魔王デルキラの息子   作:雨鬱

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第25話:アクドルと贖罪

 

 

 

ーー魔苦針ドームライブ会場バックステージ

 

 

 

 

華やかなライブの幕開け前

観客席のファン達の熱気と、楽しげな声で分厚い壁まで震えるほどに盛り上がりを見せている

ーーしかし、その裏側、バックステージは渾沌と化していた

 

 

「ちょっと!!ケーブルが落ちた!?」

 

「照明、点かないんだけど!?」

 

 

スタッフの怒号と走り回る足音が飛び交う裏方の現場

ライブ開始まで、残り30分

 

 

 

(ったく、マジで裏方ってのは戦場だな)

 

 

黒いTシャツ姿のダキは、頭に巻いたタオルをキュッと結び直す

 

真っ暗になった周りを静かに見渡す

時間勝負だというのに、大幅な時間ロス

焦る雰囲気に呑まれ、怒鳴り声が、まるで爆弾みたいにそこかしこで火花を散らす

 

 

「くそっ、技術班呼べ!!!!

 

 

「今ネットワーク障害にかかりっきりです!」

 

 

「良いから呼べ!」

 

 

「……ダメです、回線が死んでる!!」

 

 

焦りが現場の空気を濁らせているのがはっきりとわかった

 

 

 

「俺直せます」

 

 

スッとダキが手を挙げると、そこにいたスタッフはダキの方をバッと振り返った

 

 

「!、直せるのか」

 

 

「問題ねぇ、5分くれ」

 

 

ダキは静かに床へと膝をつき、工具を抜き出した

転がったケーブルを束ね、断線しかけの箇所を一瞬で見抜く

 

 

(ここか…、)

 

 

かちゃ、かちゃ、と金属音が響くたび、張り詰めた空気が一段階、音を潜めていく

 

 

「……はや……」

 

「何者だ、あいつ……」

 

 

技術班がいなくても、彼の指先は迷わない

暗闇の中で、手元だけが舞台のスポットライトに照らされるように鮮やかだった

 

電源が復旧しなければ作業が進まない

皆固唾を飲んで見守る

ーーそんな時だった

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「監督!」

 

「どこのケーブルがーーって、何だそのバイト、触ってんじゃねぇ!!」

 

 

非常事態に駆けつけた現場監督

目の前の信じられない光景に雷が落ちる

 

ライブ会場ではどんなスタッフか見分けがつくよう腕章の色で識別している

ダキの腕章は黄色

黄色の腕章は主に雑務を行う日雇いバイトだ

そんなバイトに専門的なライブ会議の配線を任せるなんて言う事はしてはならない

 

しかし、そんな怒り心頭の現場監督を前にダキは手を動かしながらなんて事無いような様子で作業を続ける

 

 

「安心しろ、上級電気工事士と、魔具工学技能士一級がある」

 

 

「はぁ?!!なんでバイトがそんな専門的な資格を持ってんだよ!!」

 

 

 

上級電気工事士は謂わば国家資格である

一般住宅から商業施設まで幅広い電気関連の工事作業、また監督が出来ることを示す

つまり、ライブ会場の電気配線など、ダキにとってはお手のものである

 

 

「俺はSDだからな」

 

 

その一言で、野次馬たちのざわめきが一段と大きくなった

名門の屋敷に仕え、主人の影としてひと時たりともそばを離れない、人間界でいう執事職、それがSDである

そんな存在が、どうして雑踏にまぎれてここで働いているのか、誰もが目を丸くした

 

 

「なんでそんな凄いやつがこんな所に…」

 

 

つまりSDと名乗るからには、

あらゆる技術と教養を備えておく必要がある

失敗すれば主人の面目に傷が付く

場合によっては命取りにもなり得る高等専門職だ

だからこそ、SDという肩書きは重い

 

 

 

「どこの家のだ」

 

「東方にあるガープ家だ」

 

 

そう名乗ると、失礼にも「何処だ…?」と言った困惑の声が上がる

 

 

(はんっ、知名度が無ぇのは今だけだ)

 

 

ガープ家はお世辞にも、知名度はない

だが、SDがいると言うそれだけで家の格は上がる

悪魔が命を賭けるに値する悪魔がいると言う証拠に他ならないからだ

自由奔放で自分の為にしか生きない悪魔にとってそれがいかに偉大なことか

皆が自然と尊敬の視線を向けられる

 

 

「……いいだろう、SDであれば実力は折り紙付きだ。ミスは許さん、任せたぞ」

 

 

家名を名乗ったからには、何か失敗をすれば主人に責が向かう

もし、騙りだったとしてもその家からの制裁で無事では済まないだろう

 

 

「主人に誓って」

 

 

ダキは居候でなく、SDとしてゴエモンに仕えようと決めたその日からあらゆる資格を網羅した

魔界には資格の年齢制限は無い

その気があれば3歳児でもソムリエ資格に挑戦できる

その性質を利用し、ダキは時間の許す限り、電気工事士から、フードコーディネーター、家政士など、専門的で幅広い知識を収めたのである

 

ーー全てはゴエモンの為に

 

 

黙々と作業を続け最後の配線を繋ぎ合わせる

 

 

ーーーカチッ

照明が一斉に点灯し、歓声のようなスタッフの安堵が漏れる

 

 

「「「「おおおおおおおお!」」」」

 

 

「よっしゃー!作業続けるぞー!」

 

 

「「「おおーーー!」」」

 

 

盛り上がるスタッフ達はそのまま各自持ち場に戻る

 

 

「おい、バイト」

 

「何だよ」

 

現場監督に青色の腕章を渡される

ーー日雇いバイトではない、技術専門スタッフの腕章

 

 

「雑務だけじゃ勿体ねぇ、こっちで動け」

 

「!あざっす」

 

ダキは腕章を受け取り、付け直す

青い腕章が誇らしげに輝いていた

 

 

 

「じゃあお前は…」

 

 

 

しかし、それで終わりではなかった

ーーぶしゅゅゅゆ!!!

 

次の瞬間、白煙が充満して視界が奪われる

 

音の方に目線を向けると奥の方から「スモークが逆噴射してるぅ!?」と悲鳴があがる

 

 

「…頼めるか?」

 

「……うっす、監督」

 

 

ダキは音もなく走り出し、階段の手すりを軽々と飛び越えると、逆噴射しているスモーク機に飛び蹴りを叩き込んだ

ーガチンッ

見事な角度で配管を押さえ、バルブを締める

 

その後も、飛んできたネジをキャッチし、音響ブースの謎のハウリングや、衣装の手直しまで

全て、ダキは一歩も引かず、むしろ楽しそうに次々と片付けていった

 

 

「か、かっけぇ……」

 

「マジで救世主かよ……!」

 

 

裏方スタッフたちの間にざわめきが走る

 

 

 

「やるじゃねぇーか!バイト君!これ、やるよ」

 

 

宙に放り投げられた缶をキャッチする

ブラックコーヒーだ

 

 

「さんきゅ」

 

ーカシュ、

プルタブを開けると挽いたコーヒー前の香ばしい匂いが鼻を掠める

 

ーゴキュ、ゴキュ、ゴキュ

 

口をつけると、喉を豪快に鳴らし、キンキンに冷えたそれを流し込む感触を楽しむ

口いっぱいに広がる強烈な苦味と酸味と

胃の腑まで染み渡るその冷たさに目がシャキッとする

 

 

「クハッ」

 

 

ひと時の癒しを堪能していた、その時

そこに派手な身なりの悪魔がダキの目の前に立ちはだかった

 

 

「ねぇ君!面白い子だね名前はなんだい?!」

 

 

ライブの裏方に勤しむダキに声がかかる

胸元を大胆に開けたシャツを着こなす"目が異様にキラキラしている"口髭の悪魔がいた

その腕には赤の腕章があった

 

 

 

 

(…ビンゴ、ライブ主催の関係者だ)

 

 

 

 

「バビルス一年、魔具研究師団副師団長、ダキだ、以後お見知り置きを」

 

 

 

お目当てのコネに滲み出る欲を抑え、柔らかく微笑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「くろむが——倒れた!!」

 

 

 

その一声に、舞台裏の空気が一変する

スタッフが走り、衣装担当が叫び、控室の方からざわめきが押し寄せてくる

 

 

(くろむ……って、今日の主役じゃねぇか)

 

 

ライブの主人公が倒れた

それは興行として致命的な事故だった

グループではなく、単独主演のステージだ

代わりなど、最初から想定されていない

 

 

 

「前座に別のアイドル入れるしかない!」

 

「今、事務所に電話してるが、あと15分だぞ?!開演を遅らせるか…、!」

 

「誰か!スタッフの中に、回復系の家系魔法持ちいる!?」

 

 

 

ざわめく群衆の中、先ほどのスーツの悪魔がダキに尋ねた

 

 

 

「ねぇ、君、もしかして回復の心得もあるのかい?」

 

 

こちらを見上げる目は鋭く、明るかった声は沈みながらも縋るようだった

使い魔ベアトリーチェは不死鳥

かの魔王子と同じ最強格の回復系の魔神

ダキはあまり魔王子と繋がるような話題で目立ちたくなかったが、目の前の出来事を見捨てるには目の前の餌は大きかった

 

 

「…治癒系の使い魔を持ってる」

 

 

その一言に、相手の目がぎらりと揺れた

焦りと、欲望と、期待色が滲むのが見てとれた

 

 

 

「流石バビルス首席君だ!くろむの治療頼めるかね?報酬は倍出すよ!」

 

 

その言葉にダキは目を細める

 

 

「…なんで、俺が首席だって知ってる」

 

 

「あはは!僕の息子も同じバビルスに通っててね!『自分より目立つ新入生がいる』っていじけていたよ!」

 

 

「…金じゃなくて、別のモンが欲しい」

 

 

一瞬、ざわつく空気がピタリと止まった

ダキの声は、ひやりとした刃のようだった

 

 

 

「……いいよ!、取り敢えず何が何でもあの子がステージに立てるようにしてくれるならなんでも、ね」

 

 

 

「良いぜ、交渉成立だ」

 

ダキはにやりと口角を上げ、

まるで“取引成立”とでも言わんばかりにもパチンっと小気味よく指を鳴らした

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ダキは件のくろむのいる控室へと小走りで駆け抜けた

ざわめくスタッフの声が遠くに薄れていき、靴音だけが冷たい床に反響する

 

控室の扉の前で、一度だけ息を整える

ノックと共に低く告げた

 

 

「救護班だ」

 

「!入ってちょうだい」

 

 

許可をもらったダキは控え室に入る

くろむは控室のソファにもたれ、ぐったりと意識を失っていた

額には汗が滲み、呼吸も浅い

腕に触ると、燃えるように熱い

 

 

「体の内からオーバーヒートしてるな。ステージ前のリハで無理でもしたか?」

 

「この娘、熱に弱いのよ、疲労や感情の昂り、家系魔法の使いすぎとかが無ければそんなことには…」

 

 

 

ダキはしゃがみ込む

 

「まって、あなた、回復系って言ったけど、この娘は特別な体質だから、体を冷やすにしても手順がいるの、特別な医者や家族でもない限り無理ーー、」

 

ーーパチンッ、

その言葉を遮って、ダキは指を鳴らした

 

 

「ベアトリーチェ」

 

 

空間が柔らかく揺れ、金色の羽を纏った治癒の使い魔・ベアトリーチェが姿を現す

 

 

 

「な、ふ、不死鳥ッ?!」

 

 

 

黄金の炎が優しく、くろむの体を包み込む

火に弱い患者に火を与える、側から見たら悪手だろう

しかし、不死鳥にはそんな事関係ない

ただ癒しを万物に与えるのである

 

 

「くろむ!!!」

 

 

くろむの荒い呼吸が少しずつ落ち着いていったのを確認して、ダキは立ち上がった

 

 

「っ………、」

 

「くろむ?!!」

 

 

くろむの瞳が、ゆっくりと開かれる

 

 

「……ここ、どこ……?」

 

 

「舞台裏、起き上がれるかよ」

 

 

「戻らなきゃ、会場に……」

 

 

唇が震えながらも、声を絞るようにしてくろむは言う

 

 

 

「……無茶しすぎなんじゃねーの、立てるかよ……、」

 

 

「ありがとう、でもいかな…きゃ、」

 

 

かすかな笑みが浮かんだ

弱々しく顔を上げるくろむ

 

そう言いながら、間近でくろむの顔を見た――その瞬間だった

 

 

 

(――は?)

 

 

胸の奥で、何かが音を立てて凍っていく

血が一瞬で冷える感覚に、息が止まる

ステージ衣装のまま、弱々しくダキを見上げるその顔に見覚えがあった

 

 

 

 

 

「オマエ、クロケルか?」

 

 

 

その名を口にした瞬間、空気がピンと張った

冷気がすうっと喉元を撫で、時間が止まったように感じた

 

目の前にいるのは紛れもなく、同級生のクロケル・ケロリだった

普段は、教室の隅でいるような、地味で冴えなく大人しい、マブノーマルらしくない真面目な悪魔

 

だが今、控え室の白色光に照らされるその姿は、まるで別人だった

普段メガネに隠されていた桃色のまつ毛が震え、怯えを孕んだ瞳がまっすぐダキを射抜く

 

 

(氷を使う、俺が殺しかけた女)

 

 

その場から動けなかった

まるで足を凍らされたかのように、重く、感覚がない

 

 

「ダ、ダキ君」

 

 

か細い声が、静寂に溶け落ちる

言葉は紙のように薄く、しかし確かに届く

胸の奥で、――パキ、パキ、パキッ

内側から薄氷を踏みしめるように軋む幻聴が耳奥で響くようだった

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

気まずい雰囲気が控え室に漂う

適温の筈の空調はダキの心境を表すが如く冷え切っていた

まるで断罪でもされるような息苦しさにクロケルのことをまっすぐ見れなかった

 

 

(……クロケルの方こそ俺の事が怖くてしょうがないだろ、なんせ自分のを殺しかけた男なのだから)

 

 

ダキは真っ直ぐとクロケルの顔を見つめる

 

 

 

「…この間は、悪かった」

 

 

ダキはそのままその場に座り込み、頭を深く地面につけるほど下げた

 

 

「カルエゴ卿が止めてなかったら、今頃お前を殺していた」

 

 

ーー土下座、と呼ばれるその姿、背中の羽の付け根を見せるその行為は、最大の敬服と謝罪を意味する

 

クロケルは目を見開き、一歩、後ずさる

そして震えを押し殺すように、口を開いた

 

 

「ゆるさないわ」

 

 

その声は静かで、氷片のように鋭かった

ダキはその言葉を真正面から受け止め、目をギュッと瞑った

クロケルがそう言うのも無理もない

 

 

「そうだな、自分を殺そうとした相手を簡単に許す馬鹿はいないよな」

 

 

それでも、赦しを乞うしかなかった

自分の罪から逃げないために

ダキは顔を上げ、クロケルの目の前に3本の指を突き出す

 

 

「わかった、3回、3回だ

俺をアンタの好きなようにしていい、

ーーだが、1回目は今、お前を助けたことだ」

 

 

クロケルの瞳がわずかに揺れる

赦してもらう側に癖に何を偉そうにと思うだろう、けれど"何でも"を赦してしまえば奴隷でしかない

俺はSDとして、坊ちゃんよりも優先して何かをできるのは3回までだと思っている

 

 

「いいわ、どんなことでもいいのね」

 

「ああ、悪魔として誓おう」

 

「ーーいいえ、あなたの“主人”に誓って」

 

 

一瞬、ダキの怒気でピリッと空気が張り詰める

ダキにとって自分の失態でゴエモンの名を出されるのは屈辱の何物でもなかった

ダキは静かに立ち上がり、掌をクロケルに向けて宣誓した

 

 

「……良いだろう、ガープ・ゴエモンの名誉に誓って」

 

 

その言葉に、クロケルはようやく息を吐いた

張りつめた糸が、少しだけ緩む

 

 

 

「じゃあ――私がアクドルだってことは、黙ってて」

 

「わかった」

 

 

 

クロケルはわずかに微笑む

その笑みは、安堵と決意が混ざった、不思議な色をしていた

 

 

 

「……最後の一つは残しておくわ、私の切り札として」

 

「ああ、わかった」

 

何に使うつもりなんだと内心ビクビクしながらダキはクロケルに手を差し伸べた

その手をとって、クロケルは、ゆっくりと立ち上がる

 

 

「行くんだろ」

 

「ええ、みんなが待ってるもの」

 

「…良い女だな、おまえ」

 

 

自分の不調を隠し、自分を待つ者の為に頑張れる、強い女

ダキの精一杯の応援にクロケルは驚いたように目を見開く

 

 

「知ってるわ、そんな事」

 

 

そう言って無邪気に笑ってクロケルはくろむとしてマネージャーと一緒に控え室から出て行った

ダキはただ、眩しそうにその背中を見送った

その光に、ほんの少しだけ、胸が軋んだ

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー翌日、マジカルストリート、ゴエモン宅

 

 

「疲れた…」

 

 

 

体力は有り余っているのだが気疲れのせいか朝から重怠い

イベントの余韻を引きづっている

ダキは首を揉みながら、手慣れた手付きでスクランブルエッグを作る

じゅう、と熱で焦げるバターの食欲をそそる匂いでやっと現実に戻ってきたような気分だった

 

 

(謝れたのは良いんだが、何頼まれるのか怖ぇな)

 

 

昨日のクロケルとの約束を思い回して更に重い気持ちになる

一息つきたくて、料理台においていたコップを、空いているもう片手で手に取る

コップに入っている牛乳を一口含んだところで、流れるニュースの声に意識が向く

 

 

「昨日、魔苦針ドームで行われたライブではー、」

 

 

 

映し出された3人のアクドルが遠目で映る画

くろむが倒れていた間の前座なのだろう

結構好評だったと聞いたな、なんて他人事のように眺めていた

 

 

(あ、入間だ)

 

 

パッと、アップで映し出された件のアクドルの顔を見た瞬間、その正体をダキは咄嗟に暴いてしまった

 

 

 

「……?、……ッ?!!」

 

 

 

一拍置いて、それが"おかしいこと"だと言うことに気がついて、反射的に、湧き上がった衝撃のまま、声を出そうとしたのが悪かった

完全に口に含んでいる牛乳を忘れていたのだ

 

 

 

「っ、……ぐっ、う!!!?、」

 

 

吹き出すのを無理に抑え込もうとしたが、むしろ気管の変な所に入ったらしく、耐えきれず、そのまま牛乳を盛大に噴き出した

 

 

「ーーブハッ!!」

 

 

ボタボタと乳白色の液体で液晶がベッタリと濡れる

 

 

「ゲホッ、ゲホッ!!!」

 

 

肺から逆噴射された牛乳は鼻の奥の方まだ入り込み、ツンと痛くてつらい

 

 

 

「おまっ、おま、おまえら?、!!」

 

 

目の前のニュースに唖然とする

大画面で映るのは入間だけでははない

アスモデウス、ウァラクもアイドル衣装に身を包み、歌って踊ってライブを盛り上げる

しかも忘れてはならないのが、入間とアスモデウスだ

 

アイツらは男のアイドル衣装ではなく、膝上際どいふわふわスカートを見に包み、かあいく化粧もしている

そう、女装である

 

さっきまでの眠気はどこかへ吹き飛んで行ってしまった

無理もない、朝から知って良い情報量じゃないだろ、こんなの

 

 

(くっっっそ、知りたくなかったッ!)

 

 

しかも、2人は中々女装がよく似合う

 

黒い長い髪が炎を避ける度に可憐に揺れる、

大きな黒い瞳に引かれた猫目のアイラインがあざとい

とても愛らしい少女の入間

 

プラチナブロンドのスレンダー美女のアスモデウス

スカートから覗く美脚と、

恥ずかしさではに噛むいじらしさに胸がギュッと掴まれるようだった

 

クラスメイトのこんな姿知りたくなかった

ダキは頭を抱えた

 

 

 

「何してんだ、あの脳みそお花畑共ォッ!!!」

 

 

 

 

クラスメイトが女装してアクドルデビューを果たすなんていう目の前の痛い現実に耐えかねたダキの怒号が、朝のマジカルストリートに響く

その声量に驚いた通りのカラスがぎゃあぎゃあと汚い鳴き声を上げながら一斉に飛び立ったのだった

 

好きなCPは?(市場調査)

  • ダキ×ゴエモン
  • ゴエモン×ダキ
  • ダリ×ダキ
  • ダキ×ダリ
  • ダロキア×ダリ
  • ダリ×ダロキア
  • ダロキア×バール
  • バール×ダロキア
  • ダキ×アスモデウス
  • ダキ×キリヲ
  • その他(自由回答)
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