異世界出身生臭プリーストはダンジョンの存在する現代で欲に溺れる   作:水色の山葵

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4話 黄金の嫉妬

 

 僕が家に帰ると母はリビングでテレビを見ていた。

 

西園寺正治(さいおんじまさはる)さんの経営するレストランは三ツ星に選ばれ、現在は一年後までの予約が埋まっているという状況に……』

 

 キャスターが紹介するのはイタリアにあるレストランの一つだった。

 日本のニュース番組でそれが特集されているのは、経営者が日本人だから。

 そして僕の母がそれを見ているのは、映っているのが僕の兄の一人だからだ。

 

 僕には五人の兄と姉がいる。

 一人は今日本で最も波に乗っているベンチャー企業の経営者。

 一人は今テレビに映っている三ツ星レストランのオーナー。

 一人は新薬の研究者。一人は著名な画家。一人は世界的な歌姫。

 

 全員が大成功を収めたと言って間違いない人達だ。

 

「あら、帰ってたのね」

「ただいま母さん」

「正治がテレビに出てるわよ。見ていけば?」

「いや、僕は録画で見るからいいよ」

「そう。それで貴方は? 貴方は将来どうしようと思ってるの?」

「僕は、探索者に……」

「あのね、遊びは程々にしなさいよ」

 

 名家というのが理由なんだろうか。

 母さんも父さんも前時代的な人間だ。

 だからたった三十年前に現れた『ダンジョン』や、たった二十年前から職業になった『探索者』という仕事に寛容じゃない。

 

 人様に認められる伝統的で立派な仕事。

 それを僕に求めてる。

 

 テストで上位になっても兄は一位だったという話になる。

 読者モデルなんてやってみても、姉は中学生の時からテレビに出ていたと言われる。

 僕には何もない。兄と姉を越えられる実績が一つもない。

 

 兄さんや姉さんは僕に興味を持っていない。

 最後に話したのは僕の十五歳の誕生日。電話越しにだ。

 上流階級で生きる彼等の目は肥え切っている。

 彼等からすれば、僕という人間はなんの価値も持っていない凡人なのだ。

 

「外で食べてきたから夕飯は大丈夫。もう寝るよ」

「そう。あぁそうだ、これ目を通しておいてね」

 

 そう言って母さんに渡されたのは見合い相手のプロフィールが纏められた資料だった。

 

「貴方、顔はそこそこいいから」

 

 いいから……なんだって言うんだ。

 だから見合いしてこの家にとって都合のいい女と結婚しろって?

 

「いきなり結婚じゃ最近の若い子は困ると思って、お付き合いする期間はあげるわ」

 

 まだ十五の僕にこんな物を渡してくるのが配慮だって言うのか。

 そもそも五十を超えてるおばさんが若者のことを分かってる風に言うなよ。

 

「分かりました」

「えぇ。それじゃあおやすみなさい」

 

 無駄に広い屋敷の階段を上がり、自室へ入る。

 するとポケットに入れていたスマホのバイブレーションがなった。

 

『ごめん良太くん、私ちょっと友達に部活に誘われちゃって探索者続けられそうにない。ほんとごめんね。あ、でもまた今度ご飯でも行こ!』

『悪い良太! 母ちゃんに勉強を疎かにするなって言われちまってさ、大学受験のこととかも早めに考えてた方がいいし、俺探索者やめるわ。スマソ』

『ごめんね良太。私何もできなかったし、私なんかじゃ良太の足を引っ張ると思うから一緒に探索者は無理だと思う』

 

 皆、ダンジョンから出て駅に着くまではまた今度再挑戦しようって感じだったのに。

 それに理由は友達に母親に……僕かよ。

 他人のせいばっかりだな。

 

 『分かった』と三人に返事を入れ、僕はベッドへうつ伏せに倒れ込む。

 

 多分、家や兄弟の名前を出せばプロが僕の探索を手伝ってくれる。

 でもそれじゃダメだ。僕は僕の力や人脈だけで大成しなくちゃいけない。

 

「やっぱりあいつしかいないのか?」

 

 立川燈泉(たちかわとうせん)。あいつには僕と同じかそれ以上の、探索者をやる強い思いがある。

 でも、問題が一つある。

 あいつは少なくとも今の段階で、僕より高レベルの探索者だ。

 クラスやスキルに関係なく、知識や努力の量が僕より数段上のところにある。

 

 そうじゃなければあの度胸の説明が付かない。

 心臓に毛が生えてるとか、物怖じしない性格とか、それくらいの神経でできる芸当じゃない。

 あれは磨かれた技術からくる自信。

 

「でも、あいつは僕より目立つ……」

 

 『僕の隣にいるあいつ』ではなく『あいつの隣にいる僕』になってしまう。

 その名声じゃ僕は満足できない。

 きっと家族も認めない。僕を手伝って貰っただけの人間だと思うだろう。

 兄や姉を越えるには、僕が一番じゃないとダメなんだ。

 

 

 ◆

 

 

 翌日。月曜日の放課後。

 

「行くぞ」

 

 そう言って燈泉は僕に話しかけてきた。

 

「どこに?」

「ダンジョンに決まってるだろ」

「僕は考えさせてくれって言ったはずだけど」

「あぁ、好きなだけ考えろ。俺と組むなら俺と一緒にダンジョンに行った方が考えられる」

 

 四月に免許を取ってから昨日まで、僕は一人でダンジョンに入っていた。

 仮免許で入れるのは低階層だけだが、それでも奥の方へ行けばすぐに僕一人では対処できなくなった。

 

 だから仲間が必要だった。

 でも必要なのは『僕より弱い仲間』だ。

 僕より目立つ奴は必要ない。

 

「それとも一人でやるのか? この学校にはもう見込みのありそうな奴はいないぞ」

 

 その言葉は的を射ている。

 確かにこいつと組むのは嫌だ。

 でも、他に組める奴も伝手も僕にはない。

 

「分かったよ。でも考えて嫌だったらやめるからな」

「あぁ、それでいい」

 

 それから放課後は毎日立川とダンジョンへ行くことになった。

 

 

 立川は圧倒的に強かった。

 ガイコツガーデンの低階層では戦闘に一切の不安がない。

 それを単独で行っている。

 僕も同年代では強い方だと思うが、それでもこいつの強さは異常だ。

 しかも、これで回復(クラス)なんて……

 

 勿論、アンデッドしか湧かないガイコツガーデンがこいつのスキルに合っているというのはある。

 けれど、なんとなくしたその質問の答えに僕はドン引きした。

 

「立川、君のクラスレベルって幾つなんだ?」

「プリースト、ウォリアー、ソーサラー、コマンダー、エンチャンターが5。アサシンは今上げてる最中で4だな」

「は? クラスはメインとサブの二つまでしか同時に使えないのになんでそんなこと……」

 

 僕だってメインのウォリアーが3でサブのエンチャンターが2。他は全部初期値の1のまま、一度も使ったことはない。

 

「メインはプリーストって決めてるんだが、サブはまだ決めてないんだ。だから全部のクラスの全部のスキルを使ってみて一番しっくりきたクラスにしようと思ってる」

「いや、動画とか見ればいいだろ」

「実際に使ってみないと分からないことだってある。それに直ぐに『クラスアップ』ができる訳じゃないしな」

 

 僕たちが使うことができる六つのクラスは初心者用の簡易的なものだ。

 だからレベルは5までしかないし、仮免許じゃ刻印にロックが施されていてこれ以上のクラスは得られない。

 そして、高校生じゃ本免許は取得できない。

 

 なのに。

 

「と言っても本免許を取るまでには決める必要があるから近い内には決める。実際高校生でも国に表彰されるレベルの功績があれば本免を取得できた例はあるからな。俺たちが目指すのはそこだ」

 

 それからもこいつの行動には驚かされることが多かった。

 

「今日でもう一週間連続の探索だ。プロだって探索は三日に一度程度なんだし、もっと休んだ方がいい」

「それは年収一千万行かないくらいのプロの話だろ、目指すところが違い過ぎる。それに怪我しても俺のスキルで治してやるから毎日行ける。心配するな」

 

 違う。僕は疲労を考えて休んだ方がいいと言ったんだ。

 怪我をしたら毎日行けなくなる、ということを危惧した訳じゃない。

 それにダンジョンに毎日入らないといけないプロなんて、相当弱くて稼ぎが少ない探索者だけだ。

 

 高所得者はもっと頻度を減らす傾向にある。

 

 そう諭しても「じゃあ一兆円稼げる目途が立ったらそうすればいいだろ。それと土曜は泊まりだから。お前がいれば交代で見張りできるし徹夜じゃなくなるからありがたい」と訳の分からない言い分が返ってくる。

 

 二週間も経つ頃にはもう僕は確信していた。

 こいつは完全に――イカれてる。

 

 しかしこいつがいることで、こいつも僕がいることで、探索の効率は確実に増し、僕のクラスレベルもどんどん上がっていった。

 とっくにウォリアーとエンチャンターのレベルは5になり、他のクラスも幾つか体験して満遍なくレベル3にすることができた。

 

「良太、お前はウォリアーとエンチャンターで行くんだよな?」

「まぁ、近接戦闘が一番強くなる構成だしそう思ってるけど……」

「そうか。よし、俺も決めた。俺のサブは『コマンダー』で行く」

 

 コマンダー。

 〈念話(グループ)〉や〈地形記録(マッピング)〉などの情報系スキルを持ち、チームで探索をする場合には誰か一人は就いていた方がいいとされるクラスだ。

 

「ちょっと待ってくれ、僕はまだ燈泉と組むと決めた訳じゃない」

「あぁ、そうだったな。けどどうせ俺はプリーストだから仲間は必要だ。ならコマンダーで問題ない」

 

 確かにプリーストがコマンダーをサブに持つのはよくある組み合わせだ。

 でも、限られたスキルの枠に情報系が入ることで確実に単独での戦闘力は下がる。

 

 クラスやスキルを扱う能力、探索やそれに適した動き、そして状況や敵を見抜く洞察力。

 こいつの探索者としてのセンスは確実に僕より高い。

 だったら僕がコマンダーをやって燈泉を強くした方が……

 

「なぁ燈泉……」

「どうした? おい、顔色悪いぞ?」

 

 馬鹿か僕は。何を言おうとしてる?

 

 才能。天才。神童。麒麟児。

 全員が世界に認められる才能を持っている。

 僕はそんな兄さんや姉さんたちにずっと嫉妬してた。

 僕も、同じ場所に立ちたいと願った。

 だから世界から認められるような実績が必要なんだ。

 

 なのに僕は燈泉の引き立て役に甘んじる言葉を……吐こうとした……

 

 そんなのは僕じゃない。

 

「悪い。今日は帰る」

「……そうか。ま、そうだな。毎日は流石に大変か。休暇も考えとくよ」

 

 違う。そんなことどうでもいい。

 僕だって目的のために燈泉と同じように、いやそれ以上に努力するべきなんだ。

 

 恥だ。燈泉が僕より強いから仲間にはなれない?

 上等だ。だったら僕が燈泉より強くなればいいってことだろ。

 

 最初からそうするべきだったんだ。

 どちらにせよ僕の目指すところは探索者の頂なんだから。

 まだ僕にはその自覚が足りてなかったんだな……

 

 日が落ちるのと一緒に僕は一人でダンジョンに向かった。

 槍の魔道具は父さんに誕生日プレゼントで貰った物だから置いてきた。これだって家の力だ。

 

 甘えるなよ西園寺良太(さいおんじりょうた)

 (おまえ)は家族の力を使わずに頂を目指すんだろ。

 

「来い!」

 

 物言わぬ骨の死霊へ向けて切った啖呵に呼応するように、土の中より骸の群れは現れる。

 槍には頼らない。親の金で習った槍術にも頼らない。

 

 拳を握り込む。

 

 あいつにできて、僕にできない訳があるか。

 そんなこと、許せる訳があるか……!

 

「〈治癒(ヒール)〉」

 

 今の僕はメイン『ウォリアー』のサブ『プリースト』。

 そしてこの状態で使える武術を僕は一から編み出した。

 〈治癒(ヒール)〉を両手の拳に纏いアンデッドを殴りつける。

 

 【白浄拳(はくじょうけん)】。

 

 僕は誰に示された道でもない、僕自身の道を行く。

 

 殴る。殴る。殴る。殴る。

 いや、これだけじゃダメだ。

 足にも白い輝きを灯せば、もっと攻撃力は上がる。

 

 殴り、蹴る。汚い荒くれ者がするような喧嘩術。

 今までの僕なら考えられない戦い方だ。もっとスマートに恰好よく、目立つように。

 そんな風に僕は生きてきた。

 多くの人に認めて貰うために。

 

 でもそうだよな。大事なのはみてくれじゃない。

 大事なのは目的を成し遂げる強さと意志だ。

 

 あの時と同じだ。

 〈治癒(ヒール)〉によってスケルトンを倒すことで、魂のようなものが天へ昇っていく。

 そして、まるでその光に吸い寄せられるように、一際大きな覇気を持ったそれは現れる。

 

 首無しの騎士。

 そしてそれが騎乗する首無しの馬。

 

「まるでデュラハンだな」

 

 右手に直剣、左手にカイトシールドを持つ。

 両手の武具もその姿も漆黒に染め上げられ、全身から黒い粒子のようなものを放っている。

 

 感じる威圧感(プレッシャー)はあの巨大骸骨と同等。

 強者の雰囲気。兄や姉と似たような、自分が才人であると信じて疑わない絶対的な自信の権化。

 

「こいよ首無し。僕がこの手でお前を成仏させてやる!」

「随分威勢いいじゃん、お前」

 

 彼は陽気な笑みを浮かべて現れた。

 まるで気配を感じなかった。

 

「燈泉、いたのか?」

「今日は土曜だからな。徹夜で探索してたんだよ。あと、お前声デカすぎ」

 

 プロは基本的に稼ぎの少ない低階層にはこない。

 だからこの辺にいるのはほとんど仮免許の人間だ。

 そしてこんな深夜にダンジョンに来る新米なんて早々いない。

 そりゃ目立つに決まってるか。

 

「一人で勝てるのか?」

「君は上位種に一人で勝ったじゃないか。僕にはできないって言うのか?」

「そうだな。それくらいやってくれなきゃ困る。俺は、見とくぞ」

「あぁ」

 

 拳を構えデュラハンと対峙する。

 奴も僕に狙いを絞り、馬が地面を蹴った。

 

 直剣が振り上げられる。

 ビビるな。怖がるな。

 僕の人生で最も大事な欲望を叶えるためだ、自分の身体くらい犠牲にできない訳がない!

 

「良太、お前――」

 

 ポタ、ポタ……

 

 僕の左手から滴る血は、掴んだ直剣を伝って地面に落ちる。

 『ウォリアー』のスキル〈身体強化〉で防御力を上げる。〈危機察知〉で軌道を予測。〈継続回復(リジェネ)〉と纏った『プリースト』の〈治癒(ヒール)〉で傷を癒すことで、その攻撃を受け止めた。

 

「僕が欲しいのは兄弟の誰も届かない世界一の名声と名誉! 誰からも認められた圧倒的な人気と知名度! 誰も僕に逆らえず、僕を越えたいと願えなくなるほどの、神のような絶対信仰だ」

 

 期待されたい訳じゃない。

 見て欲しい訳じゃない。

 

 僕はただ僕の凄さを、事実として認めさせる。

 

「〈過撃充填(チャージ)〉!」

 

 空いた右手を胸の前で握り込み、願うようにスキルを込める。

 ウォリアーレベル5のスキル。

 それは最大十秒の時間を賭けて、己が放つ次の一撃を強化する。

 その間、僕は一歩も足を動かせなくなるし、攻撃もできなくなる。

 だが、僕はデュラハンが現れてから一歩も動いていないし、攻撃もしていない。

 

 宿った〈治癒(ヒール)〉の白い光が増幅していく。

 

「それがこの人生の目的。それが叶わないのなら死んだ方がマシだ」

 

 僕は兄さんや姉さんを越えたい。

 自分達は天才で、僕のことを凡人だと思っていて、そんな僕を小動物のように愛でる家族に教えてやるんだ。

 

 愛でられるのは、お前等だって。

 

 ガチャガチャと剣を僕から奪い返そうとするその動きを〈身体強化〉で無理やり抑える。

 僕も騎乗はやったことがある。

 馬の上じゃあんまり踏ん張れないだろ。

 それに馬は前には速く進めても後ろに下がるのはかなり遅い。

 僕に剣を掴まれながら後退するのは無理なんだよ。

 

 これは槍を捨てた僕と、剣を捨てられないお前の差。

 

 〈治癒(ヒール)〉〈身体強化〉〈過撃充填(チャージ)〉の三種の力が宿ったその拳を握り込み、突き放つ。

 しかしそれは構えた盾によって阻まれる。盾は少しへこんだが、本体にダメージはあまり通ってなさそうだ。

 

 物言わぬ魔獣であるにも関わらず、まるでデュラハンが嗤ったような雰囲気を感じた。

 

 じゃあもう一発だ。

 

 十秒に一度、僕は本気の拳を叩き込む。

 その間にデュラハンは残った盾で僕を殴るが〈身体強化〉と〈継続回復(リジェネ)〉を持つ僕とお前じゃ限界が違う。

 

 お前と僕のどっちが先に音を上げるか、根比べといこう。

 

 

 

 

 

「期待通りだよ良太」

「勝ったのか、僕は……」

「あぁ、デュラハンは魔道具の盾を残して消えた」

 

 仰向けに倒れた僕の視界に燈泉が横から顔を出す。

 

「にしても名声に名誉か。いいなそれ、そいつは幾らで買えるんだ?」

「知ってるかい? 今や世界最大の国の大統領の名前より世界で一番の起業家の名前の方が有名で、更にそれより世界一の探索者の方が有名な時代なんだ」

「へぇ」

「世界最高の探索者の資産総額は三千億ドル。四十五兆円だ。君の目標『一兆円』じゃ全然届かない。僕を仲間にするなら、まずはそこから直して貰うよ」

「安心したぞ。最近の毒の抜けたお前を見てて不安になってたが、そんな言葉が吐けるんならなんの文句もない。分かった、俺は一兆円じゃなく【百兆円】稼ぐ。これでいいか?」

「あぁ、それなら僕も君に誓おう。僕は回復役であり指揮官である君を守る騎士となると」

 

 差し出された手を握り、燈泉に引っ張られる形で立ち上がる。

 同時に燈泉から〈治癒(ヒール)〉のスキルが飛んできて、僕の身体の傷を治してくれた。

 

「つうかお前、もしかしてサブクラスを『プリースト』にする気か?」

「そうだよ。何か文句でもあるのかい?」

「二人チームで二人共『プリースト』ってバランス悪すぎるだろ」

「ははっ、確かに。でも僕は僕の道を曲げないよ」

「……まぁいいか。ってことは俺が『プリースト』と『コマンダー』。お前が『ウォリアー』と『プリースト』だな。なんにせよ決まったんだ。そろそろ本免を取りに行くか」

「燈泉のことだから何か計画があるんだろうけど、必要な功績はどうする気だい?」

「どうするって、あいつ等を倒しただろ?」

 

 そう言って燈泉が指した方向には黒い盾が転がっていた。

 

「いや、あの程度じゃ……」

 

 探索者協会が公開している魔獣情報に照らし合わせれば、デュラハンは分からないけど燈泉が倒していた巨大スケルトン『ガシャドクロ』は六等級の魔獣だ。

 普段の『スケルトン』が最低ランクの十等級だから確かに強いけど、プロなら普通に倒してるレベル。

 デュラハンだって強さ的にも似たような等級だと思う。

 

 倒しただけで表彰させるような功績になる魔獣じゃない。

 

「違うだろ。ここは『ガイコツガーデン』の低階層だぜ? 普通なら六等級の魔獣なんか出る訳ない。だからこそ仮免にも開放されてる訳だからな」

「どういうことだい?」

「こんな低階層で、ネットで調べりゃ分かるのに、わざわざ大声出して大して金にもならないスケルトンを狩る奴なんざいない。しかも〈治癒(ヒール)〉で攻撃するなんて面倒な方法を選んでな。だから、今まで誰も気が付いてなかったんだ」

 

 悪巧みを成功させたような笑みを浮かべて、燈泉は答えを教えてくれた。

 

「〈治癒(ヒール)〉を使って短時間に大量のスケルトンを倒すことで六等級前後の上位種が湧き、そいつ等は倒されると今のところ100%の確率で魔道具を残してる。この情報がどれだけの価値を持つか、お前にだって分かるだろ?」

 

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