イタズラ好きで、それでいて少し不器用なキミが好き。 作:Rαυs
広のコントラストで爆死したからかな?
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それでは本編をどうぞ
「──くん!」
誰かを呼ぶ声が聞こえる。幼い少女の声だ。
声のする方に視線を向けるが、視界が暗く、少しボヤけているせいでよく見えない。
「──めっ……いで…」
その少女は目の前にいた。
白いワンピースを着た、お姫様のような少女だ。
でも何故か顔だけがよく見えない。
「──だ……だよ」
こちらを見て何かを言っている、泣いているのだろうか…?
ダメだ、身体が思うように動かない。全身に
すると生暖かい何かが頭から流れて来るのを感じ、それを手に取る。
真っ赤な液体……これは血?俺は、もしかしなくても死ぬのか?
(こんな状況だと言うのにやけに冷静だな俺は……いや、そうかこれは)
目の前の少女は今も泣いている。
見覚えがない、いつ出会ったのかも分からない……だというのに守らないといけないと、そう思わせるような不思議な少女。
あぁ、どうか泣かないで欲しい。
いつものように笑っていて欲しい。
あぁそうか、俺は──
「───」
力なき手をそっと少女の頭に置いて落ち着かせるように撫でた後、手のひらをゆっくりと頬に添えて、そして───
「……っ!?」
瞬間、頭に響くような騒音で俺は目を覚ました。
飛び起きるように体を上げて、騒音、もといセットしていたアラームを止めると、自然と「はぁ…」とため息を
「…なんだってんだ」
真っ暗な場所、流れ出る血、泣きじゃくる少女。
他にも色んな物があったはずだが、覚えている情報はたったこれだけ。
自分がなにを考えていたのか、なにをしようとしていたのかも覚えていない。
悪夢、と言われればそうでもない……が、だからと言って別に見ていて気分のいい夢でもない。
取り敢えず分かるのは全身汗だくで気持ちが悪いって事だけだ。
「…風呂でも入るか」
たまには朝風呂もいいだろう。
と思いながら着替えをもって風呂場へと移動し、汗を流す。
───第2話『……迷子か?』
「さくら〜……っていないのか?」
風呂から上がってスッキリしていると、ふと飼っている猫がいない事に気付く。
窓を開けっぱなしにしてたからそこから出ていってしまったのだろうか。
俺がいる時は基本的にこの部屋から出て行くことはないのだが、時々いきなり居なくなる事があって心配してしまう時がある。元々が野良だから大丈夫だとは思うのだが、何か起きないとは限らないのでやはり心配だ。
「っと、考え込んでる場合じゃないな、支度をしなきゃ」
休日で大学は休みだが俺には9時から行きつけのカフェでアルバイトがある。
「7時16分まぁ大丈夫か」
出る時間は早いが、下準備など色々あるし、それに休日の朝だしゆっくりのんびりと準備したい訳で…そんな理由で俺は1時間近く早くカフェに着くようにしている。
「いってきます」
と、扉を開き外に出る。
新入生が入ってくる時期なこともあり
そんな事を思いながら、視界に入った巨大な学園に体を向ける。
初星学園。
中高一貫、そして専門大学が一つになった学園である。
そしてその隣にもこれまた巨大な学校が建っている。
2つ合わせたら冗談抜きで東京ドームくらいの広さはあるんじゃないか?この学園。
流星学園。
今言った初星学園の
初星にプロデューサー科があるのに対してこちらには調理科、体育科、音楽、ファッションデザインやヘアーデザインやメイク、ネイルなどなど、様々な学科がある。
初星でアイドル、プロデューサーを、そしてそれをサポートできる生徒を流星で育成して〜という流れで出来たらしい。
実際に流星卒業生の何人かが初星でトレーナーをやっているようだし。
そして俺はこの流星学園の調理科に高等部の頃から在籍していて、今年で大学1年生だ。
因みに両親は反対していて…なんでかって?
自慢ではないが俺は座学はなかなかに酷い、今は平均より少し上くらいなのだが、最初の頃は言葉に出ないくらい酷かった。
その点、実技などの体育会系は技術的な意味で満点である。
調理に関しては「食べた人の喜んで居る顔をみるのが好き」というたったそれだけの理由で目指したわけだが、なんだかんだ楽しい。
まぁ座学同様、最初の頃は酷かったが。
なんだろう、取り敢えず力技でなんとかなるだろみたいな?
「そいえば、きっかけってなんだったんだろうな」
調理師を目指したきっかけ……つまりいつ俺は食べる人の顔を見るのが好きになったのだろうか。
そこでふと、あの少女が浮かび上がってくる。
高2になった頃に時々あの少女が出てくる夢をみる。
最初はその子と出会った時の夢だ。
間違えて降りてしまったバス停で1人困った様に座っていると、あの子が声をかけて手を差し伸べてくれた…確かそんな夢。
他にも海で水浴びをしたり、家でスイカを食べたり、一緒に手を繋いでお祭りに行ったり…と、楽しい夢だ。
だから、今回のような恐ろしい夢は初めてみる。
「……?」
考え事をしながら歩いているとあっという間に目的地に着いた。
人通りが少なそうな道の先にある場所、だというのに知れば誰もが通いそうな店ばかりが並んだそんな場所。
実際に来る人はそれなりに多い。
そしてそんな場所に一ヶ所しかないオシャレなカフェ。
そのカフェの入り口にあるベンチに同学年くらいの女の子が座っていた。
そしてその膝の上に見覚えのある猫……ってウチの猫じゃん。
というかこんな朝早くに、しかもなんで女の子がウチのカフェのベンチに?
開店するまであと1時間以上あるのだが……もしや。
「……迷子か?てか、さくらがあんなに人にくっつくなんて珍しいな」
先程も言ったようにウチの猫は元野良である。
だからなのか他人に対して警戒はしなくてもなかなか心を開いてくれず、基本的に無視無反応か、良くて塩対応である。
俺の時も……あれ、どうだったっけ?でも割と塩対応だった気がする。
そんなさくらが触らせる所か、膝の上に乗っている。
嫌がっている様子がないところを見ると恐らく自分から行ったんだろう。
「いったいどんな魔法を……ん?」
女の子の様子がおかしかった。
よく見れば小刻みに震えている、それにさくらの様子も、猫の表情とは意外と分からない時もあるが、あれは……不安そうな、心配そうな表情に見える
「泣いているのか…?」
彼女の方に足を進めて行くが気付かれる様子はない。
だんだんと彼女の姿がはっきりとしていく、顔は俯いていて見えないが、それでも分かるぐらい整った容姿をしている。
それになぜだろうどこか既視感すら覚える。
狭い公園、今にも泣き出してしまいそうな声、夕日に照らされた幼い少女…。
「……」
いや、気のせいだろう。
取り敢えず声をかけなければ、こんなところにずっと座っていたら体を冷やしてしまう……えーっと、なんて声をかけてあげればいいんだ?
いかん、同年代の女性に自分から話しかける事ってないし、しかも泣いている子に声をかけるとか流石にどうすれば……あぁもう。
「あの、大丈夫ですか?」
「……ぇ?」
声をかけた瞬間、彼女は顔をあげる。
彼女は泣いていた…そんな事を忘れてしまうほどに綺麗な子で俺は思わず見惚れてしまっていた。
だが、彼女の口から出た言葉で一気に現実に引き戻された。
「し、ろ…くん?」
「……はっ?」
何かがフラッシュバックした気がした。
目の前の彼女が誰かと重なった気がした、でもやはり見覚えが…いや、でも……うーん。
「えっと……すいません、どなたですか?」
「……えっ?」
4月◯日07時50分。
こうして俺、
彼女、姫崎莉波と出逢った。
To Be Continued