魔王デルキラの息子   作:雨鬱

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第6話:使い魔召喚の朝

 

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夢を見た

内容は覚えてないけど何だかとても温かった記憶がある。

なんか気になるなァーとは思いながらも思い出せず、悶々とした気持ちでスープをおたまでくるくるまわす。

思い出せないもんはしょうがないと諦めながら味見をする。

おっ、良い味じゃん

 

 

 

「ぼ〜っちゃん!朝ご飯ですよ〜!」

 

 

ガンガン、とフライパンとお玉を叩いてアパート前の庭で朝の日課である素振りをする坊っちゃんへ声をかけた。

俺と坊っちゃんは親元を離れて

バビルス近くの繁華街マジカルストリートに居を構えている。

 

親元離れた理由としては坊っちゃんの親父さん曰く「これもまた修行」とのことで家から通うことを禁じられたのである。

そうして俺たちは繁華街の中にある比較的治安のいい場所のアパートの一角に一緒に暮らすことになったわけである。

 

 

 

「今日も美味しそうでござるな!」

 

 

目の前に広がった見目豊かな色とりどりの和食に坊っちゃんは嬉しそうな顔をしながら帰ってきた。

今日の朝ごはんはブロック肉の角煮と、その上に目玉焼きを乗せ

副菜に芋のサラダ、ごはん、味噌汁、デザートにフルーツをいくつかを用意した。

 

 

 

「朝から肉とは意外と重くないでござるか…?」

 

 

苦笑しながら坊ちゃんはテーブルにつく。

いつもの朝ごはんに比べれば少し多めではある。

そもそもガープ家はあまりご飯を食べなくていい家系だ。

でもやっぱりご飯ってのは力が出るし、何より見て、食べて、美味しいご飯っていうのは心にも良いと思っているのがダキの持論である。

ダキの料理に関する熱い情熱のおかげでガープ家はダキのご飯のおかげで食に目覚めて、作る専門から食べる専門へと変わりつつあるとはゴエモン本人の談である。

 

 

「何言ってんですか?坊ちゃん今日は使い魔召喚の日ですよ」

 

 

長丁場になるのですからご飯はしっかり食べないと、とそう囁くダキに「使い魔か…」とゴエモンは呟いた。

バビルス1年時に行われる召喚授業で出会った使い魔とはほとんどの確率で今後の人生のパートナーにもなるのだ。

そのため召喚した魔獣の強さは悪魔として強さの指標と言われ、

これから決まるであろうランクの評価にも影響するのだ。

 

 

これから出会うであろう使い魔にドキドキしながら、ゴエモンは朝ごはんを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

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朝ご飯を食べ終え、

食器も魔法でパッパと片してしまい、

真新しい新品の制服に着替える。

坊ちゃんと一緒に飛んでバビルスまで登校すると

周りの視線がすごかった。

 

ヒソヒソと話す声は聞こえるものの

実際に話しかけてくるやつはいない。

臆病者め。

噂される俺よりも隣にいる坊ちゃんの方が嬉しいようで

花が咲きそうなほど上機嫌だった。

 

 

 

 

「拙者のSDが有名で鼻が高いでござる!」

 

 

「…坊ちゃんの株が上がるなら噂されるのも悪くねえな」

 

 

 

 

校庭に降り立つと、そこに居たのは特待生入間とアスモデウスだった。

昨日、気絶したアスモデウスはそれなりにでかいため、

ひとり運ぼうとする入間が可哀想になった坊ちゃんに命じられ、

入間、坊ちゃん、俺で保健室へ運びこんだ。

 

俺の勘だが、アスモデウスと入間に関わると

いろんなことに巻き込まれそうな気がする。

だからこれ以上の面倒を見る義理もないと言ったのだが、

坊ちゃんはこの手のことは聞いてくれた試しがない。

お人よしと言うやつなのだ、悪魔なのに

 

結局、地面にでも放っておけば良んですよ!と主張するも、運ぶ!と言って聞かない坊ちゃんに折れて渋々、178cmのそこそこ大きい悪魔を運んだのである。

坊ちゃんに感謝しろよアスモデウス。

 

運んだ後は早々に帰って宴をしていたので、

帰った後まさかアスモデウスが入間に惚れ込み配下になっているのは知る由もない事実であった。

 

アスモデウスの野郎がまた突っかかっているのかと思い、

しょうがねぇ、締めてやるかと、入間の元へ駆け寄ろうとしたが

よく見ると

アスモデウスは入学式の時の氷のような冷たい表情から、

お日様のような明るい笑顔で「アズとお呼びください!」と入間に傅いて叫ぶのを見て

あ、ヤビ蛇だなこれ、と瞬時に察したダキは

そのまま入間のことを放置することにした。

 

学園長の思い通り、

アスモデウスは入間の心強い味方になったってことか。

アスモデウスを取り込んで何を考えているんだが

 

 

「入間殿!」

 

「ばっ、坊ちゃん?!」

 

 

考え込んでいたダキをよそに

隣にいたゴエモンが飛び出して入間たちの元へ声をかけにいってしまった。

アスモデウスを運んだ際に坊ちゃんは入間とは仲良くなったのだ。

なんだかんだでお二方は似たような気質もあって、

一緒にいると居心地がいいのだろう。

あ〜あ、めんどくせ、と思いながらも坊ちゃんと後をついていった。

 

 

「誰だ貴様」

 

 

あまり認識がないだろう坊ちゃんにアスモデウスがギロリ、と睨む。

 

 

「おい…」

 

 

その瞬間プツンっときてアスモデウスに

魔力をぶつけようとする俺を坊ちゃんが手で制した。

 

 

 

「落ち着くでござる、ダキ…これぐらいなら何とも思わないでござるよ!」

 

 

威圧で髪の毛が少し浮きだつが

ぼっちゃんにメッっと諌められたのでガルルルと唸るだけにしておく

 

 

「ご、ゴエモンくん!ダキ君!」

 

 

獰猛な俺の威嚇に怯えて入間はオロオロしているが

坊ちゃんは慣れた様子でアスモデウスへ手を差し伸ばした。

 

 

「拙者はガープ・ゴエモンでござる!後ろにいるのはSDのダキでござる!ダキと同じ首席だったから勝手に親近感を覚えていたでござる!あと、初めましてではないでござるよ!昨日の決闘はダキの隣で観戦させていただいてたでござるよ!」

 

差し出された手を一瞥した。

 

 

「そうか、あの不届きものと一緒になってまるで家でテレビを見るが如く寛いで観戦していたあの悪魔か、」

 

 

そう言って背後の俺を睨む。

どうやら俺は相当嫌われたらしい。

 

 

「ハッ、面白いモンにはお菓子とジュースで観戦は必須だろうが!」

 

「貴様っ!」

 

 

しかしそんなこと知ったこっちゃない。

ドヤ顔で返す俺に、怒ったアスモデウスは反射的に手の平に火球を出した。

繰り出されたその火球を俺はズッと吸って飲み込んだ。

 

 

 

「げふっ、」

 

 

「な、おま、!」

 

 

 

簡単に消されてしまったことにアスモデウスの顔が怒りで歪む

 

 

「たく、あぶねーだろうが、坊ちゃんの近くで火球出すんじゃねえよ。御髪が燃えたらどうする」

 

 

 

「貴様がっ!怒らせる様なことするからだ!」

 

 

「そうカッカすんなよ、たく、せっかく強ェーんだから力を無闇矢鱈にひけらかすなよ」

 

 

 

ぽんっとアスモデウスの顔に向けて息を履けばリング上の煙が吐き出される。

うん、魔力の質がいいから美味いな。

 

 

 

「は、はぁ?!」

 

 

 

顔を真っ赤にしたアスモデウスに睨まれる。

 

 

 

「強いだと?、おま、私のこと裏口入学野郎とか言っていていただろう?!」

 

 

「そりゃ、お前が先に俺を裏口入学野郎呼びしたからな、売り言葉に買い言葉ってやつだ。

別に俺はイルマが負けたらお前の従者になっていいぐらいにはお前の実力は認めていたつもりだぜ?」

 

 

つえーよお前は、と最後に腕を組みながらながらこダキは真剣な目でアスモデウスを見た。

 

散々入学式でこけにされて、

正直アスモデウスの中で首席としてのプライドはズタボロだった。

誰よりも努力し、

強いと思っていたアスモデウスだったが、

実技では目の前の男に負け、

筆記ではまた見知らぬ悪魔に負けている。

そして、自分で挑んだ特待生入間に見事返り討ちにあっている。

自分は本当に強いのか。

総合得点で首席となった自分はどちらも1番を取れていないのにバビルスで1番強い悪魔という呼び声は相応しくないと苦しんでいた。

なのに、この男は___

泣きそうになってアスモデウスは胸を押さえながら下を向いた。

 

 

そんなアスモデウスをよそにダキは、こら!っと怒られてハリセンで頭を叩かれていた。

 

 

 

「イッテェ!何すんですか坊ちゃん!!」

 

「このタラシ!そうやってうちの道場の舎弟何人増やせばいいんでござるか?!後ろから刺されても知らないでござるよ!!!」

 

「別にタラしてねーよ!!!坊ちゃん!!!」

 

 

俺と坊ちゃんがわちゃわちゃしている間に

顔が真っ赤なアスモデウスへ入間が「アズ君、アズ君」と呼びかけた

 

 

「あのねアズ君、ゴエモン君とダキ君は昨日一緒に保健室に運んでくれたんだ。」

 

「!……なんと、」

 

 

驚いたアスモデウスは今なお言い争っているふたりを見た。

最初は何と無礼な悪魔と、そう憤っていたが。

 

 

「そうとは知らず失礼な態度をとってしまって申し訳なかった」

 

 

アスモデウスはゴエモンへ90度に体を折り曲げて謝罪した。

無礼だったのは自分の方だった。

今までの過去の自分を戒めるつもりで心からの謝罪を口にした。

 

 

「大丈夫でござる!」

 

「入間と坊ちゃんがお前が可哀想だからって仕方がなく運んだだけだ」

 

 

そんなアスモデウスにゴエモンは笑って許し、

ダキは素直じゃない返答で謝罪を受け入れた。

アスモデウスは恐る恐る見上げると、こら!と怒られているダキがいた。

 

 

「よかったね、アズ君」

 

 

「ゴホン…保健室まで運んでくれて感謝する。改めて、アスモデウス・アリスだ」

 

 

アスモデウスは手を差し出した。

 

入学式と違ってデレるようになったじゃん。

ダキはそう笑いながら、ゴエモンと一緒にその手を握り返した。

 

 

 

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