ミレニアムにいる高身長でボサボサの髪で目にクマがあって姿勢が悪くて妖怪MAX依存の生徒について。   作:不健康女好き好きマン

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なんか1ヶ月ちょっと経ってました


悟り←小五ロリ

「なあヒナ。初等部五年生から五年経つとどうなる?」

 

「そうね。5———「知らんのか。中等部三年になる」

 

「言いたいだけじゃない」

 

「そうとも言うね」

 

 

 そう。小五ロリも五年経てば中三ってわけだ。またしてもいろいろ大きくなりましたとも。背とかね。うん。背()()()()()()()。おかげで肩凝りはひどいし慢性的な頭痛も生えてきたしヒナからはたまに敵意のある視線を向けられるしでたーいへん☆そこで書類仕事してる乳呼吸カウベル女に向けるべきだろこの視線。やめてね?

 

 

「あと数ヶ月ね」

 

「そうだね。部屋も見つかったしあとは時を待つのみだ」

 

「ずっと、言いたかったんだけど」

 

「何?」

 

 

 おや。おやおやおや。これはまさか私にも春が来たと言うやつか?確かにせっかくの二度目の人生、全力で楽しむからには“そう言う方面”もありではないかと思いはしたけど初めての恋が女の子だなんてそんな……いや私が女の子かどうかは一旦議論の余地があるにしてももうこの体に馴染んじゃったし男かと言われるとうーん。でもでも、ミレニアムに行くまで少ししかない時間を二人で過ごしたいなんて言われちゃった暁には私もまんざらでないと言うかなんと言うか———

 

 

「ヒナ、やっぱり女の子同士でそんな———「あなたも随分と変わったわね」

 

「え?」

 

「え?」

 

「いや、ごめんなんでもないよ。うん、なんでもない。続けて?」

 

「そう……出会った頃は私のことをヒナさんヒナさんと呼んで慕ってくれて……まだ目にも輝きがあって……うん。もうちょっと可愛げがあった」

 

 

 どうかそんなに遠い目をしないでほしい。確かに育ったし目は死んだ魚みたいになったし猫背は酷いし視力下がったしヒナは呼び捨てになったし敬語は外れたし慕うというより対等な友人と言った方が近い関係になったけど。

 

 

「……人は変わるんだよ。ヒナ」

 

「そうね……そう…………そうね……ええ…………」

 

「そんなに残念そうにされると傷つくよ」

 

()委員長はお忙しいんです。意味のない絡みつきかたをするなら出ていってください」

 

「そんな釣れないこと言うなよぉ〜〜〜あまう〜〜〜あの時牧場で拾ってやった恩を忘れたか〜〜〜??」

 

「全くヒナ副委員長といい私といいどうしてこんな態度が取れるのか……!」

 

「ヒナは友達として順当な距離の詰めかただよ。君はまぁ……うん……ね?」

 

「いいたいことがあるならはっきり言いなさい」

 

 

 はっきりいいなさいと言われましてもね。人生経験豊富(当社比)な私にもわからないことはあるんだよ?例えば気がついたら友人が横乳丸出しでカウベルと手錠つけるとかいうアヴァンギャルドにも程があるファッションになっていた時とか。

 いやまじでいつの間にこうなってた?前それとなく横乳に関して聞いてみても『暑い』とかいうふざけた回答が返ってきたし。世間一般的に暑い時はまず袖の丈を減らすんだよ。そんなとこから排熱する人間がどこにいる。

 

 と、言っても優秀なのは間違い無いんだけどね。どうしても服装に引っ張られて扱いがギャグ要員に寄っちゃうというかなんというか。この優秀さならヒナも天雨も来年からは大組織のリーダー格になるはずだし、今のうちに尻尾を振っておこうという気持ちがあるか無いかと言われればまあなきにしもあらずんば虎子を得ずというものだ。

 

 

「へへへ……天雨さん……肩とかお揉みいたしやしょうか?ええ、ええ、わかりますとも。肩、凝りますよねぇ〜。デスクワークなら尚更だ。ええ、私には分かりますとも」

 

「一体なんなんですかあなたはさっきから……お願いします」

 

「ゲヘヘ……どんなに口は達者でも肩こり(コイツ)は正直だなぁ?」

 

「いやほんとになんなんですか?!」

 

 

 なんなんだと言われても結局天雨アコはギャグ時空送りになるからとしか言いようがないんだけどね?ほら。ヒナもほっこりした顔でこっちみてるからさ。肩揉まれるの初めてか?大丈夫だってホラ力抜けよ。

 

 

「い゛っつつつつ?!痛い!!ストップ!!」

 

「そんな強く揉んでないよ……ちょっと大袈裟じゃない?」

 

「あなたはこのキヴォトスでも純粋なパワーが上澄であることを自覚した方がいいと思います」

 

「喧嘩も力仕事もしないし無用の長物さ。ほら、今度は優しくしてあげるから」

 

 

 うら若き乙女たるこの門星エナになんたる扱い。ヒナに比べりゃ全然赤子も同然でしょうに。この図体でヒナの足元に及ばない時点で山岡はんの鮎……もといカスなんや。そこまで言うなら仕方ない。CPUを扱うがことくの丁寧さを見せてあげよう。どっか折れて動かなくなるとかやめてね?

 

 

「……なんだ。優しくもできるんじゃないですか」

 

「いつも自分の肩をほぐす時はあんな感じだからさ。ちょっと強く行きすぎたね」

 

「どれだけ凝ってるんですか???」

 

「すごく」

 

「んぅ……っ!♡どうりで上手いわけですね」

 

 

 なんだ今の声。とても肩を揉まれてる人間の漏らす感じのアレじゃなかったけど。ほら手止めちゃったし微妙な空気感になっちゃったじゃん。どうすんだよコレ。

 

 

「アコ……」

 

「うん。今のはちょっと……」

 

「ちょっとってなんですか?!マッサージ機に座った時とかあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜って言うじゃないですか!!!」

 

「ならあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜って言いなよ」

 

「言いましたが?!」

 

「んっ……♡だったじゃん。よくないよ天雨」

 

「仲がいいのはいいことだけれど、外ではほどほどにね」

 

 

 ヒナにたしなめられてしまった。いや私と天雨はそう言う感じのアレじゃないんだけど?歳の差遠距離百合恋愛はちょっと私にこなせるものじゃないというかなんというか、どっちかというと私は観測に徹したいというか当事者になるより波動だけ摂取したいというか。どっちにせよとにかく私はお花を咲かせるつもりはないのだ。ないんだよ?

 

 

「ぼちぼち委員長たち帰ってきそうだし私はお暇そうかな」

 

「そろそろあらかた片付け終わってるはず。じきに戻ってくると思う」

 

「副委員長……いや私たちはあなたと違って多忙を極めているんです。出ていってください」

 

「つれないな〜〜。へいへい。私はスタコラサッサですよ〜〜」

 

 

 イーッと邪気を飛ばす天雨とちょっと髪のボリュームがしぼんだヒナを背に風紀委員会室を出る。私とて暇ではないのだ。まだ仕事邪魔しに行かないといけない先あるし。切り替えて次行こう次。向かうは生徒会室!イクゾーー!!

 

 

 


 

 

 

 「チィーッス。寿司の配達でーす」

 

 

 バンと扉を開け室内を見回す。生徒会長あたりにゲンコツをくらわされることぐらいは甘んじて受け入れようと思っていたけど、誰もいなかった。いや、いるにはいるけど机に突っ伏して寝てるっぽい。

 

 

「マコト様〜〜そろそろ寿司を食べないと死ぬよ〜〜」

 

「何ィ?!本当か!!」

 

「嘘に決まってるでしょう」

 

 

 カスの嘘に跳ね起きたのは羽沼マコト。もとい次期万魔殿議長最有力候補だ。いや同じく二年のサツキ先輩が多分やる気なさそうというか議長になる気はなさそうというかマコトの野心がデカすぎるというか。なんすか。ここでも権力者に尻尾振ってんのかって?そうだが?

 

 

「時にエナよ「ごめん無理」

 

「せめて話を聞け。そう、この私のキヴォトス征服計画を!」

 

「耳にタコできるぐらい聞いたよそれ。というかできたよタコ。今朝たこ焼きにしたよ」

 

「お前が聞いたのは序章の一節に過ぎん。次は二節を———」

 

「あーもーうるさいうるさい。どうせ最終的にはお前が必要だ!的なノリで締めるんでしょ?」

 

「ぐぅ」

 

「ぐうの音が出たね」

 

 

 マコトと話すとまず勧誘を断ることから始まる。毎度毎度の恒例行事だけどだんだんめんどくさくなってきた。曰く事務の処理能力とか実地での戦闘能力や指揮能力を総合的にみての判断らしいけど正直あんまりピンとこない。戦闘は昼夜銃声が鳴り響いて不眠になりかけた時のキチゲ解放ぐらいだし、指揮だって天雨の手伝いをちょっとしたぐらいだし。というか私自身魔剤注入しないと使い物にならないのは理解してるし。

 

 

「受験は順調なのか?」

 

「うん。無事提出した制作物も高評価だったし無事合格だってさ」

 

「そうか……確かにお前の技能はミレニアムでこそ輝くのかもしれないな」

 

「なんだ。珍しいね」

 

「一人の先輩として、後輩の門出を祝うというだけだ」

 

「なんか意外だね。引き留められるかと思ってた」

 

「キキッ。私の器はそんなに小さくない。だが、キヴォトスを手中に収めた暁に編入させてくれと泣いて縋っても知らんぞ!」

 

 

 ハーッハッハッハ!!と高笑いするマコト。うーんこのいつも通りの残念美人。顔と政治手腕と戦闘力だけはいい女……キヴォトスで生きる上で必要な全てを持っているな?いやさすが次期会長を虎視眈々と狙うだけはあるというか、コイツなら案外サラッとキヴォトスも手中に収めちゃいそうな気がしなくもないような。情報網はバカみたいに広い上恐ろしく速いし、ゲヘナで進学するなら間違いいなく彼女の下についた方がいいんだろうなぁとは思うけれど。

 

 それでも!私は!!銃声や爆発音が聞こえない場所で生活をしたい!!!

 

 だが、来るべき時に備えておいた方が身のためというのも確かにそうだろう。

 

 

「おいエナ。どうした急に片膝をついて」

 

「人に何かをお願いする時は()()()ってものがあるんだ」

 

「……それはそうだな」

 

「両の手を地に突き、額を擦り付けるんだよ」

 

「待て。落ち着け?」

 

「止めてくれるなよ、マコト。私には私の矜持というものがある」

 

「いや矜持は好きにすればいいが絵面がマズ———」

 

 

 私の辞書にプライドの四文字はない。というか普通に考えれば頭を下げてなんとかなる案件ならさっさと下げてしまった方が早く済むというもの。

 

 流石に土下座はやりすぎだって?確かに過ぎたるは及ばざるが如しなんて言葉もあるけれど、この私の黄金の螺旋を描く美しき土下座を見て意見を曲げぬものはいなかった。それに土下座は最強のカードなのだ。どれだけ私に非があろうとも私がこのカードを切ることにより相手が世間的に白い目で見られる。『うわ、こんな公衆の面前であんなことさせるなんて……』と相手の株を下げることによりこちらを優位に立たせることができる。それでもダメなら全裸土下座でも焼き土下座でもなんでもござれ、文字どうり煮るなる焼くなり好きにしろというやつである。

 

 つまり土下座とは最大の防御にして最強の攻撃。『攻撃は最大の防御』を地でいく、盤面をひっくり返すジョーカーとなりうるわけだ。そんなカード、使わないだけ無駄。とにかくおんおん泣きながらデカい声で謝りつつ地面に頭を擦り付ける。相手は死ぬ!

 

 

「わかった、わかったから。聞くから。な?一旦顔を上げてくれ。私にもメンツというものがあるんだ。なんでも聞く。うん。だからあまりことを荒げるようなことは———」

 

「その言葉を待っていたぞ羽沼マコトォ!!」

 

「ヒッ……」

 

「まあ何かあるというわけでもないけどね。強いて言うならヒナと仲良くってぐらい」

 

 

 マコトはこれでもかってぐらい大きなため息をついた。残念だが当然の反応。

 

 

「エナ。たった今再確認したことがある」

 

「なんだい?」

 

「私はお前が苦手だ」

 

「知ってるよ。だからこそからかいがいがあるというものだね」

 

 

 いよいよ頭を抱えるマコトにサヨナラをと言い残し、生徒会室を後にする。時間もいい感じにつぶれたしいい加減に帰路つくことにしよう。

 季節はもう少しで春を告げる頃。まだまだ冬の匂いが残る風が頬をくすぐり、思わず身震いをした。

 

 今日は帰ったら夜は配信の予定がある。念の為にSNSで枠と内容の告知を行い、スマートフォンをしまう。

 

『テイルズ・サガ・クロニクル』流星の如く現れ今年のクソゲーオブザイヤーにぶっちぎりで輝いた問題作。タイトルは直訳で『物語・物語・物語』となる。お前は何を言っているんだ?私にもわからん……周囲がバグで動作しないとか仕様が純粋にカスとかソースコードが全部バレてチーターや規約違反の魑魅魍魎跋扈するFPSゲームだったりする中、コイツだけは違うらしい。

 

 曰く、一番足りていないのは正気。

 

 話題のゲームには乗っかっておくスタイルの配信者ではあるけれど、はたしてこのクソゲーと名高いゲームがどれだけのパワーを秘めているか確かめさせてもらおう。

 

 モニターが犠牲にならずに最後まで走り切れたらいいな……




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