【宇宙から】ブルアカ✖️恩人三部作のクロスオーバー【キヴォトスへ】   作:財団先生

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財団ヘイロー編 5

 ミレニアムの自治区へ到着した私達は、そのままミレニアムサイエンススクールへの道を進んでいる。

 ここまで順調であり、何事もなく着く筈である。

 

 “今のところ順調だな”

 

 ヒフミ「周囲の異常もありません」

 

 ハナコ「ですが、事態が急変することもあります。引き続き警戒してくださいね」

 

 近未来的な街を進んでいる。が、人が一人もいないようで閑散としていた。所々に爆発跡や、家屋が破壊された形跡があり、ここで戦闘があったことが予想される。

 

 ヒフミ「!皆さん、後方から何がやってきます!あれは……む、虫です!」

 

 誰かは分からないが、SCiPからの攻撃なのだろう。

 

 コハル「む、虫!?私、虫嫌いなのよ!逃げるわよ!」

 

 “まじかっ!戦車の速度を上げられないか!?”

 

 アズサ「無理だ!既に最高速度で走ってる!」

 

 ヒフミ「このままだと追いつかれちゃいます!」

 

 ゼメルア「……ここハ二手ニ分かれるゾ!」

 

 ハナコ「そうですね。それがよろしいかと」

 

 “ゼメルア?ハナコ?何か策を思いついたのか?”

 

 ハナコ「ええ、先生はこのままミレニアムサイエンススクールへ向かってください。私達が足止めをします」

 

 “それはっ!”

 

 ハナコ「先生!今は迷っている暇はありません。目的を見失わないでください。あなたはミレニアムサイエンススクールに行かなければならないのでしょう?」

 

 “……分かった。作戦を認める”

 

 ハナコ「ありがとうございます」

 

 ゼメルア「コハル、アズサ、ハナコ、そして私デ足止めを行ウ。ヒフミハ戦車の運転をお願いすル」

 

 ヒフミ「わかりました!戦車の運転はお任せください」

 

 アズサ「足止めのための罠の材料は既にある。任せろ」

 

 コハル「え!?あの虫と戦うの!?い、嫌よ!」

 

 ゼメルア「それでも正義実現委員会の一人カ?正義実現委員会ハ腰抜けの集まりなノか?」

 

 コハル「ふざけないで!私のことは何言われても構わないけど、先輩達のことを悪く言わないで!分かったわ。やるわよ!やってやるわ!正義実現委員会がどれほどのものかあなたに見せてあげる!」

 

 ゼメルア「そいつハ頼もしいナ」

 

 アズサ「ヒフミ、交代だ」

 

 ヒフミ「分かりました」

 

 ゼメルアがコハルをやる気にさせ、アズサとヒフミは操縦席を交代する。各自、自分の武器を持ち、戦車の上に立った。

 

 ハナコ「止まってしまうと追いつかれる可能性があります。ここは飛び降りましょう」

 

 “……死ぬなよ。皆”

 

 ハナコ「それはお互い様です」

 

 ハナコ、コハル、アズサ、ゼメルアは戦車から飛び降り、後方の虫の大群に目を向ける。

 

 コハル「い、勢いで降りちゃったけど、やっぱり虫は気持ち悪い……」

 

 アズサ「トラップを仕掛けながら後退するしかなさそうだ。虫専用のトラップなんて教えてもらってないがいけるか?」

 

 ゼメルア「爆発だけでも大丈夫だろ」

 

 ハナコ「ここからは私が指揮を務めます。先生がミレニアムサイエンススクールへ到着するであろう時間、30分は粘る必要があります。それまで防御に徹しましょう。コハルちゃん、手榴弾を一発ぶち込んであげてください」

 

 コハル「分かったわよ。せーのっ」

 

 ドカンっと手榴弾の爆発と共に彼女達の戦いが幕を開けた。

 迫り来る虫の大群を足止めしつつ、逃走経路を確保し、30分ほど時間を稼いで逃げる。

 それが彼女達の戦いの勝利条件である。

 

 

 “大丈夫だろうか……”

 

 戦車の後方を見つめながら呟く。事件解決のためとはいえ、私は彼女達を置いてきてしまった。そのことに罪悪感が襲ってくる。

 

 ヒフミ「大丈夫です。皆なら問題ありません。きっと、無事に帰ってきます」

 

 そんな私を元気づけようと明るい声で話す彼女。自分自身も心配なのにも関わらず明るく振る舞う彼女に少し元気をもらった。

 

 “そうだね。彼女達のためにもミレニアムに着かなくてはいかないね”

 

 ミレニアムの校舎に着くまで時間がある。その間に出来ることを、と考えてスマホを手に取った。

 そのスマホを見て私はあることを思い出した。それは『シッテムの箱』そして『アロナ』『プラナ』である。

 

 “やっべっ、忘れてた”

 

 私は急いでシッテムの箱を起動させる。それと同時に青い教室へと飛ばされるのであった。

 

 アロナ「私達のことを忘れるなんて酷いです!」

 

 プラナ「肯定。許されません」

 

 出会った瞬間にいきなり怒られてしまった。

 

 “ごめん。色々あって忘れてたんだ……。!アロナ、プラナ。君たちにも財団のロゴマークがあるのか”

 

 アロナ「あ、そうなんです。気づいたらこの財団ヘイローがあったんです」

 

 “『財団ヘイロー』?”

 

 プラナ「呼称です。『SCP財団のロゴマークのヘイロー』では長いと考えたプラナ先輩が考えました」

 

 “財団ヘイロー……いいね。今度から使おう。それで、君たちのSCiPは分かるのかい?”

 

 アロナ「いえ、全く。触れてみますか?それなら分かるかも知れません」

 

 プラナ「その方が良いと思います」

 

 “そうだね。そうしよう”

 

 私はアロナの財団ヘイローに触れる。そして、精神世界に飛ばされた。

 

 アロナ「ここが精神世界ですか。真っ暗なのに自分や先生がよく見えます。不思議ですね」

 

 “そうだね。っとアロナのSCiPは……!彼女だったのか……”

 

 アロナ「何かあったんですか?」

 

 私の顔を見たアロナは不思議そうな顔をした。おそらく、私の顔は苦虫を噛み潰したような顔なのだろう。

 アロナが宿しているSCiP。それは『SCP-3005-jp』と呼ばれており、財団の理念である『確保』『収容』『保護』の理念を神格化した女神である。いや、だった。

 

 SCP『……あなたは』

 

 “SCP。財団の理念の女神よ。力を貸していただきたい”

 

 SCP「どうして?あなた達は私を不要と判断したのでしょう?今更ではなくて?」

 

 彼女の言い分はごもっともだ。我々財団は彼女をSCPの神格として祭り上げたのにも関わらず、技術の発展と共に彼女を切り捨てたのだ。

 だけど、私にはしなければならないことがある。そのためには彼女の力が必要だ。

 

 “財団の不始末は私が謝罪いたします。どうか、今一度力を貸してほしいのです”

 

 私は謝罪と願いを込めて頭を下げる。この一件を解決するには彼女の力は大きい。『確保』『収容』『保護』の神格である彼女の加護があれば、万が一の可能性を減らせる筈だ。

 

 アロナ「せ、先生!?」

 

 彼女に頭を下げた私を見てアロナはオロオロしているようだ。

 

 SCP「……どうして助けが必要なのですか?」

 

 SCPからの質問。その答え次第では力を貸してはくれないだろう。私は自分の思いを伝える。

 

 “……私の生徒がSCiPという脅威に晒され、危険な目にあっているのです。お願いします。力を貸してください”

 

 SCP「それは財団の人間として?それとも先生として?」

 

 彼女の問いには財団の人間として頼んでいるのか、それとも先生として生徒のために頼んでいるのかを聞きたいのだろう。

 

 “どちらもです。財団の人間として、SCiPという存在を野放しにはできません。そして、先生としては生徒達を助けたいのです。なので、お願いします”

 

 SCP「……わかりました。あなたの誠意に応え、協力しましょう」

 

 “ありがとうございます”

 

 SCP「ただし、あなたの生徒に私にされたことをするのであれば許しません」

 

 “大丈夫です。そんなことはしませんよ。託されていますから”

 

 眩しい光が照らし、現実世界に戻る。どうやら、女神は力を貸してくれるようだ。これで事件解決できる可能性が上がった。

 

 プラナ「先生、次は私です」

 

 “分かった。いくよ、プラナ”

 

 次はプラナの財団ヘイローに触れ、精神世界へ飛ばされる。

 

 プラナ「精神世界に着きました」

 

 “プラナのSCiPは誰なのかな?”

 

 ヘザース「ようこそ、私の安らぎの場所へ」

 

 私達は一人の男性に声をかけられた。彼は黒いスーツを着た初老の男性に見える。

 

 “こんにちは。あなたがプラナに宿ったSCiPですね?私はSCP財団日本支部に所属している者です。あなたの名前をお伺いできますか?”

 

 ヘザース「私の名前がね?私の名前はクリストファー・ヘザース。それともSCP-6368とでも言おうか……。私は財団の亡霊部門に務めていた」

 

 “よろしくお願いします。ヘザースさん……どこかで聞いたことがあるような?”

 

 プラナ「よろしくお願いします。ヘザースさん。ところでどうしてあなたはSCiPになったのでしようか?」

 

 ヘザース「私かい?私は地縛霊になってからの筈だ」

 

 プラナ「えっ、あなたは幽霊なんですか?」

 

 ヘザース「そうだとも。亡霊部門にいた私が亡霊になるとはな」

 

 ヘザースさんは苦笑しながら話す。ヘザースさんとプラナが楽しそうに話す中、私は頭の中に何が引っ掛かる感じがして考え込んでいた。

 

 “ヘザースという名前に地縛霊?どこかで聞いたことがあるような……あっ”

 

 私が思い出したのは財団通信と呼ばれる財団の人間がよく読む社内報に書いてあった特集だ。

 『財団のやらかし案件』という題名に書かれていたものの一つに死んでも尚、働かされた男のことを。その人物こそ、ヘザース秘書官。つまり目の前の男である。

 

 “……ほんと何やってんだ財団は”

 

 少し遠い目をしながら呟いた。

 財団がヘザース秘書官にやったこと。それは死んでしまい眠ることもしなくなったことをいいことに、一切の休息も療養も休暇もない、文字通りの不眠不休で働かせたことである。

 彼が死んでしまったことを隠し、30年以上働かせたのだ。その結果、彼は財団を見限ってしまった。

 本当に何やってんだと言いたくなる案件だ。これは協力できそうにないなと考えていると、プラナが私に話しかけてきた。

 

 プラナ「先生、ヘザースさんが協力してくれるそうです」

 

 “はぇ!?”

 

 予想外の出来事に変な声が出てしまった。

 

 “ほ、本当なんですか!?ヘザース秘書官!”

 

 ヘザース「私も流石に鬼ではない。幼子に助けを求められて答えないなど、大人として恥じるべき行為だ」

 

 “し、紳士だ……”

 

 ヘザース「財団の人間なのは少し気に食わないが、先生としての役目を果たそうとしているのだろう?」

 

 “も、もちろんです”

 

 ヘザース「では、財団が私にしたようなことを生徒にしないと約束してくれたのなら君にも協力する。どうかな?」

 

 “はい。約束します。よろしくお願いします”

 

 プラナの活躍で無理かと思われた彼を味方にすることができた。

 光が照らし、現実世界に戻るったのだった。

 




 アロナ 神に護られるということ(SCP)
 確保、収容、保護しやすくなる加護を与える。この加護はアロナの精神状態によって変化するが、アロナの性格上、最悪の状況になることはないだろう。
 
 プラナ お先真っ暗な仕事
 ヘザース秘書官の知識を得る。霊的な現象のSCPならばその知識から解決策を導いてくれるかもしれない。
 
 
 タイトル: SCP-3005-JP 『神に護られるということ』
 作者: solvex
 ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-3005-jp
 
 タイトル: SCP-6368 - お先真っ暗な仕事
 原語版タイトル: SCP-6368 - Dead-End Job
 訳者: C-Dives
 原語版作者: GremlinGroup
 ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-6368
 原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-6368
 
 ヘザース秘書官についての記事
 http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:2375337-729-ecfi
 作者不明、訳者がいるのかも分からない。
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