学園仮面ライダー ~インリデンとライド 乗り手求めて多重世界~   作:大島海峡

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内々に申し立てがあったので、一部キャラを差し替えました。
ご迷惑をおかけいたします。


新たな名前

 ライダー学園、合同会議室。

 各寮からの直通路、その交差点に位置するそこは学内のみならず、世界、ユニバースにおいて重要な事柄を議論、ないしそれより前に決定したことが通達される場であり、その際には寮の責任者や作戦に関わることになる最強の戦力が召喚される。

 

 そしてその日、臨時ながらもその慣例に違わず、惨劇を生き残った最精鋭達が、今ここに集わんと、四方の回廊を渡る。

 

「……だからさぁ! あいつらを倒すには『ギュッとしてダッとしてバーン!』なワケよ! 分かる!?」

 周りを憚らず大声で、佐武(さたけ)真鈴(ますず)が喚き立てて小柄なそのm身を跳ね上げて青く光る指輪を握り固めて両手を突き上げた。

 静水寮。一年。ウィザードリング科。

 登録名『仮面ライダーマーリン』。

 使用ツールは白い魔法使い(ワイズ)ドライバーおよびウォーターウィザードリング

 やれ植物系だの水槽の中の観賞魚だの揶揄されるほど穏健な静水寮の中でも、特例的に騒々しく感覚派で衝動的な少女だった。

 

「ほう……それは」

 稲穂のように伸ばし放題の髪に手を埋めたまま、同意を求める。

 そんな少女に対する、細身長身の男子は、足を止め、真鈴を振り返ると、半身を屈めて、細目がちの目元をさらに絞る。

 

「興味深いですね、画期的アイデアだ」

「だよね!? さっすがひーさんはハナシが分かる!」

 

 しみじみと頷き返す『ひーさん』こそ、その静水寮の典型とも言える男子だろう。

 (ひじり)吟史郎(ぎんしろう)。コアメダル科三年。寮長。

 登録名『仮面ライダーコールド』。

 使用ツールはポセイドンドライバーならびにセイウチ・シロクマ・ペンギンメダル。

 

 そしてその対面より、男子生徒を中心とした一団が、彼らに接近しつつあった。正確には、赴かんとしていた会議室の、扉に。

「ディサイダーズ侵入前後のコズミックエナジーの出力差を調べたい。検査を急いでくれ」

 素早い口調でそう指図するのは、中心人物たる白衣の男だった。その下に来ている制服は、ライダー学園のものではなく、鮮やかな青が眼を惹く、天ノ川学園のものだった。

 涼やかな目元と、高い鼻筋が顔を構成するパーツの中で目立つ。

 

「しかし、ザ・ホールの周辺はまだどのような影響が出るか分からず、無人機を飛ばすにも多くの機材が今回の一件で失逸しています。そう簡単には」

 鉄耶不二。炎寮三年。

 登録名『仮面ライダーマッドグリス』。

 使用ツール、エボルドライバーおよびフェニックスおよびロボットフルボトル。

 

 装着し直した腕を擦りながら難色を示した彼女に

「問題ない」

 と言ってのけた。

「すでに、自分でデータを収集して来た」

 そう続けた彼の顔が、青く波打つ。

 

 ――歌星(うたほし)賢吾(けんご)

 アストロスイッチ科三年。炎寮の長。

 登録名『仮面ライダーフォーゼ コアステイツ』。

 使用ツール、フォーゼドライバーおよびコアスイッチ。

 

「……さすが」

 不二の鉄面皮が、苦笑に揺らぐ。その彼女の隣を、将校風のケープコートを肩から靡かせて、大股で若者が過った。

 

「次こそは仕留める。命が燃える音を、奴の鼓膜に焼き付けて」

 

 天空寺(てんくうじ)タケル。その数多いるうちの一人。

 炎寮二年。眼魂科。

 登録名『仮面ライダーネクロムゴースト』。

 使用ツールはオレ眼魂。ただしベルトはゴーストドライバーではなく、メガウルオウダーである変異種中の変異種。

 

「……公共の場で物騒なことを言うな」

 頭を痛ましげに押さえた賢吾に

「やーやー、どーもどーも」

 と、聖吟史郎は手を挙げてそのまま接近し、合流した。

 

「やはり君たちも呼ばれたのか」

「てことは、おたくらも……で、あちらさんも」

 

 そう聖が視線を流した先で、

「あーッッ!!」

 と、頓狂な声があがった。

 

 その声に他も目を向ければ、不二にとっては馴染みのある不良然とした少年が、深い青味を帯びた長髪の少女とその一団に食ってかかっていた。

 

 雷寮二年。ミラー科。次郎丸厚。

 登録名『仮面ライダーカリュドーン』

 契約モンスター、シールドボーダー。

 

「てめぇっ、飛電! よくもあの時見殺しにしやがったな!?」

「驚いたな。あの状況から生還したのか……アンタ程度の実力で」

 

 嫌味でもなく、心底驚いたかのように、蛍光を帯びた黄目を瞬かせる。

 アニメのキャラクターがそのまま実体化したかのような美貌の乙女こそが疾風寮の頭目にして学園長選抜チームの筆頭格。

 

 飛電嵐子。プログライズキー科二年。

 登録名『仮面ライダー0型』。

 使用ツール、サイクロンライザーとストーミングペンギンプログライズキー。

 

 その驚きのまま、続ける。

「で、アンタ程度の雑魚ライダーがここに何の用だ? 道にでも迷ったのか?」

「程度程度うるせぇな! いっとくが俺ぁな、この学園で唯一、タイマンでディサイダーをブッ倒した男だぜ! お声がかかんのは至極当然だろうが!」

「聞いてますよ。それでトドメを刺し損ねたとか。まったく信じがたい失態だ」

 激する次郎丸に、冷ややかな声を浴びせかけられた。

 

 三崎(みさき)行矢(ゆきや)

 登録名『仮面ライダースードゥ』。

 ライドウォッチ科二年。

 使用ツール、ジクウドライバーとスードゥライドウォッチ。

 

「あぁ!?」

「君のせいで余計な手間と被害が増えた。皮肉ぐらい言わせてくれ。我々特務チームならば、一騎打ちの機さえあればセルケト到着までにメルキー如きは瞬殺できたというのに。何故君のような粗忽者が仮面ライダーになれたのか……私には全く理解できないな」

 灰色がかった己が短髪を神経質に撫でつけつつ言う。

 

「そう言ってやるな、行矢」

 嵐子が窘めた。

「人間、向き不向きが存在する。たとえば私は九割九分この男に劣る所が見られないが、飯を食う量と速さは、多分奴に軍配が挙がる」

「ははは……面白い冗談言いやがる」

「面白い? 冗談? 何を言ってる?」

「今ここでブッ潰す!!」

 

 目を丸くする嵐子に次郎丸が喰ってかかる前に、

「止めろ」

 静かな声が、それを制する。

「厚は単身よくやったよ。俺でさえこのザマなのに。我々雷寮生をいじめるのは勘弁してほしいね」

 と、広子に車椅子を手押しされた少年が、肩をすくめて言った。

 

 上座シンクロー。

 ガイアメモリ科、雷寮二年にして筆頭。かつ最強戦力。

 登録名『仮面ライダーウェザー』。

 使用ツール、ロストドライバーにウェザーメモリ。

 

「雷寮? お前らがヘボなだけだろ。一緒くたにされても困るなァ」

 右に赤、左に青という金銀妖眼の少年が、猫背気味に嵐子たちの背後から現れた。

 

 グッズ・バグスター。

 雷寮二年。ガシャット科。

 登録名『仮面ライダーアナザーパラドクス パズルゲーマーレベル50』。

 使用ツールはガシャットギアデュアルアナザー。

 

「グッズ、何故君が疾風寮側にいる?」

 そこに、火水両寮が加わった。むしろグッズの方にこそ怪訝の目を向ける。代わりに答えたのは、行矢だった。

「随行するはずだのった桜井(さくらい)くんが、その……先の戦いでお姉さんを失いましてね。まだ出席できる状態ではありませんので、チームからの補充要員です」

「何度聞いても良く分からない理屈だな? 何故景和(けいわ)は戻ってこない? あいつ自身の負傷は大したことないと、私などは安堵してたんだが」

 嵐子はそう小首を傾げた。

「何故って」

「消滅したのはあくまで桜井沙羅(さら)であって、彼自身じゃないだろ。それと今回の会議の出欠がどう関係あるんだ?」

「……ですから、肉親を奪われたショックというかですね」

「?? ……???? だったらなおのこと報復なり救出なりのために行動をすべきだろ?」

「本気で不思議そうな顔をしないでくださいよ……」

「おい、コイツ実はヒューマギアだったりしねぇか?」

「ヒューマギアなら、もうちょっと上手いこと取り繕った受け答えするでしょう」

 

 やれやれと肩をすぼめたり落としたりする一同だった。

 

「しかし、曲がりなりにもこれで寮長は揃い踏みだ。となれば、議題は一つ」

「今後のディサイダーズ対策」

「いや、そうとも限りませんて」

 

 賢吾の導き出した解に、聖が手を挙げて否を唱えた。

 

「噂では、何やら新兵器を招いたとか」

「その表現は語弊があるぞ、聖。正しくは新兵器を『取り寄せる』ないし『開発』だ。それではまるで兵器が生きているかの物言いになってしまう」

 真顔で反論する嵐子に、吟史郎はへらへらとだらしなく笑い返した。

「すみません、どっちかっていうと『新兵器』の方が語弊を招く喩でした。正しくは、『新入生』です」

「……この状況です。戦力の補充はありがたいですが、わざわざこの面子を集めて議題に挙げるほどのこととは……」

 そのまま疑問を口にする不二に、後ろ髪に手を突っ込んだまま、真鈴が言った。

 

「それが、ライダーとしての力を持たないんだって」

「ライダーの力を?」

 タケルがその眼を眇めた。

 

「とも限らないらしい。先に対ディサイダーズの戦略が採用されたとか、あるいは世界を単独で渡る能力があるとか……まぁ風聞の域を出ないけど」

「そんなもん先生方とオーロラカーテンで十分だろ? そんな半端モンが何の役に立つってんだ!」

「いや、世界移動の簡便化や、現場レベルでの作戦調整が可能となれば、戦術の幅は大いに広がる。かく言う俺も、フォーゼのシステムをあいつに譲られる前は裏方に徹していた」

「じゃあお前もかつては役立たずの半端モンってわけだ!」

「……さぁな。だが自分のプログラムの中に用意された定型文(テンプレート)で煽るしか能のないコンピュータウイルスよりは、よほどマシだ」

「あぁ!?」

「止めとけ、グッズ……先も言ったが、手が足りていない状態だ。まぁ少なくとも、歌星が言った通り、どんな人材であれ、カバン持ちの役には立つだろう。これは差別ではなく区別だ」

「いや、そこまで辛辣に言った覚えはない……」

「まぁまぁ、いずれにしても、今この扉を開ければ分かることかと。立ち話もなんですし、入りましょうよ」

 

 まだ見ぬ、そもそも来るかどうかも怪しい新入りについて好き放題に述べ立てながら、会議室に次々に入室していく。

 

「君にしては、ずいぶん物静かだったね」

 脚の問題もあり、あえて最後尾に回ったシンクローが、背越しに広子を仰ぎ見た。

 彼女は嘆息を発して答えた。

「いやぁ、皆さんの濃すぎるやりとりやキャラクターに圧倒されて場違いみたく感じちゃって……ワガママで変な人多いんですね、偉くて強い人たちって」

「……君も引けをとってないと思うけど」

「どういう意味です?」

「いやいや、深い意味は。ただ、ハウンドを単独で退け、それがゲームセットの合図となった。結果、多くの学生たちが命を繋ぐことができた。胸を張りなさい。君は十二分に、ここに居る資格を有する」

 そう誉めそやされ、広子はむず痒そうにはにかんだ。

 

「でも、なんか引っかかるんですよね……どうやって、誰に化けてた彼を倒したのか、なんかぼんやりしてて」

「……さて、ね。俺自身はその時死にかけてたし」

 韜晦めいた調子で応じつつ、でも、とシンクローは付け足す。

 

「その引っかかりが形になったのが、その『登録名(なまえ)』なんだろ?」

「ですね、どうだったのか忘れてしまって、それでも思い出そうと必死に、モヤモヤする頭の中をかき分けて、それで出てきた言葉があるんです。『自分を乗りこなせるのは、自分だけ』。乗るも乗らせるも私自身っ! だから、この名前にしました」

 そうか、とシンクローは微笑で返した。

「さて、俺たちも行こうか……次のステップへ。そのモヤモヤの向こう側に行った誰かさんに、いつか追いつくために」

 

 詩島広子。

 特状(とくじょう)科、雷寮一年。

 使用ツール、デンセツシューターおよびライドライバー

 

 

 

 登録名『仮面ライダーインリデン&ライド』

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