日本国召喚 国際協力機構 異世界を往く 作:アニキ イン ザ スペース
中央歴1639年(西暦2015年) 5月2日 クワ・トイネ公国 ギムの街から北へ約15km程の『北の森』泉の拠点
目が覚めるとそこは狭いテントの一室で有った……。
ギムの街を出て深夜過ぎに『泉の拠点』に戻って来た山内達は駐留している部隊からテントを借りると、疲れからか早々に眠りに付いてしまい、次に目が覚めた時には昼近くの時間となっていた……。
「んんっ……あぁ……また寝過ぎちまったな!?」
山内はそう呟きながら休んでいたテントから外へ出ると、待機中の隊員が挨拶の声を掛けて来る。
「おはようございます、山内 三佐……今コーヒーを
隊員の言葉を聞きながら周囲を見渡すと、田崎とヘラは既に起きておりコーヒーを手に談笑している姿が見える。
「起きたかいヤマウチ、エジェイへの出発がまだならチチーナをもう少し休ませてくれないか!? 夜中はポポイの看病に掛り切りで、寝るのが遅かったんだ。」
山内が起きたのを見たヘラが彼にそう話掛けると、彼女の後ろに有るテントがゴソゴソと動き出し、中から下着姿のチチーナがポポイを抱きながら顔を出して来た……。
「おはようだにゃ……出発がまだならもう少し寝かせてほしいにゃん……。」
チチーナはそう言うと再びテントの中に潜り込んで行く……その姿を見た山内は笑いながらコーヒーを隊員から受け取る。
「わかった、エジェイには日が落ちる前までに戻れれば良い、出発は昼過ぎにしよう……。」
田崎とヘラにそう伝えながら、山内はコーヒーを飲もうとカップに口を近づけると突然、これまで感じた事の無い奇妙な違和感を感じ始める……。
(何だ? この肌に貼り付く様な奇妙な感覚はっ……!?)
次の瞬間、『ザワザワザワザワ!!』と言う木の葉が
「うおぉっ! 何だコレは!?」
「森全体が
「このざわめきは……まさか
「なによっ! うるさくて二度寝出来ないにゃ!!」
突然の事に山内だけで無く、田崎とヘラ、そして待機中の隊員とテントで寝ていたチチーナもテントから顔を出して何事かと辺りを見渡す……すると隊員の1人が後ろを指差しながら大声を上げた!
「おいっ! レントがっ……『泉の見張り役』が動いているぞっ!!」
山内が振り返ると、そこにはバキバキと言う音を立てながら地面に根ざした足を引き抜き立ち上がるレントこと『泉の見張り役』の姿が在り、立ち上がったその姿は人どころか他の木々すら見下ろす程の巨大さに山内達は騒然となる……。
「で…デケェ!! この大きさで動くのかよ!?」
「信じられない……レントが動いているのを見れるなんて……。」
「にゃ〜っ!? せ……説明不要のデカさだにゃ!!」
田崎とヘラ、そしてチチーナが驚愕する中、山内は前に進み出てレントこと『泉の見張り役』に大声で問いかける。
「おいっ! 今のざわめきはアンタが動いた事と関係が有るのか!? 一体何が起こっているんだ!!!」
『泉の見張り役』は木が
「うむ……森の東側で…ヒトが……
その言葉を聞いた山内は嫌な予感を感じ取る……。
(森の東でヒトが禁忌の炎……!? まさかと思うが、コイツはマズイぞっ!!)
軋む音を立てながら『泉の見張り役』がゆっくりと歩き始めるのを見た山内は再度、大声を出して彼を呼び止める。
「待ってくれ! そいつには心当たりが有る、出来るのならば俺も連れてってくれないか!!」
「うむ………乗れ……。」
『泉の見張り役』は歩みを止め、巨大な枝で有る腕を彼の前に差し出す……山内は手元に有ったトランシーバーを手にすると、その腕に飛び乗りながら呆然としている田崎に指示を出す。
「田崎、チチーナを起こして出発の準備をしろ! 場所は無線で知らせるから、それまで待機だ!!」
「了解!……えっ、ちょっと待って下さい!? 場所を無線で連絡って、一体どうやって……!!!」
田崎はGPSが使えないのに、どうやって場所を知らせるのか山内に聞こうとするが、山内を肩に乗せた『泉の見張り役』は軋む音を立てながら、大股で木々を
「何だっ! 木がレントを避けている……道を開けているのか!?」
山内は『泉の見張り役』の肩の上から、昔見たアニメ映画の様な光景が起こっている事に驚き目を丸くする……大きな木々が音も無く動いて出来た道を『泉の見張り役』はノッシノッシと巨体を揺らしながら歩いて行く……。
「なぁ、悪いがもう一つ頼みが有る! 森で
「うむ……わかった…皆に……そう伝える……。」
『泉の見張り役』はそう言うと、頭を激しく揺らし枝葉が擦れる音を周囲に響かせる、その音は木々を通じて木霊の様に広がり、やがて森全体へと伝わった。
(ほう……これがレントの通信手段かぁ、アニメの話まんまで、カミさんが見たら歓喜するぜ!)
山内はそう思いながら笑みを浮かべる……彼が見つめる
同時刻 クワ・トイネ公国 『北の森』の東側
「盾を持っている者は前にでろ! 円陣を崩すなぁ!!」
銀山羊騎士団の騎士で在るトウミは部下達に大声で指示を出す! 『北の森』東部の開けた場所で小休止を取っていた彼女と20人程の部下は突如、正体不明の存在から奇襲を受け騒然としていた。
彼女の目の前には部下の1人が白目を剥き大の字になって倒れており、その周りには無数のドングリと拳程の大きさの
「くっ……何だ、ここは化け物の巣なのかっ!?」
トウミは飛んで来る巨大な木の実を避けながらも周囲を無数の怪物に囲まれた事に気が付く……そして彼女は冷静に対処すべく、これまでに起こった事を一つずつ思い起こし始める……。
……昨日、哨戒を行っていた騎馬隊より「ニホン国の武官と冒険者の一行が『北の森』に入って行くのを目撃した!」との報告が入り、私は叔父で在る騎士団長の反対を押し切って部下20名を引き連れ、ニホン国の武官を追うべく夜更け前にエジェイの西門を出発した。
「叔父上はニホン国の武人に甘すぎる……奴らが『北の森』に隠れて何をやっているのか、この私が暴いて見せる!」
以前、ニホンの武官に恥を掻かされた事も相まって、私は彼らの秘密を知ろうと部下達と共に馬を西へと走らせた。
道中、ロウリア軍のワイバーンの哨戒を避ける為、夜明け前にエジェイを出た事が幸いしたか、敵に見つかる事無く無事『北の森』に到着し、馬の足跡を見つけた事で喜び勇んで森の中へと入って行った……。
最初は順調に馬の足跡を追って行けたが、森の地面が
道に迷ってしまった我々はここまで強行軍気味に移動した事も相まって、この開けた場所で小休止を取る事にした……。
「トウミ様、お水をお持ちしました。」
少年の従士から水の入った容器を受け取りながら、部下達が疲れた馬から荷物を降ろし古参の兵士が岩に腰掛けて煙草に火を付ける光景を見ていると、何処からかザワザワと言う奇妙な音が聞こえて来る……。
すると突然、無数のドングリの実が休憩中の我らに向かってばらばらと飛んできた!
(何だ? 現地の子供のいたずらか! それとも妖精……まさかゴブリンかっ!?)
飛んで来るドングリの実が顔に当たらない様、手で顔を覆いながら考えていると、煙草を咥えていた古参の兵士が立ち上がって怒りながらドングリの実が飛んで来る方向へと歩いて行く姿が見えた。
私は相手が子供だったら容赦する様に言おうとしたら、森の奥から何かが物凄い速度で飛んで来て彼の顔面に直撃した!
古参の兵士はそのまま大の字になって倒れ込み、彼の顔面に当たったモノが私の足元に転がって来る……それは今まで見たことの無い巨大な胡桃の実で有った……。
「トウミ様! 向こうの木の影に何か動いています!!」
従士の言葉に森の奥を見ると、木々の向こう側に何かが動いているのが見え、しかも一体では無く複数いる事が判ると部下達に動揺が広がる……。
「お前達、何をやっている! 早く盾を持って円陣を組むんだ!!」
私は自らの動揺を抑えながらドングリの実が飛び交う中、今にも混乱しそうな部下達に大声で指示を出した!
…………ここ迄起こった事を振り返るが、何処からとも無く飛んで来る木の実は止むことが無く、円陣を組んだ部下達が持つ盾に当たる度に大きな音を立てていた。
トウミはここまで冷静さを装ってはいるが、この未知なる事態に自分自身何処まで正気を保てるか不安でならなかった……。
「ザワザワザワザワ………!!」
(何だ!? このざわめきみたいな音……また聞こえて来たぞ!!)
再び枝葉が擦れる様な音が聞こえると、森の奥から人の形をした巨大な『動く木』が次々とその姿を現した……。
「な・何だ……この化け物達は!?」
トウミと部下の兵士達が愕然とする中、『動く木』の一体が軋む音を立てながら彼女達の元へと近づいて来る……。
「う……うああぁぁぁぁぁっ!!!」
1人の若い兵士が錯乱したのか、声を張り上げ大剣を振り回しながら『動く木』へと突進していく! 若い兵士の大剣は『動く木』の胴体に突き刺さるも『動く木』は全く動じる事無く、彼をその手で掴み取り空高く放り投げた! 投げ飛ばされた若い兵士は悲鳴を上げながら、木の枝に引っかかり身動きが取れなくなってしまった。
「おのれっ! 怪物めっ!!!」
部下達はそう叫ぶと一斉に『動く木』に襲いかかるも『動く木』は周囲に大量の葉っぱを飛ばし始め、兵士達の視界を遮り始める!
「怯むな! ただの
古参の兵士がそう叫ぶも無数の葉っぱに視界を遮られ、兵士達は前に進む事も武器を振り回す事も出来なかった。
「ン゙オ゙オ゙オ゙オォォォ〜ッ!!!」
『動く木』は低い唸り声を上げ、枝の様な両腕を地面に突き立てる、すると地面から無数の
「おのれっ! こんなモノでこの私をっ!!」
トウミは迫り来る蔓を剣で斬り伏せながら奮戦するが、捌き切れなかった蔓が彼女の足元に絡み付き地面に倒れてしまう。
「あぁっ、剣がっ!?」
倒れた拍子に剣を落としてしまったトウミは拾おうと急いで手を伸ばすが、その手にも蔓が絡まり動きを封じられる。
トウミは振り返ると部下達全員が蔓に絡まれてしまい、彼女自身も絡み付いた無数の蔓に持ち上げられて、股を開いた状態で身動きが取れ無くなってしまった。
「くっ……部下達の前で、こんな格好で身動きも取れぬとは! もはや、これまでか……。」
彼女は目を伏せながら諦めの言葉を呟くと、何処からか聞き覚えの有る声が聞こえて来る……。
「いょう! こんな所で植物とお
トウミは声が聞こえた方向を見上げると、そこには襲って来た『動く木』の倍近くは有ろうかと思われる巨大な『動く木』とその肩に彼女が追っていたニホン国の武官で在るヤマウチの姿が有った……。
「なっ……貴様、どうして!!」
「んっ……? どうしても何も、お前らが森で粗相をやらかしたと聞いて、ワザワザやって来たんだよ! それと感謝しろよ……俺が止めてなかったら今頃、森の肥やしになっていたぞ!!」
余りの事に呆然となっているトウミの目の前で、山内は『泉の見張り役』の手に乗り地面を降りると、足元に落ちていたまだ煙が
「全く、この煙草の火一本で森が大火事に成りかねないからなぁ……!」
山内はそう言いながら指で煙草の火を揉み消し、吸い殻を『泉の見張り役』に見せると彼は満足そうに答える。
「うむ……ヤマウチ…感謝する……お前達……ニホン人………この森の…守護者……森を守る…仲間。」
「そいつはどういたしまして……!」
そんな山内と『動く木』が話し合っているのを見たトウミは山内を睨み付け問いかける。
「どう言う事だ、ヤマウチ! 何でその怪物と話が出来る!? やっぱり貴様は何か企んでいるなっ!!」
「ん~!? 何で話せるかは俺にもさっぱり分からん!……それよりも、このレントは『木の神』の祝福を受けた森の守護者かつ神の眷属だぜ! それを怪物呼ばりとは、失礼にも程が有るぜっ!!」
「まさか! こんな木の怪物が、神の祝福を受けた眷属だと!? 貴様、嘘を付くのも……。」
蔓に絡まれ宙に持ち上げられた状態で有っても山内の言葉を信じず、『泉の見張り役』を怪物呼ばわりするトウミの足元に新たな蔓が絡み始め、彼女が着ている鎧の隙間へと入り込んで来る……。
「うあぁっ! 何だこれは、くっ……ヤマウチ貴様!! やめろ!!」
「んっ!? 止めろって、俺は何もしていないのだが……お〜い! 『泉の見張り役』!? コレはアンタがやってんのか……?」
トウミの言い掛かりを否定した山内は『泉の見張り役』に問い合せると、彼はゆっくりとした口調で答え始める……。
「うむ……このニンゲン…森の守護者たる…誇り高き我らを……怪物扱い…非礼……許さない……。」
『泉の見張り役』は怒りの表情を見せながらその様に言うと、トウミの身体に絡ませた蔓を這わせ始める。
「くっ……うあぁっ! 何処に入り込んで……止めてくれ、くすぐったいぞっ!!」
「アンタがレントを怪物なんて言って怒らせたから、もう俺じゃ止められないぜっ! 悪いが、奴の気が済むまでお仕置きを受けてくれ!」
山内はそう言いながらスマートフォンを取り出し、蔓に絡まれながら
「バッドアスよりトムキャットへ…………そうだ、レントが造った道に沿って行けばいい! それより早く来れば面白いモノが見れるぜ!!」
「やめてくれっ! あははっ……! もうこれ以上くすぐられると
その後、山内は馬を連れてやって来た田崎達と合流し、レントの束縛から解放されたトウミとその部下達を引き連れ、エジェイへ戻るべく『北の森』を後にした……。
続く
ショートヘアエルフ・巨乳ネコミミ・くっころ女騎士と来て、ビキニアーマー女戦士が未だ出て来ないから、代わりに触手プレイをやっとけばハッピーライフ!!……等と意味不明な供述をしている作者ですが、次回はついに臨時埠頭が完成し自衛隊の派遣が本格化します!
用語
木霊
『北の森』に住まうレント達が使用する長距離伝達手段、レントが頭部の枝木を激しく振る事で周囲の木々に言葉(実際は言葉と言うより符号に近い為、言葉として認識されず自動翻訳機能を持っている日本人でも聞き取る事が出来ない。)を伝播させる事で遠くにいるレントやハイエルフと連絡を行う。
木霊は使用したレントを中心に放射状に広がり、木々が隣接する限り何処までも伝播していき、その枝木を激しく揺らす事からハイエルフ達より木霊と名付けられた。