【宇宙から】ブルアカ✖️恩人三部作のクロスオーバー【キヴォトスへ】   作:財団先生

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ホシノ、シロコ*テラー編

 ある日の柴崎ラーメンの屋台、残業帰りの先生とパトロール帰りのホシノ、同じくパトロールをしていたクロコの3人が鉢合わせをしていた。

 

 “お?二人ともお疲れ様。ラーメン奢るよ?”

 

 ホシノ「先生にシロコちゃんじゃん。奢ってくれるの?ありがとう!」

 

 クロコ「ん。先生に、ホシノ先輩。お久しぶり」

 

 柴大将「いらっしゃい3人とも。いつもの柴崎ラーメンでいいかい?」

 

 “あ、私大盛りで!”

 

 柴大将「おう、了解!」

 

 柴大将は、ラーメンを作り始めた。

 

 “シロコ、この前はありがとう”

 

 クロコ「私も先生のこと話せて嬉しかった」

 

 ホシノ「なになに?先生とシロコちゃんは何を話したのかなぁ?おじさんにも教えてほしいな」

 

 “ホシノにも聞いてもらおうかな。私の母の恩人にしてシロコの世界の先生のお話を”

 

 私たちはホシノに消防士さんのことを沢山話した。そして、生徒を託されたことも。

 

 ホシノ「……そんな大人もいるんだねぇ…先生だけかと思ってたよ」

 

 “私自身の行動も彼に起因する。彼は私という存在を作った人の一人なんだ。そして、私はその人に託された。……ふふふ。SCP-2000-jpのようだ”

 

 私の顔は笑顔だろう。消防士さんの死は悲しかったし、辛かったけど、憧れの人に託されたことが嬉しいのだ。

 

 柴大将「嬉しそうじゃねぇか。先生にも子供っぽい一面があるんだな」

 

 “やめてくださいよ”

 

 クロコ「ん。〇〇先生、SCP-2000-jpって何?」

 

 “……SCP-2000-jp。終末世界を救い、過去からやってきた、財団の切り札となったわんこだ。私が消防士さんからシロコを託されたように、わんこもまた、一人の男から託されたんだ”

 

 “私の故郷は、それなりに平和ではあったんだ。だが、ある日を境に世界中で人々が自殺するようになった。人々は『Xデーに世界が滅ぶので、その前に自殺をする』という強迫観念に囚われてしまったんだ。それはテレビ、ラジオなどのソーシャルメディアを通じて世界中に広がり、自殺者が日に日に増えていった”

 

 ホシノ「うへぇ!?いきなりとんでもない話をするね先生」

 

 クロコ「ん。ホシノ先輩に同意」

 

 “その状況を打破せんと、私の前職…財団は立ち上がった。どうにかせんと足掻いたが、組織にも自殺者が出始めた。このままでは人類が滅亡してしまう……。財団の一員、五條さんはクレフ博士という上司に頼まれてこの状況の対抗策を探し、そして見つけた”

 

 “見つけたのはコンピュータとネットワーク上で活動する情報知性体で、見た目は可愛らしい犬のキャラクターの姿をしている。そして、モモトークのような感じで意思疎通をすることができるんだ。また、人類に友好的で、5歳の人間ほどの知性を有しているんだ”

 

 クロコ「柴大将のような感じ?」

 

 “いや、黒白のイエイヌだから違うかな”

 

 ホシノ「名前はなんて言うの?」

 

 “正式名称から一部をとって私は『アオ』と呼んでいたよ。この子は特別な力を持っていて、コンピュータやネットのセキュリティを『掘る』ことで突破する能力を持っているんだ”

 

 ホシノ「本当に犬みたいだ」

 

 クロコ「ん。この能力欲しい」

 

 “時間がかかるけど堅牢なセキュリティですら突破できる上、データを『巣』に持ち帰ることも可能らしい。まあ、犬だから咥えて運ぶからその過程で噛んで破損させたりするらしいけどね”

 

 “この子の能力を利用し、この状況に有効な情報を収集することを考えた五條さんは訓練を開始した。しかし『アオ』は知性の低さも相まって上手くいかず、苦戦することになる。訓練中の様子が残っていたが、

 

 五條『目的地でさっき渡したプログラムを実行したら訓練成功だ』

 

 五條『まずは「××××」に行こう。それ以外のルートは危ないから行っちゃ駄目だぞ。「アオ」、大丈夫そうか?』

 

 アオ『うん、分かった!』

 

 アオ『ばしょがわかんない……』

 

 五條『「××××」だ。もっと詳しく説明した方がいいか?』

 

 アオ『だいじょぶ!おぼえた!』

 

 アオ『まよった……』

 

 五條『「××××」だ。分かるか?』

 

 アオ『うん!かんぺき!』

 

 アオ『どこだっけ……』

 

 といった具合で、忘れっぽい子だな”

 

 ホシノ・クロコ「「かわいい」」

 

 “同意。めっちゃ可愛かった”

 

 “五條さんは訓練を必死に続けますが、訓練の結果が芳しくない状態が続きます。ついには『アオ』が拗ねて訓練をやめて『巣』にこもってしまったんだ”

 

 ホシノ「上手くいかなくなるとそうなるよねぇ」

 

 “どうにか訓練をしたい五條さんは褒美があれば頑張れるのではないかと考え、褒美をあげると言いました。それにアオは返した。

 

 アオ『じゃあ、あたらしいなまえがほしい。とくべつなの』

 

 五條『「アオ」以外の名前を付けるだけでいいのか。成功したら特別な奴でも何でも付けてあげよう』

 

 アオ『ほんとに?じゃあ『SCP』なんとかってなまえがいい。ばんごうふるやつ』

 

 五條『確かに特別な名前だが……』

 

 五條『ちょっと待ってくれ、そいつは……』

 アオ『だめなの?』

 

 五條『いや……うん、大丈夫だ。上手く行ったら何とかしよう』

 

 アオ『やった!』

 

 こうして、『アオ』は再び訓練に戻ったんだ”

 

 ホシノ「SCPってあの車のことだよね?」

 

 “そう。だけどあれはクライスラーだけじゃないんだ。SCPの名をもつものは人類に脅威となるものまたは財団にとって有用なものにつけられる。財団にとって『アオ』は…”

 

 クロコ「脅威でも有用でもなかったってこと?」

 

 “そうだ。財団にとって『アオ』はその程度の認識だったんだ”

 

 “五條さんと『アオ』の訓練は続いたけど努力も虚しく、結果的に五條さんの作戦は間に合わなかった。五條さんも自殺への強迫観念に囚われてしまったんだ”

 

 クロコ「…どうなったの?」

 

 “それはXデー前日のこと、五條さんは自殺の準備を進めていたんだ。

 

 アオ『ごじょうさん、きょうはくんれんしないの?』

 

 五條『ああ。今までよく頑張ってくれたな』

 

 アオ『まだせいこうしてないよ?』

 

 五條『もう必要ないんだ。世界は明日滅びるんだから』

 

 アオ『ほろびるの?』

 

 五條『そう。だから早く死なないといけない訳だ。わかるな?』

 

 アオ『えっと、えっと……』

 

 アオ『うん!わかる!はやくしないとだよね!』

 

 五條『「アオ」も早く死ぬ準備を……』

 

 五條『「アオ」はどうやって死ぬんだ?』

 

 アオ『あれ?どうするんだろう?』

 

 五條『それは困ったな。何か出来る事があったら言ってくれ』”

 

 ホシノ「この子は死ぬことも分かっていないんだ……」

 

 “5歳ほどの知能だから。『死』がどんなのか分からないだろうね”

 

 “五條さんは『アオ』の願いを叶えようとしたんだ。だから『アオ』も願いを言ったんだ。

 

 アオ『じゃあね、ぼくいちどお外が見てみたかったの。SCiPNETってところにつないでほしいな』

 

 五條『本当は駄目なんだが、世界が滅びるし構わないか』

 

 五條『ほら、繋いだぞ』

 

 『アオ』の願いを聞いた五條さんは、本来してはいけないことをしてしまったんだ。SCiPの情報が溢れているがために組織が厳重に保護していたネットワーク『SCiPNET』に接続してしまったんだ。

 

 アオ『ばしょさえきまれば、そのあとはうまくいくってところ見ててほしいの』

 

 五條『何の話だ?』

 

 その瞬間、セキュリティシステムが反応した。

 

[RAISAによる……「アオ」に……不正アクセス……]

 

 アオ『きゅうにどうしたの?ごじょうさん?』

 

 五條『「アオ」、まさかここで訓練したのか……?』

 

[鎮静ガスを……セキュリティ担当者は……装備を……]

 

 その放送の後、侵入者を察知した警備システムが研究所内に鎮静ガスが噴射、全体に広がっていき、五條さんも鎮静ガスを浴びてしまったんだ。

 

 アオ『うわうわ、なにこれ。とまんない』

 

 アオ『ごじょうさん、どうしよう?』

 

 アオ『ごじょうさん?』

 

 焦る『アオ』を尻目に、鎮静ガスによって五條研究員は眠ってしまったんだ”

 

 ホシノ「五條さんは無事なの?」

 

 “命に別状はないよ。だけど、彼が目覚めたのはXデーが過ぎてしまった日だったんだ”

 

 ホシノ「つまり世界が滅びるのはデマだったってことだよね」

 

 “そうだ。『あくまで滅びる前に自殺させるように思考を誘導する』だけで、実際滅びるわけじゃなかった。そして、Xデーを超えたことでこの現象もなくなった”

 

 ホシノ「そっか。『アオ』ちゃんは意図せずに助けちゃったんだねぇ」

 

 “五條さん以外は居なくなってしまったであろうこの状況。一つだけ打破できるSCiPがある。SCP-2000それは財団が所有する最後の切り札。それは環境さえ無事であれば世界が滅亡を始める前の状態まで元に戻せる、人類を増やし、文明を再構築することができる”

 

 ホシノ「……最後の切り札と言われるだけはあるねぇ」

 

 クロコ「ん。羨ましい。私の世界にもあったらよかったのに」

 

 “五條さんはこのSCiPについて、『アオ』が探してくれたクレフ博士からのメールで知りました。

 

『五條研究員、そちらの状況はどうだ?こちらは最悪だ。プロトコルの実行によるセキュリティロック解除が正常作動しなかった。どうやら管理者が「SCP-2000」の施設を封鎖していたらしい。一人で組織最高のセキュリティに対抗しろとは随分な無茶を言われたものだ。あと少し早く動いていれば上手く行ったのだろうか。長く続いた人類の歴史も、私のせいで間もなく終わってしまう。私に出来るのはあと一つ、今度こそ遅れずに死ぬ事だけだ』

 

 メールから分かる通り財団の切り札である世界最高のセキュリティに対抗する方法は五條さんにはありませんでした。

 

 五條『そうか、クレフ博士もか……。よく拾ってきてくれたな』

 

 アオ『えらいでしょ』

 

 五條『ああ。良い子だ』

 

 五條『良い子にもう一つ頼みたい事があるんだが。いいか?』

 

 アオ『いいよ、がんばる!』

 

 五條『訓練の時みたいに「SCP-2000」の所まで行って、プログラムを実行して欲しい』

 

 アオ『うまくいったらなでてね!』

 

 アオ『あ、でもばしょわすれるかも……』

 

 五條『今度は大丈夫さ』

 

 五條『一つ聞きたいんだが、この前付けた名前は気に入ってくれたか?』

 

 アオ『うん!だいすき!』

 

 五條『さっき話した「SCP-2000」も同じ特別な名前が付いてるんだ』

 

 アオ『ほんとだ』

 

 五條『お友達だな』

 

 アオ『うん!』

 

 五條『向こうにはたくさん人がいるからな、上手く行ったらたくさん褒めて貰えるぞ』

 

 アオ『ほんとに?たのしみ!』

 

 五條『これで場所を忘れたとしても、思い出せるな』

 

 アオ『うん!』

 

 だから五條さんは唯一そのセキュリティを突破できる存在である『アオ』にお願いをした。『アオ』は、そのお願いに応えるためにシステムセキュリティを『掘り』続け、プログラムの実行に成功した。人類は復活し、文明は発展。そして、文明が滅ぶ前の姿に戻りました”

 

 ホシノ「そっか、『アオ』ちゃんはすごいね」

 

 “当たり前の日常に戻った財団の元に『アオ』と『アオ』が持っていたメッセージファイルが届けられました。

 

『このメッセージを開いて読んでいるという事は、君は新たな研究員なのだろう。

 そして、我々になにが起こったのかも把握しているはずだ。

 我々が失敗したように、ほんの些細なきっかけから世界は崩壊してしまう。人類の歴史はその繰り返しだ。

 まるで世界が不条理と不可能を必要としているかのように思うかもしれない。だが、我々人類は諦める事なく全ての崩壊を乗り越え、君達はその先頭に立った。それだけは忘れないでくれ。

 君達はこれから様々な異常存在——新たに生まれるもの、かつての研究者が対処しきれなかったものも含めて、それらと関わることになるだろう。君の目の前にいる異常存在は私がやり残した物の一つだ。

 報告書に記した通り、確保と収容、

 

 ——そして保護をお願いしたい』

 

 こうして、『アオ』改め、『SCP-2000-jp』は財団にとって有用と判断され、新しい切り札となった。これは財団から有用ですらないと判断された存在が、想いを託され、世界を救ったお話だ”

 

 ホシノ「先生の言った通りだ。本当に先生とシロコちゃんの状況に似てるね」

 

 シロコ「ん。『アオ』に親近感が生まれた」

 

 “私も消防士さんから想いを託されたから、生徒たちが幸せに学校生活をおくれるようにこれからも頑張りたいと思っている。だから二人とも、いざというときは協力してほしい”

 

 ホシノ「勿論だよ先生。ちゃんと助けるから」

 

 クロコ「私も前と同じ失敗はしない。次は守る」

 

 “そっか。ありがとう”

 

 柴大将「いい話を聞かせてもらったよ。ほら、ラーメンだ」

 

「「“いただきます”」」

 

 託された願いを背負い、前を向く。3人は決意を新たにし、今日を終えた。

 

 

【後日談】MKクラスシナリオ発生後の一幕

『クレフ博士』

 ホシノ「先生。この前、アオちゃんのお話をしたでしょう?」

 

 “したね”

 

 ホシノ「その話にクレフ博士っていう人がいたでしょ?」

 

 “いたね”

 

 ホシノ「先生の話の中じゃまともそうな人だったけど……アレのことなの?」

 

 ウクレレをかき鳴らし、鼻に微量のシナモンロールをくっつけてアビドス内を歩き回るクレフinウェーブキャットが目の前を通る。

 

 “そうだよ”

 

 ホシノ「か、変わった人なんだね……」

 

 “あんな感じだけど有能なんだ……あんな感じだけど”

 

 

『アオを受け取ったのは』

 “あのメールを受け取ったのは私の母なんだ。だからあの子のことを知ってたんだよね”

 

 ホシノ「そうなんだ。やっぱり可愛かったの?」

 

 “あの子に構いすぎたせいで始末書書かされちゃった…”

 

 ホシノ「私も触れ合いたいな」

 




SCP-2000-JP - 伝書使
作者: fes-ryuukatetu, furabbit, WagnasCousin
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2000-jp
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