【宇宙から】ブルアカ✖️恩人三部作のクロスオーバー【キヴォトスへ】 作:財団先生
“次は『ドレナージ・ホワイト』、正式名称は『瞬間脳腫救命士ドレナージ・ホワイト』。ドレナージという言葉通り、主に脳腫瘍の摘出する活動をしているんだ”
ミネ「私達は怪我人を治療、搬送したり、病人を看護するのが主な部活内容ですが、ゆくゆくは内科や脳外科にも精通したいものです」
セリナ「分野が広がればその分、たくさんの人を救護できますね」
“ドレナージ・ホワイトは別に手術を行なっているわけじゃないよ?ドレナージ・ホワイトは白い装甲服に付いている装置が関係しているとされているんだ”
セリナ「ゴールドさんのようにですか?」
“ああ。頭部前面に装着されたグラスモニターである『ドクトルスコープ』は傷病者の診断ができる装置とされている”
ミネ「それは便利ですね。これがあれば嘘をついて救護から逃れようとする患者を見破ることができますね」
ハナエ「こちらもミレニアムに相談に乗ってもらいましょう」
“他には銀色に塗装されたコンパクト型の装置で、ファンデーションのある位置にはキーボードに類似した操作盤、本来鏡のある位置には電子モニターが内蔵されている『ステルスパック』という装置は、起動後一定時間完全にドレナージ・ホワイトは肉眼、カメラを通しての視認が不可能となり音声センサー、振動センサー等一切の探知機器の影響を受けなくなるとされているんだ”
ミネ「誰からも認識されずに患者に近づくのに使えそうです」
“ちなみに近づいたらどうするの?”
ミネ「勿論、救護します!」
“……救護の概念が崩壊しそう。まあ、ドレナージ・ホワイトは、これらの装置を使って日々、患者の命を救っていたんだ。
記録も残っていてね、天野くん10歳を治した時の記録だね。
記録では、消灯時間を過ぎても寝付けない天野くんの前にドレナージ・ホワイトが現れたことから始まるんだ。
『わぁっ!?』
扉が開いた後に鈍い音とドレナージ・ホワイトの声が発生。直後に床に突っ伏した状態のドレナージ・ホワイトが出現したことから、転倒したんだろうね。
その様子に天野くんも驚いて声を上げたんだ。そんな彼にドレナージ・ホワイトは声をかけた。
『お、落ち着いて、私はヒーローだから……』
その後、約6分間にわたって会話し、ドレナージ・ホワイトが実在する事、天野くんに決して危害を加えない事の説明をしたんだ。
天野くんはドレナージ・ホワイトの説明に納得したのか落ち着いた様子を見せ、懇願するようにドレナージ・ホワイトに聞いたんだ。
『 本当に……本当にヒーローなら、僕の病気も治せるの?』
『治せるよ。だって私は、ヒーローなんだから』
天野くんの問いにドレナージ・ホワイトは自信を持って答えたんだ”
ミネ「インフォームドコンセントもきちんと行なっていますね。流石、救護の精神を持つ同志、ですね」
セリナ「しかも、患者が不安にならないように優しい口調で話しかけています」
“この場面だけでも、ドレナージ・ホワイトがどれほど優しいのかなんとなく分かってしまうね。
そんなドレナージ・ホワイトの答えに天野くんは納得できなかったんだ。
『……嘘を言わないでよ。ここの先生だって僕の頭はとっても難しいって……』
医者にそう言われてしまった以上、彼も分かっていたのだろうね。自分が死ぬかもしれないということも。
ドレナージ・ホワイトは天野氏と額同士を触れ合わせた。そして約8秒間の接触した後、額を離したんだ。
『……これでもう、貴方の頭は治ったわ』
『 えっ……そんな事……』
『私、もう行かないと。他の人を助けたいから……元気でね。私は瞬間脳腫救命士、ドレナージ・ホワイト……』
直後、ドレナージ・ホワイトの姿が消え、その直後に鈍い音、足音が扉前まで続いたあと、扉が閉じた。
『痛っ……』
『……えっ?』
カッコよかったのに直後にこけたことで天野くんも戸惑ったようだね。天野くんは後の検査で腫瘍の完全な消失したことが確認されたよ”
セリナ「どうして額同士を触れ合わせたことで治ったのか分かりませんが、素晴らしい能力です」
ハナエ「私達は救急医療は得意ですが、内科や脳外科に関しては治せませんからね」
ミネ「そうですね。救護騎士団として彼女をスカウトしたいほどです。……しかし、よく転けていますね。大丈夫でしょうか……?」
“大丈夫じゃ無かったのかもしれないね。ある日、ドレナージ・ホワイトは処置を施した筈の野田くんという少年の元に現れたんだ。野田くんのお友達のインタビュー記録がある。どうやら二人で下校していたらしい。そこにドレナージ・ホワイトが現れたようだ。
お友達がドレナージ・ホワイトについて話していたことは次のようなものだったんだ。
『僕と野田君はヒーロー戦隊の話をしながら、下校してたんです。野田君が好きだったんで、僕もハマってたんです……そしたら、あいつが…』
おそらく、ドレナージ・ホワイトに助けられたことがきっかけでヒーローを好きになったのかもね。そんな二人の前にドレナージ・ホワイトが現れたのだろう。インタビュアーの職員はドレナージ・ホワイトの写真を見せながら同じ人物であるかどうかを確認したんだ。
『いえ、いいえ…服は似てましたけどこんな、ヒーローみたいな奴じゃなかったんです。ゲームでバグってるみたいに、消えたり出たりしながら、野田君の方に歩いてきて……野田君の事を知ってるみたいでした。少し話してから頭を野田君とくっつけて、しばらくしたら野田君が……あんな……急に苦しみ始めて、そしてあいつは消えてて……あいつって、悪い怪人なんですか?』
お友達は何故か、ドレナージ・ホワイトを怪人だと勘違いしたんだ。その理由を職員は尋ねた。
『どうして怪人だと思うのですか?』
とね。その答えは想像を絶するものだったんだ。
『だって、あんなに頭がでかい奴、怪人にしか見えなかったから……』
……野田くんの検死結果、死因は脳全体の膨張による組織の破壊と予想されている”
ハナエ「か、怪人ですか!?どうしてそんなことを……」
セリナ「人間を怪人だと見間違うほど肥大化しているなんて……」
ミネ「まさか……そんなこと……しかし……」
ミネは気づいたようだが、確信がないようだ。
“野田くんとの遭遇から約6時間後、近隣住民からの通報によってドレナージ・ホワイトの位置の特定に成功したんだ。その時の確保部隊の映像記録がある。
映像内では、ドレナージ・ホワイトが、路上を極めて緩慢な速度で歩いているのを確認した。過去に確認された時と比べて著しく頭部が肥大し、外観はほぼ2頭身に見えていたよ。さらに激しい明滅を続け、断続的に映像越しに消失と出現を繰り返していた。おそらく、ステルスパックの影響だと考えられている。
『どこ?にいるの?らいじょうぶ、邨カ蟇セ縺ォになおすからね……』
口調も露説が回っていないか上に、聞き取れない部分もある。ドレナージ・ホワイトは辺りを見回して何かを探しているようだった。
『繧上◆縺励?はあなたが病気って分かってるんだから……いらくしないから、わらひ……隠れ、て、ないで……』
ドレナージ・ホワイトは空中を見上げた状態で視点を静止させ、動かなくなる。明滅する間隔が早まり、ステルスパックから黒煙が上がり始め、これ以降消失しなくなったんだ”
セリナ「これは……ゴールドさんと同じ……」
ハナエ「まさか彼女まで……」
“突然、ドレナージ・ホワイトは約13秒間絶叫を続けながら、頭を激しい勢いで上下に振り乱したと思ったら、急激に静止したんだ。
『……私、もう行かないと。元気でね。私は瞬間脳腫救命士、ドレナージ』
突然、ドクトルスコープが爆発し、ドレナージ・ホワイトは衝撃によってバランスを崩した。そしてそのまま後頭部から路上に落下した。
『ホ……』
後頭部が道路上に衝突して 破裂音が発生。頭の中の内容物が路上に散乱したんだ。これによってドレナージ・ホワイトは亡くなってしまったんだ”
セリナ「そんな……本当に彼女までこんなことになるなんて……」
ハナエ「どうして彼女まで犠牲にならないといけないのですか……?」
ミネ「……」
“ドレナージ・ホワイトの頭部に存在していたと思われる内容物において、これまでに以下の物品があった。
・彼女がこれまで回収したとされる腫瘍化した人間の脳組織
・イヌ科及びネコ科の脳組織
・ドクトルスコープの固定に使用されていたと思われる合金製のネジ6本
・約200gにもなる綿
・飛び出し注意看板の一部と思わしき金属片約12kg
・ドクトルスコープに脳内で繋がっていた未知の装置
・未熟児の兆候を示した乳幼児3人の死骸
・両内耳に埋め込まれていた通話装置
以上のものが頭部の中に入っていたとされているんだ。……ドレナージと冠しているが、自身のドレナージはできなかったようだ”
ミネ「やはりですか。おかしいと思ったのです。『突然、転倒する』『記憶障害』『言葉をうまく話せない』これらの症状は部位によりますが、脳腫瘍の初期症状です」
セリナ「!つまりそれって……」
ミネ「彼女は、人を助ければ助けるほど、自分が苦しんでいたのです」
ハナエ「そんな……どうしてそこまでして人を助けていたのですか?」
“彼女の頭部にあった通信装置からメッセージの不完全な復元に成功した。内容は……
『今すぐ活動をーー進ーーめろ、ドレナージ・ホワイト!その力ーー結果ーーで見付かったーー人々のーー問題ーーを解決ーー続けよ!』
もしかしたら、彼女は洗脳されていたのかもしれない。今となっては闇の中だ”
ミネ「他人に強要するとは……救護者として認められません。救護とは強要されるものではなく、自分の意思で行うものです」
セリナ「その通りです。人に強要した挙句、苦しめるとは!」
“私も同じ気持ちだ。……彼女達の上司はどうしてこのようなものを作り、ヒーローの真似事をさせているのか分からない。だけど、善意であっても悪意であっても許されるものではない”
ハナエ「……私達は、私たちの意志でこの救護騎士団の活動を行います。誇りを持って」
“それでいい。君達なら大丈夫だろうね”
【後日談】
『これは進化?』
ハナエ「ミレニアムのエンジニア部にジェットパックを作ってもらいました!」
“えっ、まじで!?”
ミネ「救護!」
“ミネのEXスキルがおかしくなってる!?……EXスキルってなんだ?”
『試作品』
セリナ「こちらはドクトルスコープの試作品です。流石に病気などは分かりませんが、体温、心拍数、血圧などは見れば分かるようです」
“どんな技術だよ!?見た目ただのメガネじゃないか!?”
セリナ「先生、少しいいですか?」
“なんだい?”
セリナ「この装置の実験に協力してください」
“……あっ、ごめん!まだ仕事があったんだ!ごめんね!じゃ!”
セリナ「先生?計らせてもらいますね?」
“ちょ、やめて!”
セリナ「……先生、今日風邪引いてますね?……昨日、何したんですか?」
“……腹出して寝てました”
セリナ「先生?」
“ごめんなさい”