魔王デルキラの息子   作:雨鬱

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コメントが嬉しすぎて暫くずっと眺めてました
嬉しくて、次回作を直ぐ投稿するつもりだったんですけど色々あって筆が取れなくて間が空いちゃったよ
今筆が止まらないので投稿スピードは戻ると思います


第36話:ウォルターパーク 上

 

 

 

 

 

 

 

開園前のウォルターパーク

まだ閉ざされた巨大な門の前に、アブノーマルクラスの面々が集まっていた

 

 

「おお!みんなの私服マジ新鮮だなぁ〜!」

 

 

せっかくの遊びの日だというのに

空はどんよりと暗い霧に覆われていた

残念だが、終末期に入る前から計画していたということもあって

開演前からのみんなのテンションが高く、それぞれの私服が妙に新鮮だった

 

 

 

「つーか!ゴエモンとダキの私服凄いな?!」

 

「へへ?かっこいいでござるか?」

 

「すげーかっこいいーよ!!」

 

 

 

ゴエモンとダキの私服はもっぱら着物である

ゴエモンは片面に虎柄の意匠を施した着物に、

黒の袴という意外にもヤンチャそうな服装に対し、

ダキもこれまた意外な私服だった

 

 

 

 

 

「なんつーか、その、ダキは……」

 

 

 

 

リードの視線の先にいたダキは、いつもとはまるで別人だった

今日のダキは普段下ろしている髪を上げ、

後頭部で一つに結び、

黒いかんざしで留めていた

 

それだけでも雰囲気が変わるものだからまじまじと不躾にみつめた

 

 

 

「なんだよ…」

 

 

 

そう言ってダキは気怠げに、髪の隙間から目線を流すと、

隣にいたカムイが雄叫びをあげて地面に血涙を流した

 

 

 

「えっっろ!!!

男のくせに!男のくせに!!

けしからん!!!」

 

 

「ダキをいやらしい目で見ないでほしいでござる!!!」

 

 

 

ダキは、袖を落とした丈の短い虎柄の黒羽織を無造作に羽織っていた

ざっくりと開いた胸元の結び目から見える白のサラシ

その上からでもわかる、鍛えられた腹筋と胸板

さらには、腰骨の少し下で履かれた白い袴の隙間から

太腿の付け根がちらりと、際どく見える

 

動くたびに見える肌の色と肉付きの良い身体が、

男でも見惚れるほどの肉体美で、

思春期の悪魔どもの視線を独り占めした

 

 

 

「悔しい…!色気で負けるなんて…!」

 

 

「張り合おうとすんな、エリザベッタ

アンタが1番綺麗に決まってんだろ?」

 

 

「まぁ!」

 

 

クラスのお色気担当エリザベッタから投げられる怨恨に、

ダキはため息を吐いた

 

 

「おおーい!!!

クラス1の美少女を口説くな!」

 

 

「ハッ、この程度で口説いたと思われちゃ困るぜ」

 

 

「ムキーーー!」

 

 

あまりにもエリザベッタが美しすぎて、

声すらかけられないリードから僻みの声が上がるが、

ダキはそれを鼻で笑った

 

 

 

「みんなーー!おはよーー!!」

 

 

 

その空気に割って入ってきたのは

嬉しそうに手を振りながらやってきた入間だった

 

 

「みんな、早いねぇ〜!」

 

「そりゃ、もう!わっくわくだよ〜!

シュナイダーの奴はモラクスせんせーと学会に行っちゃったけど、それ以外はみんな来てるよ!」

 

 

 

開園前のテンションの高まりにリードの声が高く弾む

 

 

「あのさ、あれって……」

 

 

 

そんな中言いにくそうにジャズは入間の後ろを指差した

 

 

「ああ!おじいちゃんが、引率にって!」

 

 

指差した先にはカルエゴと、

同じくバビルス教師のバラム、

そして、サリバン邸SDのオペラがそこにいた

 

 

(サリバン様セレクトという事は、強くて入間と関わりのある大人の悪魔って事だが…バラム先生と関わりなんてあったのか?)

 

 

 

 

ロイヤルワン解放から家庭訪問まで

慌ただしい日々を過ごしたダキにとって、

入間とバラムの関係性は全く知らなかった

もし、ダキが、入間がバラムに"ニンゲン"だということをバラしたという事を知っていたら

今頃入間の頭の上にはたんこぶが3つほど出来ていただろう

 

 

「アメリ会長もか?」

 

 

ジャズが面白そうに入間を揶揄うと入間は「違うよ!」慌てて訂正した

 

 

 

「入間!ふたりだけだと思ったのに、なんだこの大所帯は!!」

 

 

顔を真っ赤にして入間につかみかかるアメリに対し、

当の入間は困ったように笑っているだけだった

どう見ても満更でもない空気だった

 

 

 

(前途多難だな、恋する乙女は)

 

 

 

ダキは生徒会選挙の時のアメリのことを思い出してニヤニヤと笑った

お節介なダキは、どうにか、アメリと入間をふたりっきりにできないかと画作した

 

 

 

ーーだが周りを見渡すと、ウァラクにアスモデウスと、引率たち……入間を放っておく気配のない連中ばかりだ

 

 

(……めんどくせ)

 

 

ダキは一瞬で、諦めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーチャッチャララ〜♪

 

[ウォルターパーク!起床のお時間〜!]

 

 

軽快なファンファーレと共に、

園内全体にアナウンスが響き渡った

 

 

 

 

「おい、開くぞお前ら」

 

 

 

 

ギィィィィーーー……!

 

目の前の巨大な門が、重々しい音を立ててゆっくりと開いていく

 

 

その瞬間ーー

 

 

空を覆っていた黒い霧がふわりと流れ、

まるでカーテンが上がるように視界が開けた

 

 

ぱぁっ、と

青く透き通った空が姿を現す

 

 

次の瞬間、園内のあちこちから

色とりどりの魔光が花火のように弾けた

 

 

紙吹雪のように舞う光の粒

噴き上がる噴水

鳴り響く陽気な音楽

 

 

その中心に広がっていたのは

夢のようにきらびやかな街並みだった

 

 

 

 

 

 

 

(遊ぶにはもってこいの快晴だ)

 

 

 

 

思わずダキの口角が上がる

 

 

 

[嬉しい!愉しい!はしゃいだ者が1番偉い!

遊ぶことだけを考えて!

ようこそ!ここはあそびの最高峰!

ーーーーウォルターパーク!!]

 

 

 

 

色とりどりの奇抜な衣装を身に包み出迎えてくれるスタッフ

非日常の世界にみんながみんな夢中になって駆け込んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1番先に乗り込んで、

スタッフの持っていたマップを入間が貰って広げると、

そのひとつのマップにみんなが群がってあちこちを指差す

 

 

 

「まずは絶叫コースターだろ?!」

 

「いーや、待ち時間やばいって〜!」

 

「先に行ったほうが逆に混まねぇんじゃねぇか?」

 

「ショッピングに行きたいわぁ〜」

 

「王の館はどこだ!!!」

 

「ごはん!」

 

「休憩所……どこ…?」

 

 

それぞれが行きたい場所なんてバラバラ

 

 

「もー、それぞれ好きな所いこーぜ」

 

 

そのジャズの一言に、「よし!解散!!」とリードが高らかに宣言し、

目的のアトラクションへ走って向かおうとする

 

 

 

 

 

 

「「「待て」」」

 

 

 

 

 

それに待ったをかけたのは引率を任された教師陣である

 

 

 

「一斉に散ったら監督ができんだろ」

 

 

「え〜ーー、自由行動でいいじゃないですかぁ」

 

 

 

 

首根っこを掴まれたリードが、ぶすくれた顔で異議申し立てた

カルエゴの発言は至極当然だが、

学校の遠足でもないのに縛られるのは不服だった

 

 

「なら、引率も3名ですし、

3チームに分かれましょうか」

 

 

隣にいるオペラにバラムが声をかけると、オペラは黙ってうなづいた

 

 

 

 

 

 

「ハイ!なら勝負しよう!!」

 

 

 

 

 

 

 

その様子を見ていたウァラクから手が上がった

 

 

「勝負?」

 

「1番遊園地を楽しんだチームが勝ち!」

 

「おー、いいねぇ」

 

「面白ぇ、最後に集まってどれだけ楽しかったかアピールタイムってのはどうよ?」

 

「審査員は,理事長にお願いしますか」

 

「で、優勝チームには先生たちが何か奢る!」

 

 

調子に乗ったリードの一声に「おい!勝手に決めるなアホ共!!」とカルエゴの怒声が響く

 

 

「別に良いんじゃない?遊びに来たんだし」

 

「我々大人が余裕を見せないと」

 

 

オペラとバラムの声に

カルエゴは青筋を額に浮かべながらため息を吐いた

 

 

 

 

 

「……………分かりました、

優勝賞品は認めましょう」

 

 

 

 

 

その一言に「やった!」と一瞬空気が華やぐ

 

 

 

 

 

 

 

「ただし!!

最下位のチームには終末日の宿題も倍増を課すとしよう!!!」

 

 

 

 

 

 

その陰湿な宣言に、

周りから「サイテー!」と非難轟々の嵐を向けられるが、

むしろ嬉しそうにカルエゴは嗤った

 

 

「はーい、くじ引いてー」

 

 

オペラがいつの間にか用意したクジをそれぞれが引いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

ダキの引いたくじの端は黒色

ーーチームカルエゴである

 

 

 

 

 

 

(………まじか、)

 

 

 

 

ダキは悲観に暮れる中、

次に引いたゴエモンも同じく血の気を失った顔で

自身の引いたクジの端を見ていた

 

 

 

 

 

「あ………」

 

 

 

 

 

ゴエモンも同じくカルエゴチームである

同じチームになった事は嬉しくても、今回ばかりは気まずかった

 

 

 

 

「………宿題、一緒に頑張りましょうや、坊ちゃん」

 

 

「……うん」

 

 

 

 

 

ふたりして最下位になる覚悟を決め、

顰めっ面のカルエゴの側に行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チーム決まったね」

 

 

 

 

 

バラムチーム

入間、アスモデウス、サブノック、アガレス

 

オペラチーム

エリザベッタ、クロム、ウァラク、アメリ

 

 

カルエゴのチームになってしまった

リード、ジャズ、カムイがこの世の終わりかと思うほどに暗い顔で遠くを見つめる

チームカルエゴ、完全にお通夜ムードである

 

 

 

 

 

 

「もう僕たち負けじゃん?!!」

 

「あんな暗黒大帝を連れて楽しめるわけがねぇ!」

 

「あっちがいい!あっちがいい!!!」

 

「うお"お"お"女子がいない"っ!!!!」

 

「…………(帰りてーな)」

 

 

 

 

そんな散々な言いように、「よし、貴様らが最下位だった場合は、更に宿題を倍に……っと」カルエゴは淡々と自身の手帳を出して書き込み始めた

 

 

 

 

 

「あ"あーー!!嘘です!嘘です!!」

 

 

「冗談ですやん!!」

 

 

「わー、カルエゴ卿と一緒だなんて、嬉しいぜーー(棒読み」

 

 

 

 

 

 

慌ててカルエゴ卿の機嫌をとる

流石のダキでも宿題倍増は嫌だった

 

 

 

 

「では、位置について……解散!!!」

 

 

 

オペラのその一言でウォルターパーク

チーム戦の火蓋が切って落とされた

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バラムチーム、オペラチームがそれぞれその場から離れるが、

カルエゴチームはその場から動けずにいた

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ……どうする?」

 

 

 

 

 

 

テーマは『1番遊園地を楽しんだ者』なのだ

しかし、カルエゴにそんな情緒があるとは思えない

 

 

「どうもこうも……」

 

 

 

自分達が楽しむだけなら問題ないが、チーム戦なのだ

と、なるとカルエゴが楽しむのは必須条件

 

 

 

 

「このゲームは、1番遊園地を楽しんだ者が勝ちなんだろ?

なら、俺らより意外な奴が遊園地を満喫してるっていう所が分かれば勝ちじゃねぇか?」

 

 

「そうだ!それだ!!!」

 

 

「つまり、カルエゴを浮かれポンチにすりゃ勝ちってことだ」

 

 

遊園地を楽しむ感情のないカルエゴを逆に楽しませれば、

それはむしろ、テーマを遂行させた、と言っても過言ではないだろう

 

 

 

 

 

 

 

「と、言うワケで、だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

待ちぼうけしていたカルエゴの肩に手を置いた

 

 

 

 

 

「カルエゴ卿、アンタには厳粛に、全力で楽しんでいただこう」

 

 

 

 

 

 

 

悪役真っ青の悪辣な笑みを浮かべると、

次の瞬間ーー

ひょい、と軽々しくカルエゴを抱き上げた

 

 

 

 

「っ?!!貴様!!なにを!」

 

 

 

 

 

じたばたと暴れるカルエゴを、ダキはすっぽり腕の中に収める

まるで暴れる猫でも抱えるかのように、

楽しげに鼻歌まで歌い出した

 

 

 

「〜〜〜♪」

 

 

「お、ろ、せ!!」

 

 

 

 

 

カルエゴがそちらに気を取られている隙に、

ダキはちらりとゴエモンへハンドサインを送る

 

 

 

「よし!今のうちでござる!!

カルエゴ卿のエスコートはダキに任せて、

拙者達でなんか遊園地っぽいものとか探そう!!!」

 

 

「お!いいね!カチューシャ買ってくるか!」

 

 

「やっぱりここは、風船っしょ!!」

 

 

 

 

ゴエモン達は急いで露店へ駆け込んでいく

カルエゴを飾れそうなものを探すためだ

その後ろ姿を、ダキとカルエゴは並んで見送った

 

 

 

腕の中で暴れていたカルエゴが、ふっと動きを止める

 

 

 

 

 

「急に大人しくなったな、カルエゴ卿

俺の腕の中はお気に召したか?」

 

 

 

ダキはにやりと意地の悪い笑みを浮かべ、

腕の中の“お姫様”を覗き込んだ

 

するとカルエゴは、意外にも落ち着き払った顔で腕を組むと、「ふん」っと鼻で笑う

 

 

 

 

 

 

 

「そうだな、ちゃんと安定してるし、」

 

 

 

 

 

 

 

カルエゴはちらりとダキを見上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー何より魔王子サマに

こんな扱いをして貰えることは滅多に無いだろうと思ってな」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉にダキから余裕のある雰囲気が消えた

笑みを讃えながらこちらを見下ろす目がスッと温度のないものに変わっていた

 

 

 

 

 

 

 

「……俺はまだ公表してないぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その態度にカルエゴは嬉しそうに鼻で笑った

 

 

 

「時間の問題だろう、馬鹿め」

 

 

 

 

その低い声で言い放つ

その声音にダキの体が強張る

 

 

 

 

「ーーもう直ぐ貴族子息達が集まる社交界も始まる。

アムドゥスキアス家は公爵家だろう?

お前が参加しないわけがない。」

 

 

 

 

 

その言葉にダキは、不遜に笑い飛ばす

 

 

 

 

「隠し子なんでね、

ーーバックれるのもアリだろ」

 

 

 

 

風に吹かれて、ダキの紫の髪が靡く

髪の隙間から見えたダキの瞳は、

本当にどこかへ行ってしまいそうな不安定な色が透けて見えた

 

 

 

 

「ーーー、ダキ」

 

 

 

ふいに、カルエゴは目の前で揺れるダキの髪に手を伸ばしてーー、

 

くいっ、と髪を引っ張る

 

 

 

 

 

 

 

「………っ、!」

 

 

 

 

体制を崩したダキの顔がカルエゴに近づく

その耳にそっと近づく

耳の冷たい皮膚の感触が唇越しに伝わる

 

 

 

 

 

 

「全てを手に入れるのだろう?ダキ」

 

 

 

 

 

その耳元で、

せせら嗤うかのようにカルエゴが囁く

 

 

 

 

 

 

 

「ダロキアの名を利用し、

慕った者たちも騙してなお……

たったひとりの側に居たいのだろう?」

 

 

 

 

 

カルエゴのその言葉はダキを揶揄すると同時に、

自身の親愛なる兄が捨てられる未来を容認するものだ

一個人の感情と、教師としての苦渋を呑み込んだいかにもカルエゴらしい忠告であった

 

 

 

 

 

 

 

「その為にーー、」

 

 

 

 

 

カルエゴはダキの頭に手を置く

指先がゆっくりと髪を撫でる

まるで、躾けた犬を褒めるように

 

 

 

 

 

 

「貴様は従順な犬でいないといけない」

 

 

 

 

 

 

その手を遮ることもなく、

ダキはただ黙ったまま撫でられる

 

 

 

 

 

 

「グッボーイ、

目的のために頭を低くして生きろよ」

 

 

 

 

 

 

「……わん」

 

 

その態度に満足そうに笑うカルエゴに

賛同するかのように、ダキはそのまま一声吠えた

好きなCPは?(市場調査)

  • ダキ×ゴエモン
  • ゴエモン×ダキ
  • ダリ×ダキ
  • ダキ×ダリ
  • ダロキア×ダリ
  • ダリ×ダロキア
  • ダロキア×バール
  • バール×ダロキア
  • ダキ×アスモデウス
  • ダキ×キリヲ
  • その他(自由回答)
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