学園仮面ライダー ~インリデンとライド 乗り手求めて多重世界~ 作:大島海峡
確かに、手応えはあった。
半ば無駄と知りながら、予想外の感触だった。
だが……ユウスケの
いや、ディサイダーズの特権を行使していれば、
「……お前、メタバースシステムとかって技術は使わないのか?」
「下らない」
セルケトは吐き捨てるように言った。
「安全圏から行う狩りに、何の誉れがある? 身を爪牙に晒してこそ、真の勝利があるッ」
そう言い放つや、空いている手よりの一斬で、クウガを地へとねじ伏せる。
そして刃を逆さまにし、腹部と融合するアークルの霊石に突き立てるべく、落とした。
否、落とさんとした。
だが彼は、ふとその意識と目線をあらぬ方向に向け、
「メルキー……獲物の程度を見誤るとは……」
と、嘆かわし気な声を上げた。
その身体の側面に、
〈メタル! マキシマムドライブ!〉
よく通る重低音と共に、鋼鉄の棍が叩きつけられる。
シンクローからの渾身の奇襲だった。セルケトはそれを、肘鉄で迎え撃ち、受け止めた。
「それで、一撃見舞ったつもりか?」
迸る紫電はその外殻や鬼面を上滑りし、マキシマムの重撃はそのいずれも打ち砕くこと能わず。
「そう、残念ながら……これが、今の俺の限界」
これ以上は、力も知も出しようがない。
だからこそ、とシンクローは自身のロストドライバーからメモリを引き抜いた。
「その今を、超える必要がある。俺が出来る無茶をしてでもね……!」
そしてそのウェザーメモリを、精製したメタルシャフトのスロットにセット。雲が、嵐が、雷が、その鉄棒を中心に、渦を巻いて大きくなっていく。
〈マキシマムドライブ! マキシマムドライブ! マキシマムドライブ……!〉
仕様外の運用に、制御を失ったメモリが、ガジェットが、エラー音を吐き続ける。
「よせ、止めろシンクロー!」
ユウスケが制止の声をあげるが、もう遅い。
もはや、容易ではないなどと、自分を甘やかしてはいられない。
禁じ手たるツインマキシマム。それをもって己が力を底上げしたシンクローは、全体重、総力を込め、地を蹴った。
天命を手繰るようにしてシャフトを唸らせ振るった。
突如倍加した力に不意を打たれたセルケトのガードを外す。
身体を一気に捩じ込む。
気焔を口から発し、押し込む。
セルケトの足が、浮き上がった。自身の意思のみではついぞ動じさせることのなかった、剣鬼の脚が。
そして両者、白閃となって大地を削りながら岩盤へと激突した。山とも呼べるほどに分厚いそれの過半が粉砕され、気流によって上り煙の柱となった。
その最奥に、彼らの影は、なお原型を留めて立っている。
「……名は」
岩盤に叩きつけられ派手な亀裂を背に、セルケトはあらためて尋ねる。おそらくは、義務感ならざる情緒を以て。
「シンクロー……上座シンクロー、仮面ライダーウェザーだッ!」
そしてシンクローは自らの存在を敵に刻み込むが如く、今度こそ名乗りを上げた。
厳かに相槌を打ったセルケトは、
「その名、この勇姿、君の覚悟。記憶に留めることにしよう。今は生憎急用が出来たからこれで失礼するが……次に会うときまでにその牙、より研いでおけ」
もっとも、と付け足し、そのウェザーの脇をすり抜けていく。
「『次』があれば、の話だが」
……彼の身を貫く刃を、音もなく抜き取りながら。
図らずも支えとなっていたそれが外れたことで、変身が解除されたシンクローの膝が折れ、その場に崩れる。血がその場に、
それを背に、血振るいを兼ねて、セルケトは虚空を一閃。
ただそれのみで、あらゆる摂理を、世界の境界を超越して、その場を後にした。
「シンクローォォォッ!」
ユウスケが少年を呼ぶ悲痛な声が、荒野に