学園仮面ライダー ~インリデンとライド 乗り手求めて多重世界~   作:大島海峡

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エピソードゼロ:旅の終わりと未熟な可能性

「終わる――俺の旅が、ようやく」

 ある男の言葉である。そしてそれを発した直後に男は泡沫となって消えた。その後の消息は杳として知れない。そのまま消滅したか、あるいはその世界の役割を終えただけだとして、何処ぞで何食わぬ顔で旅を続けているものか。

 あるいは彼自身が己を、風に吹かれるまま気の向くままの根無し草と定義していたかもしれない。

 

 しかしてその存在は、その動向によって与える影響は大きい。

 世界の破壊者、ディケイド消滅。

 

「その巨石を投じられた世界は揺らぎ、その虚実の波間に、新たなる可能性が生まれた。この私の身も含め」

 黄金の御簾越しに、荘厳さを伴う男の声が轟く。

 

「それすなわち、マルチバースの成立」

 その言葉の意を詳らかにするがごとく、四方の空間が揺らめく、波打つ。

 その間に、光景が流れていく。

 

「それは可能性の世界、ありえない世界」

 反時計回りに巡る巨大な白い風車。

 それをシンボルとする街で、かの包帯女(シュラウド)は、純正化された銀色のガイアメモリとロストドライバーを、少年は受け取り、街の新たな守護者となる決意を固める。

 

「だが世界としては、著しく脆弱であり、その境界線は曖昧である。その多くは潰えて消える」

 そのワンシーンが、吹き抜ける風と共に霧散する。

 

 

 

「あるいは、その世界の摂理に負けて」

 割れた鏡やガラス。無数のヤゴや蜻蛉の怪物が天地を埋め尽くす。

 多くのカードデッキが破砕し、散乱する中、生き残ったただ一人は、自身が契約した猪のモンスターの肩に乗り、殺到する怪物たちから逃げる。

 

 

 

「あるいは、外部からの侵略により」

 天まで達し、国を三分する壁。

 無数の巨大無人機がその下の街を蹂躙し、闇のライダーたちの模倣が跋扈する。

 逆しまにした手のシンボル、それが染め抜かれた軍旗が壁上に打ち立てられ、それが戦火を孕む風で靡く。

 そこで孤軍奮闘する毒々しい朱色と青い鋼を組み上げた不死鳥の騎士が、その火力と物量に押しのけられ、打ちのめされる。

 

 

 

「あるいは、世界同士の衝突により」

 タワーから場末のフルーツパーラーに至るまで、緑と果実に覆い尽くされた都市に、ドライバーと装置化された果実を腹に据え置いた、黒影たちが整列する。中央には、弓を手にした白きメロンの騎士。自ら先陣を切る。

 荒涼とした大地。赤く淀んだ空の下、パーカーを羽織った眼魔(アバター)の軍が集結する。

 その中で、唯一人間態である軍服の青年が、手首の装置メガウルオウダーにオレ眼魂を嵌め込めば、潜水服のようなマスクにパーカーを覆い被せたような異形の戦士に変わる。

 まるで情景の異なる二つの世界は、ある一線を境に交わっている。

 

 そしてその交叉点で、睨み合っていた両軍も幾度とない衝突を繰り広げていた。

 ――諦めろ、理由のない悪意に抗う術などない。その絶望を味わいたいか!

 

 そう喝破しながら弭の刃で攻め立てる大将に、もう一方の司令官は

 ――味わうことなんて、この身体になってとうに捨てた!

 と言葉と剣撃を返した。

 

 

 

「故に、我はここ提唱する」

 

 手にするは、無数のバッジ。『始まりのベルト』をモチーフにした、簡素にして異質な校章。

「未熟なる世界を救うには、その柱を育てなければならない」

 その掌中より散り落としたそれらが、世界に渡る。

 

 

 

「稚き戦士たちの内、すでにそのポテンシャルを有する者」

 

 雷雲と嵐を手足に纏わせながら、因縁の怪物相手に格闘する白き天候の戦士。

 だが対峙していた『加速の怪物』が、凶剣を振り上げたまま、周囲の空間諸共に停止した。

 当惑する彼の手元に、かの印章が落ちてくる。

 

 一人の若者が、時の砂漠の中、列車型の人工生命体にもたれかかっている。

 顔をゴーグルとストールで覆い隠した彼は、ややオーバーに肩を上下させる動作でもって、仰天の様を表す。下赤く燃える仮面の女錬金術師が現れ、その校章を投げ渡す。

 

「本来であれば、陰と闇に埋もれていたはずの者」

 

 絶望の絶壁に、ゴージャスな輝きが天より注ぐ。

 その眩さの中に闇の軍勢は飲まれていく。

 代わり、弾き出された校章を、膝を屈したまま最後の生き残り、北壁の衛士は掴み取る。

 

 双方に相討ちとなった戦場。

 生存者皆無のその跡地、焼け焦げた白き菩提樹の下、草臥れた敗残兵のアーマードライダーが、一人。

 握りしめた柘榴の下に、印章を見出す。

 ――これも、天啓か。

 と、独語し、手を重ね合わせた。

 

 ――えっ、今から助かる命があるんですか!?

 無数の怪物の中、進退極まった青年は、自らが契約したミラーモンスターと抱き合いながらそう声をあげる。

 ――こんな末端の雑魚ライダーまでスカウトとはね。我が学園長も、酔狂なことだ。

 と、青いスーツの一見して若い男は、呆れを隠すことなく、手にした手帳をなぞり上げる。

 すると白紙の上に件の印章が現れ、それを固まる若者に差し出した。

 

「その才覚、資質如何に関わらず、己と、己の世界の存続を希う者たち――仮面ライダーよ。その方法はただ一つ。力の使い方を修め、魂を練り、自らがそれぞれの世界にとっての柱石たりえるしかない。それこそが」

 

 黄金の帳を払い、壮年の男はその部屋より外を望む。

 広がる青空の下、それぞれの超技術や能力、装備によって駆ける者たちがある。

 意図的に断崖の如く設計されたコース場、そこをバイクで疾駆する者たちがある。

 あるいは室内外で、拡張された空間。あらゆるシチュエーションを想定した訓練が施される。

 

 そしてその中心には、白亜の校舎がある。

 その頂点には、仮面ともカタカナともつかぬ背景に針を刻む大時計が取り付けられている。

 

「これこそが、ハーメルン計画。ライダー学園である」

 

 静かな、だが高らかな宣言の下、また新たなる編入生がまた一人。

 

「よし…っと」

 赤くストライプの入った白いマフラーを靡かせて、潰されんばかりの大層な荷物を背に、少女はその門と時計を潜る。




生存報告プラス他のリクも頑張ってますアピールと、他が最終話手前で煮詰まった(というか製作カロリーに比して年末に突入してリアルがちょっと忙しい)ので頭空っぽにして気分転換。

リクエスト、というかライダーのアイデアを別作品のために頂戴していたのですが、ちょっと捻じ込む余裕がない+リクエストの重ねがけになってしまうので、独立してストーリーをお出しすることにしました。

勢いのあったり設定がしっかり固まってるライダーやキャラクターを描くのが正直苦手でして、それと如何にして向き合うか、という点に頭を悩ませた結果、いっそ世界観の方を先に作ってしまえばいいのでは、という意味不明なノリで書いたのをざっくりお出ししたのが前日譚的本エピソード。ほぼリクエストの関係ない謎のオリキャラたちです。どういうIFのキャラなのかはまぁざっくりお察しいただければ幸いです。

ざっくり言えばARC-V+チュートリアルにSR確定ガチャが組み込まれてそうなソシャをイメージした、バカ丸出し世界観です。

まぁそうは言っても前後編の超短編です。
多分、ドライブ+リバイスよりもだいぶ短く切り詰めると思います。

当人たちの登場、詳細についてはまた後日、本編にて。
といってもまたまた当分先ですので、気長というか半ば諦観と共にお待ちいただければ幸いです。
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