FAIRY TAIL~新たな妖精~   作:瑠璃。

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第一章「新生妖精の尻尾vs復活大鴉の尻尾」
第一話「新たな妖精と緊急事態」


時代はX823年、新たな若い魔導士たちが魔導士ギルドに所属し始めている。

アルバレス帝国との戦争、そしてゼレフやアクノロギアとの戦いに参加していた

魔導士たちは今や中堅…なのだが、既に異変が起こっていた。魔導士たちの魔法が

消失するという事件が起こっている。

新たな聖十大魔道がフィオーレ王国の城へ招かれ、方針を話し合う。その末席に

座る青年は少々肩身の狭い思いをしていた。

 

「はっはっはっ、全くそちらの魔導士は何時の時代も元気だな」

「オブラートに包まなくても良いですよ、ジュラさん」

 

ジュラ・ネェキス、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士であり序列五位。未だに

順位はかつてとほとんど変わっていない。最年少で末席に加わった青年の名前を

彼もまた口にする。

 

「ジークフリート殿、そう言わずとも良い。ワシは思ったままに口にしたまでだ。

寧ろ、その明るさは妖精の尻尾の良いところだ」

 

ジークフリート・フェルナンデス、彼の容姿は誰かに似ている。そして母親の名前も

判明する。妖精女王の異名を持つ女魔導士エルザ、その息子が彼だ。さらに彼には妹が

存在している。名をジークリンデという。

 

「妹殿が今は代わりにギルドをまとめていると聞いているが」

「えぇ。彼女も守られてばかりの箱娘じゃないですし。頼りになる妹ですよ、ホントに」

 

何処か誇らしげに妹のことを話す。古株の魔導士たちはそれを温かく見つめる。

そうほのぼのとしている場合ではない。魔導士たちが持つ魔法が消失するという事態。

黒幕について何も情報が上がっていない。魔法を奪う、もしくは抹消する魔法を誰かが

使っていると推測しているのが現状。誰が魔法を失い、誰が今も魔法を扱えるのか

全てを把握することが出来ていない。互いに情報を提示しているうちに今のところ

魔法を失っているのはかつての戦争で活躍した魔導士たちだという事だ。

 

「彼らには注意喚起をするべきでしょう。可能な限り、魔導士として依頼を受けない方が

良いかもしれない」

 

 

 

フィオーレ王国、マグノリア。町の中を走っていくのは強盗である。

 

「こ、ここまで来れば…へへっ、ここはバレてねえし―」

「―流石、ジークさん。僕が最初に引き当てたようですね」

 

誰にも知られていないはずの場所に他人が足を踏み入れた。桜色の髪は火竜と称される

魔導士の男を思わせる。だが口調も態度も彼とは違い過ぎる。

 

「テメェ…まさか、妖精の尻尾!?どうやってここが…!?」

 

オスカー・ドラグニル、火属性の魔法を操る魔導士。それもただの魔導士では無い。

オスカーは少し横に避ける。彼の後ろにいた女魔導士を見て、強盗は目が点になり

沈黙。その後に腹を抱えて笑った。青と赤のメッシュ、特徴的な髪色を間違えるはずが

ない。どちらも優秀な魔導士だというのに、彼女の優秀な魔導士としての一面を誰も

知らない。

 

「何か、可笑しなことでも?」

「だって、そいつ、アレだろ。俺でも知ってるぜ。翅の無い妖精ってなァ」

 

ジークリンデ・フェルナンデス、すぐに魔導士としての才能を開花させた兄や妖精女王と

称される母たちに恵まれながらも魔導士としての実力が低い魔導士。

 

「いつの間に、そんな異名が広がってたのさ…」

「悲しまないでください、ジークさん!」

「ぷっ!恥ずかしくねえのかよォ、翅の無い妖精なんて妖精じゃねえだ、ろぉぉぉッ!?」

 

強盗の顔面を穿ったのは炎の拳。物腰穏やかな態度に反して、威力が高い。

 

「申し訳ありませんが、仲間を笑われて我慢できるほど人間出来ていないので…って、

これ、大丈夫ですかね?」

「事後報告…」

 

犯人はすぐに拘束された。帰り道にオスカーはジークリンデのことを気にする。

 

「間違ってはいないから、大丈夫」

「ジークさんが言うなら、良いのですが…」

「本当に大丈夫。私が苦手な事は皆に任せる、皆が苦手な事は私に任せて。今の

ギルドマスター代理は私なんだからさ」

 

魔導士たちの魔法が消失するという緊急事態、妖精の尻尾でも名の知れた魔導士たちが

魔法を失っていた。ギルドのメインの戦力として若き妖精たちが担っている。

ジークリンデは忙しく、そして中々ギルドに戻って来ない兄のジークフリートに代わり

ギルドマスター代理という役割を担っている。翅の無い妖精、魔導士として戦うことが

無い彼女の異名である。

 

「それにしても…」

 

転がっている瓶は複数発見された。瓶にはギルドの紋章と思しきものが刻まれている。

この紋章の情報が各ギルドに伝えられている。

 

「闇ギルド、神狼の鎖(フェンリルリアン)の紋章だ…」

 

バラム同盟の崩壊、独立ギルドによる闇ギルドの壊滅、それに伴い闇ギルドはほとんど

消滅したはず。しかし再び彼らが確認されるようになった。新生バラム同盟と名乗り、

犯罪組織である闇ギルドが跋扈するようになったのだ。ジークリンデたちが追い詰めた

強盗は末端構成員。

 

「ギルドに帰ろう」

 

ジークリンデとオスカーはギルドへ戻る。

 

 

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