学園仮面ライダー ~インリデンとライド 乗り手求めて多重世界~   作:大島海峡

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7.決定者、破壊者、狩人

 ――決定者たち(ディサイダーズ)。ディケイドの後継者。

 そう、セルケトなるリーダーは名乗った。

 

 一部体制を立て直し、両ドーパントの応戦に当たる。

 だが、その切れ味鋭い速攻に苦戦しているうちに、

〈ガッチャード:失逸〉

 次いで読み取られたカードから同様に、拘束具まいたものにその身を戒められたバッタと機関車の怪物が射出される。

 ホッパー1マルガムと、スチームライナーマルガム。

 

〈ウィザード:絶望〉

〈オーズ:無欲〉

〈ブレイド:退化〉

 

 ドラゴンファントム。タカ、トラ、バッタ三種のヤミー。ビートルアンデッドーー

 次から次へと召喚されていく怪人の防壁、それに阻まれた悲鳴喚声の内側で、泰然とセルケトは続ける。

 

「ディケイドの消滅以降、並行世界は無秩序に乱立し、分裂を繰り返している。その増殖を放置していては、いずれ『ライダーユニバース』は飽和し、大規模なライダー大戦ヤビッグクランチが引き起こされることになるだろう。いや、君たちの一部も、それが端々で起こりつつあることを知っているだろう」

「だから、そうなる前にオレらがテキトーに間引いてやってるってハナシ」

 と、肩に銃器ごと寄りかかりながら、ダスクが便乗する。

 

「でも、ただ消しちゃうだけじゃ、つまんないし、疲れちゃう。ゴホービ欲しいとこでしょ? だから、こうして楽しくゲームして遊んだり、色々もらってるってわけ」

「どうせお前ら、放っておいても沸いてくるんだ。だったら世界滅ぼした記念品の一つや二つ、もらったってバチ当たんねぇだろ?」

 イーラブはやや丈の余った袖を舞わしめ巡り、ダスクは口端に嘲弄をのぼらせた。

 

「ふざけるなっ! お前らにどこに、そんな決定権が……ぐあっ!」

 苦闘の中、吼え立てる獲物(ライダー)に、薄笑いを浮かべたままに手を振る。

 

「あるのさ。お前ら獲物には無くても、オレらには」

 そううそぶいた重射手(ヘビーガンナー)の手に、見たこともないような、ライダーの絵姿(カード)が納まっている。いくつもの蛇のごときものが顔を絡め取ってマスクと成した、異形のライダー。

〈Kamen Rider rahydΩ〉

 

「世界の摂理に逆らうライダー、許すまじ!」

 意気に燃えるメルキーの手には、鮫にも似た造形の銀色の仮面(ライダー)

〈Kamen Rider Sharz〉

 

「今日はどのコでデコっちゃお? やーん、楽しみぃー」

 長い袖の中より抜き出したのは、武器と同様に豪傑然とした、朱色の面に豊かな金毛を生やした猛獣の戦士。

〈Kamen Rider Kintoki〉

 

「……君たちを、哀れに思う。罪が無いことも十分に理解している。ただ君たちの存在それ自体が――間違っているだけだ」

 静かに冴え冴えと、そう宣告し、

〈Kamen Rider Den-O Ⅱ〉

 どこか既視感のある、だがより一層に洗練された流線形のライダーは、流れる桃というよりは宇宙を漂うUFOや宇宙船の様相を帯びている。

 そのカードをセルケトは立てる。

 

 そしてそれらをライドブッカーにも似た、カードホルダーにセットすると、それぞれの得物の溝にその函を納めると、彼らの姿が砂嵐に覆い包まれ、そして変容していく。

 ライダーならざる者に。それを超越し、狩猟する種族としての姿へ。天敵のそれへと。

 戦うためではなく、一方的に狩るための装束へと。

 

〈Furniture done:Dragon〉

 すなわち、ダスクは竜。数頭の蛟竜がクラッシャーとゴーグル付きのマスクの右眼を覆い、スコープとなる。

 黒いボディーアーマーの肩口や腹回りにかけてチャンピオンベルトよろしく、今までに倒したライダーの物らしきベルトが巻かれ、打ち掛けられている。

 

〈Furniture done:Turtle〉

 すなわち、メルキーは亀……いや鮫か。

 いずれにせよ、意識しているのは海洋生物のたぐいであろう。頭部は猛々しい魚類の頭巾を被り、胴体はより重装になって、身の丈はともかく、両手に携えた長大な竿を扱うのに相応の安定感を兼ね備えている。

 なによりそれを可能としているのは、その背の外殻であろう。

 その背には規則正しく、今まで討ち取ったらしいライダーのマスクやアーマーが貼りついている。

 

〈Furniture done:Bear〉

 すなわち、イーラブは熊である。

 これは一見してわかる。突き出た三角耳に、黒々としたボタンの目や鼻。分厚い衣に覆われた身体に太い手足。

 ――その姿は大分にデフォルメされている。否、もはや二、三頭身の着ぐるみといってよい。

 目に痛いほどのパステルカラーの毛皮にアップリケのように縫い込まれたのは、今までに蒐集したらしいケミーカードやラウズカード。

 その他、幾多のライダーのために力を捧げた小物(アイテム)類が、アクセサリーとしてふんだんに盛り込まれている。

 

〈Furniture done:Orge〉

 セルケトは、すなわち鬼と化し、修羅に入る。

 白いボディスーツに、黒いベルトが駆け巡り、牙の生えた面の右額より、真紅の一本角が突き立つ。

 その手の剣の柄は、それこそ彼が斬ったらしいライダー……電王Ⅱの頭部。それは模造か、あるいは――

 いずれにせよ、その眉間から直刀が突き出ている。

 

「いくらでも恨むが良い。吼えるが良い。逃げ惑うが良い。抗うが良い。君たちには、その権利がある。ある程度の実力と、運があれば、あるいは助かるかもな」

 その切っ先をゆっくりとライダーたちに向けて流しながらセルケトの宣告は続く。

「――その選定と剪定の果てに、強い僕たちの選び取る世界(みらい)こそが、きっと正しく、美しい」

 

 そして、狩りが始まった。

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