日本国召喚 国際協力機構 異世界を往く   作:アニキ イン ザ スペース

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第十九話 やっぱりテメェはゆるせねぇ!

中央歴1639年(西暦2015年) 4月23日 クワ・トイネ公国 ギムの街から北へ約15km程の『北の森』泉の拠点

 

クワ・トイネ公国の西側『北の森』に在る、泉の拠点に無事到着した山内と特戦群の隊員達は小休止の後、一ノ瀬一尉と2名の隊員が田崎の案内の元、ギムの街が見下ろせる南の丘への偵察へと出発し、残った隊員達は山内と共に本国との通信を行う長距離無線機の設置作業を開始した……。

 

森の番人で有るレントが見守る中、長距離無線機の設置作業はスムーズに進み、無事に試験運用を終えた事により本国との交信ができる様になった。

 

無線機の設置を終えた山内は退屈しのぎも兼ねて、取り出したタブレット端末を使い、これまで見て来たクワ・トイネ公国について特戦群の隊員達に語り始める。

 

山内が撮影したクワ・トイネの風景や街並み……そして、そこに住む人々の姿は、これまで日本で公開されていた映像や写真以上に幻想的な光景が写し出されている事に、隊員達は驚きの声を上げる……。

 

「……で、彼女がここへの案内をしてくれた冒険者で野伏のヘラだ!」

 

山内はヘラの顔をタブレット端末に表示させて見せると隊員達にどよめきが起きる。

 

「これがエルフかぁ……すごい美人さんですね!」

 

隊員達が赤毛のエルフであるヘラの容姿に見惚れる様子を見て、タブレット端末をスライドさせて次の写真を表示させる。

 

「んで……コイツが魔獣使いのチチ―ナだ!」

 

「ほうこれが例の獣じん!? てっ……でかっ!!」

 

彼女の上半身を写した写真を見た隊員達はその胸の大きさに驚きながらも凝視する。

 

「ふふっ……そしてこんな写真も有る。」

 

山内は笑みを浮かべながら、次の写真をスライドするとそこには倒れた田崎の上にチチ―ナが覆いかぶさり、その大きな胸に田崎の顔が埋もれている姿が写されており、それを見た隊員達は烈火の如く怒り始める。

 

「な……なんだコレは! 田崎の野郎、巨乳ネコミミの乳プレスだとっ!!」

 

「チクショーメ! 自分がイケメンだからと言って、ふざけやがって!!」

 

「俺達を差し置いて、自分だけこんな良い思いを……許せねぇ、ぶっ殺してやる!!」

 

騒ぎ立てる隊員達を目にして「やれやれ、こいつ等は……。」と思いながらも、山内は怒れる隊員達に釘を刺す。

 

「お前ら落ち着け! そう言うのは田崎の奴が戻ってからにしろ!!」

 

笑いながらも強面の表情で隊員達を窘める山内にさすがの特戦群の隊員達も大人しくせざるを得なかった……。

 

「あっ、はぃ………わかりました! 田崎の野郎は戻り次第、取っちめる事にします! しかし、この世界がこんなファンタジーな場所とは思いもしませんでした……。」

 

「エルフに巨乳ネコミミと来たもんだから、後はビキニアーマーの女戦士とくっころ女騎士がいればホント、最高なんだけどなぁ~!」

 

「何だよそりゃ!?」

 

「えっ! だって、ファンタジーの定番だろ!?」

 

一人の隊員の言葉に山内は「それなら……。」と言いながらタブレット端末フォルダから一枚の画像を表示し隊員達に見せる。

 

「くっころ女騎士は知らんが、エジェイの街でこんなモノを見つけたぞ!」

 

そこには木で作られたボディハンガーに掛けられた、金色に輝く甲手(こて)脚絆(きゃくはん)に合わせて作られた水着のビキニをそのまま金属の鎧にした衣装が写し出されており、それを見た隊員達は「はぁ……!?」と言いながらあんぐりと口を開けてしまう……。

 

「ここに来る前に、エジェイの道具屋で見かけたモノだ! 何でも店のオヤジの話では南方の女戦士が着る鎧らしい。」

 

山内の説明に特戦群の隊員達は、驚きと呆れが入り混じった表情でとても鎧とは思えない衣装の写真を見つめる……。

 

「こりゃ、たまげた……女剣闘士や見世物なら兎も角、本当にこんなの着て戦っている女がいるって事かよ!」

 

「ひゅ〜!! この世界にはビキニアーマー女戦士がいるのかぁ!?……見てみてぇ!!」

 

『ビキニアーマー女戦士』と言う言葉に特戦群の隊員達は大いに盛り上がる中、1人の隊員がこれまで見た写真の感想を口にする……。

 

「しかし、この異世界って本当に地球とは違う世界なんですね、そういえば写真に人が乗った大きな鳥がいましたよね! 黄色くてまるでチョコ……。」

 

「「それ以上いけない!!」」

 

うっかりアノ鳥の名前を言おうとした隊員をそこに居た全員で止めに入る、その中には南の丘の偵察から戻って来たばかりの田崎の姿も有った……。

 

「あっ……!?」

 

「えっ!?」

 

田崎は自分を見つめる隊員達の殺気じみた視線に本能的な危機感を感じると、その場で素早く装備を外し始める。

 

「田崎、コノヤロゥ! 待っていたぞっ!!!」

 

隊員達が田崎を捕まえようと一斉に飛び掛かると、田崎は素早く脱いだギリースーツを身代わりにして隊員達から逃れると脱兎の如く走り出した!

 

「待ちやがれこのヤロウ!!!」

 

「うああぁぁ~っ! 何なんだよ!!」

 

「オマエだけネコミミ娘とパフパフするとは許せんぞ〜っ!!!」

 

突如始まった特戦群同士の本気の鬼ごっこに、一ノ瀬一尉は何事かと山内に問いかける。

 

「山内三佐、なんですかアレは……!?」

 

「さあな……まぁ、しばらく好きにさせておけ! それよりギムの街はどうだった?」

 

逃げ回る田崎を尻目に、山内は我関せずと言わんばかりに、一ノ瀬一尉に報告を求める。

 

「あぁ……はい、田崎三曹の案内でギムの街を見下ろす南の丘まで無事に行けましたが、街の上空を2匹のワイバーンとか言う奴が哨戒飛行を行っていました!」

 

一ノ瀬一尉はそう言いながら撮影したカメラのUSBケーブルをタブレット端末に接続し、画像ファイルを表示させ山内に見せる。

 

「ワイバーンの哨戒か……だとしたら日中の移動はそいつ等に見つかる恐れが有るな。」

 

「明日にでも南の丘に監視所を設置したいのですが、これだと移動と交代は早朝前か日没後になりますね……。」

 

「そうだな……ロウリアの連中が直ぐに動くとは思えんが、監視体制は早く構築したい!」

 

山内はそう言いながら撮影された写真を確認していると有る事に気がつき、その部分を拡大して再度、刮目する……。

そこには、ロウリア王国への街道を列をなして向かう荷馬車の一団が写っており、その積み荷を見て山内はニヤリと笑いながら呟く。

 

「なるほど、なるほど……そう言う事か! この数から見て、連中はしばらく動けなさそうだ!!」

 

山内が拡大した写真には穀物が入った袋と果物や野菜が入った樽を大量に持ち運んでいる荷馬車が写っていた……。

 

 

同日 クワ・トイネ公国 占領下のギムの街

 

かつてロウリア王国を始めとする西方の周辺諸国との交易で栄えた国境の街ギムも、今や住民がいなくなった瓦礫の街と化し、戦災を免れた建物にはロウリア王国と諸侯軍の旗が掲げられていた。

 

ギムの街を陥落させたロウリア王国東方討伐軍の副将アデムは、焼失を免れた建物の中で最も大きく、街一番の豪商の邸宅だった屋敷を接収したのち、そこをクワ・トイネ侵攻軍の司令部とし、兵の休養と補給が済み次第、次の攻略拠点で有る城塞都市エジェイへと進軍する予定だった……。

 

「えぃぃ、全く……忌々しい!」

 

アデムは司令部で有る屋敷の2階の窓から、ロウリア王国へ向かう荷馬車の一団を睨みながら、酒の入った白鑞(しろめ)の杯を手に取り荒々しく飲み干す。

 

「閣下……ギムで接収した食糧の本国への移送は王の勅命で有る以上は……。」

 

「そんな事は分かっておる!!」

 

アデムは意見を述べる部下を怒鳴りつけ、手にしていた杯を机に叩き付ける! 部屋には鈍い音が響き、変形した白鑞の杯が床へと転がり落ちた……。

 

 

アデムは占領したギムの街の南に有る巨大な穀物倉庫を無傷で接収した際、ロウリア王国との国交が回復した時の為に準備していたのか、食糧を長期保存できる様に氷魔法の魔法陣が描かれ、ひんやりとした穀物倉庫の中に穀物や干し肉、そしてチーズなどの加工食品が大量に保管されているのを発見し「これで本隊が来ても1年は余裕で戦える!」と大喜びしながら、ロウリア本国へと報告をした。

 

しかし、本国からは『徴収した穀物を始めとする食料を直ちにロウリア本国へと移送せよ!』とのロウリア王、ハーク・ロウリア34世からの勅命により、兵站を担う馬車だけでは無く、騎兵の馬までもが本国への食糧輸送に使われた事で、アデムが描いていたエジェイへの電撃侵攻が出来なくなってしまった……。

 

ロウリア王国はこれまで食糧を輸入して来たクワ・トイネ公国との断交と農作物の不作が相まって、前年の蓄えを春までに食べつくしてしまう『春窮(しゅんきゅう)』と呼ばれる事態が各地で発生しており、ロウリア王は民の不満を解決すべく、優位な戦況を停止させてでも食糧を運ぶ必要に迫られていたのだ。

 

そしてアデム自身も、食料の運搬を荷馬車では無く、捕らえたギムの住民を使って徒歩で食糧を運ばせようと自ら提案し、これを実行したが、荷物を運ぶ住民の監視に多くの兵を割く必要が有り、枷を嵌められたまま重い荷物を持たされたギムの住民達の多くは国境の川を渡る前に力尽きて倒れた為、運んでいた食糧の殆どを駄目にしてしまった……更には住民の中に自ら枷を外して逃げ出す者まで現れる始末となり、一粒の麦もロウリアに運べていない酷い有り様となった……。

 

流石にこれはまずいと思ったアデムは関係者を脅して口封じをし、運搬に従事した住民を全員殺害する事で『無かった事』にしてしまったが、一部の兵士や諸侯達は口にこそしないが、アデムに対して更なる不信感を抱くようになってしまった。

 

当面、エジェイへの進軍が出来ない事にアデムは腹を立てながらも、次にどうするか考え始める……。

 

「ギムに駐留している間は、食糧の確保に困らないのは何よりです……このままパンドール将軍の本隊が来るまで待機していても問題は無いでしょう、ギムを取り戻す戦力すら無いクワ・トイネの連中に時間を与えても増援なぞ高が知れています! そしてエジェイの攻略は……ドワーフ共の砦を陥落させた時と同じように破岩猪(はがんしし)の突進で城壁に穴を開け、そこに百足蛇(むかでへび)を潜り込ませれば……さぞかし愉快な事になるでしょう……ヒッヒッヒッ!」

 

後年、歴史家達の間ではロウリア王国がギムを占領後、直ちにエジェイへ向かい攻略すれば、日・ク連合軍は公都クワ・トイネでの防衛戦を余儀なくされ、戦争は長期化していたであろうと語られている……しかし、その様になったとしても最終的にロウリア王国は敗北し、史実以上の死傷者を出す事になるのが歴史家達の一致した意見で有った……。

 

続く




特特戦群の偵察活動が開始される中、次回はロウリアとの戦いの向け自衛隊の部隊を送るべく日本と言う巨大な山が動き始めます。


用語

破岩猪

牛程の大きさの身体を持つ猪に似た魔獣で、突き出た頭の部分が金属の様に非常に硬い為、弓矢や槍を防ぐだけでは無く、突進すると岩をも砕く事が出来る。
太古の昔に魔術師が敵の要塞を攻略する為に創り出した魔獣とも言われ、魔獣使いのアデムはロウリア王国内で難攻不落と呼ばれたドワーフ族の砦を使役した破岩猪の突進で城壁を破壊して陥落させており、この功績を高く評価された事で『ロウリア王国東方討伐軍副将』の地位を得たと言われている。

南方の女戦士

ロデニウス大陸より遥か南の群島に住む、『アマゾネス』と呼ばれてる女性だけで構成された部族の戦士は、傭兵や冒険者として、又は優秀な子種を得る為に島を出て他の国に出向く事で知られている。
彼女達はスピードを重視する戦闘スタイルで、非常に軽量かつ軽装な鎧を好む為、ビキニの様な露出の高い鎧を着る事が有り、それらが展示品や商品として武具店や道具屋に置いている事が有る。
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