 

「ん、私たちが最後。」

「結構遠くまで行ったものね~……。ふぁ~……ちょっと疲れちゃった。」

「セリカも寝るべき。」

「んー……そうさせてもらう…………」

 

セリカも聞き込みで疲れていたのだろう、フラフラとソファーの方に向かい、パタリと大きなビーズクッションに倒れこむように寝てしまった。それを見たアリスがトテトテと近寄り、そっとブランケットをかけていた。

 

シロコはそれを見届けた後、話し込んでいるホシノたちの元へと向かう……。

 

「うへ~シラトリ区はほぼ全滅か~、まいっちゃうね~。シロコちゃんたちがなにか掴んでくれるといいんだけれど~……。」

「スケバンやヘルメット団の皆さんも協力して聞き込みしてくれたのですが……先生はおろか、それらしい不審人物も見つかっていないみたいです。」

「……先生はシラトリ区以外に連れ去れた可能性が高いわね……。」

「そうなると、探すのは大変になりますね~。アビドスやトリニティ、ミレニアムならともかく……ゲヘナやレッドウィンターと言った広大な自治領域を持つ場所だと、さらに人手が必要になりますが……」

「その点は、シラトリ区のスケバンやヘルメット団の皆さんがシャーレの制服を着て捜索をするそうです。ですがそれでも……」

 

「ん、遅くなった。」

 

「シロコちゃんおかえり~……その様子だとダメだったみたいだね~。」

「おかえりなさいシロコ先輩!」

「お疲れ様、砂狼さん。」

「お疲れ様です~シロコさん。」

 

話し込んでいるホシノたちに合流し、シロコはいろいろと話す。

ホシノの言う通り、なにも見つけられなかったこと。しかし、探している途中で妙に警戒しなければならないと考えた赤いドレスの女性の事、そして色と形のあるヘイローを持つ少女の事を説明した。

 

「……ふ~ん? シロコちゃんが警戒しなきゃならないって考えた赤いドレスの女の人と、色と形のあるヘイローを持つ女の子……ねぇ。」

「一応、聞いておきますが……”()()()()()()()()()()()()”ではありませんよね?」

「ん、白いぐらいの肌で赤いドレスの女の人だったよ。」

「なるほど、ありがとうございます~。それにしても、色と形のあるヘイローですか~。」

「普通、ヘイローは見えても似たり寄ったりな形なのに、砂狼さんは確かに色と形を見たのね。」

「うん……どんな形だったのかは忘れたけど、青かったのは覚えてる。」

 

シロコ達が情報共有を行っていると……コンコンと執務室のドアが叩かれる音が聞こえてくる。シロコ達が振り返ると、そこには白い制服を身にまとった同じ学生とは思えないほどの色気を持つ黒髪メガネの生徒がいた。

 

「こんにちは……先生はいらっしゃいますか?」

「えっとたしか、連邦生徒会の七神リンさんですよね?」

「ええ、そうです……アビドスの奥空アヤネさん。ところで、これは何の集まりですか?アビドスにミレニアム……ゲヘナとトリニティの方々が集まっているみたいですが……。」

「うへ、ヴァルキューレから報告が行ってないの?」

「はい?」

 

困惑の表情を浮かべる七神リンに、小鳥遊ホシノが代表して、今回の先生行方不明事件を説明しだした。説明を聞き始めるリンだが、最初は半信半疑……そして、若干こちらを疑うような表情を浮かべるモノの、やがて七神リンも、先生が行方不明になったという事を信じてくれるようだった。

しかし、シロコ達はリンのとある言葉に驚かされることになる。

 

「では、モモトークで『書類を終わらせたから取りに来てほしい』と連絡したのはどなたですか?」

 

その言葉に、まずアヤネが固まったのである。

 

「し、失礼ですが……七神行政官、今、なんと?」

「ですから、『書類を終わらせたから取りに来てほしいと』……」

 

その言葉を聞いたアヤネは、先生の執務机に駆け寄り、散らばっていた書類を一枚拾い上げ、穴が開きそうなほど凝視する。

その様子に、リンを含めた、シロコ達は首をかしげるが……

 

「……おかしい、です。」

 

アヤネは、書類を手に、見つめながら、何かに恐怖するかのような震えた声を零した。

そして、手にしていた書類を乱雑に放り投げ、別の書類を……それに目を通したかと思うと、また放り投げ、次の書類に……

 

「そ、そんなはずは、ありえないっ……」

「アヤネちゃん? どうしたの?」

「こ、こんなことって、起きるはずないじゃないですか!?」

 

一人、混乱するように頭を抱えるアヤネ。

明らかに、おかしい様子にシロコ達は警戒を露わにする。

 

「アヤネちゃん、説明できる?」

「ほ、ホシノ先輩っ。おかしいんです、この書類も、この書類も!先生の机の引き出しにあるオペレーションルームの鍵を取るために見た時、何も書かれてなかったんです!でも、でもっ……今見たら、全部の書類が先生の筆跡で、終わってるんですよ!!」

「……へ?」

「オペレーションルームにいる間に、誰かが代わりにやったとか……その可能性はない?」

「ありえないんです!わ、私……オペレーションルームに入る前に、執務室の扉の鍵を閉めてッ……。」

「……アヤネさん、貸してください。」

 

恐怖で怯えるアヤネにゆっくりと近づき、リンが書類を受け取る。

リンが、アヤネに変わり、書類を一枚一枚丁寧に精査し始め……リンの額に、やがて冷や汗が流れ始めた。

 

「これは、確かに先生の筆跡です……でも、あまりに()()()()()。」

「どういうこと?」

「先生が書類を提出してくださる際、必ず一枚か二枚ほどミスをしている場合があります。漢数字の間違いや、改行ミス……あげればキリがありませんが、今回の書類はミスがありません……。」

「待ってください、それってつまり……先生が居なくなったことを隠そうとしているみたいじゃないですか?」

「待って浦和さん……それだと、リン行政官を呼んだらバレるんじゃ……[カサッ]―――え?」

 

ヒナがハナコの言った言葉を否定しようとしたとき、先生の机においてあるメモ帳からメモ用紙が一枚()()()()()()

その光景に、誰もが思考を停止させ、フワフワと浮かび始めたメモ用紙を見つめるしかできなかった。

やがて、メモ用紙だけでなく、書類たちがふわりと浮かび始め……丁寧に、ズレなく重なり合ってゆく。リンが持っていた書類でさえ、リンの手元からフワリと離れ……整頓された。そして、ボールペンがふわりと浮かんだかと思うと、メモ用紙に先生の筆跡で『リンちゃんへ、ちょっと仮眠しているけど、心配しないでこの書類をもっていってネ!』と書き出され、書かれたメモ用紙は、ぺたりと整頓された書類の束の一番上に張り付いたのである。

 

やがて、ボールペンが元の位置に戻ると……奥空アヤネはヘナヘナとその場に座り込んでしまう。

 

「いっ、いま……物が、勝手に動いて……。」

 

震えるアヤネの声だけが、シャーレの執務室に響く。

ノノミとアリス、ヒフミとアズサも目撃したようで、目を丸くして固まっており、リンもまた、信じられない物を見てしまい、目を点にしている。

 

「一体、先生の身に……ううん、このキヴォトスで、なにが起きているの?」

 

シロコの言葉に、誰も答えられる人物は、シャーレ執務室にはいなかった。

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