終末テストは無事終わり、あとは、終末日を待つのみ、そう、思っていた時だった
一通の手紙が届いた
「ダキ!ポロ様からでござる!」
ゴエモン宛のその手紙を嬉しそうに見せてきた
黒と白のピアノの鍵盤を思わせる封筒に一角獣とラッパの封蝋がされている
ーーアムドゥスキアス家の家紋だ
「よかったな、坊ちゃん」
ダキがペーパーナイフを手渡すと
ゴエモンはその封を切り、中に入っていた紙を取り出した
ふわり、と深く重い匂いが鼻腔を掠める
ベルガモットが軽やかに立ち上がり、
アイリスの氷の様な冷たさが通り抜けると、
ダマスクローズの花束が華々しく咲き誇り、
アンバーのねっとりとした甘い匂いが、
余韻に残る
(ーーポロの、香水だ)
まるで劇場に立つ主演女優のような、華やかでありながら格と品を兼ね備えたその香りは、なんともポロらしい
(……そういえば、上流階級では、
手紙に香りを焚き染めるらしいな)
ゴエモンが、くるり、と紙をひっくり返すとそこには《明日の15時に》と書かれていた
踊る様な筆記体のカリグラフィー
芸術作品の出来栄えのソレはポロがテスト期間中に言っていた『魔王邸への招待状』だった
「こ、こ、これ!この間言っていた!!!
ーーあの魔王邸に招待してくれるって!!」
魔王デルキラも住んでいた本邸
普通の悪魔なら立ち入れないような屋敷だ
ゴエモンは震える手で招待状を天井へ掲げ、感嘆の息を漏らす
その様子をダキは喜べない
まるで、ポロの用意した舞台の演者に引き摺り出されたような気分だ
(……ポロの、『トモダチ』の件も解決してない)
魔界では通じない《トモダチ》という概念を知っていたこと、
それを、ダキは知っているだろう、という前提で関係を持ち込んだこと、
ーー何もかもが怪しい
(魔王子が…、何か関係がある、のか?)
ポロは明らかにダキがダロキアだと確信した上で、最初接触してきた
ある程度裏付けがなければ、
初対面でダキをあんなにも熱烈に抱きしめる、なんて事はしない
ーーその時だった、
ダリの言葉がふと、蘇った
『ダロキアは、普通じゃない』
『魔王の子、だから特別って言うワケじゃなくて、同性同士の親から『魔術』によって人為的に産み出された存在なんだよ、アイツは』
『ーーだからダロキアは普通の悪魔とは違う』
そこで、一つの点が繋がった気がした
(ーーまさか)
一つの鍵が、脳内でカチリ、とはまり
謎がスルスルと、溶けていくような錯覚だった
濃霧が晴れるみたいに思考が加速して、顔が青くなる。
今日ほど前髪に感謝した日はない。
(……魔術による人為的な出生だったと、いうならばーー、)
前世での最期がフラッシュバックする
こども、あか、いけにえ
(ーーその素材は)
ーー"いのち"
悪魔の魂となり得る、欲の塊
"ニンゲンの魂"
その仮説はまさしく"悪魔的"
迫り上がる嫌悪感に、ダキは口元を覆った
「っ…………、」
喉奥に広がる痺れと酸っぱさで生理的に涙が溜まる
だがいくら、体が拒絶を示そうとも、思考は止まらない
(今まで俺は、自分の血がおかしいのは転生者だからだと思っていた)
悪魔にとってニンゲンは極上の餌であるという与太話は真実だった
実際に、入間の血は悪魔のダキには美味しそうに感じた
もし、あんな香りを無防備に漂わせていたら理性なく貪っていたに違いない
(ダロキアも、『ニンゲンの魂』を持つ悪魔だったのか……?)
だから、ニンゲン魂を持つダキも
それが影響して、その血が"悪周期"を誘発するような危険なモノに変質したのだと思っていた
でなければ、あの異常な香りと血の性質を説明できる仮説が、他に思いつかなかった
(ダロキアの中に、転生者の俺が入り込んだんじゃねぇ……元々ニンゲンの魂を持っていたダロキアが、悪魔だった記憶を無くしたのが、
ーーー俺、なのか、?)
ダキはその結論に辿り着いた瞬間、ぞっ、と震えるような悪寒で、両腕を抱きしめた
ダリは以前、この体質は遺伝ではなく『一代限り』と言った
(ーーだから、ダリもポロも、
俺をダロキアだと、そう言ったのか)
あの時のポロの「ー友達になりましょう」と優しく誘われたあの言葉はダキがダロキアであるただの確認作業でしかなかったのだろう
(ははっ………馬鹿みてぇ)
ダキは、胸いっぱいに広がる苦しさに、
奥歯を噛み締めた
何かで耐えていないと、涙が出そうだった
ーーーーーーーー
約束の日、訪れた魔王邸は
想像の10倍は立派な建物だった
「はは、……やばいでござるな」
「そうだな……」
ゴエモンとダキは唖然とした表情で目の前に聳え立つ屋敷ーー否、城を見た
「そういえば…魔王サマは、ポロよりデカいんだっけか…?」
180cm以上あるサリバンよりデカいポロ、
そのポロより魔王デルキラは遥かにデカかったと言う
「そりゃ、こんだけ大きな家にもなるでござるな…」
「だな……」
見上げる首が痛くなるほどデカい城
扉、窓、天井、全てに至るまで持ち主の体の大きさに合わせて作られたその造りは、並の悪魔には大きすぎた
「お待ちしておりました、ゴエモン様、ダキ様」
迎えてくれたアムドゥスキアス家のSDが先導して、中を案内してくれた
(……デルキラ様ってのは、お茶目なんだろな)
内装は特に華美というわけでは無かった
シンプルでありながら、良いものを使っていると分かる
棚の取っ手や壁紙、絵画の動物に至るまで、
どこか遊び心が忍ばせてあった
そして、不思議なことに
それらすべてが、ダキにとって見覚えのあるもののように思えた
胸の奥が、ざわりと波打つ
「………、っ」
こんな出先で失態を犯すわけにはいかない
ダキは自分の不調に気付きながらも、表に出さないよう、奥歯を噛み締めた
やがて、突き当たりの部屋に着くとSDはその扉を「コンコンッ」と4回ノックをした
「ーーなにかしら」
「お客様をお連れしました」
「通してちょうだい」
その言葉を合図にSDは、扉を開けてゴエモン達に中に入る様促した
「よく来たわね、ダキちゃん、ゴエモンちゃん」
その部屋は暗い紫色を基調とした、所謂ゴシック調と呼ばれる様な佇まいだった
鉄製のカンデラブラには蝋燭が灯されている
否――微かに香る優しい甘さと、黄色みを帯びた蝋を見るに、
高級とされる蜜蝋だろう
暖色の灯が、部屋の威圧感を和らげていた
部屋の中央には白と金の大理石の机が置かれ、
その両面に赤いベルベットのソファーが鎮座している
ダキが手にしていた手土産の包みを解くと、
一度ゴエモンに託した
ゴエモンはそれを受け取り、改めてポロの前へ差し出す
「今日は、お招きいただきありがとうございます!これ、ダキが作ったお菓子でござる」
「あら、素敵な包装………
えっ?!ダキちゃんが作ったの?」
受け取ったポロはその手土産の美しさに驚いた
きちんと整えられた薄紫の紙包装に白いリボンライラックとユーストマの生花が添えられたそれは、ひと目で、どれほど手を掛けたものかが分かる
「恐縮です」
「やだ、そんな畏まらないでちょうだい
私たちの仲でしょう?」
「形式は守らねぇと、ナ?」
後ろで控えるアムドゥスキアス家のSDを一瞥してダキは笑った
本来ならダキの立場はあっち側だ
それを、ポロの友達だから対面で座ることを許されている
「まぁ、いいわ、かけて頂戴」
仕方なさそうにポロは笑うと、ダキ達を座らせた
全員が座るのを確認するとSDはお茶の準備を始めた
ティースタンドには、
サンドイッチ、スコーン、ケーキ
が積み上げられ
平皿にチップスやスープ、キッシュ、ローストビーフなど軽い軽食が机いっぱいに並べられた
正式なものでありながら
男3人のアフターヌーンティーらしく甘さが控えめで、つまみやすいものばかりだった
茶が各自に行き渡ると、ポロは「お口に合えばいいんだけど」とはにか見ながら促した
ゴエモンが先に茶に口をつけるのを確認してから、ダキもそれに続いた
「うわぁぁ〜お、大人な味でござる!」
滋味はあまり無く、口当たりは柔らかで、蘭のようなほのかな甘みを感じる
グッと喉を通った瞬間に広がるぶわっと、スモーキーな味が鼻に抜けて消えていく
目の前にあるハムをひとつまみしたい気分だった
「The Vanished King(消失の王)よ
魔王邸に来たなら最初の一杯はこれかと思って」
魔王デルキラをイメージしたブレンドティー
確かに、魔王邸に招かれて飲むには一番適役に違いなかった
「ねぇ、この間のテストはどうだったのかしら」
すると、ポロが最初に話題を切り出してくれた
終末テストが終わった学生にとって一番ホットな話題だ
「俺は学年3位、ゴエモンは目標の50位圏内に入ってお互いそこそこ満足いく結果だったぜ」
「48位でござる!」
ゴエモンはその猛烈な頑張りから見事目標の50位圏内にランクインし、ダキも学内3位という好成績を残して終末期前の最初の難関は突破できたのだった
「あらあら、ふたりともすごいわね!上位組じゃないの〜!」
「ダキが、50位に入ればご褒美くれるって言ってくれたでござるからね!」
「え〜!何かお願いするのよ、ゴエモンちゃん」
「えっと、」
ダキの方をゴエモンは恥ずかしそうに見る
もじもじと、言いづらそうにするゴエモンに、ダキは悪戯心が疼いた
「おいおい、坊ちゃん。
そんなに恥ずかしがって俺に何頼むつもりなんだよ、……えっちなやつか?」
くすくすと、笑って揶揄うとゴエモンは面白いぐらい真っ赤になって否定した
「ばっ、違!!健全!健全なやつでござる!」
「ふふ、青春ねぇ〜」
ふたりのやりとりに微笑ましそうに見ながらポロは一口、カップに口付けた
「……ダキちゃん」
名前を呼ばれただけで、
背筋がわずかに強張るのが、自分でも分かった
「ねぇ、アナタも分かってるんでしょ」
ポロはゴエモンではなく、
ダキだけを見ていた
まるで最初から、
この話は彼にしか向けられていなかったかのように
「……なんの、ことだろうな」
ダキはそのポロの問いに返すので精一杯だった
さっきから、どこに視点を合わせても感じる既視感が、古いセピアの映画のワンシーンのようにフラッシュバックしてくる
あまりにも多い情報量に、現実と虚構を切り分けて対応するのにも大変だった
「ーー教えてあげましょうか、
ダキの時々起こる発作の正体を」
決して自分から明かそうとしない強情なダキ
だからポロは逆にゴエモンに声をかけた
やめろ、そう制止する声も出ぬまま、ポロの語りを続けさせてしまう
「ダキはね、魔王デルキラの息子、ダロキアよ」
「……はっ、?」
ゴエモンは言われた言葉を飲み込めず、
理解するのに時間がかかった
「ダキが、?魔王子ダロキア?」
ゴエモンはダキの方を振り返る
なんの冗談かと、思ったがポロの目が真剣だったか茶化すこともできない
「あの消滅の魔王の、息子にして、次期魔王となるはずだった、あの?」
「ええ、ダキはね、
ダロキアだった頃の記憶がないの
だから、その記憶が蘇りそうな時に発作を起こすの」
思えばダキの発作はPTSDにも近いフラッシュバックだった
ダキは、ダロキアの記憶は思い出す度にひどい閉塞感と痛みを伴う
最悪な体調の中、様々な記憶が、ダキに思い出せと囁くのだ
「どうして、そう思うんで、ござるか」
ゴエモンの疑問は最もな事だった
だって、自分が拾った悪魔が"あの魔王子"で、記憶がないまま、自分のSDになった
そんな、夢物語みたいな奇妙な話が現実に起こり得るとは思えなかった
「ゴエモンちゃんは、知ってるかしら、
ーーダキくんの血とても特殊な事は、」
「それは…」
勿論、ゴエモンは知っている
父がダキと手合わせして起こった事故
ダキの裂けた傷口から赤い血が溢れた瞬間
父はダキを突き飛ばし「来るなッ!」と一言叫んで部屋の奥へ数日間篭った
(ダキの悪魔を"悪周期"に落とす、血の匂い)
それはゴエモンやゴエモンの父でしか知り得ない様なダキの秘密だった
「ダロちゃんもね、ダキちゃんと同じ様に特殊な血の持ち主だったの」
「あの、魔王子も…」
「それに、他にも共通点はあるわ
ダキちゃんは不死鳥の使い魔に、支配の声の片鱗まで見せたわ…
どれをとっても、ダキちゃんはダロキアちゃんと瓜二つ
ーーそれこそ、本人と疑うほどに、ね」
「そんな、ダキが?本当に?」
今思えば身に覚えがある能力ばかりだった
でも、どんなに証拠を突きつけられようが、まだ心の奥で否定したい気持ちがあった
「で、でも、そもそも歳が合わないでござる!
ーーダキと拙者で出会った時、同じ歳と思うぐらい幼かった!!」
ダロキアは何年も前の悪魔だ
生きていれば、カルエゴ卿よりも歳上で
成人をとっくに過ぎた歳のはずのおっさんだ
「……憶測だけど、ダキちゃんは記憶を失う前、長い間……監禁されていたかもしれないの」
ベアトリーチェがダキを治す前にあった、
顔から体にかけて火傷跡
火で焼かれたモノで無く、冷たいモノをずっと触り続けていた低温でできる火傷跡だった
「長い年月、足りない栄養やらを補い、生きるために、膨大な魔力を消費し、生き残った」
あり得ない話ではなかった
魔界史の授業の中に、
魔力を極限まで消費した体は子供にまで若返る、そんな話は確かにあった
「違う、ダキは、ダキは……」
色んな情報を飛び込んできて
処理するのに頭が回らない
ぐらぐら、と地面が揺れ動く様な錯覚に立って居られずよろめいた
ダキはそっと、ゴエモンを支えた
腕に触れたその感触が、あまりにも現実で、
ゴエモンの胸に、濁流のような感情が押し寄せる
(ダキが……魔王子……)
誇らしいはずだった
喜ぶべきことのはずだった
ーーそれなのに、言葉が出てこない
ぐちゃぐちゃになる感情をどうにも言語化もできず、彷徨う子供のようになってしまった
「悪いけど、ダキはSDを辞めてもらうわ」
ポロのその言葉にダキが口を開くよりも先にゴエモンが声を荒げた
「ッ何のつもりで、ダキとの関係を否定するんでござるか!!!」
掴みかかろうとしたゴエモンを、
ポロは一瞥だけで止めた
「っく……!」
氷のように冷たい視線だった
「……はぁ」
ため息ひとつ
それだけで、空気が凍りつく
「だって、アナタ。
――あの子に並び立つことすら、できないじゃない」
胸の奥に、鈍い衝撃が落ちた
「おい、ポロ!」
「ダキちゃんは黙っていて頂戴、
ーーこれはゴエモンちゃんの問題よ」
刃物のように鋭い言葉だったが、
それ以上に――
否定の色すらない事実として、突きつけられたのが痛かった
「いい? ゴエモンちゃん」
ポロは腕を組んだ
叱るでも、怒るでもない
“説明”をする時の声だった
「ダキがあなたに仕え続けるとしたら、
その選択の弱点は――あなたよ」
指先が、真っ直ぐゴエモンを指す
まるで、ギロチンの刃の様に鈍くその爪先が喉元に突き付けられる
「あなたは狙われる。
そうなったら、あの子は選択を捨てるわ。
――あなたを守るために、ね」
言葉が、喉の奥で絡まった
足元の床が、静かに崩れていく感覚
逃げ場のない断罪
「……なるほど、」
ゴエモンは、笑った
自嘲でも、諦めでもない
「確かにうちのダキは凄い……
あの魔王子だったと言われても納得するぐらい、凄い、悪魔でござる」
ポロから、存外に「お前では実力不足だ」と言われても、ゴエモンの中に湧き出たのは恐縮でも、悲しさでも無い
「ーー、でも」
ゴエモンは拳を、ぎゅっと硬く握る
「バカに、しないで欲しいでござる」
それは、ダキの選択を守れないほど己が無力だと、突きつけられた現実への、熱り立つような怒りだった
「拙者が、ダキの主人なんてこと、無相応だってこと、とっくに知っているでござる」
それでも、退けない
(ダキは……拙者の家族でござる)
グッと、目の前のポロの怖さに耐えて、ゴエモンはキッと睨み上げた
「ーー弱いなら、強くなる。
自由が脅かされるなら、その前に立つ」
言葉は荒く、けれど迷いはなかった
「世界が許さなくても、
拙者が足手まといだと嗤われても、
――ダキが、ダロキアだったとしても!!」
息を吸い、吐く
自分の頭が何も考えられなくなるぐらい熱くなった
「拙者は、絶対にダキから離れないでござる」
家族を見捨てることは、
自分を捨てることと一緒だ
ゴエモンが全てを言い切ると、ダキは気づけば自然と膝をつき首を垂れていた
(ああ……俺は、間違っていなかった)
震えるような歓喜がダキの全身を包んだ
ゴエモンのその言葉があれば、きっと地獄へだってやっていけると思えるぐらいの、破壊力があった
「ーー俺は、命の恩人ガープ・ゴエモンの
SDとして、この生涯、側にあり続ける事を誓う」
そのダキのその力強い宣言に、ポロは、しばらく沈黙した
それは拒絶ではなく、
“理解するための時間”だった
「……そう」
小さく、息を吐く
「それが、あなたの選ぶ道なのね」
目を閉じて、深く息を吐く
落胆にも見えたその表情の裏でポロは、喜んでいた
(やっぱり、ワタシの子ね)
デルキラは魔力、体格、性格、全てにおいて魔王に相応しい男であったが、
"悪魔らしくない悪魔"だった
ーーデルキラは優しすぎたのだ
非情になれず、下々に心を砕く情のある男
それ故にアムドゥスキアス家という名門の音魔であるポロが、デルキラの側にいる事を反対されることもあった
「分かったわ、ワタシもそれなりに妥協してあげるわ」
けれど、その全てを張り倒して、13冠として側に立ち、やがて生涯の伴侶となると、その姿が忽然と消えるまでポロはデルキラの側に居続けた
(ワタシも、デルちゃんの側を離れろなんて言われても、きっと、同じようにするわ)
ダキほどの悪魔をSDという生き方で終わらせるのはもったいと思うポロだったが、自分もデルキラという全てを捧げたい存在が居るからダキのその想いは痛いほどわかる
ーーだから、
「ダキ、貴方ーー、ワタシの孫になりなさい」
「………はっ?!」
「貴方がいくら、その選択をしても、もう側近達は貴方の存在に気が付いているわ
ーー身に覚え、あるでしょ?」
くすくす、とポロは笑う
「ダリやフルフルはともかく、
バールやナルニア、アウプにバレたらきっと最悪でしょうね〜!」
ダキの側近の中でも過激派三銃士
バールはこの間のおサリを魔関に引きとどめたりと何か水面下で何か動いているみたいだし、ナルニアもあの子も真面目に魔関に勤めているけど、ずっと、期を伺っているような気がする
アウプなんかは、魔王研究師団のスポンサーという立場を利用してダキを囲おうとしていた事は知っている
(マ……不発で終わったみたいだけどね)
意地悪く心の内でざまあみろと笑う
ポロは自身の脚を組み直し、ダキに紙を差し出した
「だから、彼らにも通用する言い訳をあげるわ」
《養子縁組》そう書かれた書類を見て
ポロの思惑に気が付いてダキは「ハッ」と不遜に笑った
「俺を、ダロキアの婚外子にでもして、アンタの養子に入る……ってことか?
そうすれば俺の容姿も、体質も、ある程度の言い訳が効くもんな」
その回答にポロは笑みを深くした
「賢い子は好きよ、」
いずれ遠くない未来、世間はダキとダロキアの間に何かしらの関係を見出すものが増えるだろう
その中で、真実を隠すために、より近い事実で塗り固める事でダキの将来をポロは守ろうと言うのだ
(ーーここいらが、妥協点、か)
むしろ、その提案をポロからしてくれるというのは願ったり叶ったりだった
ダキはゴエモンをそっと見た
その視線に気がついて、ゴエモンはダキを見返した
ーー全ては、ゴエモンの判断に
ダキの主人はゴエモンだ
ダキの未来も、ゴエモンが決める
その視線の意図に気がついた、ゴエモンは、うなづくとポロへ向き合った
「それが、一番ダキの為になるのなら」
「決まりね」
この日、ダキは
ーーアムドゥスキアス・ダキ、になった
あと、ウォルターパーク編の序章か、その前まで書いたらpixiv版の投稿に戻ろうかと思います
好きなCPは?(市場調査)
-
ダキ×ゴエモン
-
ゴエモン×ダキ
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ダリ×ダキ
-
ダキ×ダリ
-
ダロキア×ダリ
-
ダリ×ダロキア
-
ダロキア×バール
-
バール×ダロキア
-
ダキ×アスモデウス
-
ダキ×キリヲ
-
その他(自由回答)