魔王デルキラの息子   作:雨鬱

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第4話:決闘

 

 

 

 

ドカァン!!!!

 

 

 

 

 

 

「私の名はアスモデウス、先の入学式で代表の1柱として挨拶するはずだった者だ。」

 

 

どうやら出遅れずに済んだらしい。

中庭ではアスモデウスが火球でド派手な土煙を上げながら

名乗りを挙げていたからこれから始まる所だろう。

 

 

「はい、ちょっとどいてね〜」

 

 

中庭をぐるっと囲む廊下に

見物に集まっているギャラリーたちを押し除けてダキは前の方へと進む。

 

 

「おっ、もう1柱の首席だ。」

 

 

「黒い方の首席だ、…腕に抱えてんの誰?」

 

 

「乱入か?乱入するのか?」

 

 

ガタガタ抜かす悪魔たちには特に何も言わずニコリ、と笑いながらずんずんと進む。

格上の悪魔とわかるオーラに徐々にダキのために道を開けはじめる。

 

 

「着いたぜ、坊ちゃん」

 

 

一階の廊下、

中庭の入り口ににテーブルを用意し、

簡単にお茶と茶請けを出して、

椅子に坊ちゃんを座らせる。

 

 

 

「ありがとうでござる」

 

 

満足いく特等席を用意することができた。

出してもらったお茶をズズっと飲んでいるゴエモンは大変リラックスした様子である。

ダキも同じ様にゴエモンの隣に座り、

バリボリとせんべいを食べ始めた。

普通SDなら主人と同席せず後ろに控えるのだが

このゴエモンは変わっていて、敬う態度を見せすぎると怒る。

むしろ同席するくらいのフレンドリー感がちょうどいいのだ。

 

 

「決闘を家の居間でテレビでも見るんかってぐらいくつろいで観戦してる奴初めて見た…」

 

 

大分肝の据わった奴と周りからジロジロに見られながらも

そんなこと気にせず渦中の2柱は「おっ、これうまいでござる」「俺の新作」とわちゃわちゃしている。

 

 

 

「先の挨拶、君が抜擢されたのは明らかに理事長の依怙贔屓だ!」

 

 

「そりゃそうだろ」

 

 

「呪文も理事長の入れ知恵のパフォーマンスだろう!」

 

 

「なーんでそこまで普通にわかるくせにその裏が読めねぇのかね。」

 

 

「せっかく、今日のために制服も新調したというのに…!」

 

 

「新調っつーか、魔改造だよなそれ。バビルスらしさ全くねぇんだが?レビアロンの制服って言われた方が納得するわー」

 

 

「晴れの舞台を汚された私には、君が優秀な悪魔なのか確かめる権利がある!」

 

 

「俺も晴れ舞台邪魔されたんだけどなー、」

 

 

 

「っ…!さっきからうるさいぞ外野ァ!!!」

 

 

 

 

ダキのツッコミに耐えきれなくなったアスモデウスが

顔を真っ赤にしながらこちらを見た。

 

 

「お前は…、!」

 

 

アスモデウスは忌々しげに声のする方を見ると、

そこにはデッカい煎餅に齧り付いたダキがいた。

 

 

「よ!ふぁっきぶり」

 

 

バリボリ音を立てて食べながら片手を上げてアスモデウスに挨拶する。

 

 

「貴様!野次馬にしに来たにしてもくつろぎ過ぎだろうがっ!!神聖なる決闘の場を侮辱しているのか!!!」

 

 

「いいや?」

 

 

ズズとお茶を飲みながら答える。

余裕綽々のダキの態度に気に食わなかったのか、怒り心頭で指を刺す。

 

 

「大体!貴様は前から気に食わなかった!バビルスで首席になるのは私だけだと思ったら、今年だけ2柱?!ふざけるなよ!!!お前もこの特待生と同じ裏口入学か!?」

 

 

おいおい、俺の試験の結果は紛れもなく俺の努力だ。

裏口入学と揶揄されたことに怒った坊ちゃんが立ちあがろうとするのを手で制して、にんまり、と笑った。

入間から売られた喧嘩は買わないとは宣言したが、

アスモデウスからの喧嘩は買わないとは言ってないよな?

 

 

「おいおい、そこの特待生さんとは違って俺は実力で入ったぜ?」

 

 

指で刺された特待生は再び注目されて気まずそうに目を彷徨かせた。

悪いねぇ、でも無理矢理注目させた君のお祖父ちゃんに文句を言ってくれ。

 

 

「しかも、筆記はどうやら負けちまったみてぇだが、名門アスモデウスのボンボンのお前と違って、出自不明の名門悪魔ではない俺が実技の首席での合格だ。」

 

 

実技は悪魔としての強さに直結する。

名門であればあるほど魔力量や魔術の実技としての力量を求められる。

筆記は頑張れば庶民でも勝てるかもしれないが、

家系の力も関係してくるので無名の一族出身が有名な悪魔の一族に実技で勝てることがヤバいのだ。

この事実に周りの悪魔たちは「おお、」「すげぇ…」とざわめく。

隣の坊ちゃんが「凄いだろう!」と自慢げに腕を組んでいるのがかわいらしい。

俺は飲んでいた茶を机に置き、さらに畳み掛ける。

 

 

「しかも何だ?筆記は他の奴が首席らしいな。」

 

 

その指摘にカッとアスモデウスの顔が赤くなる。

 

 

 

「お前がどちらでも1番でも無いくせに俺とおんなじ首席だって?お前こそ裏口入学野郎なんじゃねぇーの?」

 

 

ゲラゲラと品もなく笑い転げれば、

ここまで面と侮辱された事ないアスモデウスは真っ赤を通り越して静かな怒りで周りが凍りそうな重い雰囲気を醸し出した。

おー怖っ

 

 

 

「だからこそ言うぜ、お前はそこの特待生には勝てねぇ。」

 

 

俺が再び、特待生入間を指さすと、「ええっ?!」と驚いた様にこちらを見ている。

今この場面で名指しされるとは思っても見なかったのだろう

 

 

「ほぉ……」

 

 

面白げに目を細めて、アスモデウスは特待生を見るが、

当の本人はブンブンと、頭を横に振りながら否定している。

おもしれーいじりがいのある奴だな

 

 

「賭けたっていいぜ、お前が特待生に勝てば学園の間だけお前の従者になっても良い。」

 

 

「ダキっ?!」

 

 

俺の賭けに持ち出した内容にギョッとしながら坊ちゃんは俺の方を見た。

俺は坊ちゃんに大丈夫、とジェスチャーしてアスモデウスへ向き合った。

 

 

「その言葉嘘でないな」

 

 

「周りにいる奴らが証人だぜ?ナァ?」

 

 

その声に「うおおおおおーー!」と歓声となって皆が答える。

1人蚊帳の外気味の入間が「えっ、あ、ちょ」ときょどりながら俺の方を見ていた。

 

 

「大丈夫、俺は信じてる、勝てよ特待生」

 

 

「良いだろう、そこの特待生入間を下し、お前が私よりも格下であることを、今ここで、証明して見せる。」

 

 

そう言って、アスモデウスは手に火を灯し、入間へ火を放った。

 

 

「ひいっ、!」

 

 

ーーーードォン

 

 

 

爆音に耳を塞ぎながらも入間は避けた。

続いて、逃げる隙も与えない様ドンドン火球を連射する。

 

 

「ま、流石に俺と同率として数えられるぐらいにはコントロールが上手いなアスモデウス。」

 

 

火球から逃げ続ける入間にニヤッと笑う。

 

 

「わざわざ観覧しやすい中庭で、ギャラリーを集め、隠れる場所もない開けた場所かつ風下に特待生を立たせてる。完全に公開処刑をしようと用意した舞台だ。」

 

 

俺がそう解説すると隣の坊ちゃんは不安げに呟いた。

 

 

「……本当に勝てるんでござるか?特待生は」

 

 

「俺は負けるギャンブルはしないタチだ。」

 

 

任せとけって、そう言う意味を込めて牙を見せて笑う。

こう言う時の俺が言う事は100%通る事を

経験則から知っているゴエモンは「はぁー」とため息を吐いてそっぽを向いた。

 

 

「坊ちゃん?」

 

 

しまった、何か機嫌を損ねてしまったか?

少し焦りながら坊ちゃんを呼ぶと

 

 

「確実に勝てると分かっていても、あの賭けの内容は心臓に悪いでござるよ」

 

 

白い毛並みから覗く肌が赤く色づいているのが見えるほど恥ずかしそうにしながらそうぼやいた。

 

 

 

「坊ちゃん…!」

 

 

 

 

デレた。

坊ちゃんがデレた!

俺の勝利を信じてはいるが、それはそうと賭けの対象となってしまった俺の身を案じてくれる。

従者としてはこの上なく嬉しい。

アスモデウスの決闘なんぞそっちのけで「俺は坊ちゃん一筋だぜ」とデレデレしながらお茶を注ぐ。

 

 

 

「イチャイチャするなそこォ!!!」

 

 

 

青筋立てたアスモデウスがツッコミと同時に俺ら目掛けて火球放つ。

そんな決して軽くはない攻撃を容易くバリアで跳ね返す。

 

 

 

「うわっ、!」

 

 

 

その予測不可能なはずの火球も入間はするり、と避けてしまった。

反射神経がいいな

処刑玉砲とか得意そうかもしれねぇな。

 

 

 

「おいおい、アスモデウスいいのか?俺たちに構ってる場合じゃねぇーだろ?当たってねーぞ攻撃」

 

 

「ちっ、言われなくともッ!」

 

 

 

確かに構ってる暇はないと気がついたのか、

そのまま続けてアスモデウスは火球を入間に投げ続ける。

 

 

「このっ、!」

 

「ちょっ、」

 

「ちっ、」

 

「わっ、!」

 

 

「なん、でき、貴様当たらんのだ!」

 

 

「す、すみまっ、すみません」

 

 

ゼエゼエと違い攻撃するのも避け続けるのも疲れてきたのか、

肩で息をしながら地面に膝をついている。

 

 

 

「かれこれ20分ぐらいは避けつづけてたな、あの特待生。」

 

 

 

懐中時計を出しながら暇そうに俺はつぶやいた。

そろそろ終わんねーかな、夕飯の支度があんだよこっちは。

観戦してる側も怠くなってきた。

 

 

「入間すげぇなぁ」

 

 

「まだ一回も攻撃してねぇぜ」

 

 

「何?手を出すまでもないって事か?」

 

 

同じように他のギャラリー達も飽きてきたのか、

周りと感想を言い始めた。

攻撃してこない事をアスモデウスも分かっていたから

わなわなと震えながら目の前の入間に問いかけた。

 

 

 

「私など……攻撃するに値しない、と言う事か…ッ!」

 

 

「いえいえいえいえ!」

 

 

絶対そんな事ないですと言いたげにブンブン手を振っている。

 

 

「ぼ、僕なんかほんと虫ケラみたいなもんで…」

 

 

ボソボソと卑屈そうに呟くのを一階席だったダキの耳には届いたが、

2階のギャラリーは違った様で

 

 

「てめーは虫ケラ以下だとよ!」

 

 

「さっさと尻尾巻いて逃げろってさ!」

 

 

「良いぞー!もっと罵れー!!」

 

 

 

「ちっ、違うんです…!」

 

 

 

 

と聞こえた部分を都合のいいように言葉を湾曲して野次り始めた。

周りのヤジたちも泥沼の決闘につまんなくなってのだろう。

発破かけないと終わりそうにないもんな。

ダキは特に何もせず傍観を決め込んだ。

 

 

「ッッ!!!なんたる侮辱!!!!」

 

 

 

そう言って炎を剣の形に変えて構えた。

おお、形態変化もお手のものか。

 

 

「魔術が効かぬなら武術でねじ伏せるのみ…!」

 

 

アスモデウス家みたいな名門だと剣術も習うのかと、

武術道場の家元のSDの俺にとっては興味深い。

坊ちゃんも同じ気持ちなのか

どんなものだろうかと目をキラキラして目の前の試合に向き直っていた。

 

 

「八つ裂きにしてくれるっ!」

 

 

そう言って小脇に剣をまっすぐ構える形で突進するアスモデウス。

 

 

「悪手でござるな」

 

 

「だな」

 

 

怒りで状況が見えてないのか突進するアスモデウスに

期待ハズレの俺たちはため息を吐いた。

今まだの様子を見る限り特待生は避ける事に特化してる。

なのにあれでは攻撃の太刀筋がわかりやすく避けられやすい。

何を考えてるんだか。

案の定受け流されたアスモデウスをみて呆れて肩をすくめた。

 

 

「キャアアアァ!!!」

 

 

 

だが、最悪な事に、受け流されたアスモデウスは止まる事なく、見物に来ていた女子生徒の元へ突っ込んでいく。

あのままだと攻撃が当たって大怪我だ。

 

 

そのことに気がついた特待生がその前にアスモデウスを捕まえようと、腰を掴んだ。

 

 

 

 

「おっ、」

 

ドシャァァァアン

 

 

 

 

 

派手な砂埃をバリアで俺と坊ちゃんの周りだけ張って防ぐ。

 

 

「うわっ、ぺっぺ」

 

「砂が目に入った!!!」

 

 

「ゲホッ、」

 

「なんだっ、ど、どうなった、?!」

 

 

 

周りの群衆達は咳き込みながらも、砂塵が晴れるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

「はっ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だーあっははははっ!!!!おい、最高じゃねぇか!特待生入間ァ!」

 

 

 

砂塵が晴れた先に居たのは、アスモデウスの腰を掴み、投げ飛ばした形でアスモデウスの脳天を地面へカチ割る特待生の姿であった。

言うなれば、お手本の様な、見事なジャーマンスープレックスだった。

好きなCPは?(市場調査)

  • ダキ×ゴエモン
  • ゴエモン×ダキ
  • ダリ×ダキ
  • ダキ×ダリ
  • ダロキア×ダリ
  • ダリ×ダロキア
  • ダロキア×バール
  • バール×ダロキア
  • ダキ×アスモデウス
  • ダキ×キリヲ
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