魔王デルキラの息子   作:雨鬱

26 / 48
第23話:動き出す側近達

 

 

 

 

 

 

ーー空っぽだった

何も感じず、何も見えず

何色もの星光が瞬きながらアメーバのように闇を這っている

その空間で、飽きもせず見つめ、漂う自分がいた

 

意識だけが宙に浮かぶような不思議な体感

 

まるで自分がこの世界の一つになったような淡い意識の中

体を巡る温かな何かが、じわりと全身に熱を灯し、理性を水面へと引き上げていく

 

 

 

(……いかなきゃ)

 

 

どこにも足のつけない不安定な空間で

何処へ帰るべきかも分からないまま、ただひたすらに帰る場所を探しに彷徨っていた、

ーーそんな所に声が聞こえた

 

 

《…キ、ダキ》

 

 

誰かが自分を呼ぶ声が聞こえて、覚醒する

 

 

 

 

「っ、あ」

 

 

 

自分という『個』を知覚すると共に、ぐいっと、魂が元の器へと引き戻されていく

脱色された世界へと放り投げられたと思いきや、その次の瞬間には、真っ暗な闇へ叩きつけられていた

 

 

 

「ぅ、……」

 

 

 

叩きつけらたその強い衝撃で声が漏れた

起き上がろうとしたら、身体全身が重怠かった

まるで地に這いつくばる泥の様だった

身体は起きたくないと訴えるが、脳は冴え渡り、本能的な目覚めに逆らえない

 

チカチカと目の奥で瞬く翠白の光に、閉じていた瞼が震える

瞼を破るように射し込む光が痛くて、反射的に目をギュッとキツく閉じる

 

 

「……っ、」

 

 

 

そっと、瞼をうっすらと開けると、そこにはぼやけた視界の中、白い髪が滲んで揺れた

 

 

 

「…ぼっちゃん、」

 

 

目玉だけ動かし、周りを見る

ゴエモンの後ろにはゴエモンのお父上、

右手には俺と手を繋ぐ医者、

そして何故か遠巻きにこちらを見るダリも居た

 

 

「ダキ!!!!」

 

 

目が覚めたことを知ると、ゴエモンはベットで横たわるダキのその腰にしがみつく

 

 

「よかっ、うっ、えっぐ、うう、目覚めないかと…!」

 

 

ゴエモンの涙がべしょべしょに布団を濡らしていく

太ももが涙で冷たくなる

 

 

(……こんなに泣かせて、俺は何をしてんだか)

 

 

守るべき主人を、こんなにも傷つけてる

心配させた事に申し訳なく思いながらも、震える歓喜を隠しながら、ダキはゴエモンの手を握った

ゴエモンの体温が、まだ自分が生きていることを実感させてくれた

 

 

 

「ご心配おかけしました、坊ちゃん」

 

 

 

ダキの布団の上で顔を伏せていたゴエモンはバッと顔を上げると激しい剣幕でぐわっと髪が浮き上がる

 

 

(あ、やばい、)

 

 

怒りで我を忘れているのだろう、顔が見えそうになっている事に気がついてない

 

 

 

「な"ん"で!あ"んな"無茶するんでござるかぁ!」

 

 

 

ゴエモンがダキの腕を叩きながら叱責する

ダキはその怒りを受け入れながら、心の内の動揺に気づかれない様にゴエモンの白い髪にスッと手を伸ばす

 

 

「思ったより、魔力消費が激しかったみたいで、悪いな…」

 

 

わしゃわしゃと撫でて謝ると、ゴエモンの浮だっていた髪が鎮まった

 

 

(危ねぇ…ここにはダリと医者の奴も居るからな)

 

 

ゴエモンのコンプレックスを知っているから顔が他の人に見えなくてよかったとダキは内心ホッとする

ゴエモンの顔は一族の特性で、顔を見た者を発狂させる、いくら教師とはいえ、きっとこの姿を見られたら耐えられないだろう

 

ゴエモンのこの姿は、誰にも見せたくない

平気で直視できるのは、血縁の親方様と、SDの俺だけ

その事実は、血が繋がらぬ異物の様な自分が、彼らの中に許されたという証のようで、たまらなく誇らしかった

けれど同時に、ゴエモンにとっても希望であると知っている

 

だからこそ、もし他にこの姿を平然と受け入れる悪魔が現れたら

 

ーー大人になったゴエモンの側に寄り添う、優しげな女悪魔の虚像が浮かぶ

ただの妄想でしかない未来に、緑色の炎が燻るのを感じる

 

こんな身勝手な独占欲を抱く自分を、坊ちゃんや親方様は軽蔑なさるのだろうか

 

 

 

「ダキ」

 

 

 

 

すると、ゴエモンの隣に無言で腕を組んで立っていたゴエモンの父が口を開いた

名前を呼ばれただけなのに、その厳しい声音に背筋が伸びる

 

 

 

「はい、親方様」

 

 

今日の師団披露の為にわざわざ道場を休んで本祭にきてくれたのに、みっともないところを見せてしまった

ダキは胸の中に残る苦い想いをグッと表に出さないように、正座で向き直る

 

 

「よくやった」

 

 

 

たった一言のその言葉にダキの目が見開く

 

 

 

「え、あの、」

 

 

動揺で今まで常に付けていた、冷静沈着な優等生の仮面が剥がれ落ちた気分だった

視線が泳ぎ、喉がつまる

狼狽する自分が、子供じみていて情けないのに、それでも止められなかった

 

 

 

「力の使いすぎで倒れる事は反省だが、お前のおかげで1人の死者も出さずに済んだと聞いた」

 

 

ダキの迷子の子供の様に狼狽える様子ゴエモンの父は微笑んで、そのがっしりと大きな手でダキの頭に手を置いた

 

 

「よく、頑張ったな」

 

 

ぐしゃりと頭を撫でる親方様の手

大きくて、重くて、温かい

 

 

「あ、」

 

 

酷く胸中が揺さぶられる

親方様に褒められた

そのことが、無性に嬉しくて、胸にじわり、とくすぐったいような甘い痺れが広がる

ずっと求めていた何かをいきなり与えられた様な、心の充足感に、くるしくて、喉が痛い

でも、それを素直に表すには、むず痒くて

 

 

 

 

「ありがとう、ございます」

 

 

 

 

ダキは少し羞恥で赤くなりながらも、御礼を告げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふふ……年相応なところもあんじゃん)

 

 

 

ダキのその様子に静かに見守っていたダリは目を細めた

その表情には、安堵と同時に、どこか胸を刺す痛みが混じる

 

 

 

 

 

『私は、コイツが、ダロキアの血縁者、もしくは、

ーーーダロキア本人だと、考えた』

 

 

 

 

 

先程のドゥルジとのやり取りが呪いの様に耳奥に残響する

ドゥルジの言葉を聞いてから、ダリには、ダキに重なるようにダロキアの幻影が見える

声の響き、仕草の端々に、どうしても「アイツ」の影が色濃く残る

 

 

(そういえば、アイツには、褒めてくれる父親はいなかったな)

 

 

ふと、昔の記憶が甦る

昔見た、遠くを、寂しそうに見つめるダロキアの横顔が思い浮かぶ

アイツ自身、周りには賞賛で華やかな道を歩む生まれながらの王と讃えられていた

周りに増える宝

けど、その度に何も満たされない、空虚な目が、孤独に映る

 

 

 

(……ダロキア、お前が欲しかったものを、せめてあの子には与えたい)

 

 

 

ダリは拳を硬く握りしめた

指先が白くなるほどに力を込め、胸の奥に燃え上がる衝動を押し殺す

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁ!折角の師団披露!参加しないなんて勿体無いことするなよ!」

 

 

 

パンパンっと手を鳴らし場の空間を一新させる

そのダリの言葉に顔を見合わせるダキとゴエモン親子

 

 

「ゴホン、…拙僧も、お前達の頑張ってる姿が見たい」

 

 

ゴエモンの父の言葉に2人が顔を見合わせて笑う

ゴエモンが、父の手を引っ張り、その後ろをゴエモンがついていく

 

 

「さぁ、行くでござるよ!まずは拙者の師団に行くでござるよ!!」

 

「だな、」

 

「わかった、わかった、そんなに引っ張るんじゃない」

 

 

「いってらっしゃい〜!」

 

楽しそうに祭に行こうとする3人を、ダリは笑って見送る

そのダリを見たダキが、ドアを潜る前にぴたりと、その場で止まる

 

 

「?、どうしたでござる、ダキ」

 

 

「…、親方様、坊ちゃん、先行っててくれるか?」

 

 

「?、わかったでござる」

 

 

「…早く来るんだぞ」

 

 

2人が廊下を歩いていくのを確認して、くるり、とダキは振り返り、ダリの方へとズカズカ歩く

 

 

「え、な、何?どうしたの、ダキ君」

 

 

ダキがダリの目の前に立ち、ダリの顔をジッと見下ろす

ダキの長い髪が、まるで外界を遮るカーテンの様に垂れ、ダリの顔はダキにしか見えない

 

 

鼻先が触れそうなぐらい近い距離でジッと見つめられる

普段の月光のような瞳が、七つの大罪を使用した副作用で黄緑色の炎の様に揺らめく

 

 

 

(きれい…)

 

 

アイツに良く似た顔、

本当にツノと髪型以外は瓜二つで

その顔で見つめられると、どうにかなってしまいそうだった

 

 

(ああ…もう、本当どうかしてる)

 

 

ダキを見てるとなんか、甘やかしたくなるのだ

全てを捧げたいし、全てを受け入れ欲しい、

ただひたすらに目の前に男に尽くしたいと思う純愛乙女チックな、甘い感情が煩わしい

その思考がまるで自分じゃなくなるみたいなのに、嫌じゃない

 

 

(アイツとは、真逆だな)

 

 

ダロキアーーアイツと目が合うと、どろり、と自分の持つ欲が膨れ上がる

一つ、視線を向けるだけで、秋風のように感情を湧き起こされる

その首に噛みつき、血で喉を潤し、血と肉と本能がむくむくと聳り立つ

支配する側のアイツを捩じ伏せ、自分の色に染めたくなる

 

 

 

 

「やっぱ、アンタ、無理してねェか?」

 

 

「へ、?」

 

 

 

ダキの鋭い一言にびくりと、肩が揺れる

ダリの心中を読み取ったかのような的確な一言に、感情を隠すこともできなかった

 

 

(…そうだ、僕は嫉妬してる)

 

 

ゴエモン父とダキの関係性に、純粋に嫉妬しているんだ

応援しようって、アイツには無かった父親的存在との交流を微笑ましく見ていようって思った

 

なのに、その姿を見てると、デルキラを追い求めて必死だったあの頃のダロキアを思い出す

ダリ達でも埋めることのできなかった、ダロキアの孤独に、自分ではダメなのかと、泣いて縋りたくなる空虚さで苦しくなる

 

 

 

「ふーん、やっぱりな」

 

 

 

ダキは意地悪げにニヤニヤと笑う

ダリは何も言ってないのだが、ダキには何もかも見透かされてる気がする

こんな、大人らしくない子供じみたみっともない感情を知られたくは無かった

 

 

 

 

「今年は、一年生にとっちゃ親に晴れ姿を見せる大事な行事だからな、譲れねぇがーー、」

 

 

 

 

顔を上げ、腰を下げるとダリと目線を合わせた

ダリの耳にかかる亜麻色の髪を人差し指で優しく撫でる

その視線から伝わる、拙いほど青臭い感情

胸がむず痒くて、目を逸らしたいのに、

その瞳の強い引力から逃れられなかった

 

 

 

 

「来年は一緒に回ろーぜ、ダリ」

 

 

 

 

ニッと、無邪気に笑う

その笑顔に、不意に胸を鷲掴みにされたような衝撃が走り、ダリは思わず息を呑んだ

何か言葉を返したいのに喉が震える

ようやく思いを言葉にしようと、口を開いたその瞬間、制止するかのように、ダキは掌をピッと立てた

 

 

 

 

「じゃっ、またな!」

 

 

 

 

そう言って、先ほどまで寝込んでいた重症者とは思えない動きでゴエモン達の後を追って出て行った

 

 

 

「ちょ、?!ダキくん?!!」

 

 

慌てて、保健室のドアから去った跡を追うが、ダキの姿は何処にもなかった

 

 

 

「っ、!はぁーーーー、?!アイツ、言いたいことだけ言って逃げやがった!!!!」

 

 

 

ドアの向こうに消えるまで、ダリはその瞳の残像を追い続けていた

気のせいでなければ、去り際に前髪の隙間から見えたダキの耳は、赤く、なっている気がする

 

 

 

 

「…っ、クソッ!」

 

 

 

髪の毛をくしゃくしゃに掻きむしり、悶えそうな感情に耐えきれずにその場でしゃがみ込む

そんなダリに、ずっとその場を傍観していたドゥルジが声をかける

 

 

 

 

「青春だな」

 

「うるせぇやい!!!!」

 

 

 

 

学生時代のダロキアとダリをよく知る同級生からのその言葉が1番効く

ドゥルジの生暖かい視線のせいでもっと居た堪れなくって、ダリは自棄っぱちに叫ぶしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、黒い首席、貴様物凄く楽しんでるな」

 

 

「ほん、はふのっふか」

 

 

 

お手洗いに向かったゴエモンと親方様を待つ間、屋台を楽しんでいたところをサブノックに捕まる

 

 

「ちゃんと飲み込め、馬鹿者」

 

 

 

片手に我堕飴(わたあめ)、頭に15代目魔王のお面をかけ、口には夜鬼鼠破(やきそば)を頬張る

 

 

「うぬら、我の劇を見にくるがいい」

 

「サブノックは…なんだっけ?魔王研究師団だっけ?」

 

「そうだ!歴代の魔王達を研究し、世に広める!」

 

「ふぅーん、」

 

 

 

魔王なんて興味がない

ロマンある分野だとは思うが、それ以上の興味は湧かない

暗記科目だから、テストが楽だという感情しか湧かない

 

 

 

「今回は趣向を変えてな、『魔王子ダロキア』を演るから貴様も来い」

 

 

 

そのサブノックの言葉に思わずダキは顔を顰める

 

 

(ふーー……ここでもか)

 

 

最近、嫌でも耳にする悪魔の名だ

不死鳥ヴェアトリーチェを使い魔にしてから周りから『魔王子ダロキアの再来』という声が上がってくる

 

 

(……辟易する)

 

 

ダキは、自分の噂の元になってる男がどんなやつか気になって調べた

 

魔界大図書館

魔王子ダロキアがいた当時の新聞紙を集めた

 

古いナンバーの新聞紙、

見出しには【魔王子、北部の内乱を鎮圧】

その一面には、見覚えのある悪魔がいた

 

風に靡く紫色の美しい髪

三つに聳えるツノ

黄金の双眸

 

美しい悪魔が、ベアトリーチェを腕に乗せ、微笑んでいる

 

ベアトリーチェを使い魔にする時に見た

過去の幻影にいたダキと瓜二つの顔の悪魔

 

 

 

(ヴェアトリーチェは、俺に、思い出せ、と言った)

 

 

あの召喚の儀のことを詳細に思い出そうとして頭が痛くなる

 

 

(アレが、過去の俺だとして、逸話に聞くダロキアと、俺は全く違う)

 

 

魔王子ダロキアが何よりその名を魔界に轟かせたのは、不死鳥が使い魔というだけではない

奴は、【悪魔を支配する声】を持ち合わせる悪魔だからだ

 

 

(…俺にはそんな力はない)

 

 

きっと痛い勘違いをしているのだと、結論つけてダキはこれ以上ダロキアの事を考えない様にしていた

 

 

「……ん?ダロキアは、『魔王』じゃねぇよな」

 

 

ーー魔王子ダロキアは、ランク10を進呈されるその日、姿を消したそうだ

父王デルキラと同じ様に、まるでこの世から初めから居なかったみたいに

だから、彼の悪魔は『魔王子』であって、『魔王』ではないのだ

 

 

「うむ!魔王になるはずだった、男の話だ!例年は魔王の話ばかりなのだが、」

 

 

サブノックはわざとらしくダキに視線を這わせ、にやりと笑った

 

 

「今年はスポンサー趣向もあってな…なんでも、今年は不死鳥を使い魔にした男がいるという話を聞いて、嘱望されたそうだ!

実はスポンサーがお前に一度会いたいと言っていてな、観劇料は特別いらんから、特等席で…」

 

 

 

「…ハッ、物好きな野郎もいるもんだな」

 

 

その破格の条件に思わず笑ってしまった

まるで、そのスポンサーは俺に気に入られようと必死なようで、少し気味が悪い

 

 

 

「まぁな、どうやら魔王子の側近だったOBらしくてな、お前のことを色々と話したら益々興味が湧いたらしくてな」

 

 

 

楽しげに話すサブノックと裏腹にダキの機嫌は降下していく

魔王フリークのサブノックにとって余程そのスポンサーとやらとの会話が楽しかったらしい

 

 

(余計なことを言ってなければ良いがな…)

 

 

痛くなる頭を押さえたくなるのを我慢して、腕を組む

 

 

「しかし、名誉なことだ。凄い偶然だが、魔王子ダロキアも、お前と同じの髪色で、」

 

 

そう言ってサブノックはダキに手を伸ばす

 

 

「瞳も金なら………、」

 

 

その触れようとしたサブノックの手を掴む

 

 

 

「おいおい、何口説こうとしてんだよ、俺はお触り禁止だぜ」

 

 

 

そう言ってサブノックの手にキスを落とす

 

 

 

「なっ、なっ?、な!!!何をする貴様!!」

 

「何って?挨拶だけど?」

 

「それは、紳士が淑女にするものであって!!」

 

 

 

顔を真っ赤にしながら、パクパクと口を開くサブノックの間抜けな顔が面白くてクスクスと笑う

揶揄われたのだと知ったサブノックは手を振り払い「ふんっ、」と鼻を鳴らした

 

 

 

「まぁ、なんだ、貴様の使い魔と縁のある男の話だ、観にくるがいい」

 

 

 

そう言って手渡されたチラシをダキは受け取った

サブノックが人混みの中に去っていくのを見ると、ダキはそのチラシを握りつぶす

 

 

 

 

 

「お待たせでござる!いやぁ〜トイレ長蛇の列だったでござるよ〜」

 

 

「漏らさなかったか?」

 

 

 

「な訳ないでござるよ!!!ちゃんと間に合ったでござる!!!……ん?もしかして、何かあったでござる?」

 

 

 

 

目敏く気づいたゴエモンに、ダキはなんてことない様に笑った

 

 

 

 

 

 

「いや、何でもないですよ、坊ちゃん」

 

 

 

 

 

 

ダキはチラシを近くのゴミ箱に投げ捨てた




【小話 ドゥルジの独白】

ダリとは、バビルス二年の頃からの付き合いだ。
ダロキアが若王になった時、別クラスだったダリを「優勝賞品」と称してアブノーマルクラスに攫ってきたのが始まりだ


ダロキア、アイツは魔性だ
面白そうな奴を見つけては、どこからともなく引き抜いてきて、構い倒す
ダリは、その中でも特別な、『相棒』とまで呼ばれるまでダロキアに可愛がられた
一年のアブノーマルクラスで一緒だったときからダロキアを見ている私にとって、そんなダリに嫉妬した
何度かその座を賭けて戦ったが、負けた
あの余裕綽々な態度が気に入らないが、確かにアイツにはダロキアのお側に対等に立つだけの強さがある

ダリは特別だった、けれども、ダロキアは色んなやつを引き抜いては、はべらす
戦闘狂や、狂信者、色情魔、どいつも厄介な悪魔達だった
学生時代は、そんな奴らによる“ダロキアの取り合い”が日常だった
一つ間違えれば爆弾みたいなあの個性の塊達を手懐けるダロキアもダロキアで
その全てを受け入れる懐があるから余計皆懐く
アイツは本当に魔性である


かく言う私も彼らの中の1人なのだが、私のダロキアに抱く感情は恋慕とかではない、崇拝に近いだろう

神とも、言えるそのお言葉
世界を揺るがすその魔力
全てに愛されたと言っても過言ではない彼の方の力をなりたくて努力した

…1番欲しい右腕も、次点で欲しかった左腕の称号も他の奴に持って行かれてしまったが、それでも、彼の側にいれるならなんでもよかった

 

もっとも、私以上に飢えた信仰者たちは、寵愛を求めて泥沼の争いを繰り広げていたが。

昔、ダロキアの首に歯形を見つけたことがある。
治療しようとしたら、彼は笑って言った

「これはな、ダリへの褒美だ」

そう言って首筋を撫でるダロキアの笑みは、あまりに扇情的で、崇拝を通り越して劣情を掻き立てた

あいつらは昔から独占欲が強い
褒美と称しては、ダロキアの時間を奪い、他の信仰者を牽制するために“印”をつけてもらう
宝飾品ならまだしも、奴らの場合はキスマークや歯形だった

ベアトリーチェのいるダロキアなら、傷の類などすぐに癒せる。
それでも「残してほしい」と願うらしい
……お熱いことだ。

そんなドロドロとした愛憎劇を散々見てきたこの私の前で、
今さら甘酸っぱい学生みたいなやり取りを見せつけられる身にもなってみろ

せめてもの報いに暫くは、からかってやるさ

好きなCPは?(市場調査)

  • ダキ×ゴエモン
  • ゴエモン×ダキ
  • ダリ×ダキ
  • ダキ×ダリ
  • ダロキア×ダリ
  • ダリ×ダロキア
  • ダロキア×バール
  • バール×ダロキア
  • ダキ×アスモデウス
  • ダキ×キリヲ
  • その他(自由回答)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。