FIERCE GOOD -戦国幻夢伝記-   作:izuminnー3305

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第 捌 話:夏の婚礼

 大広間で行われた真斗と竹取(かぐや)の婚礼の儀は滞りなく無事に終わり、今は上座に設けられた花婿と花嫁の席に正座で座る真斗と竹取(かぐや)の前には多くの戦国大名や大妖怪の長達がお祝いの言葉を贈っていた。

 

「おお!これは!これは!織田 信長様!それに帰蝶(きちょう)様!お市様!お忙しい中、ありがとうございます」

 

 真斗が笑顔で笑顔で言うと信長と右の帰蝶(きちょう)、左の市は軽く一礼をする。

 

「いやぁ大丈夫だ。気にする事はないぞ真斗。それよりご結婚、おめでとう」

「真斗様、竹取(かぐや)様、ご結婚おめでとうございます」

「おめでとう、竹取(かぐや)。これはお祝いの品の鬼酒(きしゅ)よ。是非、真斗様と一緒に飲んでね」

 

 お市は笑顔で竹取(かぐや)の前に“鬼酒(きしゅ)”と書かれた徳利(とっくり)を出すと竹取(かぐや)は笑顔で軽く一礼をする。

 

「ありがとう、市。でもいいのかしら宿儺(すくな)様の奥方で一つ目一本足の御姫(おひい)様からこんな立派な物を貰っていいのかしら?」

「ふふふっ竹取(かぐや)、気にしなくていいのよ。それに私と貴女は幼馴染でしょ?」

 

 それを聞いた竹取(かぐや)はハッとなるもすぐに明るい笑顔になる。

 

「そうだったわね。ごめんなさい市。改めて、ありがとう」

 

 二人の光景を観ていた信長は笑顔になる。

 

「よいな、幼馴染とは。ああ、そうだった。真斗、これはわしからの婚姻祝いの品だ」

 

 信長は袖口の中から真斗の前に五枚重ねで白く細い和紙で結ばれた小判の束を三つ出す。

 

「ご祝儀金ですか、ありがとうございます信長様」

「真斗様、そして(わたくし)からはこちらを弥助(やすけ)

 

 帰蝶(きちょう)は笑顔で振り向き、彼女の後ろに控えていた白銀髪のダークエルの男性、弥助(やすけ)は軽く一礼をし立ち上がると手に持っていた木箱を真斗のそっと前に出して後ろに下がる。

 

 真斗は弥助(やすけ)を出した木箱を手に取り蓋を開けると中には美しい湯飲み茶わんが二つ入っていた。

 

「これは!・・・初代長次郎(しょだいちょうじろう)の湯飲み茶わんだ!」

 

 驚く真斗に対して帰蝶(きちょう)は少しクスクスと笑う。

 

「ええ、そうなの。二人の門出(かどで)を考えて湯飲み茶わんにしたの。竹取(かぐや)と一緒に大切に使ってね」

 

 帰蝶(きちょう)からの温かい言葉に真斗は胸にグッと来て、深々と頭を下げる。

 

「ありがとうございます!帰蝶(きちょう)!大切に使います‼」

 

 真斗と竹取(かぐや)に祝い品を挙げた信長一行の次に来たのは豊臣 秀吉と妻の寧々(ねね)、徳川 家康と西郷局(さいごのつぼね)であった。

 

「秀吉様!家康様!寧々(ねね)様!西郷局(さいごのつぼね)様!お忙しい中、ありがとうございます」

 

 真斗が笑顔で言うと笑顔の竹取(かぐや)と共に一礼すると秀吉、寧々(ねね)、家康、西郷局(さいごのつぼね)も笑顔で一礼する。

 

「おめでとう真斗。なーに、わしも寧々(ねね)も今は暇じゃけん。それに友人の門出(かどで)を祝ってやんねぇーと罰が当たってしまう」

 

 秀吉は笑顔で冗談交じりで言うと彼の右に座る寧々(ねね)も笑顔で言う。

 

「そうだぁ。友達の結婚式をすっぽかしたら明日、雷と(ひょう)が降っちまう。それよりあんた、“あれ”」

「おおぉ!そうだった!そうだった!はい真斗。これはわしと寧々(ねね)からの祝い金だ」

 

 そう言うと秀吉は自分の膝に置いていた紫色の風呂敷を真斗の前に置き、風呂敷を開くと小判の束が十三束であった。

 

「おおぉ!こんな大金‼貰ってよろしいんでしょうか?」

 

 驚く真斗の姿に秀吉と寧々(ねね)は大笑いをする。

 

「気にすんな!気にすんな!うちの懐には腐る程、金があり過ぎて、うちは困ってたんだ」

「そうだぁ。あり過ぎて(のみ)がたかっていたから、ここで少し減らせて助かっているんだ」

 

 などと秀吉と寧々(ねね)は笑顔で冗談を言うので真斗も大笑いをするのであった。

 

「それは!それは!お二人のお困り事の助けになったのであれば、こちらも喜ばしい事です」

 

 一方の竹取(かぐや)は家康と西郷局(さいごのつぼね)からお祝いの言葉を受け取っていた。

 

竹取(かぐや)様、この度はご結婚、おめでとうございます」

 

 笑顔で言う家康に対して竹取(かぐや)は笑顔で軽く一礼をするのであった。

 

「ありがとうございます、家康様。お愛、今日は来てくれてありがとう」

 

 竹取(かぐや)がそう言うと西郷局(さいごのつぼね)は笑顔で軽く首を振る。

 

「いいのよ竹取(かぐや)。友達の祝いの席に顔を出さないのは失礼だからね」

「そうとも。竹取(かぐや)様、これは妻と私からの祝いの品です」

 

 笑顔でそう言う家康は手に持っていた赤い風呂敷に包まれた品を竹取(かぐや)の前に出し風呂敷を取ると黒を基調とした二つの扇子であった。

 

「あら。この扇子は?」

 

 竹取(かぐや)からの問いに家康は扇子の一つを手に取り広げると扇子には美しく描かれた鳳凰(ほうおう)が描かれていた。

 

「まぁーーーーーっ!美しい鳳凰(ほうおう)ですこと」

「はい。三河国(現在の愛知県東半部)でとても腕のいい団扇職人に頼みました。しかも、この扇子は表は鳳凰(ほうおう)、裏は朱雀(すざく)となっています」

 

 家康からの説明で竹取(かぐや)は持っている扇子をひっくり返すと裏は美しい朱雀(すざく)が描かれていた。

 

「これは!これは!美しい朱雀(すざく)ですこと」

 

 竹取(かぐや)が関心していると家康の後を引き継ぐ様に西郷局(さいごのつぼね)が説明の続きをし始める。

 

「その扇子は竹取(かぐや)ので、こっちの扇子は真斗様への品よ。しかも真斗様の扇子は表は雷龍(らいりゅう)、裏は青龍(せいりゅう)となっているわ」

「ありがとう愛、家康様。この扇子は生涯大事にしますね」

 

 それを聞いた竹取(かぐや)は喜びの笑顔となって家康と西郷局(さいごのつぼね)に向かって一礼をするのであった。

 

⬛︎

 

 婚姻祝いの挨拶と品送りが終わった後は婚姻の食事会が始まろうとしていた。

 

 真斗や竹取(かぐや)、そして参加者の前には台物(だいもの)が置かれ、台の上には白米と味噌汁が入った茶碗、大皿には塩焼きの(たい)(かも)のもも肉焼き、小皿には様々な漬物が乗せられていた。

 

 そして皆は銚子(ちょうし)に入った酒を(さかずき)に注ぎ右手に持ちと真斗が立ち上がる。

 

「えーーっコホン!今日ここに集まって下さった皆々様、本日は私と竹取(かぐや)の婚姻の儀に・・・」

 

 すると突然、下男(げなん)が慌てながら現れ頭を下げる。

 

「失礼します!真斗様‼竹取(かぐや)様‼婚姻の参加者が来ております!」

「参加者?分かった。通しなさい」

 

 真斗からの指示に下男(げなん)は一礼をする。

 

「どうぞ!お入り下さい!」

 

 下男(げなん)がそう言うと彼の右から真っ赤な顔に長い鼻、白髭と背中に黒い翼を生やした天狗と黒い髪に額に赤い蜘蛛(くも)の目、元々ある二本の腕と背中から四本の腕を生やした美女、そして最後に長い美しい白髪と褐色の肌を持ったハーフエルフの美女が現れる。

 

「よぉ!真斗!遅くなってすまんなぁ!」

 

 笑顔で真斗と竹取(かぐや)に近づく天狗に真斗は笑顔となり、持っていた盃《さかずき》を台物(だいもの)に置く。

 

「おおぉ!大天狗様‼来て下さってありがとうございます‼」

「いやぁ、すまなぬ。急ぎだったからお祝い品は後日で。それよりも真斗、竹取(かぐや)様、ご結婚おめでとうございます」

 

 大天狗が深々と頭を下げると竹取(かぐや)も笑顔で軽く頭を下げる。

 

「ありがとうございます大天狗様。それと甲斐姫(かいひめ)に細川 ガラシャ、来てくれてありがとうございます」

 

 女郎蜘蛛(じょろうぐも)甲斐姫(かいひめ)とハーフエルフの細川 ガラシャが笑顔で竹取(かぐや)に向かって軽く一礼をする。

 

「いいのよ竹取(かぐや)。今日は本当におめでとう」

「ええ、私も甲斐姫(かいひめ)と同じ気持ちよ。本当におめでとう」

 

 甲斐姫(かいひめ)とガラシャが祝いの言葉に竹取(かぐや)は喜んでいると真斗が声を掛ける。

 

「大天狗様、甲斐姫(かいひめ)様、ガラシャ様、これから婚礼の乾杯をしますので、どうぞ空いている席にお座り下さい」

 

 真斗が笑顔でそう言うと大天狗はアッとなるが、笑顔は崩さなかった。

 

「おっと!そうだ!すまぬな、邪魔をしてしまって」

 

 大天狗はそう言いながら空いている席に向かうと甲斐姫(かいひめ)とガラシャも空いている席にへと向かう。

 

 そして真斗は改めて(さかずき)を右手に取る。

 

「えーっ改めまして、今日ここに集まって下さった皆々様、本日は私と竹取(かぐや)の婚姻の儀を心より祝福して下さってありがとうございます。それでは乾杯‼」

 

 真斗が笑顔で(さかずき)(うえ)()げると皆も笑顔で(さかずき)(うえ)()げる。

 

「「「「「「「「「「乾杯‼」」」」」」」」」」

 

 一気に(さかずき)を飲み、そして出された料理を食べながら談笑を始めるのであった。

 

⬛︎

 

 それから時が経っち夜、お色直しの披露会では大広間の中心では秀吉と寧々(ねね)、お市、甲斐姫(かいひめ)が陽気な音楽と共に“くつわ(おどり)”を披露していた。

 

 踊りで宴会は最高潮となり酒のおつまみとして出された焼き鳥や佃煮(つくだに)を食べながら盛り上がっていた。

 

「流石!つくわ(おどり)!俺もなんだか踊りたくなってきた」

 

 真斗は笑顔で言いながら(さかずき)を飲むと甲斐姫(かいひめ)とガラシャから頂いた美しい色打掛(いろうちかけ)に着替えた竹取(かぐや)が笑顔で軽く彼の袖を引っ張る。

 

「真斗、気持ちは分かるけど踊りはあくまで主役をもてなす為の物だから我慢して。それより政宗様の姿が見えないけど」

 

 真斗は塩ねぎまを一口食べると竹取(かぐや)の問いに少し悲しい表情で答える。

 

「ああ。実は招待状を伯父上には送ったけど、返答の手紙が送られて来て“仙台で百姓(ひゃくしょう)との間で起きた揉め事を解決するのに手こずっていて来られない”と」

 

 そして真斗は銚子(ちょうし)を手に取り、(さかずき)に酒を入れると再び明るい笑顔になる。

 

「でも手紙の最後には“二人の幸福な未来を切に願っている。結婚おめでとう”と。伯父上らしい締めくくりだったよ」

 

 それを聞いた竹取(かぐや)はホッとした様な笑顔になる。

 

「そうだったのね。でも確かに最後は伊達 政宗様らしいわね。流石、奥州の伊達男(だておとこ)ね」

 

 すると踊りが終わると共に二人の元に軽い着物姿のお市が上機嫌で現れる。

 

「真斗殿!座って見ていないで私達と踊りましょうよ!ほらほら竹取(かぐや)も!」

 

 笑顔で竹取(かぐや)の袖を引っ張るお市に対して竹取(かぐや)は苦笑いをする。

 

「でも市、私達はもてなす踊りに主役の私達が入ったら・・・」

「そんな気のしなくいいのよ。ねぇ!真斗殿は踊りますよね?」

 

 笑顔のお市からの問いに真斗は笑顔で立ち上がり折烏帽子(おりえぼし)を取る。

 

「しょうがないですね。お市様がそこまで言うなら一曲、踊りますか!」

「えぇぇっ⁉でも真斗・・・」

 

 真斗の行動に驚く竹取(かぐや)であったが、そこに笑顔で甲斐姫(かいひめ)も現れる。

 

「さあ!さあ!竹取(かぐや)!そんな固くならずに踊りましょ‼」

 

 そう言うと甲斐姫(かいひめ)竹取(かぐや)が被っている角隠(つのかく)しと色打掛(いろうちかけ)を取り、立ち上がらせる。

 

「せっかくの誘いだぞ竹取(かぐや)。ぱぁーーーーーっと羽目を外そう!」

 

 笑顔の真斗がそう言うので、ついに竹取(かぐや)の心は動き満面の笑みとなる。

 

「分かったわ。んじゃ!私もぱーーーーーーっと踊りますか」

 

 少女の様な姿となった竹取(かぐや)に真斗はニヤッと笑うと中央に居る寧々(ねね)に向かって声を掛ける。

 

寧々(ねね)殿!我らも踊りますぞぉ‼」

 

 それを聞いた寧々(ねね)は嬉しそうな笑顔になる。

 

「分っかりましたぁ!ほんなら!もっぺん行きましょかぁーーーーーーっ!」

「「「「おぉーーーーーーーーーーーーっ‼」」」」」

 

 寧々(ねね)の掛け声に返事をした太鼓や小太鼓などで音楽を奏でていた下男(げなん)達は再び演奏を始める。

 

 そして真斗と竹取(かぐや)も混じった、くつわ(おどり)は大いに盛り上がるのであった。

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