ウッ、ポロち"ゃん……!
「なぁなぁ、バール君よ」
「どうした、マッド」
目の前の男は本当はマンセマットという本名だが、ダロキアの「長ぇ」の一言と、その悪魔を実験動物としか思わない研究気質なサイコパス度から「マッド」ーー狂った馬鹿と呼ばれているダロキアのクラスメイトだ
この男は、クラスメイトたちが避ける中、話を聞いてくれるバールを気に入っていて、よく自分の研究成果や仮説を語りにくるのだ
「これを見てくれ!」
頬を紅潮させ、意気揚々と何かの実験データのようなモノを見せてきた
「これは、ダロキアの悪魔としての力を分析したデータなんだけどねー、」
このマッドという悪魔は、魔王子ダロキアを自分の研究対象として見ていた
数多くある悪魔の種族の中でもダロキアは特にレアだ
父王譲りの無尽蔵の魔力
体内の武器では傷一つつかない鋼の体
聞けば従わざる得ない特殊な声
そして、何より、マッドに興味を抱かせたのは、ダロキアが"あの古代魔術"を使って産まれた悪魔だからだ
「ここ!ここ見て欲しい!」
ある1箇所を指差すと、マッドの声が異様に弾む
声に釣られ指の刺す部分を見た
その部分は0の値より遥か下落している
全体を見れば測りきれない数値から徐々に下落し、0を超え、マイナスを突破している
(何の数値だ?)
目線を少し上へ、タイトルのあるであろう部分に目を向けた
『体内魔力枯渇過程における数値変動』
「魔力の、枯渇……?」
「そう!これは、ダロキアが『全部の魔力を出し切らせた時の体内の魔力数値』なんだ!」
「?どういう事だ」
体内から魔力を出し切ったならそれは"0"の筈だ
「有り得ねえ」
それが何故、『-236』なんて、異常な数値になるのか分からずバールは困惑した
「そう!!!まさにそこだよ!!!
こんなこと、本来なら、"有り得ない"んだ!!」
まさに触れられたかった部分を指摘され、興奮のあまりマッドは両手をバッと広げた
「普通体内に魔力がなければ魔術は使えない、けれど!体内の魔力が"0"になっても、
尚!!ーーダロキアは、魔術を行使できる!!」
一拍、置いてマッドは唇の端が引き切れそうな程口角を上げ、陶酔した瞳が揺れる
歪に歪んだ顔がマッドの興奮具合を見せつけていた
「一体どこから、こんな力があるんだろうね」
両手を抱きしめて震える
口の端から溢れる「ふふふ」と薄気味悪い笑みと、膨らむ下腹部に、潔癖の嫌いがあるバールは目の前のマッドから距離をとりたくなった
けれど、それをおくびにも出さず、バールはただ目の前の狂人に付き合っていた
「ダロキアを見ていると、悪魔はもっと進化できるんじゃ無いかと、夢を見るんだ……
やはり、ダロキアは"素晴らしい"」
悪意の滲む笑みが、この男の本性を表していた
その言葉にバールは同感だった
あの男は、恐ろしい
悪魔を超えた"ナニカ"
ダロキアの側にいれば、自分もその高みの景色を見れるに違いない
自分までも興奮で背筋がぞくぞくした
「面白い、本当に面白い」
ぽつり、と独り言のように呟くと
マッドはくるり、とバールの方を振り向き笑った
「僕はダロキアの側にいて、ダロキアをずっと研究をし続けるよ!」
そう宣言した男の眩しい顔が、
いつまでも青い記憶にこびりついていた
ーーーーーーーー
ーーーウォルターパーク
魔界随一の遊園地、その地下にウラボロス監獄は存在する
そこにひとり、バールに頼まれて、監獄に潜入していた
ーーアミィ・キリヲ
バビルスで全校生徒を目標として爆破テロを実行しようとした、犯人である
バール達は、『魔界の革命』を目指している
そのために今に不満のある先祖返り達を集め、少数精鋭の布陣を築こうとしていた
あの爆破テロは、二つの目的があった
平和の世を終わらせ、世間のサリバンへのネガティブキャンペーンを行う
と同時に『主犯キリヲが逮捕される』事を前提に動いていた計画だった
一つ目の目標はダキやサリバンにより未遂となってしまったが、二つ目の計画は順調だった
この計画の本質は『人材集め』
監獄にいる優秀な悪魔たちをヘッドハンティングする為に、わざわざ"捕まる前提"でキリヲはテロを起こしたのだ
ここウラボロス監獄には、
あの"マンセマット"がいるのだ
ダロキア配下、悪魔狂いのマンセマット
生粋の研究者であるマンセマットは学生の頃から論文をいくつか出すほど生物学の研究者として大成した傑物である
その過程で多くの病気の治療法を生み出した魔界の救世主と呼ばれた悪魔
ーーだが、それは表の顔
彼は自身の所属する研究機関で『悪魔の進化』を中心に研究を重ね、秘密裏に悪魔を誘拐し、実験し、殺したのだ
魔関にその正体を暴かれ、今はこのウラボロス牢獄の最下層で静かに、死刑執行を待つ身という、何とも悲しい末路だ
本来ならその危険性から極秘事項扱いになっていたマッドの居場所をある政府機関のオトモダチから貰ったとバールは愉しそうに教えてくれた
(兄さんが言うには、計画には必要だからさらって来い…って)
キリヲが立てた計画は簡単だ
遊園地に数カ所、魔獣を召喚する為に囚人を利用して膨大な魔力を貯めておく、そこに魔石を落とせば、
産まれた魔獣が、暴れ、多くの悪魔が死ぬだろう
歓喜の声が絶望の声へと変わり果てる
ーー何と、甘美なものか
(想像するだけで、ぞくぞくするわ…)
だが、その間を突いて、キリヲはウラボロス監獄の奥深くへと潜るのだ
(僕がその様子見られへんのはしょうがない…でも、直接僕が行かな)
キリヲは奥へ、奥へと、降りていった
目標は、すぐそこまで来ていた
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーウラボロス監獄の最奥
何十もの扉を経て、厳重に隔離された巨大な研究施設の一室
そこに、目当ての悪魔がいた
「うーわ、めんどいわぁ」
しかし、中に入るための扉は、幹部看守のキーでしか開かないようで、探すのもめんどくさかったキリヲは六指衆に持ってきてもらった魔具で扉をぶち壊した
ーーーーードカンっ!!!
激しい爆音と共に扉が落ち、土煙が立つ中
その部屋の中心でマンセマットは悪魔を解剖していた
「はじめまして、代理人としてやってきました、アミィ・キリヲって言います」
こちらの呼びかけに対し何も、反応をしない
かなりすごい音がしたというのにマッドは集中力を削がれず、目の前の悪魔をただひたすらにメスで捌き続けている
「バールさんが、貴方を必要としてます。
ーーー僕と一緒に来て下さい」
その一言にこちらを見向きもしなかったマッドの肩が揺れる
「………バァルゥ?」
ーーカラン、
手に持っていたメスを置き、真っ赤に濡れたゴム手袋を外して壁に叩きつけた
病的にまでに白い手が、スッと口元のマスクを下げ、頭巾まで取ると、赤い、血が滴るような髪が零れ落ちる
「随分と……懐かしい名前だな」
メガネの下の陰険な目がわずわらしそうにこちらを見る
「なんで、アイツが今更……、牢屋にぶち込まれるような悪人を連れ出してナニをさせたいんだろ、野心のある男だと思ってたけど、魔王でも目指すつもりかぁ?
マ、なんにせよ、悪いけど僕は行かないよ」
ぶつぶつ早口で呟きながら返り血で汚れた手術服を脱ぎ捨て去る
「そもそも外に出るメリットは無いしね。
バール君には申し訳ないが断っておいてくれ」
マッドは、近くにあったコーヒーポッドを手に取り、紙コップに注ぐと、近くにあったワーキングチェアにドカッと座った
「外の方があなたの望む研究が沢山できるんやないですか?」
その言葉にめんどくさそうに眉を顰め、コーヒーを一気に飲み干すとバッと立ち上がった
「はぁ……あのな、見てわかる通り、僕は有能でね、見れば分かるだろ?
僕は牢獄にいながら、好きなだけ研究を許されている。
むしろ、この環境だからこそ、囚人を実験台として色々やらせてくれるこの監獄を僕は心底気に入ってる」
カツカツ、と神経質に質の良い革靴を音を立てて動き回る
ジッとして居られない性格なのか、まるでマグロのように忙しない
「外にここより良い環境を揃えられるとは思えないね、分かったら出て行きなよ」
ひらひらとなんて事ないようにあしらわれる
この男の興味は一極端だと言うのは聞いて居た通りだ
キリヲはフッと笑うと切り札を切り出した
「ーーなら、あの『魔王子の血』をバールが持ってる、と言ったら?」
「……は?」
驚きで、マッドは思わず立ち止まった
くるり、と190°反転すると、キリヲの前に立ち止まった
「お前、いま、なんて言った」
言われた言葉が信じられず、マッドはキリヲの胸ぐらを掴み睨み上げる
ダロキアは配下に事あるごとに褒美を与えてきた
勿論、ダロキアの研究家たるマッドは幾度となく『ダロキアの血』を求めたが、
与えられたのはただ一度
ーーダロキアに忠誠を誓ったあの時だけだった
「ダロキア様の、だと?」
しかも、それを盃にひと舐め程度だった
それでも、その少量であっても、
マッドはあの味が忘れられないのだ
口に含んだ瞬間、いっぱいに広がる甘美な味
一口飲めば飲むほどに脳がふやけるかと思うほどの多幸感
喉を通る血はまるで、バターのように濃く、滑らかであった
だが、味だけでは無い
血をもらった後と前で自分の魔力を数値化した時に気がついたのだ
前と魔力量が格段に上がっている、と
しかも、量だけは無い
以前より魔力が、体に行き渡るスピードが速くなったのだ
ーーあの血の正体が知りたい
もっと、もっと解明したいと、欲が暴れ狂うが、新たにダロキアがマッドに『血』を与える事はなかった
「なんで、なんで、バールが…」
狂いそうな嫉妬にマッドはギリギリと爪を噛み締めてキリヲを睨み上げる
(でも、バールなら、あり得る)
バールはダロキアのお気に入りだった
本当なら、ダロキアが気にかける程強くは無い悪魔なのに、抜け目なく、狡猾
賢しいその素顔にダロキアからの寵愛を受けた生意気な後輩だ
(あああ、くそ、ほしい、血なら髪の毛とか爪と違って、もっと解析が進むはず…ッ)
今は既に行方不明になったダロキア
そのダロキアの貴重な検体
それは、マッドが今のこの環境を殴り捨ててでも欲しい代物だった
「………良いだろう、僕を連れ出せよ」
パッとキリヲの胸ぐらを離すと、渋々、と言った顔でマッドはキリヲに手を差し出す
その手を掴んだ瞬間、グッとキリヲはマッドへ引き寄せられた
「ーーだがな、その言葉、偽りあらばお前をモルモットにしてやる」
「はは、交渉成立…やね、」
至近距離で顔を見合わせると、マッドはキリヲの顎を強く掴み、爪を立てた
食い込んだマッドのギザギザの爪で表皮が裂け、血がたらり、と顎を伝い白衣の袖口を汚していった
ーーまるで、それが血判とでもいうように
バールの陣営に最悪の研究者が加わった瞬間だった
好きなCPは?(市場調査)
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ダキ×ゴエモン
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ゴエモン×ダキ
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ダリ×ダキ
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ダキ×ダリ
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ダロキア×ダリ
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ダリ×ダロキア
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ダロキア×バール
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バール×ダロキア
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ダキ×アスモデウス
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ダキ×キリヲ
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その他(自由回答)