できれば感想とかも待ってるぜ!(強欲)
ぱちん、と水泡が弾けたような感覚だった
その音と共に、意識が微かに浮上する
「おい、起きなよ」
呼びかけられる声に意識が向く
(……だれ、だ?)
人型の影がこちらを覗き込んでいるが
不明瞭な視界のせいで誰かわからない
瞬きをする
(みえねぇ)
まだ寝ぼけているのかぼやけて見えない
また、瞬きをする
(これは……、)
段々とピントが合い、
ようやく目の前に映ったのは見覚えのある茶髪の悪魔だった
「もう、寝坊助さんだな!次の授業行くぞ!」
しかし、ダキの知っているその悪魔にしては色々と…ダキは視線を下に向ける
「……ダリ、オマエ縮んだ?」
「はぁ?!君が!規格外なんだよ!僕は平均だってば!!!この成長期め…!」
そう言ってダリは睨む
心なしか色々と小さいというか、
若いというか、
ダキの知っているダリよりかは幼いように見えた
「ご両親共にでっかいから羨ましいぜ、僕の親は魔界だと平均だからな」
ダキは両親などいないはずである
生物学上の両親は何処かにいるのかもしれないが、"魔界で産まれてからの記憶の無いダキ"にはダリが何を言っているのか何一つ分からなかった
「両親…?俺に両親なんていない」
しかしダキのその突拍子もない言葉に
何を言ってるんだこいつ、とでも言いたげにダリは眉を顰める
「君…■■様と喧嘩でもしたのか?」
「……なんて言った?」
「はぁ、?だから■■様だって!君の母君の!!」
ダリが声を大きく張り上げてくれたのだが
ダキには肝心の名前が理解できなかった
言葉として確かに耳には届いたはずなのに、どうしてかそこだけすっぽりと記憶が抜け落ちているような感覚だった
(言葉が脳から滑り落ちるみてぇだ)
しかも、自分に母がいると聞いて「ああ、あのヒトか」と何故か納得する自分がいる
その事について深く思考しようとすると、脳がふやけているのか、何も考えられなかった
「…■■■■、君疲れてるんだよ」
言葉として脳に認識されない感覚が非常に気味が悪い
本能的にダキは今置かれた状況が怖くて立ち上がって逃げようとした
「お、目が覚めた?なら行くぞ」
勢いよく立ち上がったダキを見て
ようやく動く気になったのかと勘違いしたダリは、ダキの手を取って次の教室へ歩き出す
「っ、おい」
腕を振り解こうとするがびくともしない
ダリの力が強いのではない、ダキの腕に力が入らないのだ
(……なんだ、これ)
ダキの意思とは裏腹に体が勝手にダリの後をついていくのに従うしかない
「たくっ、最近の君は忙しすぎる」
誰もいないバビルスの廊下に、ダリの声だけが響く
「北の内戦の鎮圧に、南の暴動、闇市の摘発!
いくら君が規格外だからってこうも立て続けに働かされてたら終末期を作ったいつぞやの魔王みたくなるぞ!!!」
何も身に覚えのない事柄だ
だがそれすら、まるで、当たり前のようにダキは「ああ、そんなこともあったな」と認識した
【俺が動けば、事態は早く済む】
気づけば、口からするりと言葉が出ていた
自分の意思で発した訳ではないその本音が妙に馴染む
(俺が動けば、魔界は混乱を招かずに済む)
(魔界に住む無辜の民が、平和に暮らせる日々を守れる)
(■■■■の、居場所をおれが、護る)
じわり、と侵食されるような思考にただ溺れていく
強まる思念と共に虚になる目が空を見る
「…そりゃそうだろうよ、今君以上に強い悪魔なんて、それこそ三傑ぐらいだろうさ」
ダキの揺るがない魔界を預かる者としての覚悟に、ダリは不貞腐れた様子でそのまま腕を引いて歩いた
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
(護らねば)
ダキは、――いや、■■■■は、それが誰の思考かも分からない声に突き動かされていた
夢か現かも分からぬ世界をその声に従って歩き続ける
きっかけは単純なことだった
魔王不在の今、どうしようもなく不安定な魔界を13冠達だけで支えるには不穏分子が多すぎた
まだ学生であった■■■■は戦場に出なくてもよかった
ただ、それに甘んじて守られるままでいられるほど魔界は優しくは無かった
偉大な両親から受け継いだ
生まれ持った圧倒的な"力"
彼の声を聞けば群衆が首を垂れる
その一声で収まる暴動もあった
しかし、それでも反旗を翻す愚か者はいる
■■■■は"大いなる善"の為に
魔界という苗を腐さらせる根を断つと決め、その足で各地方へ向かい
密かに多くを殺め、その手を赤く染めて行った
魔界の主たる父が戻ってきた時に「よく頑張った」と褒めてもらいたい
ーーーただ、それだけの為だけに
■■■■は世界の均衡を護る殺戮者として暗躍した
「やめっ、悪かった、もうしない、
ーーあっべひゃ!!!」
一つ、命を奪う度に自分の正義を正当化した
悲しむだろうか
面白いこと、楽しいことが大好きで
暴力や血が流れる事を忌む■■■■や■■が今の自分を見れば
「頼むよ、コイツだけは見逃しっ、い"れ!」
また一つ、その手で命の芽を積む
その度に擦り減る精神を呑み込んだ
許しを乞う声さえも容赦はしない
無様に泣き喚く頭蓋を容赦無く踏み潰す
どんなに幼子だろうと次の芽を出させぬために、一つずつ息の根を絶やす
まさに"悪魔の如く"冷徹な合理性で、
目の前の命を生死の天秤にかけていく
そうなれば、もう止まらなかった
大いなる大義の前に測りにかけ、不要と断じた命は、呆気なく刈り取るだけだった
圧倒的な力こそ正義だった
名誉が、自分の穢れを甘く飾り
いつしか、誰かを斬る自分が当たり前になっていた
その度にどうしようもなく人間の頃の善性が、
目の前の惨劇に耐えきれず、喉奥で泣き叫びそうになる
だが、声には出さない
喉の奥で、プライドと悪魔としての本能で押し潰した
悪魔としての本能が強まる程に
段々と痛めつけることが楽しくなってきた
苦痛に喘ぎ、ぐしゃぐしゃに泣き喚く奴
浅ましいまでの自分本位に逃げる奴
死を前に足掻く欲剥き出しの奴
絶望に感情を剥ぎ取られ、空っぽの奴
彼らの叫びを聞く度に心の中のぽっかりと空いた虚無感を癒してくれた
■■■■が堕ちていくのは時間の問題だった
赤、赤、赤
溢れ出る臓物、滴り落ちる血、染まる眼球
鼻を麻痺させる、肉の腐り落ちる臭い
積まれた屍の山
あちこちから上がる悪魔達の激痛に呻く声は子守唄のようだった
【ー〜♪、〜ーーー♪】
ダキは鼻歌を零す
いつの日か母親が歌ってくれた"愛"をなぞって歌い出す
狂った拍子で、くるくると踊りながら
相手のいないワルツを優雅に踊り出す
気分よく踏みつけた足元からアカが跳ねる
靴底でぐしゃりと何かが潰れても止まらない
音魔の歌声とは思えない狂った音階が
心の奥から湧く甘美な熱を掻き立てる
達しそうなくらい強烈なエクスタシー
頭の奥でチリチリと火花が散るような快楽に
脳髄がどろどろに蕩けていく
【ふふ、ふはは、ははははははっ!!!】
笑いたくもないのに、
口の端が無意識に上がり
瞳がどろり、と欲にぎらめく
まるで地に足がついていない浮遊体のような気分でダキは目の前の惨劇を夢見心地で見ていた
ーーーーーーーーーーーーーー
ひと月の大半を地方の暴動などの鎮圧に赴き、落ち着けばバビルスへ戻る
そんな日々を繰り返しては3年は経った
学園に戻る度に欠伸が出そうなほどの平穏だった
魔具研の隠し部屋
師団塔の高い位置あるその部屋から見れる大きな窓から
嬉しそうにはしゃぐ周りの生徒達を■■■■は平坦な目で周りを見下ろす
笑顔、笑顔、笑顔
何も知らない無邪気な笑顔で学園は溢れている
あの暴動を、あの内戦を、拡大する前に防げたから被害はここにまで及ぶことはなかった
自分が護った笑顔だ
そう胸を張ってもいい働きだった
でも、なんでだろうか
その事を誇らしく思ってもいいはずなのに、
その笑顔が無性に癇に障った
例えるなら全てがキスで解決するディズニーの世界を信じきっている幼子を相手しているみたいだった
自分だけがぽっかりと、違う世界にいる
そんな異物感と気持ち悪さに吐き気がする
■■■■はクッションに寝そべりながら血酒を煽る
「おい、アンタ」
誰かに呼ばれた
振り返ると、そこには金髪の若い悪魔がいた
怒りに満ちた、瑞々しくて、強い、黄金の瞳
真新しい制服、襟元にランク4
バビルスに入学したばかりの新入生だ
たまにいるのだ、この俺に恐れ知らずにも話しかける蛮勇が
【…どうやって入った、後輩】
■■■■のいるこの部屋は魔具研の中でも一部の奴しか知らない隠し部屋だ
世に見せれない様な魔具や
酒を隠して置くために■■■■が作ったのだ
簡単に入れる様にはしていなかった
「アンタに会いたくてな、ちょっとお願いしたら入れてくれたぜ」
後輩の歩いた跡には、血が点々と落ちている
半開きの扉の向こうでは「ウゥッ」と呻く悪魔の声がする
忠誠心の厚い男だったが見当違いだった様だ
冷めた目でドア向こうの顔も忘れた男を切り捨てた
【ハッ、魔具研は俺のテリトリーだ
……そこでこの俺に喧嘩を売って、何がしてぇニューフェイス】
「……っ、!」
ーーーゾワッ、
■■■■底冷えするような魔力の圧
目の前に立つことさえ烏滸がましいと感じる圧倒的な力の差
普通の悪魔なら失禁するレベルの威圧だった
だが、目の前の悪魔は生意気にも一切顔を背けなかった
「っ…アンタ、先の南の暴動の鎮圧の功労者なんだってな」
上げた武勇伝は数知れない
連日新聞で取り上げられた■■■■の武功は多くの悪魔から畏怖と敬意を集めた
【それがどうした】
「世間じゃアンタを声一つで反乱を収めた無二の英雄、魔界の愛子…なんて讃えてるみてぇだな」
■■■■の行った血を血で流す惨劇は表沙汰にならない
なぜなら証拠は残していないからだ
殺して、殺して、殺してもその魂が体を離れるその寸前で生き返らせる、
もしくはその遺体ごと無かったことにする
悪魔を心服させる声
ヴェアトリーチェの再生
魔界を震えさせるほどの膨大な魔力
これらさえあれば、命を弄び、記憶を書き換えるのなんて赤子の手をひねるより易い
生き返り記憶を書き換えられたその悪魔達は体に残るトラウマに怯えながらも、■■■■に平伏する
世間イメージで言えば清廉潔白、声ひとつで数多の悪魔達を従える正に"平和の象徴"だった
「すげぇよ……アンタ……」
バールの声は、震えていた
その声音は熱烈な羨望が滲んでいた
(めんどくせぇ…)
こういう勘違い野郎を相手するのは面倒だった
己を英雄と讃え、甘い幻想を被せる愚か者
配下にと望むその有象無象の願いを叶えても自分ばかりの負担が大きくなる
まるで寄生虫のような思考を持たない弱者
「そんなアンタの正体がこんなんだってな」
しかしその考えを嘲笑うかの様に後輩が出したのは一枚の写真だった
夜に撮られたその写真は全体的に薄暗いものの■■■■が目の前の立つ悪魔を殺している決定的な瞬間を写していた
その写真を見た瞬間、■■■■は手刀で目の前の男の首を裂いていた
「ガッ、!」
大量の血が宙に飛び散る
何が起こったのか分からないだろう
首を裂かれた男が声を漏らし、
血が噴水のように制服の下の白いTシャツを汚した
地に膝をつき、喉を押さえ、呻く
口端から血の混じった泡がごぽり、と溢れる
新聞に踊らされた馬鹿な後輩だと思ったが
確かな証拠を持って詰めよる狡賢さはある。
が、圧倒的な力を前にしての対処が甘い
【残念だよ、
可愛い後輩を殺すことになるなんてな】
無関心に言い捨てて、■■■■は倒れ伏す名も知らぬ後輩を見下ろす
地面に広がる赤
掃除がめんどくさいと思いながらも死に行く様を眺めていた
「〜ー、ーーー、ーー、」
虚な目で何やらボソボソと呟いていた
死に際の世迷言だろうが、遺言ぐらいは聞くかと耳を近づけた
「このせかいはまちがってる」
囁きはか細い
それなのに、■■■■の心臓を爪で抉られたような衝撃が走る
(間違ってる?)
喉の奥でナニカが笑った
「アンタなら、世界を壊せるだろう?なのに何でやらない、何でアイツに従ってる…ッ!この世界はテメェには優しくねぇのに!!」
この平和を護ってきたつもりだった
血を流し、牙を剥き、腐った根を食い尽くす
ヒトには言えぬその残忍な悪業
バレれば後ろ指を刺され非難されるだろう
「なんで、俺らは世界の爪弾きものにされる…間違ってる、こんな世界は、修正しなきゃならねぇ…ッ!」
酷く、甘い、絵本の中の様な異様な世界
その世界で「間違ってる」と言い切る声が、ひどく心地よかった
「っ……はっはははははははは!!!」
声が弾ける
嘲笑ではなく、歓喜に近い笑いだった
(そうだ――間違ってるさ、俺も、お前も!)
ずっとこの世界の異物の様だと感じていた
この声が、容姿が、力が、生まれが、いくら世界に愛されようとも馴染めない
俺が間違っている?
いいや、この世界自体が間違っている
まるで面白い玩具を拾った子供のように、
■■■■は血まみれのバールを引きずり起こす
【お前の名は?】
「っ、バール…いずれアンタを超える男だ!」
血を失いすぎて青ざめた顔
憔悴しきって立ち上がることできない
けれども消えぬ黄金の灯火
強い意志を持って睨むバールの生き汚なさがかつての自分の姿に重なる
【……気に入った】
バールの腕を掴み無理やり引き上げた
未だ血が溢れるバールの首筋に■■■■は手を翳す
【ヴェアトリーチェ】
傷跡を優しくなぞるとそこからキラキラと金粉が舞い上がり、バールの致命傷は跡形もなくなる
バールの顎を掴んで固定する
■■■■は自分の親指の腹の表皮を食い千切った
ーー瞬間部屋を満たす
吐き気がするほど甘ったるく、
鉄の味が混ざる毒々しい"誘惑の香り"
「っ、はあっ、!」
ぽた、ぽた、ぽた、
一滴、一滴、バールの頬に■■■■の熱い血が落ちる
白い肌に血が落とされるその度に、胸の奥に潜んでいた"悪魔の本能"が、皮を引き裂いて吠えた
「……っ、は、フー……はっ……!」
目の前の極上の餌にバールの瞳が獣のように血走る
理性が剥がれ、熱に濡れた息がこぼれる
■■■■は、そんな姿を楽しむように目を細めた。
まるで「待て」を言い渡された犬だった
浅ましくも極度に興奮したバールの股間は苦しそうに立ち上がっている
【求めよ、さすれば与えん】
耳奥をくすぐる低い囁きに、バールの背筋が跳ねる
頭の奥がぐらぐらと溶け、スパークした思考のせいでバールの意識が白濁していく
【飲め】
その一言で、理性の鎖がぶつりと切れた
バールは喉の奥で吠える様に唸ると、
本能の赴くまま■■■■の指に口付けた
ーーーちゅう、
「っ、ふぅ、!は、」
一口、飲む程に体が熱くなる
喉を通る滑らかな血潮、
もっと、
もっとと、
際限なく次を求めたくなる極上の味
血を失い青白くなったバールの顔は興奮で赤く染まっていた
すぐに傷が癒えて血が垂れなくなった指を舐め続ける
指に残る血が落ちた跡さえも取りこぼさない様バールの厚い舌が指を這う
しかし、いくら舐めてももう無い
バールの目に映ったのは太い血脈が走る白い首筋だった
ーーードサっ
血に飢えた獣のバールが■■■■を押し倒す
馬乗りになると、その蠱惑的なまでに白い首に牙を立てようと首筋に鼻をうずめる
【っ、……お前も欲しいか?この俺が】
■■■■からフッと香る甘いダチュラの匂いに混ざり、どろり、と錆鉄が鼻を突く
香水では隠しきれない身に染みるほどの血を浴びた証拠だった
清廉な世間の姿と真反対の醜悪な二面性
バールの口角が上がる
■■■■はバールの後頭部をぐっと押さえつけた
「全部、食え」とでも言うように
【堕ちろ】
それに応える様にバールは
その首の太い血脈を迷わずぶつり、と噛みちぎった
ーーーーーーーーーーーーーーー
飛び起きる様な衝撃でハッと目が覚める
「っ、、!はあっ、!!!」
勢いのまま起き上がった
まるで全力疾走したように息が荒い
酸素を求めてドクドクと鼓動が強く脈打つせいで胸が酷く痛かった
きょろきょろと、辺りを見回すと、
視界に映るのはまだ日も昇らない薄暗い部室
窓の外は青く、
夜と朝の境目がじわりと滲んでいる
見覚えのある魔具研の部室だった
(戻ってこれた…)
あの悪夢から戻ってきた事に安堵する
妙にリアルな夢だった
指に吸い付く唇の感触も、
首に牙を立てられる痛みも、
男の頭を触った時の硬くてコシのある毛の感触も
体全体にその記憶が残っている様でぞわぞわした。
(……どうせ、ちょと、えっちな夢を見るなら豊満な女サキュバスとの夢にしろよ…)
何が悲しくてゴリゴリの男との濡れ場を夢で見なきゃならんのだとため息を吐いた
「あの声…何処かで聞いたことあるな」
バールと名乗った男の声が
耳の奥で山びこの様にいつまでも響く
聞き覚えのあるハスキーボイスにこめかみを指で突くが思い出せない
謎の気疲れに「はぁ、」とため息が出る
昨日は夜遅くまで花火の製作に打ち込んでいたから部室で雑魚寝である
パッと横を見ると、入間達はウァラクの芸術的な寝相で色々と体勢が酷いことになっていた
(……どうやったらそうなるんだ)
ウァラクが真ん中だったことも原因だろう
アスモデウスの顎に手をかけ、
入間の腹を足で掴んでいた
しかも、2人の上にしっかり乗っかっている
入間はやはり腹に何か重いものが乗せられている状況がキツいのか「う〜ん?」と魘されているし
無理矢理な体勢のアスモデウスは苦しそうな顔をしながらも起きる気配がない
(……格闘技?)
なんでそうなったとツッコみたい気持ちにもなった
ダキは自分の図体がデカいからウァラクから一番遠い場所を希望した過去の自分に感謝した
……カシャ
とりあえず、写真に収めて後で揶揄ってやろうとカメラで証拠を収めた
起きるにもまだ早い時間だが、
脂汗でベタベタになった体が不快だった
「………?」
股のぬるぬるした不快感に気がついて眉を顰める
嫌な予感がしてパンツを覗き込む
「………ハァ」
そりゃあんな夢見ればそうもなるわな
軽いため息を吐いて
のそのそとダキは起き上がりシャワーへと向かった
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
夏口の気候のせいか
シャワーヘッドからは生温い水しか出てこない
肌に伝う感触がこの今いる世界を現実だとダキに再認識させてくれた
(なんだったんだ、アレは)
ぽたぽたと、落ちる雫をただ呆然と見ていた
夢と片付けるにはあまりにも生々しく
後に残る苦く、苦しい感情が心臓に杭を打つ
目の前にある鏡に映る自分と自然に目が合う
普段は前髪で隠していた顔が濡れて顕になっていた
鋭い眼差し、整った輪郭、癖のある睫毛
そこに映るのは文句のつけようがないほど整った顔立ちだ
——まるで誰かの傑作みたいに、完璧な“美形”
きっとこの体の親はかなりの美形だったに違いない
鏡の向こうの自分の顔をツゥっ、となぞる
その肌に、傷などもうどこにもない
使い魔召喚の日から無くなった凄惨な火傷跡が恋しく感じる
火傷跡のない自分も自分なのに、
まるで"別人"のような気がするのだ
あの日からじわじわと、
自分という存在が"ナニカ"に侵食される様な気持ち悪さを感じている
(俺は、誰だ……ゴエモンのSD、ダキだろ)
ーーーキュ、
カランを締める
濡れた髪を魔法で乾かすと、
火傷も消えたまっさらな顔を誰にも見せたくなくて、そっと覆いなおした
(……何もない、はずだ。俺は普通の悪魔だ、)
さっきまで夢の残像がフラッシュバックする
視界が赤く染まり、シャワーヘッドから垂れる水滴が血の様に見え
足を踏みしめれば、頭蓋を踏み砕く感触が足裏に響き
こちらを睨む男の強い金の瞳が、ダキの心臓を鷲掴みにする
馬鹿馬鹿しいその幻影を振り払うように頭を振る
真新しい下着に着替え部室へ戻っていく
今度こそ、何も考えず、深く眠る為に
他の話の執筆のためしばらく更新止まるよ!
具体的には8月お盆後まで!
好きなCPは?(市場調査)
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ダキ×ゴエモン
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ゴエモン×ダキ
-
ダリ×ダキ
-
ダキ×ダリ
-
ダロキア×ダリ
-
ダリ×ダロキア
-
ダロキア×バール
-
バール×ダロキア
-
ダキ×アスモデウス
-
ダキ×キリヲ
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その他(自由回答)