実際ベルベットルームの住人達の年齢って幾つなんでしょうね?()
夕方、陽が沈みかけたベルベット特別学園高等学校。
一人きりの生徒会室で、快活な声が
『……という事で、もうちょっと向こうの用事に付き合う事にした』
「そっか!いやー、珍しいねぇ!湊がそこまで興味を持つなんてさ」
生徒会長のアレテーは、電子音声の向こうで寛いでいる湊に向かってそう言った。
『そうだね。僕もここまで関わるとは思ってなかった』
「あはは、そりゃもう奇跡みたいなものだね!シャーレにも所属できたっていうし、目下の目的は全部終わって楽ちんかも〜」
『うん…………会長さ』
「ん、どったの?」
『会長が手紙で僕達の
何処までも冷静な湊の声に、トーンを落として答える。
「……———うん。キヴォトスじゃ、大人ってロクでもない奴等ばっかりじゃん?蓮が怒るくらいには」
『それはわかる』
「だよねぇ…………でもね、その中でも『先生』は信じられる人だったから。だって、あの連邦生徒会長が直々に選んだんだよ?なら大丈夫じゃんってね……
『そっか……詳しい事は、自分から先生に話すことにするよ』
「うん、そうして?私はほんとにざっくりとしか話してないし、そこから更に詳しい所を私が話すわけにもいかないからさ」
今や
あの後ろ姿をふと思い出して、芋蔓式に口が動いた。
「…………———私さ、君達が来る前に会長に逢ったことあるんだぁ」
『———そう、なんだ』
「あはは、あんまり驚いてないね」
『まぁ、会長は……『アレテー』は言ってしまえば
聡明な彼女の言葉に感心して続ける。
「うん、正解。『不確定な未来ときっと訪れるであろう奇跡の為に、私は私の成すべき事をします』って言われちゃったよ。それが失踪っていうのは流石に予想出来てなかったけど」
『向こうも向こうでそうしなければいけない事情があったんだろうね』
「私もそう思う。主*1も基本的には不干渉、私や皆がそれぞれ自分の道を切り拓いていくって言ってたし……失踪してしまったというよりも、失踪しなければいけない理由があったのかもね」
……言葉にしながら、頭の片隅で少しだけ考える。
失踪するという事は自分が会長として立たなくなる、ということ。
それは逆を言えば
先生とツーマンセルで動かなくても良いのか、とも考えるが、そういう訳でも無いのだろう。
恐らく、自分の存在が何処かで必ず良くない結果を招くと知った。
だからこうしてキヴォトスから姿を消したのだろう。
ならば……わざわざ私と相対して話をした理由は?
彼女は相対して話すのは貴女が初めてだとも言っていた。
それが意味するのは、何か———
「……ね、湊」
『?』
「もしもさ、自分が連邦生徒会長と同じ展開になっていたとして……
互いの呼吸の音だけが静かに響く。
たっぷり時間を使った湊は、予測だけど、と話し始めた。
『連邦生徒会長は、恐らく並行世界への干渉が可能なんだよね』
「そうだね……多分、そうだと思う」
『干渉を続ける過程で、最悪の展開を幾つも観測した彼女は「自分が導くのではない」という結論に達した。その理由が、自分の立場にあることも』
「……続けて」
『だから、自分の代わりとして先生を呼び、自分はその場から退いた…………ってだけなら、簡単なんだけどね』
窓枠に置いた左手が、ピクリと震える。
『多分だけど、自分が退いても尚最悪の展開が跋扈する事を知ったんじゃないかな?そしてそれを打破する存在というのは、決まってこう呼ばれる———』
途端に到達した言葉が、電話の向こうと重なった。
そう言い切った時、不思議と胸のつっかえがとれたような気がした。
不明瞭ながらも前後が繋がり、考察が少しずつ進んでゆく。
『会長にとって、僕達の存在はイレギュラーそのものだと思う。先生や蓮、悠は兎も角として、死んだ僕がまたこうして生きている事は普通に思えばおかしいから』
「…………会長は、私達っていうイレギュラーに期待してるのかな」
『さぁ?本人が居ないから、そこは知らないよ』
「ま、そうだよね……うん、わかった。長々と電話してごめんね?そろそろ切るよ」
いつの間にか落ちていた視界を前に上げて、ふぅっと溜息と共に告げる。
湊は大丈夫、と返して、
『また何かあったら連絡するから』
と言って電話を切った。
モモトークのホーム画面をぼうっと見つめて、至極穏やかに。
扉の方を振り向く事なく、告げた。
「許可もなく不法侵入とは、感心しないね?」
「———ククッ、これでも上手く隠れていたつもりだったのですが」
空間にノイズが走り、そこから真っ黒な大人が現れる。
目元に罅の入った不気味な彼に、尚も顔を向けずアレテーが言う。
「隠れれば良いってものじゃないんだけどなぁ」
「まぁまぁ……しかし、ご連絡もせずに伺った事は謝罪致します。
飄々とした態度を崩さない彼の言葉に、彼女はそう、と返すだけ。
「ですが……以前のアビドス砂漠で発生した、かの
「あぁ……
「ククク……それ以降は、私と一つ取引を———」
「あ、じゃあいいや」
「———参考程度に聞いておきましょう、何故でしょうか?」
少しだけ空気の重くなった空間で、アレテーは尚もいつもの調子で言う。
「ロクでもない大人に私から何かを伝える義理は無いんだよ?」
「そうですか……ならば、私が独自に探らせて頂くとしましょう……異聞録学部。彼女達は、私の研究に大きな進歩を」
「———ッ!!」
ガチリ、と大人の身体が軋む。
その重圧に、彼は後の言葉を紡ぐ事も出来ずに固まった。
「随分と面白い事を言うね、君」
アレテーは初めて此方を見た。
瞳孔が開いたその金色の眼は暗くなっていく部屋の中で鮮やかに輝き、ヘイローは存在を主張するように淡く光って揺れている。
「
軋む身体に視線を落とす。
「———これ、は」
首と腹に一対の刀、心臓に槍……そして、後頭部にもう一人。*2
……いや、これらは
「此処がキヴォトスで、そして相対したのが
「ッ———クッ、クックック……嗚呼、矢張り不可解。異聞録学部も、貴女達の力も、死神も、彼等でさえも…………重ね重ね、非礼をお詫び致します。先の言葉は撤回するので、どうか楽にさせては頂けませんか?」
そうして頭を下げる彼にアレテーが手を振れば、殺害一歩手前だった三体のペルソナは青い硝子のように儚く消えていった。
同時に、光っていた瞳やヘイローも元の彩度に戻る。
「……ま、私はこうして言うことしか出来ないからね。貴方がこの後直接交渉しても良いけど、あの子達は私より過激になれるから気を付けてね」
「それはなんと……踏んだのは、虎の群れの尾だったのかもしれませんね」
ネクタイを正す彼の言葉に思わず吹き出す。
「あっはは!虎の群れ、ねぇ…………神や概念に打ち克つ存在が、たかが虎如きで形容出来る訳ないじゃん」
「———は、?」
信じられない、と言わんばかりに固まる大人。
「貴方の研究についてはざっくり察しが付いてるけど、それで私が動くことは無いよ。ただ…………」
「あの子達が動いたその時は、貴方の失態が故だからね?」
「———会長、ただいま戻りましたー」
「ん、おかえりなさーい!お疲れ様のチョコあげる!」
「ありがとうございます!…………あれ?」
「どしたの?」
「いや、なんでも……会長、今日お客さん来ました?」
「………………———いや、今日は誰も居なくて暇だったよぅ……湊ちゃんもミレニアムで暫く先生と行動するって聞いちゃってさぁ……」
「え、そうだったんですか……じゃあ、私は明日お昼暇ですし……一緒にご飯、食べに行きます?」
「!良いの!?行く行く!私が奢ったげるね!!」
「え、良いですよそんな!自分の分は自分で……」
「いーのいーの!それなら食後のスイーツは奢って?」
「それなら、まぁ……じゃあ、明日ですね」
「うん、ありがとー!また明日ねー!!」
▽ここまでの物語を記録しますか?
>はい
いいえ
アレテーのヘイローはローマ数字の「XX」の真ん中を外側に引き伸ばして輪っかにしたような形をしています
最後に話してたのは生徒会役員の二年生モブちゃんです
という事で、審判コミュ「ゲマトリア」でした。
今回のエピソードで、生徒会長として、三人組の『案内人』として、「悪い大人の勧誘をずっぱり断った」という事実が出来ました。
この事実のお陰で、今後もしゲマトリアが主人公ズに勧誘してきたとしても「会長が断った事実があるのにどの面下げて」と言い返せるし、実力行使をしてきた場合は「断ったのに無理矢理協力させようとしてきた」という形で反抗する事も可能です。
主人公ズは生徒相手には手加減しますが、ゲマトリアなど悪い大人に対しては一切の容赦無く反撃するので、主人公ズはゲマトリアに対してかなり強いカードを持てた、という事になりますね
正直このエピソード、蓮が対応してたら普通に取引相手になってたかその場でヌッコロだったと思うのでアレテーにやらせてよかったなぁって()
あとアレテーにマーガレットセレクション持たせたかったってのもあります(どうしてもアレテーをお兄様お姉様好き好き大好き〜のシスコンブラコンにさせたい筆者の妄言)
なんか主人公ズにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=332370&uid=276197
刈り取るさんの方の話(完結済)↓
https://syosetu.org/novel/349213
現地オリ生徒(覚醒者)とのストーリーが浮かんでしまいました。このストーリーについて意見をお聞きしたいです。
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見たい(本編同時空で)
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見たい(本編別時空、Ifストーリーで)
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見たい(全く別の作品として)
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見たくない