「新入生代表挨拶」
やっと出番か。
隣にいる坊ちゃんに「行ってくる」と一言言うと本当に嬉しそうな顔で「いってらっしゃい!」と小声で激励してくれるのだから思わず顔が緩んでしまった。
俺の名前はダキ。
ガープ家のSDである。
坊ちゃん___ガープ・ゴエモンという悪魔との出会いは今から数十年前の話になる。
その年、大氷山プケルの大噴火による未曾有の大災害が起こった。
俺はその震災の被害者で、
川に流されて気を失っているところを坊ちゃんに助けられた。
今はその恩義に報いるため坊ちゃんに忠誠を誓っている。
拾われた当初は、
震災時に強く頭を打ちつけたのか、
ツノも折れ、
悪魔として生きた記憶がなく、
飛び方も魔力の使い方も、
この世界のことすら分からなかった。
しかし、そんな俺を見捨てず懇切丁寧に導いてくれた恩人がゴエモン坊ちゃんである。
坊ちゃんは俺の命の恩人だ。
その恩人に今日
この晴れ舞台を見せれることが物凄く嬉しくて仕方がないのだ。
「新入生代表、アスモデウス君、ダキ君」
ダキ___と言うのが俺の名前になるのだが本名では無い。
記憶を失っていた俺は自分の名前すらもわからず、
拾われた当時、俺が着ていたボロボロのローブに施されていた名前らしき刺繍を解読した文字が『ダキ』だったそうだ。
もっと好きに名前をつければいいのにとも思ったが、
坊ちゃん曰く、
記憶が戻った時に名前がかけ離れてたら呼びにくいでござる、
なんていうありがたい配慮から俺は拾われたあの時からダキとして生きている。
丈の長い制服を踏まないようにその場を立ち上がる。
今まで座っていたからこそそこまで目立たなかったが、俺はデカい。
そんじょそこらの悪魔達よりでかい。
ヌッと現れた大男に「でけぇー!」と悪魔達がヒソヒソ話すのが聞こえる。
そりゃそうだ。
俺の身長は299㎝。
もう直ぐで大台の3mになる。
デカい図体の多い魔界の中でも
結構デカい部類に入る為制服は特注するしかなく、
どうせならと坊ちゃんと相談してバビルスの黒ver袖なしとなった。
水色を試しに着た俺を見て坊ちゃんは「…ダキは水色より黒が似合うでござるよ!」と身包みを剥がれた。
よっぽど似合わなかったのかもしれない。
俺はそれ以来俺は水色は着ていない。
(お!アレが例の色頭の息子か)
俺と同時に立ち上がったのは
かの13冠の1柱として有名なアスモデウス様の令息だった。
新聞で見たことのある母親に良く似た美しい顔だが
花畑のように麗しい母君と違い
ツンっと氷が張ったような印象の美男子だった。
着ているバビルスの制服なんかは魔改造したのか
もはやバビルスというよりレビアロンの制服のようである。
パリッと真新しい白の制服は悪魔というより天使みたいだった。
(うっ、わぁ〜!めちゃくちゃ美人だなおい)
人外じみた美…まぁ実際人間ではなく悪魔だ。
理想とする悪魔のような『美』というより
清廉潔白な天使とでもいうべき印象を抱く。
最も、天使なんて言った瞬間「侮辱かッ貴様ッ!」と烈火の如く罵られるに違いないだろうからこの世界では言えない褒め言葉だな。
そう呑気なことを思いながらアスモデウスの隣を歩く。
「すげぇー、今回は2柱もいるのかよ!」
悪魔達の注目が一身に降り注ぐ。
黒と白のデカい悪魔が威風堂々と血のように真っ赤なカーペットを進んでいく姿は悪魔にとって情景を抱くに相応しい偉大な姿だった。
「かっ、……けぇー……」
「代表って、入試トップだろ?」
「やべぇ…めちゃくちゃ強そう!」
「あのアスモデウスの坊ちゃんじゃんか。」
「エリート…」
「もうひとりは誰だ?」
黄色めいた悪魔達の囁きに、
「気恥ずかしィ〜!」とは思いながらも
顔には出さないようにを無心で歩く。
今回の入試において実技トップが俺、
次点がアスモデウスだが、
筆記との総合を見るとアスモデウスと同率になるそうだ。
悪魔として坊ちゃんに拾われるまでの記憶が無いから
筆記ではやはり何年も悪魔としての勉学に励んできたアスモデウスには劣ってしまう。
他を抜きん出て首席に上がれなかった事に悔しさもありつつ、
自分よりもすごいやつが同年代にいる事にワクワクもしていた。
「よろしく、アスモデウス」
コソッと隣を歩くアスモデウスに声をかけて、
小さく手を差し出した。
しかし、案の定というか。
生真面目な奴のようで俺のフランクな対応に
軽蔑の眼差しで睨むだけで握り返してくれることは無かった。
……真面目チャンには無理だったか。
手持ち無沙汰になった左手を何事もなかったようにポケットにつっこんで前へと歩く。
「___に代わりまして、特待生入間君登壇してください。」
壇上へと上がる階段の手前まで来たその時だった。
その言葉に、階段を上がろうとした足がピタリ、と止まった。
「「………はァ?」」
___入間ァ?
理事長がデカデカと引き伸ばした写真を見せつせて惚気てきた記憶がフラッシュバックする。
さっきの理事長の孫とかいう見るからに裏口入学の悪魔か。
ふざけたことを抜かす司会者の方をバッと見れば、
その向こうにいる理事長がホームカメラを持ってグットサインをしていた。
ジジ馬鹿かあの野郎
思わず舌打ちをした俺は悪くない。
スッと目線の集まった先を見据えれば、
件の特待生は焦った様子で理事長の方を見ていた。
真っ青になった顔は口をぱくぱくしながら理事長を見ている。
声には出していないが『なんでぇ?!』と聞こえてきそうな青ざめっぷりに責める気も起きなかった。
しかし、その特待生の後ろの方の席に座っている坊ちゃんがしょんぼりしている姿が見えてしまった。
困ったような少し悲しそうな
坊ちゃんがよくする何かを無理している時の顔だ。
『ダキーー!今日は入学式でござる!楽しみでござるなぁ〜!』
『おいおい、坊ちゃん。テンション昂りすぎだろ』
『だって!!うちの!ダキが!入学主席!同率でもうひとり居るとはいえ数年前までの記憶が全く無かったダキが他を抜いて1番になった事が嬉しいんでござるよ!!!』
朝、真新しい制服に身を包み『うっひょー!』と元気よく俺の手を引いた坊ちゃんの喜びようを思い出した。
あんなにも楽しみにしていたのだ。
そして、俺もそれを誇らしいと思っていた。
なのに、あの悪魔は坊ちゃんの顔を曇らせた。
そう思った瞬間
怒りで魔力が膨れ上がった。
パリンッ_____!
膨張した魔力に耐えきれず腕輪が一つ砕け散って、ぴりり、と肌を裂くような重い魔力が一瞬にして会場を支配した。
「!やべ」
俺は魔力量が多い。
体の中に圧縮しているのだが成長期と共に追いつかなくなって行った。
魔力が溢れ過ぎると悪周期に繋がりかねない。
体調管理の一環として
俺は魔力を吸収して貯められるように自作した装飾品をじゃらじゃら身につけている。
もどれもどれもどれ…!
砕け散った音に
気がついてすぐに魔力を引っ込めた。
あまりにも一瞬の出来事だったから、
幸いにも気がついたのは教職員と隣にいたアスモデウスと俺の魔力漏れに慣れている坊ちゃんぐらいなものだった。
きっと他の悪魔は少し悪寒がしたぐらいで済んだだろう。
そうだと思いたい。
冷や汗をかきながら何事もなかった様に席に戻る
「貴様…」
目を見開いてこちらを見るアスモデウスに俺は苦笑いした。
「わりぃ、内緒にしておいてくれねぇーか。」
「っ、おい!」
笑って誤魔化そうとする俺を睨んでくるアスモデウス置いて、
そそくさと隠れるように俺は坊ちゃん元へ戻った。
「ダキ!!」
席に戻ると、真っ青な顔になった坊ちゃんが俺の袖を掴む。
「悪い、坊ちゃん。興奮しすぎたみてぇだ。」
「…大丈夫でござるか?」
「だいじょーぶ!それよりごめんね坊ちゃん。晴れの姿見せれなくてさ…」
「ダキが気にする事ないでござるよ!そりゃちょと……いや、かなり残念だったけどダキが凄いやつだってことを皆んな知ってもらえたからそれでいいんでござるよ。」
「坊ちゃん…、!」
俺の主人がこんなにも尊い。
俺は思わずギューっと坊ちゃんに抱きついた。
「ちょ、ダキ苦しい…ほら、もう始まるから離れるでござるよ!」
「えぇ〜……別に俺は裏入学野郎の祝辞なんて聞きたく無い。坊ちゃんと遊ぶ……」
「ほら、一応式典だから!聞かなきゃダメでござるってば!!!」
坊ちゃんに促されて渋々離れたが、
そんな七光の特待生の祝辞なんて面白くも何もない。
不貞腐れたダキは頬杖をつきながら前を見ると、
ちょうど、件の特待生が何やら紙を取り出していた。
おそらく先ほどの学園長の置き土産だろう。
それにしてもサリバンに孫がいたなんて話は聞いたことがない。
ここまでの溺愛ぶりだったら
何かしらニュースでも見るとは思うんだがなと思いながらボーッと入間を見ていた。
俺が魔界にまだ疎い身なのかもしれないかもしれない。
けど、
「どーにも…デジャヴを感じるなぁ…」
空気中に漂う仄かな匂いを嗅ごうと、
上を向いて、スンッと鼻鳴らす。
なんというか…美味しそうな匂いというか…
言うなれば『悪魔』らしくない匂いがするのだ。
あり得ない『仮説』がよぎり頭を振りかぶる。
……いやいや、まさか空想上の生き物とされる程に魔界では秘匿されている『人間』が態々擬態もせずこんなところにノコノコ来るか?
馬鹿馬鹿しい。
そんな妄想じみた空想をしながら気怠そうにダキは座っていた。
その時だった。
「あべるはぅけ」
聞き覚えのある詠唱に、ダキは驚きで目をかっぴろげで壇上の入間を凝視した。
「たるとぅだりいうさべべ」
その言葉から始まる呪文をダキは勿論知っていた。
隣の坊ちゃんも勿論知っている。
なんなら、周りの有象無象も知っている。
一般常識レベルだ。
今目の前の特待生がやっている危険性を十分知っているからこそ、緊張で周りから生唾を飲み込む音がする。
「りすとぅるあぶるぜ」
特待生入間が唱えているその呪文は、死の危険を伴う禁忌呪文だ。
ただ、リスクに対して効能は1日転ばなくなるだけと言う
実にしょぼい馬鹿馬鹿しい呪文でもある。
「すとぅまぬあべるげ」
少なくとも遊びでやるような気軽な呪文では無い。
目の前の男はそれすら知らない阿呆なのか、
それとも知っていてそれをこの場所で披露しようとする馬鹿なのか、 どちらにせよ狂ってることには変わりない。
いつ失敗するかもわからない詠唱に、
周りの悪魔共が興奮でピリついた雰囲気になる。
「うる、まほらば、」
だからこそ、目の前の呪文を唱え続ける狂人に皆が釘付けになった。
失敗するのか、
成功するのか
ダキは大いなる伝説が始まる予感を感じて、
自身に渦巻き始めた期待と興奮にが止まらなかった。
「___つれさざ」
そして、最後の、呪文を唱え終わった。
入間は爆散していない。
つまり、____成功だ。
「「「「ワァァァァァッーーーー!!!!」」」
瞬間、爆発的な歓声に周りが熱り立つ。
かく言う俺も先ほどの理不尽な行為に不貞腐れていたのも忘れて「お前最高だな!!」と口笛で囃し立てる。
こういう命知らずな馬鹿は嫌いじゃないぜ
「閉会ー!」
鳥頭の先生がマイクを持って高らかに入学式が終わったことを告げるが、周りは目の前の出来事に興奮覚めやらぬ様子で、会場からでることなく、口々に新たな英雄を讃えていた。
「凄かったでござる!」
「ああ、面白れぇ奴が入ってきたもんだな」
興奮覚めやらぬ坊ちゃんの相手をしながら、
俺は遠目でチラリ、とアスモデウスを見た。
騒いでいる群衆の中で
アスモデウスだけは忌々しげに壇上の入間を見ていた。
その様子に俺はふむ、と顎に手を当てた。
昔見た『悪魔貴族大全』という、
魔界の貴族たちの紹介をする本を読んだ内容を思い出した。
アスモデウス家も勿論その中に載っていた由緒ある名門家系である。
確か、…アスモデウス家は悪魔の中でも『礼儀』を重んじる家系だったな。
メラメラと燃えながりそうな強い怒りの目を見て、何か、を起こしそうな予感にダキはほくそ笑んだ。
ダキ
川に流されているところをゴエモンに拾われた。
記憶喪失で魔界で産まれてから拾われるまでの記憶がない。
記憶がない中、バビルスの首席にまでなれるほど努力した天才。
元々の魔力量とセンスは桁違い。
基本何でもできる為、お菓子作りなんかもする。
休日はバイトに明け暮れている。
給料の半分はガープ家におさめている。
実は自分が人間だった記憶がある
容姿
何かにぶつけたのか、ツノを無くしており、左のツノが途中で折れている。
額から鼻先にかけて凍傷で皮膚が色変わりしている。
その為鼻先まで覆い隠す様に前髪で隠している。
肩甲骨下あたりまで髪を伸ばしており癖っ毛気味。
頸から生える内側の毛は黄色。外側は紫色。
身長は魔界の中でもデカ目の部類に入る。
未だ成長期の様でたまにうなされているのをゴエモンに心配されている。
好きなCPは?(市場調査)
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ダキ×ゴエモン
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ゴエモン×ダキ
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ダリ×ダキ
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ダキ×ダリ
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ダロキア×ダリ
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ダリ×ダロキア
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ダロキア×バール
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バール×ダロキア
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ダキ×アスモデウス
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ダキ×キリヲ
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その他(自由回答)