シン・ドラゴンボール~無能神とは言わせない!界王神になったオレの奮闘記~ 作:ヤーター・ヤッタター
一応あとがきにビルス様へのフォロー?あり。
前世の記憶を取り戻したのは今から約500万年前。
人間だったときじゃ考えられないような長い時間が経っているというのに、今でもあの時のことは、鮮明に思い出せる。
当時のオレは、父のように慕っていた大界王神様を失い、失意の中、それでも第7宇宙を守るために奔走していた。
なんとか不意打ちでビビディを殺し、その痕跡から魔人ブウの封印した場所を捜索しても見つからず、それどころか大界王神様や他の界王神方の不在の隙に暗躍する輩の対処に追われ。
輩の対処がひと段落したと思ったら、今度は正式に界王神の座を引き継ぐことになった諸々の手続きや儀式、代替わりをご報告するための全王様への謁見。
当時は従者を傍に置いておらず全部1人で対応してたから、本当に大変だった。
『忙しい』は『心を亡くす』とはよく言ったもので、押し寄せるそれらは大切な人々を失ったことへの感情を置き去りにするような日々だった。
それでも嵐はいずれ過ぎ行くもので、諸々の後処理が終わったのは大界王神様を失ってから十数年が経っていて。
──そいつはのこのこと現れた。
「やぁ。キミが新しい界王神かい?」
紫色の
それまで大界王神様の話でしか聞いたことのないその神は不遜な態度で見下ろしていた。
「は、はい。新しく界王神の座を継ぎました、シンと申します。えっと、破壊神のビルス様……ですよね」
「いかにも」
「あ、ちなみにワタシはビルス様付きのガイド天使のウイスと申します~」
破壊神の傍らに立つ天使がにっこりと笑う。
初めて出会う破壊神に緊張しながら軽く頭を下げた。
「えっと、今日はどういったご用件で……?」
「うん。界王神が代替わりしたって聞いて顔を見に来た」
その時思ったのは、「今更?」という疑問だった。
確かに神々の寿命は長く、数年は誤差の範囲と認識されることは多い。
それでも、界王神を正式に継いでから──大界王神様が亡くなられてから、もう10年以上は経っていた。
疑問が顔に出ていたのだろう。目の前の破壊神はなんてことないように言った。
「最近までずっと昼寝をしててね。大界王神が死んだのを知ったのはついさっきなんだよ」
その瞬間。
頭の中が真っ白になった。
今、こいつはなんて言った?
「昼寝、というと……」
「ん? なーんかタルくってねぇ、今回どれくらい寝てたっけ?」
「そうですねぇ。ざっと──48年ほどでしょうか?」
「あれ? そんなに寝てたんだ」
目の前の会話が頭に入ってこない。
ヒルネ、ひるね、昼寝……寝てた?
ずっと、寝ていた?
大界王神様が戦っておられた間も? 何も知らず?
大界王神様が魔人ブウに殺されてしまったときも? ずっと?
寝 て た ? ?
──本来は、『大界王神』という役職は存在しない。
各宇宙の最高神は『界王神』と『破壊神』の2柱で、その上に全王様がおられるが、かの方は他宇宙も合わせた全てを統べる存在。
各宇宙の中においては、本来『界王神』の上に位置する神は存在しない。
けれど大界王神様は『大界王神』という役職をお創りになられ、その配下として東西南北4人の『界王神』を配置した。
何故か。
それは、自分が死んでしまったときの保険のために。
自分が死んでも大丈夫なように、
『界王神』と『破壊神』は双璧の存在であり、
『破壊神』が死ねば『界王神』は死ぬ。逆もまたしかり。
『界王神』と『破壊神』が死んだ宇宙は『神亡き世界』として扱われ、
それを防ぐために。
この第7宇宙を『神亡き世界』としないために。この宇宙に生きる民を、守るために。
『大界王神』と東西南北4人の『界王神』、
けれどそもそも、『界王神』は前線に出る存在ではない。
『界王神』の責務は担当宇宙を見守り導くことであり、担当宇宙を脅かす
それでも大界王神様は、特例処置として『大界王神』という役職を作ってまでも、前線で戦うことを選択した。
それは何故か。
「……ふ……ける、な……」
「ん? 何か言ったか──」
「ふざけるな!!!!!」
喉が張り裂けそうなほどの声を出したのは初めてだった。
脳髄が焼け焦げたと錯覚するくらい、視界が激情で染まる。
「『寝てた』? 『ずっと寝ていた』だと?? ふざけるのも大概にしろ!!」
嗚呼、大界王神様。
貴方様が戦わなければならない理由──戦いを好まず、平穏を愛した貴方様がそれでも前線でそのお命を賭けなければならなかったその訳は、
「お前がそうやってサボっていたせいで、大界王神様は亡くなられたんだぞ!!!」
──
目の前の
胸元にある装飾を捻り上げ、感情のままに叫ぶ。
ふざけるな。
ふざけるなふざけるなふざけるな……!
あのお方はこんなところで亡くなっていいお方ではなかったんだ。これからもこの第7宇宙を導くべき偉大なお方だったんだ。
誰よりも優しく穏やかで、
「 は な せ 」
──衝撃。
全身を襲う衝撃に、一瞬思考が止まる。
気が付くと身体中全てに動かせないほどの痛みが襲い、捻じれたような不格好な状態で地に倒れていた。
ごぽ、と口から血が逆流する。どこかの内臓が破裂してしまったらしい。
振り払われた、ただそれだけで死に掛けているのだと、
「全く、この程度でこんなになるなんて……ウイス、早くこいつを治療しろ」
「はぁ~い。よかったですねぇ、瀕死ではありますが命には別条はなさそうですよ。大丈夫ですかぁ?」
天使がオレに手を翳す。光に包まれてすぐに身体の痛みは引いた。
引いたのに、オレは立つことができなかった。
「あ? ウイス、ちゃんと治したのか」
「あらぁ。もう傷1つありませんよぉ」
「おい、もう大丈夫ならなんとか言え。おい、聞いてるのか」
何も答えられない。
黙ったままのオレにしびれを切らしたのか、破壊神はフンと鼻を鳴らして
残されたのは、無様に横たわる
「はは……」
思わず笑いが漏れる。
「ははは、あははははは……ッ!」
馬鹿みたいだ。
きっと、
オレだって、
でも今は違う。
きっともう元には戻れない。
前世のオレは、いわゆる親ガチャ大外れ。
外面だけはいいから誰も助けてくれなくて、毎日毎日、尊厳を踏みにじられるような日々だった。
だからこそ、前世の記憶を思い出さないうちから、大界王神様のことを心から慕っていたのかもしれない。
あのお方は本当に優しいお方で──理想の父親そのものだったから。
心の底から慕う大界王神様が亡くなった悲しみと。
救いようもなく無様で無力なオレへの惨めさと。
オレを一瞬でボロ雑巾にしたビルスへのどうしようもない■■と■■と■■と……。
全部の感情でぐちゃぐちゃになった混乱の中、オレは前世の記憶を取り戻した。
──それが、今から約500万年前の話。
++++
(ま、今思うと記憶が戻ったのがあのタイミングで助かったよな)
なんせ色々落ち着いて考えてみれば、別の意味で混乱が待っていたのだ。
そもそも全王様とか破壊神とか何!? 誰ぇ!?
第7宇宙とか初耳なんだけど!? 宇宙ってそんなにいっぱいあるの!?
というか、え、タイムマシンって宇宙消滅レベルの超重罪じゃんか!!!!
原作知識を思い出したことで、それまでの界王神としての知識や記憶との齟齬で大混乱だった。
もしかしたらアニメとかゲームとか……超? GT? とかで設定が明かされてたのかもしれないけど、前世のオレは『ドラゴンボール』大好きファンボーイではあったけど原作漫画以外の『ドラゴンボール』に触れたことはなかった。
せいぜい、なんだっけ? 「カカロットォォォ!!」とか叫ぶ金髪白目の筋肉マッチョがいるらしいってことぐらいしか知らん。わからん。
で、諸々思い出して整理して、一番最初に思ったのが「これはアカン」だった。
いや、マジでタイムマシンというか歴史改変って重罪なのよ。全王様に見つかれば地球どころか第7宇宙丸ごと消滅させられかねない。
と、なると、オレはこの『ドラゴンボール』の知識を誰にも知られるわけにはいかないのだ。
オレは慌てた。かなり慌てまくった。
だってこの世界の神々って、
『ドラゴンボール』でも亀仙人や孫悟空とか神々以外の人間も普通に使ってたし、下手したら顔合わせるだけでもアカン。
ナメック星人の最長老とか頭に掌置いて記憶読み取りとかしてたし、多分全王様やガイド天使はその上位互換を普通に使えると思う。
そういう意味でタイミングが良かった。
全王様への謁見は代替わりの件で済ましているし、ビルスのときはまだ記憶を完全に思い出していなかった。
状況が状況だったし、周りの神々連中も気を使って距離を置いていてくれた。
──その時間を利用して、オレは早急に『原作知識を他者にバレないようにするための処置』をする必要があった。
ついでに言えば、『原作知識を忘れないようにする処置』も並行して行う必要があった。
いや、だっていくらこれから数百万年単位で生きる超長命種だってわかってても、
「いざ原作開始!」ってなった時には記憶が彼方になってました、なんて目も当てられない。
イメージは『宝箱』。
誰にも知られないよう、見つからないよう、『
元々、前世のオレにとって『ドラゴンボール』は唯一の宝物だ。
オレと『ドラゴンボール』の出会いは小学生の時、親友が貸してくれた『ドラゴンボール』の単行本だった。
それまでオレは漫画なんて読んだことがなくって、アニメを見せてもらえるような家じゃなくて、『ドラゴンボール』を知らなかった。
親友はオレの事情を理解してくれていた。先生に見つかれば怒られて没収されるのは自分だって言うのに、オレが借りた漫画を家に持ち帰れない*1ことも分かった上で、先生に見つからないよう少しずつ休み時間に読ませてくれた。
漫画を読み終わってからは毎日のように親友と『ドラゴンボール』について語り合った。
あの技がカッコイイ、このキャラが好きだ、あれにワクワクした、驚いた、悲しかった、嬉しかった、面白かった……。
親友は中学へ進学する前に遠くへ引っ越してしまったが、『ドラゴンボール』がくれた熱がオレに生きる希望を与えてくれた。
中学を卒業してすぐに親から逃げて働き出せたのも、『ドラゴンボール』が教えてくれた勇気があったからだ。
まあ、それでも親の保護なしの中卒には色々厳しかったけど、毒親から解放されたことだけでも嬉しかった。
少ない給料をやり繰りして、コツコツと貯めて、『ドラゴンボール』完全版を新品で揃えたのが前世のオレにとって最高の贅沢だった。
自分で働いた金で買った『ドラゴンボール』はオレにとって家宝そのものだった。
幸いオレは勉強が大好きだ。
前世のオレは進学できなかったけど、勉強好きは
調べることも、学ぶことも、考えることも、苦にはならなかった。
だから膨大な神々の記録を頭に叩き込んで、自分なりの解釈で再構成して、最低限の休息以外のすべての時間を術の構築に当てた。
『
『
『
界王神界に誰も立ち入れない塔を造って、そこに引き籠って研究を続けた。
オレの心の中に誰にも侵せない『宝箱』を構築できた頃には、オレが前世の記憶を思い出してからさらに十数年、大界王神様が亡くなってからは30年以上の月日が経っていた──。
(色々と突貫で造った術だから
『あの世一武道会』の武舞台会場で出会った
太陽のように明るくて、大空のような不思議な安心感のある人間だった。『ドラゴンボール』で憧れた
未来トランクスは元の時代へ帰り、セル編は終わった。
この時代から
……もしもオレが生きている世界線が『孫悟空病死√』だった場合のサブプランも考えてたけど、この世界線のオレには関係がなくなって助かった。もし『孫悟空病死√』にもオレがいるんなら、その世界線のオレに頑張ってもらおう。
(ここから、ここからやっと『計画』を始められる)
オレの『計画』……最終目標は大きく分けて3つだ。
1つ目は『無能神と言われない』。
2つ目は『ドラゴンボールの大団円を壊さない』。
そして、3つ目は──
(オレは『孫悟空』を破壊神にする!!)
──大界王神様が守ったこの第7宇宙の破壊神に、
・ビルス様の「 は な せ 」
いきなり怒鳴って掴みかかってきた界王神にビックリして軽く払いのけただけ
結果、当時の主人公の戦闘力がゴミすぎて*1瀕死にしてしまった
主人公視点ではわからないが、実はビルス様は冷や汗をかくぐらいかなり慌ててたりする
・『神亡き世界』
管理者である界王神と破壊神を喪ってしまった宇宙
超未来トランクスがいた第7宇宙はどう足掻いても『詰んでる世界』だったという身も蓋もない捏造設定
・主人公の3つ目の『目標』
今後の展開のネタバレですが、無事失敗しますのでご安心ください
今後の更新はタグやあらすじにも記載の通り、DAIMAのアニメが終わってからプロットを組み直して執筆予定です。
(もしかしたら我慢できずDAIMAに影響しない範囲で更新しているかもしれませんが……)
少しでも「続きを読んでもいいよ!」と思ってくださった方は、大変恐縮ですがお気に入り登録などをして気長にお待ちいただければ嬉しいです。
DAIMAのアニメが終わったので更新を再開します! 鳥山大先生&アニメスタッフ様、令和にドラゴンボールアニメをありがとうございました!!
DAIMA設定についてはどこまでプロットなどに組み込むかは考え中です。話の流れ的に『神と神』には繋がらなさそうなのでアニオリ・ゲーム・Z映画とかと同じ扱いになるかなぁと今のところは思っています。
本日19:00に最新話を投稿予約済みです。
とはいえ、基本的に