――星霊神社【製造部】
身辺整理を済ませ大金を手にした僕。その額なんと……五億円(土地家の売却額も含む)。
戸籍も蘇り人権を再取得した僕は早速本籍を星霊神社の宿舎に移し、引っ越しを済ませたのだった。まぁ僕の荷物なんて記念に取ってある脳保管容器くらいしかないのだが。
いよいよレベリングに取り組もうと専用シキガミの注文をするために、ここ製造部に顔を出したのである。
「俺は【エドニキ】って呼ばれてる、製造部技術系の一応代表者かな? 今はほとんどシキガミ生産場と化してるんだがな!」
「よろしくお願いします。僕は【脳缶ニキ】って呼んでもらってる先月からガイア連合に加わった新人です。……みんな忙しそうですねぇ」
広い和室の中には、死んだ目で紙を呪符に加工する人たち、死んだ目で出来立ての紙を運んでくる人たち、死んだ目で作成したインクを運んでくる人たち、血走った目で呪符に美少女の絵を描く人たち。そしてそれを暗い目で監視する、明らかな強者たち*1。
手作りの温もりというものは、得てして多くの人間の多大な労力から生まれるものだというのがよくわかる光景だった。
「うわぁ……一応僕も【アイテム作成】は持ってるんで、余裕ができたら手伝いますよ。【封魔管】も作れるようになりましたし」
「封魔管なぁ……作るのより使うのが難しいんだよな。ショタオジが悪魔の使役にいい顔しないのもあって習得はガチガチの特訓させられるから挫折者ばっかだ。じゃあ【デビライザー】なんかもぼちぼち作れるのか?」
「それっぽいのは作れそうなんですけど、単純に封魔管六個なんで。ただ、纏めて一つになってる分扱う難易度と失敗したときの爆発も六倍なんですよね」
「駄目じゃねぇか。初見の小学生でも使える様改良がんばれ。他には? ぶっちゃけ作れるなら大体なんでも助かる段階なんだが」
「あとはそうですね。これはデビチルの炎の書・氷の書で追加された奴なんですけど。あっちょっと紙と【マッカ】借りますね」
呪符を作る為に用意された霊的素材の紙に、同じく魔界の通貨兼霊的素材のマッカを合わせて両手で包む。
【相手の大切な物を奪う】能力である、【魂操作(弱)】とそれに付随している【MAG操作】の力を注ぎこみ、アイテム作成を発動した。
「じゃん。完成です! この【カード】カテゴリーのアイテムは一回の戦闘で一枚しか使えませんが、その分効果は中々のモノですよ」
「【アナライズ】ふーん。【盗賊の心】【敵一体が所持しているアイテムを必ず盗む(持っていない敵には無効)】ね。うんうん、なるほどね、うんうん。確保ーーーー!!!」
ぐりんと多くの顔が同時にこちらを向く。元々表情の無い、ベガ立ちで聞き耳を立てていた強者たちが僕の体を取り押さえる。人の限界を超越し鍛え上げられた筋力が抵抗を許さず、僕は為すすべなく床に仰向けに拘束された。
逆さになった僕の視界、見上げた視界にはいつの間にかどこか見覚えの有る一人の少女が立っていた。
「みんな何してるの!? 待ってて、私が助けてあげるからね!」
「ハム子? ペルソナ3の女主人公の……? 何か分からないけど、助けてくれるならお願いします!」
「安心して、私けっこう強「【ハム子ネキ】、お前ズバリ【悪魔】コミュを埋めに来たんじゃね?」……スゥーーー」
WEAK どうやら彼女は序盤からベルゼブブのペルソナ入手を狙っているようだ。好意的に表現するなら僕と仲良くなりに来たと言えるが、その発想は悪魔に支配されていると言っていい。
「どう考えてもショタオジ押し倒して【星】コミュMAXが最短ルートでしょ。神社の後継者と【ルシフェル】が同時に手に入る最強チャートやぞ」
「セクハラ止めてもらえますぅー? 仮に私が産休入ったらタルタロス代わりに攻略してくれるのよね?」
「いや俺らペルソナ適正無かったし」
「そもそも入れないしね」
「ね」
ノリで僕を捕まえただけの強者たちはそっと僕を起こし、椅子に座らせてくれるが手は肩を掴んだままだ。
「いいか? 俺も前世ではデビチルを全てプレイしていた。パズルdeコールとメシアライザーは除く。その俺が言わせてもらうが……敵全員確定アイテムドロップのカードも存在する」
「……また今度いっしょにご飯でも食べにいこーね!」
「邪気は去った」
どうやら絆が武器の主人公は物欲の前に敗北したようだ。ペルソナの【シャドウ】は宝石落とすからね。3の彼女ではなく4の番長なら助けてくれただろうか……*2。
「【アイテムを作る】【レベルも上げる】どちらもやらなきゃいけねーのが俺たち製造部の辛いところだ。覚悟はいいか?出来てなくても頑張ってもらう。まぁ脳缶ニキはショタオジにレベル上げ要求されてるって聞いてるし、元々やる気あるからここにきたんだけどな」
「そうですね。レベルを上げれば作れるカードの種類も増えていくでしょうし。それでシキガミ注文しに来たんですが」
「そうだったな。とりあえず求めてる役割と、外見、あとは使う素材だな。素材はまだ異界行ってないから持ってないだろうがローンで買えるぞ」
「物理型の前衛アタッカーがいいですね、タンク寄りの。外見はデビチルのエレジー*3でお願いします。素材はちょっと分からないんでアドバイスが欲しいですね」
「デビチルトークに飢えてるから俺から話させてもらおう。エレジー可愛いよな。アニメにはいないがボンボン版か? 素材は俺たち自身の肉体を使うのが一番強いぞ」
「ほんとはエレジーより未来*4のほうが好きなんですけどね。レナ*5や亜美*6も可愛いけど、前でて戦ってもらうならエレジーかなと。外見は原作寄りで。素材は肉体ですか? カンストまで使うなら何人分くらいですかね?」
「カンスト……? ちょっと何言ってるかわかんない……ショタオジに聞いてくれ」
「コロコロ派の俺の意見も聞いてくれ。霧崎マイが初恋だった。アイテム作成でもレベルは上がるだろ?そしてシキガミのレベリングをすれば持ち主にも経験値が行く。つまり……本体はここでカードを作ってもらって、シキガミを俺たちでパワーレベリングすればいいんじゃないか?」
「コロコロ派の分際で頭いいな……だが戦闘経験が得られないのは不味くないか?シキガミはスキルカードでどうにでもなるが、戦う気満々の脳缶ニキがレベルだけ高くなっちゃうのはどうよ?」
「あー、それなら適当にショタオジにお願いしますよ。戦闘訓練も付けてくれるサービスありましたよね」
「なんでこいつ地獄から帰ってきてまた地獄に戻ろうとするんだ? 空気が合ったの?修羅じゃなくて羅刹*7なの?」
「いやー。でも受けた方が絶対強くなれるし、どの道戦闘訓練は受けるつもりではありましたからね。僕は過激派の拠点に殴りこんで皆殺しにできるくらいには鍛えるつもりなので!」
「そう…………とりあえず、まずはシキガミだな!割り込み料金は俺たちで割り勘しとくから、性能をショタオジと相談してくるといい」
「はい!」
製造部の別室、シキガミ仕上げ室でショタオジに見張られて軟禁されているショタオジに相談したところ。
「あぁ肉体素材? 君なら3人分くらいで満タンくらいじゃない? あの眷属もすぐ進化させることになるだろうし、その時に使う分も合わせて4人分採っとこうか」
「分かりました!」
そう答えた瞬間、僕の首はコロリと落ちた。せっかくなので【変化】で小さな足を生やして着地してみる。
「……それ人前ではやらないほうがいいよ。ガチで引くわ」
いきなり人の首を刎ねる人に言われても……
インガオホー!アワレなデビルマワシモノ=サンは暗黒リンカーネイション=クランの人型プリンターになりました。有用アイテムを一人だけ作れてしまうのが悪いしシカタナイネ。
とはいえ現物をアナライズすれば普通に作れる人はいるでしょうし今だけですね。
盗賊の心カードは350マッカの店売り品ですが宝探しカードは非売品なので制作難易度が上という設定。50レべもあれば作れるんじゃないかな(適当)