ーーー師団披露
バビルスの師団が日頃の成果を見せるために行われるいわば学園祭である
魔具研究師団に入ったダキと入間軍一行は
師団披露の準備の為に
師団長キリヲの後に続き、野外にある展示スペースに来ていた
「うっっっわ、」
魔具研の師団披露のための展示スペースは他の師団に比べればカスみたいな広さだった
そこに師団長のキリヲがパズルゲームのように魔具を積むが、スペースなくギチギチに魔具が置かれたその展示は、謂わばただの荷物置き場にしか見えない
「陳列するにしても見せ方ってもんがあんだろ…」
ただゴミを陳列したにしか見えない展示の仕方にダキの顔が歪む
「この狭いスペースじゃ難しいよ…」
他の師団のスペースの5分の1にも見た無い小スペース
これが他の師団なら、キリヲが今やったようにとりあえず詰めるだけ詰めるような展示方法になるだろう
しかし、ーーー
「何言ってんだ、俺らは魔具研究なんだぜ?
ーーそれこそ、こいつらの魅せ所だろうが」
そう言ってダキはキリヲが持ってきた魔具を物色し始めた
「コレなんか良い魔具じゃねぇか」
そう言ってダキは質の良い和風箪笥を見つけると
ーーコンっと拳で軽く叩いた
赤を基調とし、金の彩具で艶やかに彩具されたそれは、ひと目見ても高級品と分かる一品である
(亜空貫 (あくうかん)…四方に釘止めすれば囲われた中の物は亜空間へと繋がる魔具と、木材は時止めの魔木で作られた収納棚……
ーー魔具『魔王の宝物庫』
見た目より沢山のものを収納できる優れ物だぞ)
「ほら、こうやって、いろんものを…」
試しにダキは"自分に相応しい魔具"と念じながら引き出しの亜空間に手を突っ込んだ
ーバチっ、バチバチッ
突然、魔力の火花が走る
ダキの手から引き抜かれたのは、
禍々しい気を纏いながら黒く輝く、一本の魔剣だった
「?!!!!」
その場の空気が凍りつく
皮膚がひりつくような圧倒的覇気
膝をつき、
頭を垂れ、
臣従を誓い、
ーーー赦しを請いたくなる程の強い支配力
キリヲは目の前に現れた魔剣をよく知っていた
(兄さんが探していた魔王子ダロキアが作り上げた最凶の武器!!)
“神器《大罪の器》”
ーー七つの原罪を象徴に造られ、
持つ者の魔性に応じて、異なる姿と力を顕す
七変化の最凶魔具であった
有名な逸話としてキリヲはバールから話を聞いたことがある
ーー魔界南部、魔王不在に反乱を起こしたの鎮圧に向かった際
ダロキアは『嫉妬』を司る騎槍で応戦した
彼がその槍を敵の根城に向けた刹那、
吹き荒れる緑の炎とともに、
目にも留まらぬ速さで緑の閃光が戦場を奔った
次の瞬間――
敵の居城は、跡形もなく焼き払われていた
今なお消えぬその緑の灼熱の痕跡は、
“燃える城跡”として語り継がれ、観光名所にすらなっているという
『アイツの遺した武器がこの魔具研に残っている…もし、見つけたら俺に献上しろ、キリヲ』
キリヲの手がダキの持つ武器に手が伸びた
しかし次の瞬間――
――バタン
棚が閉じられる音が静かに響く
「ばたん……?」
ダキは魔剣を仕舞い、棚を閉じてしまった
新たな伝説の幕開けかと胸を高鳴らせていたキリヲは立ち尽くした。
「何も無かった、いいな」
面倒ごとの予感がしたダキは今の出来事を記憶に消すことにした
「いやいやいやいや、」
「なんか、絶対ヤバい雰囲気だったけど!?」
「かっこいいーー!もっかい出して!」
「やだね」
アスモデウスがわなわなと震えながら指を刺す
「きっ貴様、それは…!大罪の…!」
「あーーー、何も聞こえねぇー〜!!!」
アスモデウスは本でしか見たこと無かったがダキが出した魔具に心当たりがあった
ーーーそれは魔界史に記された最凶の魔具
その中でも、とりわけ危険とされる『傲慢』を司る大剣
『傲慢の一振り(エスパーダ・デ・ラ・アロガンシア)』
ーー持ち手を“自らが最強”と錯覚させるほどの威力を誇り、
“疲れ知らず”と恐れられる身体強化を付与する
ただし、持ち主の魔力を恐ろしいほど消費する為、制御を誤れば死に至る
本来なら国家規模で封印されているはずの、国宝級の逸品である
「今すぐ取り出して、っ」
「そうや、勿体無い!!!」
「ばーか、こんなんいつ使うんだよ」
アスモデウスやキリヲがダキに棚の引き戸を開けさせようとするが、
全力で抵抗しているダキは2人がかりでもぴくりとしなかった
「使わなきゃ、無いのと一緒…そうだろ?」
しかし、そんな狼狽える皆をスッパリと捨て置き、何事もなかったように淡々と振る舞う
ダキは知っている
凄すぎる魔具は"争いの種"に成りかねない事を
(こんな武器持っていたって使う時なんてねぇだろ…)
なんせ今の魔界は"平和"なのだから
「えぇ…?」
潔すぎるダキの態度に、全員が微妙に引く
そんな皆を置いて、ダキは話を無理やり戻した
「ま、こんな風にいろんなものをしまい込んで、仕舞える便利グッズがあるわけで、魔具の可能性ってのはもっと広いハズだ」
周りを見渡して、ニヤッとダキは笑う
「スペースが狭いなんて言い訳にならねぇ、狭いなら狭いなりに工夫する
ーーそれが魔具研の腕の見せ所だろうが」
その言葉に、入間の中で何かが点火した
魔力がなくても、アイディアと工夫があれば戦える
入間はそのとき初めて
"魔力の無い自分でも出来そうな事"だけで無く、
もっと"奥深くてロマンに満ちた世界だ”と実感した
ゾクゾクと腹の奥から奮い立つようなロマンに入間は笑う
「とはいえ、団員の半数が初心者ばっかなんだし、今から魔具を作って展示ってのは難しいから共同製作とかの方が良いんじゃねーの?」
肩をすくめてダキは苦笑する
なんせ、魔具の製作に関しては師団長のキリヲとダキしか経験者がいない
あと3人は魔具がどうやって作るのかも知らないど素人である
ダキとキリヲ、もしくは歴々の魔具を展示・販売より、ダキとキリヲが初心者3人の補佐をしながら魔具を形作るーーこれが1番だった
「せっかくならみんなの得意分野を活かしたいよね」
入間がそうはにかむと、
隣にいたアスモデウスが指先に炎を灯して元気よく声を張り上げる
「私は家系の証たる火焔の魔術であればお力になれるかと!」
「どうせやるなら、どーん!でばーん!な派手なのがいいなぁ〜!」
「あはは、まとまりないねぇ」
「だな……」
3人の言葉を額面通りに纏めると、爆破物になるのだがそれを師団披露でやるのはアウトだ
1発で師団停止のレッドカードである
「魔具は体験してなんぼだがな…なんか、こう、パレードみたいに成果をみんなに見せられる形とかが1番なんだがなぁ」
「え〜火を使って、バーンって派手で、みんなに体験させることができるなんて、そんな……」
その瞬間入間の頭で
夏の夜空に咲く火の大輪が打ち上がった
「花火だーーー!!?」
「なるほど、良いアイディアじゃねぇか」
「そうだよね!ダキ君!」
火も使えて、ド派手で、みんなに見てもらえる
最高の出し物だ
「はな…び?」
「なぁに、それ入間っち?」
「えっ?と」
(あ…やべ)
そう言えば、花火はこっちでは無いシロモノだったことをダキは思い出した
「火薬の詰まった玉を空に打ち上げて、爆発?させる……」
「おいバカ、語弊がある」
案の定その話を聞いた面々は神妙な面持ちで入間を見つめる
「空で…火薬を爆発…」
「飛行者を撃ち落とす?」
「殺りく兵器!」
「ほれみろ、夏の風物詩が一瞬で血生臭くなっちまったじゃねぇーか」
「わぁ、!ちがうちがうちがう!!!観賞用です!」
慌てて訂正に入る入間にダキは助け舟を出す
「"花火"って言うのは、夜空に火薬玉を打ち上げて、その爆破を花のように見せる技術の事だ」
「へぇ、夜空に咲く火の花かいな、きっと綺麗なんやろなぁ」
「確か、師団披露は夜までやってますもんね?」
「うん、メインは昼で、夜はほぼ宴会やけど」
「なら尚更!綺麗だしきっと目立ちます!魔具研の事もみんなに知ってもらえますよ」
ーーパンッ
「さて、じゃあ魔具研は師団披露に向けて花火を作るって事でいいか?」
ダキが仕切り直しと言わんばかりに手を叩き、周りを見る
「賛成!」「異論はない」「意義なし」「ええと思うわ〜」
全員の賛同を得られた所でキリヲが話を切り出す
「問題は、肝心の作り方やね」
「入間っちわかる?」
「こう言う、爆弾の弾みたいな姿をしてるのは知ってるんだけど…ダキ君は知ってる?」
「あぁ、知ってるぜ」
「ええ?!凄いね?!」
ダキはそこら辺にあった棒で地面に図を描き始めた
「これも作るのが結構大変でな…まず、紙で球を用意して中に火薬を入れて、核に色んな金属を入れて爆発の時の反応で色が出るようにする…って感じだ」
作り方を説明するダキにアスモデウスが挙手する
「先ほど言った『夏の風物詩』というのは?」
「あぁ、夏って蒸し暑いだろ?そんな夜に、空を見上げる…すると、火の花がパッと咲いては儚く散る…見上げた皆が同じ感情を共有できる…一夏の夢…なぁ、情緒的じゃねぇか?」
「…確かに」
「まぁ、先祖を供養すると言う意味もあったりと、色んな意味が花火には込められてんだよ」
ペラペラと喋るダキにアスモデウスが訝しげに見つめる
「私は…それなりに魔界のことを知っているつもりだが、そんな風習を聞いたことが無い」
アスモデウスの問い詰めるような声音に、
ダキと入間の心音は跳ね上がる
「まさか、貴様
……入間様と同郷なのか?ゴエモンのSDだからてっきりゴエモンと同郷かと思ったぞ」
顎に手を当て羨ましそうにダキを睨むアスモデウスにダキ達はホッとした
「そーだよー、
俺らは本にも載らないような辺境出身なんだわー、訳あって故郷を離れたが坊ちゃんに拾われてからは親元にはずっと帰ってねぇんだわー(棒読み」
ダキは予め用意していた言い訳を、これでもかというくらい棒読みで口にする
耳を穿りながら、不真面目にふざけた調子でふざけ倒すが、――けれど、驚くことに一言も嘘は言っていなかった
「くっ、羨ましい、私も入間様と同郷になりたかった…!」
アスモデウスが悔しげに唇を噛む
「なんだ?そんなに俺の故郷にいきたいのか?
「お前じゃ無くて!入間様のだ……行きたいに決まってる!」
「ふーん、…」
そんなアスモデウスの手を、ダキが恭しく取って微笑む
「なら……今から籍、入れるか?」
その衝撃的な発言にアスモデウスの目が見開かれる
「!?せっ、籍だとっ?!////」
ダキの突然のプロポーズにアスモデウスが赤面して驚く
「ええっ?!ダキ君?!」
「ヒョわァァァア?!ダキっち?!」
「えっ、え?」
突然のラブコメの波動に周囲から悲鳴が上がる
赤面し、口を押さえ、ドキドキと胸を高鳴らせて、乙女な顔で見守っていた
「俺らの故郷は本当に辺鄙な所でな、とても良い場所だが、帰るのがものすごく大変なんだわ
……それこそ、一回出たら、親の死に目か、自分の伴侶を紹介する為ぐらいにか戻らねぇ」
「でもな、アスモデウスみたいな美人が俺の“番”になったら――俺は喜んでお前と共に故郷に帰るだろうな」
そう言って、ダキはアスモデウスの頬に手を添える
「なっ、なっ?、なっ?!!」
優しく、そっと撫でる指先
それはまるで、本当にその人を愛おしいと思っているかのような、穏やかで甘やかな慈愛に満ちていた
その時、アスモデウスは見た。
ダキの髪の隙間から覗く、蜂蜜色に溶けたような瞳が、自分だけをまっすぐに見つめていた
そのギャップにアスモデウスの胸がキュン、と鳴った
「そ、それは、この私とけっこ…」
そして――
ふわりとダキの唇が、アスモデウスの真っ赤な耳に触れた
ーーちゅっ
リップ音を立てて、キスを一つアスモデウスの耳裏に落とされた
目の潤んでいるアスモデウスにダキは悪戯っぽく笑う
「冗談だっつーの、」
一転、揶揄うような冷たい声でダキはアスモデウスを突き放す
先ほどの甘さはどこいったのか
ダキは冷めた顔でアスモデウスの髪から手を離す
「………えっ、」
ダキの急変に理解が今暫く追いついていなかった
その言葉の意味が脳に届くまで、一拍
何を言われたかようやく理解するとアスモデウスは怒りが目を釣り上がらせた
「ッ、こっ、この……!!!」
プロポーズを真に受けたアスモデウスは弄ばれたと気づいて炎を手に灯してダキを攻撃する
「殺すッッ!!!!」
「ハハッ、100年はぇーよ」
「あぁ…!喧嘩はよしてぇな…!」
「えーーー!!!入間っちとダキっちの故郷に行ってみたいなぁ!!!」
ダキとアスモデウスの喧嘩を遠目に見ていた入間に、ウァラクが抱きつきながら駄々を捏ねる
「お前らがランク9にでもなったら考えるわ、なぁ?入間」
アスモデウスの攻撃をひらり、と避けてダキは入間へ大声で話す
その言葉に入間は驚いてダキに小声で慌てて掴み掛かる
(いいの?!そんなこと言って!)
(どうせ、その頃にはお前の正体もコイツらにバレてんだろ、それに高ランクの悪魔は人間界へ渡航できるし、将来的にバレるぞ)
(そうなの?!!)
ダキの言い分にも納得した入間は諦めて苦笑いした
「う、うんそうだねー…」
入間から許可をもらえたアスモデウスはようやく掴まえたダキを逆エビ固めの技をかけながら、目をより一層輝かせた
「!では、頑張ってランク9になりますから案内してくださいね!」
「いたたたたっ、悪かった、アスモデウスっ!!」
「ダキっち〜入間っち〜案内してねぇ〜!」
「ランク9かぁ、僕にできるかなぁ」
かくして、魔具研一行は、一悶着有りながらも師団披露に『花火』を制作することに決まったのであった
好きなCPは?(市場調査)
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ダキ×ゴエモン
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ゴエモン×ダキ
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ダリ×ダキ
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ダキ×ダリ
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ダロキア×ダリ
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ダリ×ダロキア
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ダロキア×バール
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バール×ダロキア
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ダキ×アスモデウス
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ダキ×キリヲ
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その他(自由回答)