魔王デルキラの息子   作:雨鬱

18 / 49
今回はちょっと短い話


幕間:定例会議『13冠の集い』

魔界の英傑達による定例会議『13冠の集い』

その会場となるのは、666階建ての巨塔『魔界塔』

今日も、その最上階の一つ下、665階には、魔界中から選ばれし英傑たちが顔を揃えていた

 

 

 

(ハァ、……くだらねぇ)

 

 

 

13冠が1人、雷帝のバールはこの会議の無意味さに溜息を吐く

所詮、魔界は魔王が決めるもの

けれど、肝心の“王”はいない

今、魔界を実質的に動かしているのは、三傑

だが、現場は相変わらず『13冠』だの『英傑』だのと、空虚な肩書を並べて、地方のあれこれをつつき回している

 

 

(何の意味がある? 魔王がいねぇ魔界に……)

 

 

バールは溜め息をついた。

 

 

(馬鹿馬鹿しい、お遊戯会じゃねぇか)

 

 

バールは肘をつき、眉間に皺を寄せながら、英傑たちの“議論”を聞き流していた

実際、それは議論などではなかった

ただの愚痴の擦り合わせだった

 

 

 

「魔王デルキラ様も姿を消し、次代の魔王の予定だった魔王子ダロキア様も居なくなられた…」

 

 

 

ふいに耳に入った名前に、

雷帝バールの眉がぴくり、と動く

 

 

(……また、その話か)

 

 

声の主は、英傑の次席――ベルゼビュート

代々数多くの13冠を輩出してきた名家の悪魔

その忌々しい苗字を聞く度にかつての同朋を思い出す

 

 

 

 

(老害め……アイツによく似て口だけは達者だな)

 

 

 

 

魔王子ダロキアが失踪した時

彼の配下である12人の悪魔達に13冠への就任を勧められた

 

 

 

 

しかし、多くは口を揃えてこう言った

「興味がない」――と

 

 

 

 

(アイツらにとっちゃあ、ダロキアの居ない世界で頑張るのが馬鹿馬鹿しかったんだろ)

 

 

 

 

右腕だったダリはバビルス主任

俺が一番奪いたかったあの場に、

ただ付き合った時間が長いからと言うだけでいる悪魔

俺は正直アイツは嫌いだ

バビルスの守護者とか言って大人しく教師をやっているのを聞いて、

腹立たしくなる

 

 

ナルニアは魔関署特別警備、通称魔関へ

狂犬ナルニアの渾名は健在の様で

職務もあるのだろうが、あのクソ真面目な性格できっちりと仕事をこなす完璧主義者は相変わらずで、多くの違反者を検挙している

 

 

フルフルの野郎は陸軍

魔谷大戦三大英雄サマのご子孫だから結局は軍の道を選ぶしかなった

 

 

ゼーレは、家業から逃げられなかった

アイツは一族の宿命がどうたら、とか言って親族に首根っこ掴まれて引きずり戻されていたのを見たのが最後だ

生きているかどうかも知らねぇ

 

 

ザカムはジャカポの教師

ベリアールの親戚だからな、

結局卒業後もジャカポから抜け出せなかった哀れなギャンブラーだ

 

 

フォルカロルはレヴィアロンの番犬

今じゃすっかりレヴィの狗に成り下がってやがる

 

 

ラウムはブラックマーケットのキングに

六指衆との繋がりをつけてくれたのはコイツだったな

 

 

ドゥルジは旅に出るとかで消息不明

ベルゼビュート家の長子ともあろう奴がマジ何処行ったんだか、

アイツなら、俺と一緒にこの座に居たかもしれないが、ダロキアが消えて、アイツもその後すぐ姿を消した

そのせいで、ドゥルジの父親が未だ13冠に居座り続けている

 

 

アルプは夜の華でやりたい放題してる

流石は老若男女を虜にするサキュバス、今やアイツがバックについてる店も数多くあるせいで、俺の性事情がアルプにダダ漏れだった

おかげで気軽にそう言う店に入れなくなった

…知人がいると行きづらくてしょうがねぇ

 

 

ヴァサゴは魔界大図書館の司書になって本を読み漁ってる

貴族のくせに貴族会に全然出ない出不精の書痴アマ

 

 

マンセマットは魔界研究機構、通称魔研で研究をしていた

確か、生物学専攻だったはず

学生の時からヴァサゴと一緒になってぶつぶつ研究していた実験馬鹿だ

だが、この間ついに、やらかした

大量の悪魔の死体を使い実験を行っていたアイツは『ウラボロス監獄』にぶち込まれた

 

 

各々が自由にそれぞれの道を選ぶ中、

唯一バールだけは13冠の1人として政界の中枢に残ることを選んだ

 

 

(アイツは、魔界を壊すと言った、俺はアイツの野望を叶える為にこんな所にまだいる)

 

 

何事も成す為には『力』がいる

ダロキアが昔語った『野望』の続きを叶える為にバールはここに残り続けている

 

 

(俺が、魔王になれれば良いが、力が足りねぇ)

 

 

それに、

 

 

「魔王になる者に"何か"呪いのようなものが降りかかるのかもしれん……」

 

 

 

主たる魔王デルキラが消え、

その後継だった魔王子ダロキアも姿を消し、

相次いで魔王が消えた事で『呪われた王位』と皆が恐れ、

ここ数百年、魔界は事実上の無王時代を迎えていた

 

 

(デルキラに続き、ダロキアの野郎まで消えた…アイツら親子に何かあるのか、それとも『魔王の座』自体に何かあるのか…)

 

 

どちらにせよ、頂点立った時にしか見えない『真実』がある

 

 

 

 

(……今度、ヴァサゴかマンセマットの奴と話す必要があるな)

 

 

 

 

 

裏で暗躍し続け、計画を立ててるが、より高みを目指す為にはかつての同朋を呼び戻すことも視野に入れていた

 

 

 

 

 

 

「だが、魔界も荒れつつある、これ以上は空位避けたい…」

 

 

 

 

 

無論、三傑や英傑たちが各地の統治に尽力してはいる

だが、王の不在は明確に魔界を蝕み始めていた

 

 

 

 

「やはり、次代の王には三傑の中から選出し、早急に魔界の統治を進めたい所だ」

 

 

 

 

ベルゼビュートの瞳が、塔の最上階を見上げる

そこでは、三傑が次代の王の座を巡り、協議を重ねていた

 

 

 

「今日こそ、決まればいいのだが」

 

 

魔界の将来を憂いて、ベルゼビュートは協議の行方に想いを馳せるのだった




あっと、1人!あっと1人!!!評価者頼む
バーを真っ赤に染めてくれ!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。