に゛ゃ゛ん゛に゛ゃ゛ん゛!゛!゛(違)
美術館なまら楽しかった!!*1
キヴォトスの中と外の美術観がどう繋がってるのかは知らないけど、見る限り以前斑目展などで観たような作品やピカソやラファエロなどの外の作品は全くと言って良い程に出てこなかった。
しかしそれを差し引いてもお釣りが来るくらいには良い作品が多かった。
というかこれらの作品達を同じ高校生が作り上げたっていうのが凄すぎる。
高校生というと自分達が怪盗団をやっていた頃……だから一年ほど前になるが、それでも知っている限りだと祐介*2しか絵の才能を持つ人は知らない。
しかも現ワイルドハント生だからか、桜井さんの造詣が深く解説も聞きやすかった。
彼女自身文学専攻というのもあってか、つい興が乗って二人で作品の考察をしたり
「ふぅ……」
そうして今、俺は大通りのベンチで人の流れを眺めている。
こんなのんびりしていて大丈夫なのかと思われるが、これが今回の依頼の形態なのだからしょうがない。
ベンチの中央を分断するように茶色い学生鞄を置き、手元にある手動撮影機*4のダイヤルを回し、軽く覗いてボタンを押す。
パチンという軽い音に合わせて、今この瞬間の景色がフィルムの中に保存された。
目の前では、流れる人に混じって鳴上さんと有里さんが二人でアイスを食べていた。
女子高生よろしく買い食いをして、お互いのフレーバーに舌鼓を打っている様子が見てとれる。
後で俺もそこ買おう、と考えていると、ふと隣に陰が差した。
「こんにちは」
「こんにちは、ここ座ります?」
「良いのですか?」
緑の服に淡く合う、色白の少女だった。
彼女は自分の差し出した手に優しく微笑むと、尻尾を前に回すようにして座る。
猫の耳と尻尾を持つ、どこか儚さを漂わせるような雰囲気。
まるで
「見ない服だと思ったのですが、ワイルドハントの外からいらっしゃったんですか?」
「はい、そうなんですよ。以前外出した際に偶然ここの学院の方を助けた事がありまして。お礼がしたいので是非、と」
彼女の問いにそう答えれば、ぱちくりとひとつ瞬きをしてからふわりと微笑んだ。
「そうだったんですか……寮監隊として、私からもお礼を言わせて下さい」
「いや、そんな……タイミングが良かっただけですよ」
それでもですよ、と頑なな彼女に折れて、そういえばと呟く。
「寮監隊って、なんか格好良い響きですけどどんな事をされるんですか?」
「そうですね……度が過ぎた活動を取り締まったり、美術品の警護をしたり……有体に言えば、治安維持組織ですね」
そうだったのか、と相槌を打ちながらも、今の状況の悪さに少し歯噛みする。
密輸の現場に治安維持組織が居るとなれば、物品の受け渡しも出来ない。
……だがまぁ、ゆっくり長く見てやれば良いだろう。
「やはり……居るんですか、
「えぇ、まぁ……拡声器で寮の窓を割られた時は、どうしたものかと」
「oh……」
何をどうしたらそうなるんだ*5。
失笑が俺達の間を流れる。
それが落ち着いてから、彼女はふと口を開いた。
「どうやら、キヴォトス……特にD.U.地区の方では、『慈愛の怪盗』という七囚人の一人が活動しているみたいなのです」
「『慈愛の、怪盗』……」
その人の異名に大きな引っ掛かりを覚えながら*6、努めて流して続きを促す。
「その人は予告状を出し、美術品を必ず盗む怪盗。私は人伝ですが、彼女はこう告げたそうです」
「『美術によって創り出された品々が、その価値を理解出来ない者の手で独占される事を認めない』、『人の目に触れてこそ作品には価値がある』」
その言葉には、確かな信念が宿っているように思えた。
「……成程」
「私は寮監隊として、ワイルドハントの治安を守る者として、慈愛の怪盗の行動に大手を振って賛成は出来ません。ですが、その信念は素晴らしいものなのではないかと思っています」
……きっとそれは、寮監隊の人の言葉としては失格なのだろう。
傍から聞けば
「私も何度か学院外に出た事があります。そして、その先で色々な美術品に触れてきました。その中で一つ、雑多に置かれた習作の山の中に、一つだけ私が気に入った作品がありました」
「……その時、私は思ってしまいました」
———なんて、哀しい作品なのか。
「慈愛の怪盗も、同じ事を思ったのでしょうか」
……
ぐい、と背凭れに体重を預けて、ぽつりと呟く。
「間違ってはないんじゃないんですかね」
「え?」
まるで「それは違う」などと言われると信じていなかったかのような、俺から見ても分かる素の驚愕。
「行動と信念をどれも一緒くたにして認めたり否定しなくても良いんじゃないのかな、と俺は思います」
……例えば、美食研究会。
彼女達はゲヘナ学園が誇る*7二大テロリストの一角であり、気に入らない店を爆破するというクレバーさが目立つ。
しかし、彼女達はSNSでも口が枯れる程に記してきた。
ただ気に入らないのではなく、爆破するに足る理由があるから爆破している。
とある店は食品名の偽造をしていたり、またある店は衛生観念の不足が露見したり、またまたある店は店員の態度が酷かったり……
「俺は爆破っていう行動はもうちょっとマイルドになっても良いとは思いますけど、利用する人としてその理由には納得できます」
人に食を提供する責任と結果が伴えば、彼女らはしっかり味わって太鼓判を押す。
「多分、その位緩くても良いとは思いますよ。信念を貫くの、俺は嫌いじゃないし」
「……慈愛の怪盗を、悪だとは言わないんですね」
「そうですね。行動の善悪を決めるより、その行動の中にある信念を俺達がどう解釈するかだと思いますよ?個人的には」
誰かの正義が、誰かの悪になる。
それは
そして、その中でも信念を貫き通した。
だから分かる。
「現に、貴女は秩序側とはいえその信念に納得し、慈愛の怪盗には秩序側の存在を納得させる信念を持っていた。それで良いじゃないですか」
その信念は、運命の鎖程に強く固いのだと。
「……ふふふ、面白い人ですね、貴女は」
「まぁ、変わってる自覚はありますよ」
カリカリとダイヤルを回し、撮影機を彼女に向ける。
「———1枚、記念に残しても?貴女のその微笑みを、残しておきたい」
「あら、良いんですか?なら、とびきり可愛くお願いしますね」
「あはは、スマホじゃないから無理かも……でも、大丈夫だよ、多分」
パチリ、軽い音が鳴る。
頬杖を付いた真っ白い猫耳の彼女は、柔らかく静かに微笑んでいた。
「……さて、そろそろ私も戻るとしましょうか」
一頻り色々な話で盛り上がって、彼女———ミリアがベンチから立ち上がる。
同時に足元の鞄がひょいと持ち上げられる。
「ミリアさん、それは俺の———んむ」
「蓮さん」
取り返そうと開いた口を、彼女の人差し指で止められる。
そしてその指を自分の口元に持っていき、悪戯の成功した無邪気な笑顔でこう呟いた。
「———
彼女から飛び出た
そのまま頬杖を突いて、もう片方の手で緩く手を振って。
「———
……その言葉が届いたかは分からず。
雑踏に紛れ煙のように消えたその姿を横目に、俺はスマホで仕事終了の合図を送った。
▽ここまでの物語を記録しますか?
>はい
いいえ
アキラもといミリアの話は全部筆者の捏造だし、自分のやった事と考えている事を第三者視点で筆者が勝手に考えて話させてるだけです
独自設定ぐるぐるぐるぐるどかーん!なのはいつものこと
という事で隠者コープ「特殊交易部」と道化師コープ「慈愛の怪盗」でした。
なんかミヨちゃんが良い女してるだけだった気がするけど普通に密輸の片棒担がせて内心引け目を感じてたと思うのでヨシ!(良くない)
ワイルドハント美術館の案内を現ワイルドハント生に、それも文学専攻にお願いしたらそらもうそうなるよなとしか
それについて行ける蓮も蓮ではあるが(『知識:知恵の泉』と怪盗としての審美眼があるからついて行けてしまう)
なんか主人公ズにして欲しい事を書き込む活動報告↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=332370&uid=276197
刈り取るさんの方の話(完結済)↓
https://syosetu.org/novel/349213
現地オリ生徒(覚醒者)とのストーリーが浮かんでしまいました。このストーリーについて意見をお聞きしたいです。
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見たい(本編同時空で)
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見たい(本編別時空、Ifストーリーで)
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見たい(全く別の作品として)
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見たくない