誰も立ち入れない大氷山プケルの山頂に1人の悪魔がいた。
3本ツノが特徴的なその悪魔は四肢を鎖で拘束された上で体丸ごと氷漬けにされていた。
まるで封印されていように。
ーーーーーゴゴゴゴゴゴ
地響きと共に覆っていた氷に亀裂が入った。
その揺れは大きく、
またさらに大きくなり、
しまいには揺れ続ける衝撃に耐えきれなかった氷がバリバリと音を立てて砕け落ちていった。
拘束していた鎖の楔が衝撃で根本から抜けた。
そのおかげで、自由な身になったその悪魔は
そのまま凍てつく氷山の鋭利な崖へ放り投げられた。
やっと自由になれた事への安堵感は無い。
ただ酷く疲れて、
無気力に、
体が傷つく痛みさえも無関心に、
糸の切れた人形のように指一本も動かせず、
なされるがままに滑落していく。
吹き荒ぶ凍てつく風
肌を擦り切る鋭利な山肌
呑み込もうと迫り来る雪波
そして、目の前に降ってきた大小様々な岩
消耗し切ってるとは言え、この悪魔なら
魔法で何とかなるにも関わらず、
何もしないで目の前に迫り来る脅威を
泥のように濁った目でただ見つめた。
流石にこのまま当たれば弱りきった状態では致命傷になるにも関わらずだ。
「ハハッ、」
ただ、迫り来る『死』を笑って、受け入れた。
ーーーーーーガンッッッ!!!!!
感じることもできない程の激痛を受けて、
その悪魔は意識を失い、
氷山から流れる濁流渦巻く大河になす術もなくどぽんっと呑まれていった。
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魔歴ーー年、
魔界に未曾有の大災害が起こった。
クロケル領、大氷山プケルの大噴火。
1000年に一度あるか無いかのその未曾有の厄災により、
地は割れ、
氷山へ繋がる大きな川へ
溶け切った水が雪崩れ込み、
魔界全土はどこもかしこも何かしらの被害に見舞われた。
その発端地クロケル領より、さらに西方にあるガープ領。
ここもその被害は例外ではなかった。
幼かったゴエモンは
この日のことをつい昨日のことのように覚えてる。
魔獣の唸り声のようなゴゴゴゴという地響きと共に
地面が揺れたかと思えば、
土砂と大量の雪解け水が押し寄せて、
ゴエモンの住む家のすぐそばの川が氾濫したのだ。
危ないだろうと判断した父によって幼いゴエモンは抱き抱えられて空に避難していた。
いつもは澄み渡った青い川は
薄汚い色の濁流となり、
よく近所の悪魔たちと
遊ぶときの目印にしていた赤い木の橋は
無惨にもバラバラの木の破片になっていた。
(……ん?)
濁り切った川に浮かぶ赤い木の破片に、
白い手が捕まっている。
ちょうど、
ゴエモンと同じぐらいの、
小さな、手だ
「とおさん!こどもがいるでござる!!!!」
その言葉と共に、
ゴエモンは気がついていたら、
自分を抱えていた父の腕から抜け出して飛び降りていた。
「っ、!こら!!ゴエモン!!!!」
父親が気がついて、
手を差し伸べるが、
虚しくもその手は空を切って、
すり落ちたゴエモンはその川へとドボンと、
勢い良く落ちていった。
「ぷはっ、!」
勢いのある濁流を
自分の家系魔法の「風太刀」を操って、
川に流れる子供のところへ頑張って泳ぐ。
とはいえ、まだ幼いゴエモンが使える風は
そう強力なものではなく、
あっぷ、あっぷと
汚水に呑まれるのを少しだけ防いで、
背中を後押しするぐらいである。
苦しい、そう思うのにゴエモンは目の前の白い手を頼りに頑張り続けた。
(お願い、もうちょっとだから、力を貸してほしいでござる…!)
ゴエモンは『ガープ』だから仲のいい悪魔が欲しかった。
顔の下の醜悪な顔を姿を見ても怖がらない、
共にいてくれる大丈夫な仲間が欲しかった。
だから、他の悪魔より情に飢えているゴエモンは悪魔に優しくした。
他の悪魔なら「弱肉強食」と放っておくだろう目の前で流される子供の悪魔のことも放っては置けなかった。
ゴエモンの必死な思いが通じたのか、
目の前の悪魔の元に辿り着くことができた。
寒さで震える手で、
決して離さないようにその細い手首を掴みあげた。
「やった、!掴んだ!!!」
掴んで、自分の元へ引き寄せた。
引き寄せられた子供は髪が長くて、
顔全体にベッタリとへばりついて顔がよくわからなかったけど、
ぎゅッと抱き寄せた体は細身のゴエモンよりも細かった。
ホッと、安心したところにゴエモンたちのところに大きな波が遅いかかる。
「ゴエモン!!!!」
間一髪で上空から父さんに襟を引っ張り上げられて、
ゴエモンたちは川より離れた草原に放り投げられた。
「ゴエモン!お前はなんて危ないことを!!!もう少しで死ぬところだったんだぞ!!!!」
父が感情を露わににして叱る
いつもなら決して見せない、
毛並みの下が少し見えそうなほどに風を操れていない。
いつもその毛並みの下を見せることなく完璧に風を操る父のあまりにも動揺した様子に、
ゴエモンはたじろいだが反射的に言い返していた。
「でも!!見捨てられわけなかったでござる!!!」
ゴエモンが守るように、
ぎゅッと抱きしめると、「う、」と苦しげな声が聞こえた。
「!目が覚めたでござるか!!!」
驚いて、バッと抱きしめるのをやめると、
飲み込んだ汚水を吐き出そうとひどく咳き込みはじめた。
「ウェ!、ゲホ、ごほ、」
苦しげに背中を曲げて咳き込む背をさするゴエモンに見て
諌めるのを諦めた父が水を差し出した。
水を受け取ったゴエモンにより助けられた子供は上体を起こされ、水を口に運ばれる。
「ゆっくり、ゆっくり飲むでござるよ。」
2人に介助されながら水をゆっくりと嚥下する喉を見てホッと落ち着いた。
「こ、こは?」
背中を優しくさすりながら「ここは、魔界の西方ガープ領でござるよ!」と返すと「魔界…?」と子供にしては、
少しハスキーな声が不安げに揺れる。
「ねえ、君の名前はなんでござるか?」
助けた子供をまじまじと見ると
なんとも不思議な風体だった。
体にあっていない大きな黒い羽織に
原型をとどめていない服、
羽織がなかったらほぼ素っ裸に近い。
全体的に土やら何かで汚れ、
ボロボロではあるが、
日に当たると少しだけキラキラしてるから高そうだ。
こんな上等な物を着れているのだから
きっとどこかのお坊ちゃんだろう。
着ている服装からしてゴエモンはこの近くの子供かもしれないと思ったがこんな子供会ったことはない。
ただ、なんでそんないいところのお坊ちゃんらしい子供の体がこんなにも痩せ細っていて、
顔も体も火傷ばかりなのか、
ゴエモンは痛々しげなその体に怒りで目を細めた。
「なまえ……?」
少年はそう呟くと不安げに辺りをうろうろと見渡した。
そして、
しばらくしてぽつりとつぶやいた。
「なん、だっけ……わか、らない。おれは、なんだ……?」
くしゃくしゃになった長い髪を引っ張って「ううう」と少年は頭を抱えた。
「…もしかして、記憶がないでござるか?」
こくん、と頭を縦にふる目の前の子供を放っては置けなかった。
「大丈夫、大丈夫でござる。拙者がついているでござるよ。」
震える少年を抱きしめて、
ゴエモンは父さんに向き直った。
「父さん、お願いがあるでござる。」
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「ダキ〜!行くでござるよ!」
バッと羽を広げて元気よく空へ飛び出すゴエモンの後ろを
紫色の長い髪で顔を覆い隠した悪魔が急いで追いかける。
勢い良く飛び出して、
風の抵抗を受けた髪の内側にある金色の髪の毛がゆらゆらと靡く。
「待てよ!坊ちゃん!!!はしゃぎすぎだっつうの!」
ダキ_______、
と呼ばれた彼はあの日ゴエモンが助けた子供の悪魔である。
保護された当時着ていた羽織にあった名前らしき刺繍から読み取れた「ダキ」と言う単語からゴエモンが名づけたのである。
ダキはあの後
ガープ家のSDとして住み込むことになり
ゴエモンのそばをついて回った。
SDと言うよりは一緒に対等に遊んでくれる仲間が欲しかったゴエモンはかしづくことを嫌った。
ゴエモンが頼み込んで敬語が取れるまでに1年、
世話を焼きすぎることに怒り3年、
敬称を取るまでに5年
努力の甲斐あって『SDと主人』という関係ではなく
ほぼ兄弟のような間柄になっていた。
「だって!今日はバビルスの入学式でござるよ!!それに何てったってダキは首席合格!!みんなの前で祝辞もするんでござるよ!!!はしゃがない方がおかしいでござるよ!!!」
ダキは本当に優秀だった。
ゴエモンやゴエモンの父に基礎的なことを学んだ後からその天才っぷりを発揮した。
魔法、体術、音楽、芸術、工作、家事。 何でもやらせても上手かった。
料理も絶品だし、
歌も上手いし、
楽器も何でも弾けた。
特に1番すごいのは魔法だ。
攻撃魔法はまだ本格的に習わないのに対して無口頭で使えるものもあるし、
論文なんかをどこかしらで手に入れては自分のモノにしていたりしてる。
シンプルに頭もいい。
剣術では負けないぞーと意気込んでいたのに、
道場で撃ち合いした時も強かった。
フィジカルが凄いのか、
普通は避けられない抜刀術をぬるりと避けられ、
何か体術でやっていたのか、避けられた後一本背負いされた。
そのことを指摘したら本人も気がついていなかったのかびっくりしていて、「体が勝手に動く」なんて言っていた。
もしかしてうちのSD天才では?
とゴエモンは少なからず思っていた。
「だからって、前向かないとぶつかるぞ」
照れくさそうに少々粗雑にゴエモンをダキはぐっと引き寄せると、
その場所を高速で移動する悪魔が駆け抜けていった。
「おおお、危なかったでござる…!ありがとうでござるダキ…」
俺はSDなんだからこれぐらい当たり前だってのに…とダキは思いながら、まあ言っても無駄かと数年の付き合いで学んで諦めた。
「首席って言ってもアスモデウスの坊っちゃんと同率じゃねえか…」
命の恩人であるゴエモンの自慢になるような悪魔になりたくて首位を全力で目指していたダキだったが、
結果発表で同率がいたと知った時の悔しさと言ったらない。
「いやいや!エリート悪魔のアスモデウスと入学から同じくらいのレベルだってことにもっと誇ってもいいでござるよ!数年前まで自分の名前もわからなかったダキが…!こんなにも…!立派になったことが拙者は嬉しいんでござるよ!!!」
だばっと滂沱の涙で銀糸の毛並みが濡れる。
「ああ、ばか!せっかくの晴れ舞台なんだから濡らすなよ」
「だってぇ…!」
えぐっえっぐと泣き止みそうにないゴエモンを、
ダキは持ってきていたバスタオルで目元を拭いた。
それでもバスタオルの方が負けそうな水量に呆れてくすっと笑った。
好きなCPは?(市場調査)
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ダキ×ゴエモン
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ゴエモン×ダキ
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ダリ×ダキ
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ダキ×ダリ
-
ダロキア×ダリ
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ダリ×ダロキア
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ダロキア×バール
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バール×ダロキア
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ダキ×アスモデウス
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ダキ×キリヲ
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その他(自由回答)