大広間で行われた真斗と竹取の婚礼の儀は滞りなく無事に終わり、今は上座に設けられた花婿と花嫁の席に正座で座る真斗と竹取の前には多くの戦国大名や大妖怪の長達がお祝いの言葉を贈っていた。
「おお!これは!これは!織田 信長様!それに帰蝶様!お市様!お忙しい中、ありがとうございます」
真斗が笑顔で笑顔で言うと信長と右の帰蝶、左の市は軽く一礼をする。
「いやぁ大丈夫だ。気にする事はないぞ真斗。それよりご結婚、おめでとう」
「真斗様、竹取様、ご結婚おめでとうございます」
「おめでとう、竹取。これはお祝いの品の鬼酒よ。是非、真斗様と一緒に飲んでね」
お市は笑顔で竹取の前に“鬼酒”と書かれた徳利を出すと竹取は笑顔で軽く一礼をする。
「ありがとう、市。でもいいのかしら宿儺様の奥方で一つ目一本足の御姫様からこんな立派な物を貰っていいのかしら?」
「ふふふっ竹取、気にしなくていいのよ。それに私と貴女は幼馴染でしょ?」
それを聞いた竹取はハッとなるもすぐに明るい笑顔になる。
「そうだったわね。ごめんなさい市。改めて、ありがとう」
二人の光景を観ていた信長は笑顔になる。
「よいな、幼馴染とは。ああ、そうだった。真斗、これはわしからの婚姻祝いの品だ」
信長は袖口の中から真斗の前に五枚重ねで白く細い和紙で結ばれた小判の束を三つ出す。
「ご祝儀金ですか、ありがとうございます信長様」
「真斗様、そして私からはこちらを弥助」
帰蝶は笑顔で振り向き、彼女の後ろに控えていた白銀髪のダークエルの男性、弥助は軽く一礼をし立ち上がると手に持っていた木箱を真斗のそっと前に出して後ろに下がる。
真斗は弥助を出した木箱を手に取り蓋を開けると中には美しい湯飲み茶わんが二つ入っていた。
「これは!・・・初代長次郎の湯飲み茶わんだ!」
驚く真斗に対して帰蝶は少しクスクスと笑う。
「ええ、そうなの。二人の門出を考えて湯飲み茶わんにしたの。竹取と一緒に大切に使ってね」
帰蝶からの温かい言葉に真斗は胸にグッと来て、深々と頭を下げる。
「ありがとうございます!帰蝶!大切に使います‼」
真斗と竹取に祝い品を挙げた信長一行の次に来たのは豊臣 秀吉と妻の寧々、徳川 家康と西郷局であった。
「秀吉様!家康様!寧々様!西郷局様!お忙しい中、ありがとうございます」
真斗が笑顔で言うと笑顔の竹取と共に一礼すると秀吉、寧々、家康、西郷局も笑顔で一礼する。
「おめでとう真斗。なーに、わしも寧々も今は暇じゃけん。それに友人の門出を祝ってやんねぇーと罰が当たってしまう」
秀吉は笑顔で冗談交じりで言うと彼の右に座る寧々も笑顔で言う。
「そうだぁ。友達の結婚式をすっぽかしたら明日、雷と氷が降っちまう。それよりあんた、“あれ”」
「おおぉ!そうだった!そうだった!はい真斗。これはわしと寧々からの祝い金だ」
そう言うと秀吉は自分の膝に置いていた紫色の風呂敷を真斗の前に置き、風呂敷を開くと小判の束が十三束であった。
「おおぉ!こんな大金‼貰ってよろしいんでしょうか?」
驚く真斗の姿に秀吉と寧々は大笑いをする。
「気にすんな!気にすんな!うちの懐には腐る程、金があり過ぎて、うちは困ってたんだ」
「そうだぁ。あり過ぎて鑿がたかっていたから、ここで少し減らせて助かっているんだ」
などと秀吉と寧々は笑顔で冗談を言うので真斗も大笑いをするのであった。
「それは!それは!お二人のお困り事の助けになったのであれば、こちらも喜ばしい事です」
一方の竹取は家康と西郷局からお祝いの言葉を受け取っていた。
「竹取様、この度はご結婚、おめでとうございます」
笑顔で言う家康に対して竹取は笑顔で軽く一礼をするのであった。
「ありがとうございます、家康様。お愛、今日は来てくれてありがとう」
竹取がそう言うと西郷局は笑顔で軽く首を振る。
「いいのよ竹取。友達の祝いの席に顔を出さないのは失礼だからね」
「そうとも。竹取様、これは妻と私からの祝いの品です」
笑顔でそう言う家康は手に持っていた赤い風呂敷に包まれた品を竹取の前に出し風呂敷を取ると黒を基調とした二つの扇子であった。
「あら。この扇子は?」
竹取からの問いに家康は扇子の一つを手に取り広げると扇子には美しく描かれた鳳凰が描かれていた。
「まぁーーーーーっ!美しい鳳凰ですこと」
「はい。三河国でとても腕のいい団扇職人に頼みました。しかも、この扇子は表は鳳凰、裏は朱雀となっています」
家康からの説明で竹取は持っている扇子をひっくり返すと裏は美しい朱雀が描かれていた。
「これは!これは!美しい朱雀ですこと」
竹取が関心していると家康の後を引き継ぐ様に西郷局が説明の続きをし始める。
「その扇子は竹取ので、こっちの扇子は真斗様への品よ。しかも真斗様の扇子は表は雷龍、裏は青龍となっているわ」
「ありがとう愛、家康様。この扇子は生涯大事にしますね」
それを聞いた竹取は喜びの笑顔となって家康と西郷局に向かって一礼をするのであった。
⬛︎
婚姻祝いの挨拶と品送りが終わった後は婚姻の食事会が始まろうとしていた。
真斗や竹取、そして参加者の前には台物が置かれ、台の上には白米と味噌汁が入った茶碗、大皿には塩焼きの鯛と鴨のもも肉焼き、小皿には様々な漬物が乗せられていた。
そして皆は銚子に入った酒を盃に注ぎ右手に持ちと真斗が立ち上がる。
「えーーっコホン!今日ここに集まって下さった皆々様、本日は私と竹取の婚姻の儀に・・・」
すると突然、下男が慌てながら現れ頭を下げる。
「失礼します!真斗様‼竹取様‼婚姻の参加者が来ております!」
「参加者?分かった。通しなさい」
真斗からの指示に下男は一礼をする。
「どうぞ!お入り下さい!」
下男がそう言うと彼の右から真っ赤な顔に長い鼻、白髭と背中に黒い翼を生やした天狗と黒い髪に額に赤い蜘蛛の目、元々ある二本の腕と背中から四本の腕を生やした美女、そして最後に長い美しい白髪と褐色の肌を持ったハーフエルフの美女が現れる。
「よぉ!真斗!遅くなってすまんなぁ!」
笑顔で真斗と竹取に近づく天狗に真斗は笑顔となり、持っていた盃《さかずき》を台物に置く。
「おおぉ!大天狗様‼来て下さってありがとうございます‼」
「いやぁ、すまなぬ。急ぎだったからお祝い品は後日で。それよりも真斗、竹取様、ご結婚おめでとうございます」
大天狗が深々と頭を下げると竹取も笑顔で軽く頭を下げる。
「ありがとうございます大天狗様。それと甲斐姫に細川 ガラシャ、来てくれてありがとうございます」
女郎蜘蛛の甲斐姫とハーフエルフの細川 ガラシャが笑顔で竹取に向かって軽く一礼をする。
「いいのよ竹取。今日は本当におめでとう」
「ええ、私も甲斐姫と同じ気持ちよ。本当におめでとう」
甲斐姫とガラシャが祝いの言葉に竹取は喜んでいると真斗が声を掛ける。
「大天狗様、甲斐姫様、ガラシャ様、これから婚礼の乾杯をしますので、どうぞ空いている席にお座り下さい」
真斗が笑顔でそう言うと大天狗はアッとなるが、笑顔は崩さなかった。
「おっと!そうだ!すまぬな、邪魔をしてしまって」
大天狗はそう言いながら空いている席に向かうと甲斐姫とガラシャも空いている席にへと向かう。
そして真斗は改めて盃を右手に取る。
「えーっ改めまして、今日ここに集まって下さった皆々様、本日は私と竹取の婚姻の儀を心より祝福して下さってありがとうございます。それでは乾杯‼」
真斗が笑顔で盃を上に上げると皆も笑顔で盃を上に上げる。
「「「「「「「「「「乾杯‼」」」」」」」」」」
一気に盃を飲み、そして出された料理を食べながら談笑を始めるのであった。
⬛︎
それから時が経っち夜、お色直しの披露会では大広間の中心では秀吉と寧々、お市、甲斐姫が陽気な音楽と共に“くつわ踊”を披露していた。
踊りで宴会は最高潮となり酒のおつまみとして出された焼き鳥や佃煮を食べながら盛り上がっていた。
「流石!つくわ踊!俺もなんだか踊りたくなってきた」
真斗は笑顔で言いながら盃を飲むと甲斐姫とガラシャから頂いた美しい色打掛に着替えた竹取が笑顔で軽く彼の袖を引っ張る。
「真斗、気持ちは分かるけど踊りはあくまで主役をもてなす為の物だから我慢して。それより政宗様の姿が見えないけど」
真斗は塩ねぎまを一口食べると竹取の問いに少し悲しい表情で答える。
「ああ。実は招待状を伯父上には送ったけど、返答の手紙が送られて来て“仙台で百姓との間で起きた揉め事を解決するのに手こずっていて来られない”と」
そして真斗は銚子を手に取り、盃に酒を入れると再び明るい笑顔になる。
「でも手紙の最後には“二人の幸福な未来を切に願っている。結婚おめでとう”と。伯父上らしい締めくくりだったよ」
それを聞いた竹取はホッとした様な笑顔になる。
「そうだったのね。でも確かに最後は伊達 政宗様らしいわね。流石、奥州の伊達男ね」
すると踊りが終わると共に二人の元に軽い着物姿のお市が上機嫌で現れる。
「真斗殿!座って見ていないで私達と踊りましょうよ!ほらほら竹取も!」
笑顔で竹取の袖を引っ張るお市に対して竹取は苦笑いをする。
「でも市、私達はもてなす踊りに主役の私達が入ったら・・・」
「そんな気のしなくいいのよ。ねぇ!真斗殿は踊りますよね?」
笑顔のお市からの問いに真斗は笑顔で立ち上がり折烏帽子を取る。
「しょうがないですね。お市様がそこまで言うなら一曲、踊りますか!」
「えぇぇっ⁉でも真斗・・・」
真斗の行動に驚く竹取であったが、そこに笑顔で甲斐姫も現れる。
「さあ!さあ!竹取!そんな固くならずに踊りましょ‼」
そう言うと甲斐姫は竹取が被っている角隠しと色打掛を取り、立ち上がらせる。
「せっかくの誘いだぞ竹取。ぱぁーーーーーっと羽目を外そう!」
笑顔の真斗がそう言うので、ついに竹取の心は動き満面の笑みとなる。
「分かったわ。んじゃ!私もぱーーーーーーっと踊りますか」
少女の様な姿となった竹取に真斗はニヤッと笑うと中央に居る寧々に向かって声を掛ける。
「寧々殿!我らも踊りますぞぉ‼」
それを聞いた寧々は嬉しそうな笑顔になる。
「分っかりましたぁ!ほんなら!もっぺん行きましょかぁーーーーーーっ!」
「「「「おぉーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」
寧々の掛け声に返事をした太鼓や小太鼓などで音楽を奏でていた下男達は再び演奏を始める。
そして真斗と竹取も混じった、くつわ踊は大いに盛り上がるのであった。