魔王デルキラの息子   作:雨鬱

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第12話:アブノーマルクラス

 

 

 

 

 

 

「おお、マジかー………」

 

 

廊下に張り出された掲示板を見てダキは呆然と立ち尽くした

イヤな予感というものは、得てして当たるものである

 

(マァ、あんな結果を残せばこうなるのも無理はない…か)

 

鼻息混じりの溜息を吐き、落胆したように掲示板を眺める

自分の名前が"最も載って欲しくない場所"に載っていたのだ

 

 

 

アブノーマルクラス

悪魔の中でも問題児ばかりを集めたクラス

天才とバカは紙一重ともいうがまさしくそんな言葉がよく似合う玉石混合の魔境___

 

そんなクラスにダキは放り込まれてしまったワケだ

…尊敬してやまない坊ちゃんも一緒に

 

 

 

思い当たる節としては、先日行われた使い魔試験だろうか

__魔神フェニックス

"普通じゃない"使い魔を召喚してしまった余波が如実に現れてしまっている

 

だが、それ以上に、その試験よりも確実にダキをアブノーマルクラス入りにさせた原因が目の前にあった

 

 

 

(ぜっっ、てぇ巻き込まれたと思うんだよなぁ)

 

 

そう思いながら掲示板の上部を睨む

そこには特待生『イルマ』の名前がハッキリと書かれてあった

 

 

(あー、理事長に目つけられてるよなァ、これ)

 

 

 

理事長の孫である特待生イルマ

入試も受けず裏口で入学した七光かと思えば、入学式から使い魔召喚試験まで類い稀ない才能を発揮する異才

 

残念ながら敬愛する坊ちゃんはそんなイルマと仲が良い

価値観が近いのか悪魔らしくない優しい心根の坊ちゃん達は何だかんだで会えば一緒に行動するぐらいウマが合う

入学式で見せた理事長の爺バカっぷりを思えば、孫のイルマと仲良い悪魔を同じクラスにしようと考えたに違いない

俺はその坊ちゃんのSDだからおまけ程度だろう……そうであって欲しい

 

 

(先生方のいる所ではイルマと親しく見えないよう距離取らせてたつもりなんだがなぁ)

 

 

入学式から使い魔試験まで、短い時間ながら、近くで見てきたからこそ思う

奴はトラブルメーカーだ

 

入学式は一歩間違えれば四肢爆散のやべぇ呪文を祝辞で唱えるし

俺と同じ首席悪魔の名門アスモデウスを配下にしちまうし

あの、カルエゴ卿を自身の使い魔に仕立て上げる

 

入学からそんな日が経っていないはずなのにトラブルが出るわ出るわ

 

『悪魔』としては楽しいイベントを1番近くで見れることを嬉しく思うが、それだけで済まない雰囲気がする

どんどんイルマが引き寄せるトラブルは肥大し、魔界全体を巻き込む事態まで発展しそうな気がするのだ

楽天的にイルマの後ろを付いて行ったらいつの間にか大きな陰謀に呑み込まれてしまいそうだった

 

だから、なるべく良き隣人適度の距離感を務めてたのだが…

 

 

 

(めんどくせぇーー)

 

 

昨日もダリとかいう、知らねぇ先生に呼び止められて、意味ありげな目線を向けられるし、なんだか色々と値踏みをされてる感じがしてならない

なんか、こう言葉にするのが難しいが

まるで、俺の知らない価値を見つけて、それをバレないよう水面下で探って利用しようとしている…そんな異様な雰囲気があるのだ

 

 

……探られる事を後ろめたいと思うのは、俺自身の特殊な体質を知られたくないからなのかも知れない

 

 

ダキの体を流れる血が一滴でも流れれば、その芳香に皆が豹変する

強制的に相手を悪周期に陥れ

普段無意識に押さえていた魔力のリミッターが外れ、自我を失いその欲望のままに暴れ狂う

…まるで強力な麻薬のような塊

 

そんな存在を見つけたら利用するに決まってる

他の悪魔達にその特殊な体質を知られたら、どう弄ばれるか分からない

 

 

(自分だけなら良い、だが坊ちゃんは…?)

 

 

もし、もしもだ。

体質がバレて、俺を従わせる為に弱点である坊ちゃんを狙われたら?

 

 

そう考えた瞬間、グラグラと腹の奥から煮え立つ様な焦燥感が広がる。

俺はまだ弱い

坊ちゃんを守るために…俺には、力がいる

 

 

「おお!やった!入間殿達とも一緒でござるよ!!」

 

そんな、ダキの暗い心境とは裏腹にゴエモンは楽しそうに掲示板を指差す

仲良くなったイルマと同じクラスになった事がよっぽど嬉しいのか、ダキに抱き抱えられていたゴエモンが腕の中できゃぴきゃぴ楽しそうにはしゃいでいた

 

 

「良かったな、坊ちゃん」

 

 

今はただ、坊ちゃんのこの笑顔を守れればそれで良い

ゴエモンを支えている腕に、自然と力がこもった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

アブノーマルクラスの教室は、校舎から離れた端の方にぽつん、とボロボロの東屋が建っていた

壁は所々ひび割れ、屋根は少し剥がれかかっていて、強風が吹けば吹き飛びそうだった

極め付けにはひび割れて埃でくぐもった窓際には蜘蛛の巣が張っていた

まるで"打ち捨てられた"ような廃墟

あまりの貧相な造りにダキは思わず額に青筋をたてた

 

 

「……、掃除し甲斐がありそうでござるな!」

 

 

「夜、校舎に忍び込んで立て直しましょうよ、こんなボロ屋敷」

 

 

ダキは本気で深夜の学舎に忍び込む方法を真剣に考え始めた

そんなダキと裏腹にゴエモンは躊躇なく、建て付けの悪い大きな教室のドアに手を掛ける

 

 

「たのもーーぉお、?おおおお?!!」

 

 

少々強めにドアを開け放った瞬間

びゅん、と風を切って鋭い刃が坊ちゃんめがけて飛んできた

 

 

「坊ちゃん」

 

 

___キィンッ!

 

「朝飯前でござるよ!!」

 

 

間一髪で、ゴエモンは風太刀を抜刀し刃を捌いた

だが、弾いた先から次々と武器がゴエモン目掛けて投下される

 

 

「ちょっ、ちょっ、ちょ?!」

 

 

モーニングスター、手斧、槍、剣、形も重さも違う凶器が襲いかかる

驚いた反応をしつつもゴエモンはそれを難なく捌く

手元の風太刀を使い、風の様に滑らかに軽くいなす姿は舞を見ている様に流麗である

風を纏った剣の風圧に投げ飛ばされた武器達は

教室の壁に突き刺さり、さらに校舎をボロくして行く

 

当然だ

不意打ちであろうと、ガキの頃から居合の稽古を受けてきたゴエモンにとって、咄嗟の攻撃を捌くなんて事造作もない

 

 

「流石だな、坊ちゃん」

 

 

それが分かっているからこそ、ダキは敢えて声だけを掛けた

捌ける攻撃から守るのは坊ちゃんを"甘やかす"事になる

旦那様にも"甘やかしすぎは厳禁"と言われているからダキはなるべくこういう攻撃には前に出ない様にしている

 

 

「びっ、びっくりしたでござる…!」

 

 

 

やがて手持ちが尽きたのか攻撃が止んだ

さて、これからが俺の仕事だ

ダキは教室に踏み込んだ

 

 

「「「すげぇーーー!!!」」」

 

 

既に教室にいたクラスメイトがゴエモン達を拍手で出迎える

 

 

「首席君が使い魔で武器なんとかしちまうかなーって思ったけど、オマエ凄いな!武闘派じゃん!」

 

「マジすげぇよ!」

 

「強い殿方って素敵だわ」

 

「やるなー!お前!」

 

攻撃を捌き切ったゴエモンを口々に褒めたえて肩を組んで来る

 

 

「ほ、ほんとでござるか〜⤴︎?///」

 

 

わいわいと盛りあがるその姿に「当たり前だ、俺の主人だからな」と腕を組んで後方で頷きながら満足げに見ていた

 

 

 

 

 

 

 

「で、?主犯は誰だ」

 

 

 

 

 

 

ダキの言葉にゴエモンを囲んでいた悪魔達の肩がビクリッと跳ね上がる

坊ちゃんが凄いのは当たり前

周りの悪魔どもに褒められるのも、まぁ悪い気はしない

が、攻撃した話はまた別だ

 

 

「よくも坊ちゃんに武器を向けたなぁ、おい」

 

 

ダキの覇気に押されてその場にいるクラスメイトの指が一斉に金髪の小柄な悪魔へ向く

 

 

 

「「「「コイツです」」」」

 

 

 

「あっ、!お前ら裏切ったな!!!」

 

 

生贄といわんばかりにダキの目の前に押し出される

クラス初日のクラスメイトとの絆というのはなんとも浅く儚いものだな

金髪の悪魔はダラダラと滝の様な汗を流しながらダキを見上げる

 

 

「なぁ、お前」

 

 

「な、何だよ!俺は親睦のつもりで入室ドッキリをな__、」

 

 

「俺の使い魔を知っているか?」

 

 

「はっぇ?あ、当たり前じゃん有名だろ、首席の使い魔が不死鳥だってのは」

 

 

よほどバビルスの世情に疎い奴で無ければ使い魔試験で召喚された首席の使い魔の事を知っている

ダキは薄ら笑いを顔に貼り付けながら眼前のクラスメイトを見下ろす

 

 

 

「来い,ベアトリーチェ」

 

 

 

その名を呟いた瞬間

ボッボッボッと勢いよく火が燃上がる音が教室内に響く

 

瞬く間に黄金の色の炎が燃え広がり

まるでダキを包み守る様な旋回を続け

火の勢いは激しさを増す

 

黄金に燃え上がる炎は、やがて一つの鳥の形に収束していく

___魔神、不死鳥の降臨だ

 

 

 

「キュゥーークルルルル」

 

 

バッ、と炎でできた翼を広げる

ふわりと羽を動かす度に火の羽がまるで花びらの様に宙に舞い落ち

立派な尾羽が風に揺られるたびに火の粉が散る

 

幻想的なその美しい光景に、クラスメイト達は思わず息を呑み静まり返っていたが、

やがてハッと我に帰って拍手と共に「おおー!」と感嘆の声が上がった

 

 

「不死鳥にはある特性がある」

 

 

ダキの首に頭を擦り付ける不死鳥を、ダキは愛おしげに指の腹で撫でながら語り始める

 

 

「不死鳥の涙には傷を、血は欠損を、肉は不治の病を治し、炎は全てを浄化する…」

 

 

「つ、つまり?」

 

 

プルプルと捕食される寸前の小動物の様に震えながら続きを待つ目の前のクラスメイトへダキはニッと悪辣に嗤う

 

 

「証拠を残さず拷問し放題ってことだ」

 

 

「ナマ言ってすいませんでしたぁー!」

 

 

勢いよくその場で土下座するクラスメイトの姿を見てダキは鼻を鳴らす

 

 

「2度とないからな」

 

 

そう言って不死鳥を帰らせると、座り込む主犯のクラスメイトに手を差し出す

 

 

「改めて、俺はダキ、そこに居られるゴエモンの坊ちゃんのSDだ」

 

 

差し出した手を握り返される

 

 

「シャックス・リード、よろしく」

 

 

握り返された手をグッと引き寄せて立ち上がらせる

お互い「ニッ」と笑ってハグして背中を叩く

身長差があり過ぎてリードが叩いたのはダキの腰であったがそれは愛嬌だろう

 

 

(長ぇ学園生活だ、クラスメイトとの遺恨は残したくないしな)

 

 

ピースフルな雰囲気が漂う中、空気を割って入る様にぱちぱちぱちと、拍手が響く

 

 

「良かったー、仲直り出来たみたいで安心、安心、あ、俺はジャズ、よろしくな首席さん」

 

 

黒色の少し短めの髪をしたクラスメイトの1人が胡散臭そうな笑みを浮かべて拍手していた

 

 

「じゃ、お前ら配当するぞー」

 

「「「おおー!」」」

 

札をひらひらをはためかせながら声をかけるとジャズの方へわらわらとクラスメイトが集まる

入室ドッキリと称して賭けの対象にしてやがったなコイツら

 

 

「どんな内容で賭けてやがったんだ?」

 

「『次に入って来る奴が何発当たるか』、で賭けてた。ちなみに俺は全部避けられるでbetしてた、あんがとよ」

 

「大儲けか?」

 

「いや、お前らの前の賭けを全部当たるで賭けてたからなぁー、ちなみに俺がやった時は腹に3発貰った」

 

ケラケラとなんてことなさそうにジャズが笑うと、隣にいた鳥型の悪魔とおとなしそうなメガネの女子が手を挙げる

 

 

「私は右足に1発」

 

「わ、私もお腹に少し」

 

 

その隣にいたライオンのような悪魔がぐるり、と顔を覗き込むような感じでゴエモンの方を向く

 

 

「今ん所全部捌ききったのはオマエだけだ」

 

「ええ?!そ、そうなんでござるか?!」

 

照れてゴエモンの顔を覆う白い毛のほっぺが赤く染まっていた

 

「お前らも参加するか?まだ来てないクラスメイトが数人いるぜ」

 

 

ダキはクラスメイトの数を指で刺しながら数え始める

 

 

「ひい、ふう、みい、よ…あと残り4人か、」

 

 

掲示板には14名の名前があった

 

 

「そ、アスモデウス、特待生、ウァラク、サブノックの4人」

 

 

そう言って掲示板から書き写したであろう名簿をひらひら見せた

名前の横には数字が書かれている

当たった数/総本数25で今までの結果がまとめられているようで、当たった数が0だったのは坊ちゃんしかいなかった

 

 

「ふーん、…面白いじゃねぇか」

 

「お、賭けに乗ってくれるクチ?」

 

「お前らの財布から空にしてやるよ」

 

「フゥンっ!」

 

ーーードンッ!!

 

 

勢いよく叩きつけられて机がミシリ、と音を立てて軋む

ダキが持ち出した想像以上の厚みのある札束に教室が一瞬静まり返る

 

 

「っ、おお!」

 

「こっ、こいつ本気だ…!」

 

「俺らの財布を確実に毟り取ろうとして来てやがる!!」

 

「当たりめぇーだ、素寒貧にしてやるよ」

 

 

おそらくイルマは最後に入って来る

アスモデウスは入間と一緒にいるからその時入って来るだろう

ウァラクだが、先日俺がダリ先生に呼ばれた時に入間と仲良くなったと坊ちゃんを通して聞いているから3人で一緒になって入って来るだろう

消去法で、次来るのはサブノックだ

 

 

「俺の先月のバイトの稼ぎだ、次に入って来る奴は武器を全て受け止めるにbetだ」

 

 

「ちょ、ダキ?!」

 

 

「良いぜぇ!ギャンブルはそうでなくっちゃなぁ!!!おい、お前らもかけるだろ?!」

 

「クソ…ッ、あんな金額見せられて黙ってられるか!俺は全部避けるに賭ける」

 

「私は半分当たるに賭けるわ〜、ねぇそこの殿方貸してくださらない?倍にして返すから」

 

「勿論ですとも!!!」

 

「手持ちがねぇ〜!ちょっ、誰か、俺のこのチョコと金と交換してくれ!!」

 

「やるかバーカ、大人しくチョコ食ってろ」

 

 

あらわれた大金の目の色が変わる

熱に浮かされてにギャンブル魂に火がついたクラスメイトが次々と大金をベットする

 

 

ーーーーゴォオン!

 

「来たぞ!次の挑戦者だ!!」

 

 

タイミング良く教室のドアを蹴破って、次の犠牲者が現れる

金髪の巨躯の悪魔__サブノックだ

 

 

「うぬらが、__っ?!」

 

 

何かを話そうとした瞬間、トラップが作動し、サブノック目掛けて武器が投下される

いきなりの事にも関わらず、目の前の男は仁王立ちで避ける素ぶりすらない

 

 

「避けるなぞ!魔王のすることではないわ!!」

 

 

サブノックは受け止めた

防御する素ぶりも見せず、その大楯のような立派な筋肉で立ち向かう

 

「フゥンっ!」

 

鋭利な刃が突き刺さる

包丁が胸板の鎧に食い込み

槍が首元を掠め、鉄球が後頭部を直撃しても遠慮なしにズンズンと歩き進める

 

 

「ぬるいッ!!!」

 

 

咆哮と共にサブノックは一歩、また一歩と進む

鋼鉄の意志と肉体が全てを受け止め押し返す

その歩んだ道には血は一滴も流れていない

 

 

「これしきのことで己の強さは計り知れん!!!」

 

 

 

 

ヒューゥ♪

 

その漢前な行動にリードの口から茶化すように口笛を鳴らす

 

 

(…アスモデウスや入間以外に面白そうなクラスメイトが来たもんだな)

 

 

ダキは内から湧き出るような闘争心にニヤリ、と牙を見せて笑った

 

 

「入室ドッキリだとよ、ようこそアブノーマルへ」

 

 

「ウヌは…首席の」

 

 

「ダキだ、よろしくサブノック」

 

 

 

 

 

 

そう言ってダキは手を差し出した

 

 

ーーーーーパンッ、

 

 

「フンっ、」

 

 

差し出されたダキの手を払い退けた

その行動に周囲からどよめきの声があがる

 

 

「己は魔王になる男だ!その為には位階がいる。故に!己より位階が高くなりそうな奴は全員気に入らん、特に首席!!お前は要注意悪魔だ!」

 

 

サブノックはダキの目の前で自身に刺さっていた剣の刃を掴んで引き抜く

 

 

「だが、笑止!特待生イルマの従僕になったらアスモデウスよりは見込みのある悪魔だと思ったが…既にSDであるならウヌも己のライバル候補から脱落済みだ!」

 

 

中々へし折りがいのある悪魔だな

標的を見定めたようなヒョウのようにダキは目をスッと細めた

 

 

ーーーーバキッ

 

サブノックは掴んでいた刃を指でへし折る

バラバラに砕け散った刃が教室の床に落ちていくのを一瞥した

 

 

 

「お前__、」

 

 

 

 

ダキがそのまま言葉を続けようとしたその時だった

 

 

 

ーーーバンッ!!!

 

 

「よし!突撃⭐︎」

 

 

 

扉が勢いよく開くと、クララに押されたイルマが入って来た

 

 

 

「あ、」

 

「っ?!!!、はっ!」

 

 

 

扉が開いた事でトラップが作動し、入間目掛けて武器が襲いかかる

 

ドッドッドッドッド

 

 

 

容赦なく武器が噴射される

 

 

「わっ、」 

 

入間はまるで曲芸師のように間一髪で剣を躱し

 

「と、」

 

頭を狙う槍を避け、

 

「う、」

 

バランスを崩した所に襲いかかる手斧をブリッジで防いだ

 

「ひぃっ!」

 

 

その圧倒的な危機回避力にワッっと教室内が盛り上がる

 

 

「お見事!!」

 

「素敵〜!」

 

「流石特待生!」

 

「もう一回!もう一回見たいでござる!!」

 

「入間っちすごー!!」

 

 

興奮しきったクラスメイトに囲まれて口々に褒められる状況に入間は照れながら縮こまっていた

 

 

「じゃ、配当しまーす」

 

 

「「「ウェーイ!!」」」

 

 

ジャズは慣れた様子で紙をメガホン状にして賭けていたクラスメイト達を呼び込む

イルマを囲んでいたクラスメイト達はその場を離れ、ゾロゾロとジャズの元へ集まる

ダキもその声に釣られて列に並んだ

 

 

「ぼろ儲けじゃんウケる」

 

 

そう言って渡された札束は最初に出した金額よりも倍になって帰って来た

片手で鷲掴みにしながら「10…20…30…」と数える

しめて350000か、儲けたな

 

 

「おーっし、臨時収入ゲットォ!坊ちゃん夕飯食べに行きやしょう!!」

 

「肉がいいでござる!!!」

 

「儲けたなら奢れよ首席ー!」

 

「言い方ってもんがあんだろ?」

 

「哀れな僕めらに、肉の慈悲を…!」

 

「プライドはどうした…」

 

「肉の前にはただのゴミ」

 

 

わいわい騒ぐダキ達にアスモデウスは疲れたような顔で咎める

 

 

「おい、一体何のつもりだ貴様ら…」

 

「なにって、入室ドッキリ?」

 

 

リードがおちゃらけながら笑う

 

 

「え、でもこれ本物…」

 

 

イルマが怯えながら壁に突き刺さった槍を指差す

その様子に「ああ、それね」とリードが笑う

 

 

「何発当たるか賭けてんの!保健室も近いし大丈夫、大丈夫!ヤバい怪我ならダキの使い魔もあるしね!」

 

「俺をあてにするなら治療費ふんだくるぞ」

 

 

 

 

ーーーバァン!

 

 

「くだらん小競り合いは終わったかね、阿呆ども」

 

 

ドアを勢いよく開け放ち、けたたましい音を響かせて登場したのは使い魔試験の教官だったカルエゴだった

今日はドアのダメージがでかい日だな

勢いよく開けられすぎて今にも外れそうな蝶番を見てダキはひとりでに思う

 

 

「エギー先生が担任なの?!」

 

「お陰様でなッ!!!!」

 

 

ウァラクが楽しそうにカルエゴの周りをぐるぐると回るのを当のカルエゴは嫌そうに顔を顰める

 

 

「会議の日に濡れ衣で捕まり…不在の間に貴様らのクラスを押し付けられたのだ…!」

 

 

その言葉に顔を背けるイルマをみてダキは何があったのか察した

 

 

(俺がダリ先生に捕まってる間にまたなんかやらかしたのかコイツ…)

 

 

トラブルメーカー入間に巻き込まれているカルエゴの二の舞にはなるまいとダキは心の中で誓った

 

 

「外へ出ろアホ共!!授業を始めるぞ!!!」

 

 

 

いよいよ、位階決めの最後の試験が始まる

 

 




中継ぎの話のつもりだったのに、筆乗りすぎた…
飛行試験編は次回です

好きなCPは?(市場調査)

  • ダキ×ゴエモン
  • ゴエモン×ダキ
  • ダリ×ダキ
  • ダキ×ダリ
  • ダロキア×ダリ
  • ダリ×ダロキア
  • ダロキア×バール
  • バール×ダロキア
  • ダキ×アスモデウス
  • ダキ×キリヲ
  • その他(自由回答)
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