ブルーアーカイブ 【TTSM編】 作:アビドス文芸部のモブ
「……ん、んん?」
なにやらひんやりとした感覚で、シロコは目を覚ました。
目を開け、光で目がくらみながらもぼやけた視界でそれを見上げる。
壊れて崩れた教室の天井と
「……ここは?」
体を起こし、崩れた教室を見渡す。
机から降りると、床の部分は水が入り込んでおり、靴を通してだが少しだけ冷たさが伝わってくる。
間違いなく言えることは、自分はさっき……そう、ヘイローの色や形が分かるようになって、気分が悪くなって……思い出した。そのあと、謎の言葉が思いついて、そしたらここにいた。
「……結局どこなんだろう。」
思い返してみたけれどやっぱり、ここかどこだかわからないシロコ。
「あー!起きたー!!」
「!?」
いきなり、自分以外の声が聞こえてシロコはびっくりしてその方向に振り返る。
銃も構えようとしたが、いつの間にか持っていなかった。
バシャバシャと二人分の駆け足が聞こえてきて、やってきたのは青いセーラー服の少女と、いつかアトラ・ハシースの本船で見た黒いセーラー服の少女……
「緊急事態……緊急事態なんですー!」
「先輩……それだけじゃ伝わらないと思います。」
青いセーラー服の少女が、シロコの腕を掴んで飛び跳ねており、黒いセーラー服の少女はその青いセーラー服の少女を落ち着かせるように言った。
「えっと……アナタたちは?」
「はっ、失礼しました!私はシッテムの箱のメインOS、アロナです!」
「……同じく、シッテムの箱サブOSのプラナです。」
「二人合わせて……せーの」
「「あろぷらしすたーず~!」」
どんどんぱふぱふ~とどこからともなく音が聞こえ、アロナとプラナがキメポーズを披露した。なんか、かわいい。それがシロコのとりあえずの感想だった。
~~~~~
アロナが、シロコに何が起きたのかを伝えてゆく。
突如として起きた、シャーレビル内の監視カメラ・防犯システムの不具合、シッテムの箱の録画機能の使用不可能、そして先生が着席したと同時に、背後に現れた
「―――『赤いドレスの女性』」
「はい!本当にいつの間にか……私とアロナ先輩が瞬きした瞬間には先生の背後に現れ、先生に組み付いていました。」
「そして、先生に言葉をささやいて……段々と先生のバイタルが不安定になって、それで……それで―――」
「……先生が、少女になって赤いドレスの女性と一緒に消えました。」
シロコは、シュンとなったアロナとプラナを見て、自然と頭を撫でる。そして、考えるのは……アロナとプラナから教えられたアレコレ。
シロコは防犯に関しては、銀行強盗をするときに色々調べたこともあり、多少詳しい……そのため、シャーレの防犯システムが、高性能であることはよく知っている。特に、ミレニアムの科学防犯研究部という部活の作った防犯システムは、ヴェリタスの協力もあって”黒崎コユキ”や”一ノ瀬アスナ”以外の生徒や大人では無効化に時間がかかる。
それに、シャーレに配備されている防犯カメラはヴァルキューレからの依頼でエンジニア部が作り上げた、高性能な防犯カメラだ。ジャミング耐性だけでなく、ナイトヴィジョンやサーマルの搭載、小型のモーターとバッテリーを搭載することで、停電時でも短時間使用可能なもの……自爆機能はついているけれど、それを含んでも十分なほどだ。
それを、一瞬で無力化し、犯行を行い、何事も無かったかのように全て再起動させた?
「……ありえない。」
シロコは自分の中の常識が崩れてゆく音が聞こえ出していた。
しかし同時に、シロコの頭脳は高速で答えを導き出そうとする。
不思議な感覚だった。まるで、数ヶ月も前から期末テストの対策を行い、バッチリ答えられているような、そんなスラスラと疑問が溶けてゆく感覚。
ふと、シロコは自分が知らないはずのとある単語を答えとして導き出していた。
「……【未知からの神々】?」
不思議と、コレだ。という、スッキリした気分になるシロコ。
しかしその途端、ペタンと水の張った床に座り込んでしまう。
「し、シロコさん!?大丈夫ですか!?」
「……メンタルに異常反応、恐怖してますね?」
「んっ……んっ、して、ない、はず?」
シロコは自分が怯えているつもりはなかった。
むしろシロコは、この現象でさえも、理解していた。
自分のヘイローが、神秘が、
シロコは自分の胸に手を当てて、深呼吸を行う。
そして、先生の穏やかで、優しくて、色気のある笑顔を思い出し、自らの神秘を落ち着けたのであった。
「……やはり、シロコさんは選ばれたのですね。」
「……先輩。やはり、シロコさんが……?」
「……砂狼シロコさん、あなたにお願いがあります。」
いつに無く、アロナが真剣な様子でシロコに話しかける。
幼子の見た目とは裏腹に落ち着き払った、大人の姿のようで、シロコは真剣な様子で向き直ることにした。
「シロコさん、あなたを臨時の先生として、このシッテムの箱及びクラフトチャンバーの使用権限の緊急時限定の付与、シャーレ全権限の貸与、大人のカード以外の、先生とおなじ権限をあなたに与えます。」
ふと、アロナの姿が変わっていた。
シロコの記憶が間違えではなければ、負傷し一部が血に濡れていたとしても……その少女は―――
いや、だとしても、今、目の前にいる少女はただのシッテムの箱のメインOSの”アロナちゃん”だ。
シロコは彼女の覚悟の籠った表情と瞳、そして声に深くうなづいた。
「先生を見つけて、必ず助ける。ん、任せて。」
「―――任せました。」
やがて、シロコの意識は浮上していった……。
ふむ、存外、引っ掻き回されるだけかと思いきや……あの道化に従う砂漠の犬が、立ち向かうか。
しかし、彼奴め……面白がって、あの園に手を出すとは。
まあ、いい……奴に好き勝手にされるのは、何かと不都合な場所だ。
どれ、ここはひとつ、
ちょうど、同じような世界から、
悪いようにはしない、むしろ彼奴への牽制として、役に立ってくれたまえ?
その後の自由は約束しようとも……さて、これでどうなる事やら
次回予告
「シロコさんが、臨時のシャーレの先生?」
シロコに与えられた、臨時の先生としての力
「指示待ちの犬ごときがあの方の跡を継ぐなど許せませんわ。」
「犬じゃない、私は砂狼。」
「であれば、あなたが誇り高い狼であると、一対一で証明なさいな……っ!」
それでも、前途多難であり……
「さすがにこれは、マジにならないとヤバイね。」
「ええ、コレは……私たちでも手を焼きそうね。」
キヴォトス最強が冷や汗を流す。
しかし、アビドスの地では不思議な人影が……?
「よぉ、セリカちゃん!って、どうしたんだ?!そんなにボロボロになってっ!?」
「柴、大将?」
「ひぃん、砂嵐に呑まれたと思ったら、ここどこ〜?って、私の盾がないっ!!」
果たして、先生はどこへ行ったのか
そして、赤いドレスの女は一体何者なのか
「おやおや、砂漠の土地だと言うのに、猫がこんなに……警告、ですね?」
「死の神、アヌビス……はて、昔、そんな名前の犬を飼っていたような?」
対策委員会編 外伝
「目覚める夢と砂漠の猫」
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TTSM編 アビドス章
「オオカミに首輪は似合わない」
「ん、銀行を襲う」
「またこのパターンなんですか!?」
砂漠の砂に、不気味な風は吹きすさぶ