悪役令嬢に転生しても、腐女子だから全然OKです!   作:味噌村 幸太郎

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 このマジーナ王国の第二王子、カデルを洗脳……いや、調教した私は兵舎から追い出され、処刑台へ……。

 なんてことには、ならない。

 むしろ、宮殿内の男性たちに百合文化を布教した”神の使い”、”聖母”として皆から崇められていた。

 

 私は兵舎の暮らしで満足している、と言ったけど。

 弟子になったカデル王子が「そのような粗末な場所で、寝泊まりされては困ります」と宮殿内に新しく部屋を用意してくれた。

 暗く嫌な臭いが漂う地下牢から、いきなりラグジュアリーな部屋へ早変わり。

 

「なんかホテルみたいで、落ち着かないな……」

 

 そう私が呟くと、隣りに立っていたカデル王子がニコリと微笑む。

 

「ユリ様、いえ先生には、これからも私共にご教示していただかなければ、なりませんので」

 

 その場で片膝をつき、頭を下げる。

 

「ほう……私から創作を習いたいと申すか? カデルよ」

「はっ! ユリ様にしか描けない作品を私も見て知りたいのですっ! そして、布教する際に私の魔法が使えると思うのです」

「カデルの魔法って……」

「私の能力は、”コピー”です」

 

 そう言うと、私が作った百合同人誌を左手に持つ。反対の右手は空っぽ。

 

「ふんっ!」

 

 カデル王子は詠唱も無しで、魔法を発動した。

 彼が言った通り、コピーされたのだ。

 左手にあった百合同人誌がなぜか、右手の上にもある。

 

「こ、これは……」

「はいっ! 私の能力があれば、ユリ様の布教をお手伝いできるかと」

「カデルよ。今日からお前は……私の一番弟子だ」

「はっ! イエス・ユア・マジェスティ!」

 

 マジかよ……無料の大型コピー機じゃん。

 カラー入れて同人誌を作っても、無料で刷れるとかチートすぎ。

 持っていて良かった煩悩とカデル王子。

 

 その日から、私とカデルだけの……二人きりの共同作業が始まった。

 

 ~一週間後~

 

 カデルが用意してくれたラグジュアリーな部屋なんだけど……。

 数日もしないうちに、作業部屋と化していた。

 兵舎で見どころのある兵士を数人、アシスタントとして手伝ってもらっている。

 

 それに出来上がった同人誌は、カデルの魔法で、大量複製してもらわないと。

 連日、魔法を連発するため、彼の”マジックポイント”は枯渇しがち。

 ま、一日休めば大丈夫でしょ!

 

 そんなことを毎日していると、噂を聞きつけた第一王子のアランが私たちの聖地に、土足で踏み込んできた。

 

「おいっ! 貴様ら仕事を放っておいて何をやっている!?」

 

 その問いに、アシスタントと化したモブ兵士が平然と答えた。

 

「はい? 百合マンガの制作中です。締め切りが近いので話しかけてないでくれますか?」

 

 眼鏡をかけ直して、視線を原稿に戻す兵士。

 うむ、良い心がけね。

 

「貴様っ! 私は第一王子だぞ? なんて口の聞き方だ……それより、カデル! 貴様も第二王子という身分を忘れたのか!?」

 

 アラン王子は弟を怒鳴りつけるが、反応が無い。

 

「……こ、コピーをしなきゃ」

 

 徹夜で何百冊と同人誌を、コピーしているから力尽きたのね。

 美しくて碧い瞳は白目になり、口からよだれを垂らしているわ。

 上出来よ。

 

「カデルっ!? 一体どうしたと言うのだ! まさか……ユリ。貴様の仕業かぁ!?」

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